めずらしい「駅そば」と護摩堂山/田上町


2022年06月08日 6728ビュー

そういえば見なくなった「駅そば」

いわゆる駅の中にある立ち食いのおそば屋さんをめっきり見なくなった今日この頃。いやいや、カレーで有名な万代のバスセンターはもちろんあるけど、それはちょっと野暮というか、駅が良いんですよ、駅。
個人的に、駅そばがすごく好きなんです。だいたい見つければそこで食事を済ませるくらい好き。手打ちの凝ったおそばは出てこないし、天ぷらもそんなに上等なものは出てこないんですが、リーズナブルな価格で各店が工夫を凝らして美味しいものを提供してくれるのが最高に良いのです。
けれども、「駅そば」もどんどん減っていきました。最近ではJR燕三条駅からも消え、現在、大規模工事が続くJR新潟駅からも消えました。
 そんな中、JR信越線の新潟駅から長岡駅までの間に一軒だけ、しかも無人駅である田上駅に存在する貴重な駅そば店「あじさい売店」に行ってみました。
また、そろそろ田上町のシンボル、護摩堂山のあじさいも花が咲く時期が近づいてきたので、一足早く新緑を楽しみ、日帰り温泉施設のごまどう湯っ多里館に寄ってきました。

まずは護摩堂山へ

さすがにランチには早い時間なので、ひとまず護摩堂山へ。湯田上温泉の各旅館を横目に登山口を目指します。
新潟市内からは国道403号線バイパスを使って1時間もかからない手ごろな山で、標高も274メートル。弥彦山よりも更に手軽にハイキングを楽しめるところです。山道も整備されており、たまに軽トラックが行き来するほど。
山にはあじさい園などもあり、整備のために必要なのでしょう。
共用の杖もあります。
それにしても新緑が気持ち良いです。
あじさいはまだ花も見られないですけど。
午前中は天気も良く、多くの人とすれ違いました。
また、山にはいたるところに史跡があります。その名の通り、かつては修験道の修行の山であり、中世には山城があったそうです。おそらく、地域の人たちにとってはシンボル的な存在だったのでしょう。
石切場も迫力満点。
現在はあじさいの名所として知られています。これから徐々に咲くんでしょうね。
なお、こちらが去年のあじさいの咲くころの護摩堂山。(写真提供・田上町役場)
また、山頂近くには茶店もあり、休憩ができます。
そこでお店の方に教えてもらったのが、このツルアジサイの花。アジサイの仲間ですが、開花の時期が早く、普通のアジサイの見ごろには、もう見られないそうです。
そして、いよいよ山頂に到着。
越後平野が良い具合に一望できます。弥彦山や角田山も見えましたが、ちょっと佐渡は怪しげ。
この日は、よく登っている地元の常連さんたちが楽しく談笑していました。こんなハイキングスポットが近所にあるのはとても羨ましい。

いよいよ「あじさい売店」へ

お昼も近くなり、田上駅へおそばを食べに行きました。
それにしても無人駅に駅そば、それもJRとは全然関係がないお店というのは珍しい。
駅には看板も出ています。
駅に入って右手にお店はありました!
なんと駅の待合室や売店と一体になっているんですね。
どっちかというと、各駅のキオスクのようなポジションにそば屋のカウンターがある感じ。新聞や飲み物を売っていて、隅には自動販売機もあります。
年季が入ったこのお店は、元々、湯田上温泉旅館共同組合が2006年にオープンさせたそう。意外に新しい? 
店内、というか待合室の席数は10席ほど。もちろん、そばを注文しなくても利用できます。
室内は明るく、カウンターの向こうで店員さんが手際よく作業する様子をぼんやり見るのもなかなか乙なものです。
常連さんも多いらしく、この日もオープン直後からコーヒーを片手に店員さんと世間話をしに来ていた男性の方がいらっしゃいました。地域の人にも親しまれている感じがすごく伝わってきます。
もちろん、観光客の来る週末は賑わうそうで、イベントや温泉目当ての人はもちろん、写真撮影を目的にした鉄道ファンも多く集まるそう。熱心な鉄道ファンにとっては有名なお店のようです。
また、観光案内所も兼ねていて、観光スポットの紹介もしてくれます。JRや町役場とも連携していて、地域のハブの役割を負っているんでしょうね。
というわけで、注文したのは「卵とじそば」(税込500円)。定番の天ぷらそばも捨てがたいのですが、どうせならここでしか食べれないものを、ということでチョイスしてみました。私も駅そば好きで色々食べているのですが、あんまり見ない気がするんですよね。卵とじは時間がかかるからでしょうか。
そうそう、このお店は駅そばだけど食券制ではなく、普通にオーダーするんです。なんだか新鮮。
いわゆる鶏肉の入った親子煮が乗っかった感じのおそばです。すごく優しい味で美味しいです。もちろん駅そばなので、手打ちとかじゃないんですけど、この手間のかかった親子煮は駅そばで食べられるものではないですね。
懐かしいまちの食堂の味、というか。これが駅で食べられるのは嬉しいです。
このほか、手作りのおにぎり(税込各140円)も人気のようです。

あじさい売店

住所:新潟県南蒲原郡田上町田上丙2525-2 JR田上駅構内
営業時間:11時から14時まで。土日祝は15時まで。
定休日:毎週水曜・木曜

食べたあとはごまどう湯っ多里館へ

田上といえば、やっぱり湯田上温泉ということで、護摩堂山麓、登山口からトンネルを抜けてすぐの町の日帰り温泉施設「ごまどう湯っ多里(たり)館」へ。
駐車場の入口では団九郎がお出迎え。護摩堂山に伝説の残る高名な狸だそうで、町のお土産にも使われている人気キャラクター。町の夏祭りの冠にもなっているほど地域に親しまれているようです。
駐車場からはエレベーターと歩道橋で施設に向かいます。
そして到着。
入り口には温泉マニアにはたまらない飲める温泉もあります。
中はゆったりとした雰囲気です。
そして展望露天風呂はこんな感じ。天気が良い日はめちゃくちゃ気持ちが良いですね。
泉質もばっちり。護摩堂山ハイキングの後にはぜひとも立ち寄ってほしいところ。
飲食コーナーも充実しているそうですが、今回はあえてこれ。やはりお風呂の後には塚田フルーツ牛乳に限りますね。最高でございます。

ごまどう湯っ多里館

住所:新潟県南蒲原郡田上町田上丙3673-1
営業時間:10時から21時まで。受付終了は20時。
休館日:毎月第2火曜。祝祭日の場合は翌日。
利用料金:10時から17時まで700円。17時以降600円。小学生以下終日400円。
貸しタオルは別途100円。
TEL:0256-57-6301

今年度のあじさいまつりについて

田上町の観光イベントのひとつ、田上あじさいまつり。今年は6月18日から7月18日まで、あじさいの見ごろに合わせて開催されます。ただ、コロナ以前のように盛大なオープニングや各種イベントはないそうです。
かわりに国道403号線バイパス沿いにオープンした道の駅たがみを会場にいくつかイベントが企画されているそうです。
 
また、今年もあじさいまつりをテーマにした観光フォトコンテストを開催予定とのこと。
ぜひ、インスタグラムをチェックしてみてください。

道の駅たがみ

住所:新潟県南蒲原郡田上町原ヶ崎新田3072-1
まつり期間中の営業時間:ショップは9時30分から17時まで。食堂は10時から16時まで。
休館日:毎月第2火曜
TEL:0256-47-0661

この記事を書いた人
ヤマダ マコト

新潟市秋葉区在住。サラリーマンの傍らkindleストアで電子書籍にて地元・新潟を舞台にしたエンタメ小説を発表。インディーズながら一部で熱烈な人気を集め、どっちが本業か分からなくなりつつある中年男。

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