【観光の舞台裏vol.4】「菜の花まつり」事務局 三川町観光協会 今野 徹・澤田 佳子


2020年12月27日 93ビュー
庄内の観光に携わる“人”にフォーカスして、その舞台裏をインタビューする「観光の舞台裏」シリーズ。第四回目の舞台は、三川町の春の風物詩「菜の花まつり」です。

毎年菜の花が満開を迎える5月5日に開催される菜の花まつり。町のイベントとしての歴史は古く、2019年(令和元年)で37回目を迎えました。(※2020年中止) 立ち上げ当初はいわゆる“町民による町民のためのまつり”であったこちらのイベントですが、ここ数年で庄内エリア内外からも多くの方が訪れるようになり、来場者が増加。昨年の来場者は3,500人を超え、三川町の交流人口拡大にも大きく寄与しています。

そこで今回は、菜の花まつりの事務局を務める三川町観光協会事務局次長(三川町役場 産業振興課課長補佐)の今野徹さんと同協会の澤田佳子さんにお話を伺い、イベント成功の“秘訣”に迫ります。

 

菜の花まつりとは

菜の花まつりの始まりは1983年(昭和58年)。1978年(昭和53年)に三川町の町の花に制定された菜の花を活用して町を盛り上げようという趣旨で、町と町農協、そして商工会が一体となってまつりを企画したのがきっかけだった。

第1回の菜の花まつりでは、赤川河川敷にあった菜の花栽培地をメイン会場に町内小中学生による菜の花畑の写生会や撮影会が行われたほか、農村センターにて生花展や菜の花市と呼ばれる物販市、菜の花料理の試食会など、菜の花に関連した企画を開催。今では庄内地方の観光親善大使の役割も担う “菜の花むすめ”も、この第一回菜の花まつりとともに誕生した。

現在、菜の花まつりのメイン会場は「庄内みかわ いろり火の里」周辺へと移動。第1回開催時から人気のある菜の花むすめの撮影会はそのまま、ダンスフェスタやサッカー大会など継続する催し以外に、毎年新たな企画を加えている。

今ではすっかり庄内、そして県内のご家族にとって“子どもと一緒に行く目的地”のひとつとして定着しつつある菜の花まつりだが、そうなるまでには様々な試行錯誤があったという。

 

ターゲットを絞った企画力

「三川には観光資源はないから。その中でどうやって外から人を呼ぶことができるかを考え、ファミリー層にターゲットを絞った。」

こう話すのは、事務局次長の今野さんだ。

三川町出身の今野さんは、1992年(平成4年)に三川町役場に入庁。産業振興課(農政係)以降、3課2行政委員会を経て、6年前の2015年(平成27年)に現担当に。そこから菜の花まつりに事務局として携わるようになった。

菜の花まつりを見ての印象は、「飲食の出店が少ない」。菜の花まつりには家族連れが多いが、せっかくまつりに来ても食べる楽しみがないと子どもはすぐ飽きてしまうと思い、次の年からFacebookの知り合いを通じてキッチンカーを呼び、出店者を増やす努力をした。

「働く車コーナー」に除雪車が加わったのは、今野さんが建設課時代に提案したから。当時はパトカーや消防車、自衛隊特殊車両などのみであったが、普段なかなか触れることのない大きな車両に、大人も大興奮だという。4年前からはクレーン車など町内の事業者にお願いして展示している。

さらに、まつりの宣伝方法にもテコ入れを行う。それまで町内へのチラシの配布やポスターの告知がメインだったが、ポスターの告知をYBCラジオのCMに切り替え、全県に向かって告知した。ラジオならば車を運転中の方や農作業など仕事中の方もよく聞いていることを狙っての決断だったが、これが功を奏し、県内の他エリアからも来場者が訪れるようになった。

思い立ったら即行動。自身のつながりをフル活用し、三川だけでなく町外の人や団体を巻き込む。観光資源がないなら、遊びに行きたいというイベントに仕上げればいい。こうして今野さんは、まつりの改良を重ねていった。

 

来場者参加型の祭りへ

徐々に規模が大きくなった菜の花まつりだが、開催に向け細部に至るまで調整をしているのが三川町観光協会の澤田さんだ。

澤田さんは鶴岡市出身。東京でホテルやショールームなどの仕事を経て、セールスプロモーションの仕事に携わる。「きれいなおねえさんは、好きですか。」のキャッチコピーで人気を博した松下電工(現パナソニック)の美容家電のイベントなどを担当した。

その後、平成30年(2018年)の4月に三川町観光協会に就職。運営側として取り組んだ最初の大きなイベントが、菜の花まつりだったという。

「見て終わりではなく、来場者が体験して楽しめる企画を増やしたい。」

こう語る澤田さん。現在の菜の花まつりには、その言葉通り体験型の企画が多数存在する。菜の花むすめと同じ格好をして子どもたちが写真を撮れる「菜の花むちゅめ大集合」や、巨大バルーンの中に入って田んぼの上を移動する「田んぼで遊ぼう!ウォーターバルーン」、竹馬や輪投げなどで遊べる「昔遊び」など、実にバリエーションに富んでいる。

澤田さんはそれら企画のとりまとめはもちろん、広告塔である菜の花むすめのマネジメントまで、これまでのイベント立ち上げ等の経験を活かしてまつりを着実に成功させるために奔走している。

 

人が集まる町に

「イベントをいつもやっている町」というイメージがある三川町。
菜の花まつりに参加したいのは、今や来場者だけではない。最近はこちらから声をかけなくても「出店したい」と申し出る人や団体も出てくるようになった。

「三川のイベントははずれがない」
キッチンカーを出店する人から、こんな言葉をかけられたこともある。そんな口コミもあってか、現在は庄内エリアだけでなく県内各地、そして仙台市からキッチンカーが駆けつけることもあるという。

人が集まるから出店する。売り上げが上がるから他の店も出店する。魅力的な店があるからまた人が集まる。菜の花まつりには、そんな好循環が生まれているような気がした。

今年はコロナウイルス感染拡大防止のため残念ながら中止となった菜の花まつり。来年もこれまでと同じような形式での開催は難しいかもしれない。
しかし、これまでも着実に前向きな変化を遂げてきた菜の花まつりが、これから先新しい生活様式に合わせてどんな形に変わっていくのか楽しみでもある。

"観光資源がない"を強みに変えて。二人の取り組みから、今後も目が離せない。
 

菜の花まつり

開催時期:5月5日
場所:庄内みかわ いろり火の里周辺
アクセス:JR鶴岡駅から車で11分、山形自動車道鶴岡ICから車で15分
駐車場:あり
お問合せ:0235-66-4656(三川町観光協会)

この記事を書いた人
國本 美鈴(くにもと みすず)

埼玉県深谷市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、都内の情報・通信系企業にて新規事業立ち上げやメディアの編成・PR等を担当したのち、2019年7月〜庄内に移住。現在、庄内町地域起こし協力隊観光PR担当として、イベントの企画やSNS等を活用した地域の情報発信などを行うほか、北庄内地域通訳案内士の資格も持つ。これまで訪問した国は45カ国という大の旅好き。庄内の魅力を県内外、そして海外の人にも発信すべく奮闘中!

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