切れ味復活で愛着も一生モノ。「庖丁工房タダフサ」でメンテナンス/三条市

2023 08.10

切れ味が落ちた包丁、どうしていますか?三条市の「庖丁工房タダフサ」で包丁のメンテナンスと工場見学を体験。職人の技と、長く使うための秘訣に触れてきました。

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竹内ありす
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切れ味復活で愛着も一生モノ。「庖丁工房タダフサ」でメンテナンス/三条市

こんにちは!フリーライターの竹内ありすです。


おいしい食材が豊富な新潟県。その調理に使うキッチンツール「包丁」も、私は県内で作られたものを愛用しています。

しかし何年も使い続けているうちに、切れ味が悪くなってきてしまいました。菜葉はつながってしまうし、お肉も手にかなりの力を入れないと切れません。……困った!

そんなときに行うのが、「包丁の研ぎ直し」ですよね。

家に砥石はあるのだけど、イマイチ使いこなせないし指を切ってしまいそうで不安。

そんな中、私も愛用している包丁のメーカーである三条市の「庖丁工房タダフサ」では、包丁の研ぎ直しやメンテナンスを行っているということで、訪れてみました!
そして、ふだん使っている包丁がどんなふうに作られているのか、工場も見学してきたのでレポートしますよ!

ちなみに、他社製品の包丁でもメンテナンスを行ってくれるのだそう。切れ味の良い包丁で料理を楽しみたい方は、要チェックです!

ショップを併設したファクトリー「庖丁工房タダフサ」

北陸自動車道三条燕インターから車で15分、やってきました「庖丁工房タダフサ」!
車も停めやすくて、ありがたいです。向かって右が工場、左はショップのよう。
包丁のメンテナンスの受付を行っているショップへ、まずは向かいます。
中に進むとまず目に飛び込んでくるのが、整然と並んだ包丁の数々!
ふだんの料理で使うような包丁から、日常生活ではお目にかかれない珍しい形のものまでずらり。「包丁ってこんなに種類があったのか」と驚きます。
もちろんここには、「庖丁工房タダフサ」で作られている包丁やまな板を販売するスペースも!新品、キレイだなあ……

私の包丁もキレイにしてもらいたいので、受付で預けることとしましょう。
持ち込んだのは、「万能包丁(ペティ)」「万能包丁(三徳)」「パン切り包丁」そして、まな板です。

「庖丁工房タダフサ」を知る

「包丁のメンテナンスをしてもらいたいし、どんなふうに作られているかも知りたい!」ということで、今回はこちらの方に案内していただきます。
「庖丁工房タダフサ」番頭(マネジャー)の大澤真輝(おおさわ・なおき)さん。

大澤さんに、ざっくりと「庖丁工房タダフサ」について教えていただきました。
「庖丁工房タダフサ」がある三条市は、刃物や金物のまちとして名高いです。なぜものづくり、特に金属加工が盛んになったのかというと、治水が難しく昔から氾濫も多かった信濃川・五十嵐川の影響があります。

“米どころ・新潟”と呼ばれる今では信じられないかもしれませんが、当時は農耕に不向きな地域でした。そこで、副業として、今でも神社の建築(伊勢神宮の式年遷宮にも!)などに使われる「和釘づくり」が奨励されるようになり、鍛冶技術の発展、ものづくりの幅が広がっていったのだとか。
そのなかで、「庖丁工房タダフサ」の創業は昭和23年。
創業当時は、遠洋漁業で使われるような漁業用(魚を解体したり、さばいたりする用)や農作物の収穫用などの刃物を手がけていたそうですが、時代の流れに合わせて家庭用の包丁や調理の職人さんが使う包丁などの製造をスタート。現在に至ります。
創業者の息子であり、現会長のお写真もファクトリーショップに飾られていました。
包丁というと、オールステンレスやセラミックなどさまざまな材質がありますが、「庖丁工房タダフサ」で主に作っているのは切刃に鋼を使用した本格的な包丁です。


鋼の特徴はなんと言っても切れ味の良さ!そして、鋼の部分を研ぎ切ってしまうまでは、お手入れ次第で何十年も使えるというところ。逆に、お手入れを怠ってしまうとサビてしまうのです。
「お手入れの手間を楽しみ、ひとつのものを長く使う方に愛用していただいています。プレゼントとしても喜ばれています。一般の方はもちろん、料理家のお客さんもいらっしゃいますね」と大澤さん。

いざ、包丁づくりの現場へ

「庖丁工房タダフサ」について教えてもらったところで、続いて工場を案内していただきました。
薄暗〜い空間に、赤くぼんやり光る“包丁”を発見。硬度を高める「焼入れ」作業中の包丁でした。工場内は職人さんたちが集中しやすいように、常に薄暗くしているのだとか。

工場は去年増築して広くなったということで、品質の高い包丁をより効率よく生産できるようになったそうです。
包丁づくりのだいたいの流れは、「鋼材を切断する」「鋼を叩いて強くし、形を作る」「型抜き」「研磨」「焼く」「歪みを取る」「研磨を重ねる」「刻印、柄入れ」「検品」。すべての工程を、こちらの工場で行っています!
1,000℃近くにまで熱された鋼材。近寄ると熱気がすごいです。
スプリングハンマーという大きな機械で鋼材を叩き、分子構造を整えることで、硬く鍛えます。
職人さんが手を止め、機械の力強さを体験させてくれました。(体験は鋼材なしで行っています)
足元のペダルを踏んで作業をするのですが、すごい!全身に振動が伝わってきます。この作業があるからこそ、鋼材が強くなるんですね。
研磨の工程も迫力があります。
仕上げで行う柄入れ。持ったときに手になじむよう、こちらも手作業で丁寧に角度をつけていました。
私が「庖丁工房タダフサ」の包丁を愛用するなかで、お気に入りポイントのひとつが柄の持ちやすさでした。長い時間使っていても、手が痛くならないんですよね。実際に柄づくりを間近で見ることで、そのすごさを実感しました。

工場見学

所要時間は20分〜30分ほどで、スタッフが案内してくれます。
お土産付き。

見学:大人1,000円、18歳以下は無料(高校生以下は保護者の付き添いが必要)
原則として、「タダフサ公式オンラインSHOP」での事前予約が必要です。

※その日により、見学できる内容が異なる可能性があります

私の包丁…メンテナンスお願いします!

包丁づくりの現場を見せてもらうと、ますます愛用している包丁の切れ味の悪さが気になってきました。切っているつもりなのにつながってしまう野菜、力を入れて何往復もしないと切れないお肉。
もっとラクに、楽しく料理をしたいものです。
ということで、今回メンテナンスに対応してくださったのが、職人の吉田さん。
どんな状態になっていたのかを調べてもらったところ、切れ味の悪さのほかにも「サビ」「欠け」もあるとのこと。
使いにくくなっていたわけがようやく分かりました。
包丁の研ぎ直しは、「目の粗い砥石で厚みを取る」「目の細かい砥石で研ぐ」「さらに細かい砥石で刃先を鋭く研ぎ仕上げる」「表面全体をきれいに磨く」という工程で行われます。
新品の包丁を製造する隣で、研ぎ直しが始まります!
左は削る前、右は削ったあと。刃先の角度のつき方が変わりましたね!
削った刃先を何度も目で見て確認しながら、研ぐ作業は続きます。欠けている部分に合わせ、削り方も工夫していただきました。
刃の表面を磨く研磨ベルトだけでも、いくつも種類がありました!

ちなみに、パン切り包丁の研ぎ直しも受け付けている包丁メーカーはかなり珍しいのだとか。特殊な形をしている包丁のメンテナンスの様子は、非公開となっています。

さて、削られて磨かれた私の包丁はというと……
輝きを取り戻している!

キレイ!!

新品のころを思い出す仕上がりです。なんだか包丁も、こうしてキレイにしてもらうのを待ち望んでいた感じがします。

メンテナンス(研ぎ直し・修理)

刃渡り12センチまで 550円〜
※サイズや状態により、価格は異なります

型直しや柄の交換などもあります。
他社製品の家庭用包丁もメンテナンスしてもらうことができますが、
パン切り包丁などの波刃は「庖丁工房タダフサ」製のものに限ります。

ファクトリーショップへの持ち込み、または郵送での受付となります。

切れ味復活で愛着も一生モノ!

実際に包丁づくりの現場やメンテナンス作業を見せていただいて、愛用していた包丁に対しての愛着もさらにアップしました。

すぐにサビてしまわないよう、鋼の包丁を使ったあとはきちんと洗って拭いて乾かすことが大切。
「重曹ペーストとクレンザーがあれば、ご家庭でも簡単にお手入れができますよ。でも、困ったときはぜひ、こちらに預けていただければしっかりメンテナンスさせていただきます!」と、工場を案内してくれた大澤さんは話します。

最近はFacebookやInstagramだけでなく、公式LINEアカウントを活用し、包丁を愛用するお客さんに対してのサポートも充実させているのだそう。気軽に相談できる環境があると、包丁をもっともっと大切に使えそうですよね。

「庖丁工房タダフサ」は、国内外の展示会などにも積極的に参加し、世界じゅうに包丁づくりの技術や製品の魅力をPRされています。これからも、「庖丁工房タダフサ」の包丁は多くの方々の暮らしに寄り添っていくことでしょう。

庖丁工房タダフサ

住所:新潟県三条市東本成寺27-16
営業時間:9:00-17:00
定休日:日・夏季休業・年末年始(臨時休業あり) ※祝日は営業
TEL:0256-32-2184

駐車場あり

気になるメンテナンス後の切れ味は?

さて、帰宅しました。メンテナンス後の包丁の切れ味を確かめてみましょう!

冷蔵庫にあったキャベツを切ってみよう……
おお〜!一発でサクッと切れちゃいました!!感動です。

やっぱり包丁の切れ味が良いと料理の効率も上がりますね。嬉しすぎて、うっかり手を切ってしまわないように注意しなければ。
そして、包丁の刃による細い傷や側面のボコボコが気になっていたまな板も、後日メンテナンスを終えて郵送されてきました。
こちらは再び使うのがもったいないくらい、なめらかで美しい仕上がりに!でも、しっかりとした厚さは健在で、引き続き気合を入れて料理をしたいときの頼もしいパートナーになってくれそうです。

この記事を書いた人

竹内ありす

1995年新潟市生まれ。放送局での番組制作を経て、フリーランスのライター・ディレクターへ。 昭和歌謡と喫茶店、新潟の日本酒が大好き!もの・こと・人にまつわる、魅力あるストーリーをお伝えします。
Twitter→ https://twitter.com/atelier_aliswan 
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