村上の鮭文化と潮風薫る温泉へMurakami冬には各家庭の軒下に鮭を吊るして作る「塩引き鮭」。頭を下に向け、腹の一部を切らないようにするのは鮭に首吊りや切腹をさせないためなのだとか。塩引き鮭はらこ村上では鮭の卵を「はらこ」と呼ぶ。旬を迎える11月初旬からは、市内の各飲食店で「はらこ丼フェスティバル」を開催。各店独自のはらこ丼が楽しめる。鮭のまち・村上で城下町と町屋の風情を楽しむ 山形県と隣接する村上市は、かつて村上藩の城下町として賑わった地。市内中心部には今も城下町の面影が残り、中には築100年以上経つ町屋も少なくありません。旧町人町一帯では、春と秋の年2回、町屋の中で昔から各家に伝わる人形や屏風、美術品、調度品の数々を観光客に公開するイベントが行われています。 村上でぜひ体験したいのが、村上独特の「鮭文化」です。この地域では古くから鮭漁が盛んで、文献によると平安時代の朝廷に村上の鮭が納められていたそう。江戸時代には、村上藩が世界初の鮭の自然ふ化事業とも言える「種川(たねがわ)の制」を制定し、資源を大切に守ってきました。 村上に伝わる伝統の鮭料理は100種類以上。身やはらこはもちろんのこと、心臓や内臓、骨、頭の軟骨、ヒレなど、普通は捨ててしまうような部位も大切に調理し、味わい尽くします。村上の割烹や料亭では、その一部を食べやすくアレンジして提供。鮭を大切に守り育ててきた、村上でしか味わえない料理です。 そして城下町を散策した後は、瀬波温泉へ。多くの宿が海に面しており、日本海に沈む夕日を眺めながらの露天風呂は至福のひと時。独自の文化、食、そしてフォトジェニックな風景…村上には旅の楽しみがコンパクトに詰まっています。52特 集
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