城下町の鮭御膳今なお残る城下町の風情と、村上藩士が守った鮭文化。
新潟と山形の県境・朝日連峰に源を発する三面川では、古くからサケ漁が盛んでした。文献によれば、平安時代には朝廷に村上のサケが納められていたそう。村上藩にとって、サケは大切な食料であり貴重な財源でした。村上藩が定めた天然孵化を保護する「種川の制」は、世界初の育てる漁業のおこり。城下町・村上は、自然と共生しながら、食文化を守り育ててきたのです。
村上の人々はサケを「イヨボヤ※」と呼び、愛しんできました。頭の先からしっぽまで余すことなく使う、村上伝統の鮭料理は100種類以上。城下町に軒を連ねる割烹や料亭は、今でも伝統の味を守り伝えています。
町屋と武家屋敷が数多く残り、県内で最も古い城下町だと言われている村上。家々に受け継がれてきた芸術品とおもてなしの心が、今なお観光客を温かく迎えてくれています。※「イヨ」は魚（うお）の転訛、「ボヤ」は魚を意味する方言で、魚の最たるものの意。
城下町村上を訪ねて
割烹 新多久（しんたく）
- 1867年創業。黒塀通りに建つ歴史ある割烹。伝統的な鮭料理を現代風に再構築して提供している。鮭料理のほかに、村上牛や村上の旬の味覚も楽しめる。
- 村上市小町3-38
- TEL 0254-53-2107
