【前編】こんなに違うの?!「栃尾のあぶらげ(油揚げ)」全13店舗を巡って食べ比べ/長岡市
2026 10.05
長岡市栃尾名物「あぶらげ」は、お店によって驚くほど個性豊か!厚みや食感、揚げ方、食べ方まで異なる味わいを求めて、全13店舗を巡ってきました。前編では4店舗を食べ比べ。
- 新井まさみ

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新潟県長岡市東部の山あいに位置する、栃尾。その名物といえば、油揚げ。
地元では、「あぶらあげ」ではなく「あぶらげ」と呼ばれ、今やその名は全国にも知られるようになりました。一般的な油揚げに比べて大きく、厚みのある姿はインパクト抜群! 一口頬張れば、香ばしい皮の中からふっくらとした生地が現れます。
実は栃尾地域には、あぶらげを作るお店がいくつもあるのをご存じでしょうか。しかも、同じ「栃尾のあぶらげ」でも、お店によって味や食感が違うのだとか。
それなら実際に食べて確かめてみよう! ということで、今回は栃尾のあぶらげを作る13店舗を巡り、全店舗のあぶらげを食べ比べてきました。
前編・中編・後編の全3回にわたって、その違いをた~っぷりご紹介します。完全保存版ですよ!!
「栃尾のあぶらげ」とは?
手前が一般的な油揚げ、奥が栃尾のあぶらげ
栃尾のあぶらげは、260年以上の歴史を持つといわれる栃尾のソウルフード。
その起源には諸説あり、江戸時代中期、秋葉神社を訪れる参詣者への土産として考案されたという説や、当時栃尾で開かれていた「馬市」で、馬喰(ばくろう)たちの酒の肴として豪快なあぶらげが振る舞われたという説が伝えられています。
平均的なサイズは、長さ20~22cm、幅6~8cm、厚さ3cmほど。一般的な油揚げと比べると、その大きさは一目瞭然です!
そして、使われている材料はとってもシンプル。
【材料】
大豆、水、にがり、菜種油
【基本の工程】
① 大豆から「あぶらげ専用」の豆腐を作る
↓
② 豆腐を低温・高温の油で二度揚げする
↓
③ 金属製の串に刺して油をしっかり切る
↓
栃尾のあぶらげ、完成!
基本的な材料と工程は各店共通していますが、素材選びや豆腐の作り方、揚げ時間などは店によってさまざま。一見、「どれも一緒でしょ~」と思っていましたが、実際に食べ比べてみると、その違いに驚きの連続でした……!
そして、栃尾を巡って揚げたてを食べたいなら、事前に知っておきたいのが4つのポイント。
- 揚げたてを提供している店と、提供していない店がある
- 揚げたて提供店のうち、店内でイートインできる店と、できない店がある(ベンチや車の中で食べてね)
- 揚げたての提供時間も店によって異なる
- 売り切れ次第終了
揚げたてがお目当ての場合は、提供の有無や時間を事前に確認してから訪れるのがおすすめです。
それでは、いよいよ食べ比べスタート! 13店舗のあぶらげに、いったい、どんな違いがあるのでしょうか。(朝食を抜いて、新井は栃尾へと向かった)
常太豆腐店
現存する最古のあぶらげ店「常太豆腐店」
記念すべき1軒目は、栃尾のまちなかにある「常太豆腐店(つねたとうふてん)」です。
実はこちら、現在営業している栃尾のあぶらげ店の中では、最も古いとされるお店なんです。
創業年を示す詳しい記録は残っていませんが、現在の店主である大竹真さんで4代目。ひいおじいさんの代から続いており、100年以上の歴史があるそうです。この道に入って約50年の大ベテラン職人である大竹さんを中心に、家族でお店を営んでいます。
あぶらげを作り始めるのは、なんと午前3時30分ごろ! 朝のうちにはほとんどの作業を終えるため、私がおじゃました正午ごろには、すでに製造は終了していました。
常太豆腐店では、4種類の大豆をブレンドして使っています。さらに話を聞いていくと、あぶらげ作りは想像以上に繊細。豆乳を煮る温度などによって、生地が硬くなったり、うまく膨らまなかったりするのだとか。その日の出来上がりを確かめながら微調整を重ね、できるだけ仕上がりに差が出ないよう気を配っているそうです。
ほとんどが手作業のため、一日に作る数はあまり多くありません。あぶらげ専用の豆腐も手で切っているため、一枚一枚、形がわずかに違うのも手作りならでは。丁寧に昔ながらのあぶらげ作りを受け継いでいます。
===実食レポート===
【価格】あぶらげ 180円
【揚げたて】提供なし。持ち帰りのみ
自宅でいただきました。
皮はサクッと軽やかな歯触りですが、中は対照的にやわらかく、適度な水分量を残してしっとり。噛むほどに、中の生地がスッとほぐれていきます。大豆の風味と味わいもしっかり感じられ、食べ終わる頃には、また食べたくなる、絶妙な1枚!
1日の製造数が限られているので、早めの来店がおすすめですよ。
常太豆腐店
新潟県長岡市栃尾新町4-15
0258-52-2745
営業時間/6:30〜17:30
休業日/木曜定休

越後栃尾本舗
特注の菜種油でカラッと軽やか「越後栃尾本舗」
2軒目に訪れたのは、大きな工場が併設された「越後栃尾本舗(えちごとちおほんぽ)」。
こちらで一日に作られているあぶらげは、なんと約1万2,000枚! 県内の一部スーパーでも販売されていますが、その多くが関東圏のスーパーや大手飲食チェーンなどへ出荷され、栃尾から県外へと送り出されています。
これだけの数を作っているとなると、製造もほとんど自動化されているのかな?と思いきや、工場内を見学させていただくと、各工程でしっかりと人の手が入っていることに驚きました。
中をふっくらと仕上げるため、あぶらげになる前の豆腐作りにも工夫があります。豆乳の濃度や温度、にがりを加えるタイミングなどを調整しながら空気を取り込み、生地の中に細かな層を作っているのだそうです。
さらに同社では、大手製油会社と共同開発した、あぶらげ専用の菜種油を使用。目指したのは、食べたときにふわっと広がる香りと、カラッとすっきりとした仕上がりとのこと。
それでは、のれんがかかった入口から店内へ。揚げたてをいただきましょう~♪
===実食レポート===
【価格】揚げたてあぶらげ 250円
【揚げたて】提供あり(9:00~17:00)
【店内飲食】可
頬張ってみると、外はカリッ、中はふんわり。空気を含んだような軽い食感で、油の重たさを感じにくく、サラッと食べられます。添えられたショウガじょうゆが、これまたあぶらげに合う~! たっぷりのかつお節とともに頬張ると、薬味の風味も加わって、箸がどんどん進みました。
こちらでは、おみやげ用のあぶらげのほか、三角あげやがんもどきなど、さまざまな豆腐製品を購入することもできますよ。
越後栃尾本舗
新潟県長岡市仲子町12-6
0258-52-4121
営業時間/9:00〜17:00
休業日/年中無休

毘沙門堂本舗
大豆を味わう、ずっしりあぶらげ「毘沙門堂本舗」
3軒目にやってきたのは、「毘沙門堂本舗(びしゃもんどうほんぽ)」。
長岡市中心部から国道351号線を通って栃尾方面へ向かうと、まず最初に出合うのがこちらの店舗です。
毘沙門堂本舗が目指しているのは、油の味よりも、大豆そのものの甘みや香り、コクをしっかりと感じられるあぶらげ。そのため、素材はもちろん、あぶらげのもとになる豆腐の作り方にもこだわっています。
中でも興味深かったのが、大豆をすりつぶした後の工程です。
豆腐作りには、すりつぶした大豆を加熱する前に搾る「生搾り」と、先に煮てから搾る「煮搾り」がありますが、毘沙門堂本舗では後者を採用。煮てから搾ることで大豆をしっかりと搾ることができ、豆腐のコクにもつながるのだそうです。
大豆は国産と外国産をブレンドしていますが、産地だけで選んでいるわけではありません。大切にしているのは、自分たちの作り方に合い、目指す仕上がりになること。揚げ油には国産の菜種油を使うなど、素材と製法の両面から「大豆の味がするあぶらげ」を追求しています。
===実食レポート===
【価格】毘沙門セット 600円
【揚げたて】提供あり(10:00~14:00ごろ ※揚げ作業が終わり次第終了)
【店内飲食】可
それでは、揚げたてをいただきます!
一口頬張ると、中はぎっしり。噛みしめると、大豆の味がぐっと広がります。さらに印象的だったのが、そのジューシーさ! 店主の星知弘さんは、この中からあふれる水分を「豆汁」と表現していましたが、食べてみると、まさにその言葉の通り。大豆そのものを味わっているような濃厚さがあります。
そして、あぶらげだけでなく……
セットで付いてきた「おぼろ豆腐」。おすすめ通り、何もつけずに食べてみると、甘~~~い! 大豆そのものに、こんなに甘みがあるんですね。塩を少し振ると、さらに引き立ちました。
ずっしりとしたあぶらげとおぼろ豆腐、どちらからも大豆のおいしさをたっぷり堪能して、お腹も大満足です。
毘沙門堂本舗
新潟県長岡市北荷頃1121-5
0258-53-2825
10:00〜18:00
休業日/水曜定休

まめ工房 ぽっぽ
「はさみ油揚げ」で新しい楽しみ方を! 「まめ工房 ぽっぽ」
4軒目にやってきたのは、「まめ工房 ぽっぽ」。
こちらは2004年にオープンした、栃尾では比較的新しいあぶらげ店です。店主の清水忠明さんは、脱サラをしてあぶらげ作りの世界へ飛び込んだという、ちょっと意外な経歴の持ち主。
そんなぽっぽの名物が、あぶらげの中にさまざまな具材を入れた「はさみ油揚げ」です。めんたいチーズやネギ味噌、桜エビマヨなど、店内には気になる味がたくさん並びます。
誕生したきっかけは、「後発のお店だからこそ、ちょっと変わったものや、若い世代にも手軽に食べてもらえるものを作りたい」という思いから。お客さんからも「1枚でごちそうになる」「子どもが喜んで食べる」と好評で、幅広い世代に親しまれています。
とはいえ、肝心のあぶらげ作りにも妥協はありません。むしろ、同商品を作り始めたことが、あぶらげそのものを見直すきっかけにもなったといいます。
はさみ油揚げを作るには、あぶらげを切り開いて具材を詰めるため、毎日のように中の状態を目にします。すると、水分量などのわずかな違いにも気づきやすくなり、「今日はちょっと違うな」と感じれば、作り方を見直す。そうやって作り続けることで、基本となるあぶらげの改良にもつながっていったのだそうです。
===実食レポート===
【価格】揚げたてあぶらげ (食べられるトレー付き)
イートイン550円/テイクアウト540円
【揚げたて】あり(9:00~15:00ごろ ※揚げ作業が終わり次第終了)
【店内飲食】可
まずは、揚げたてのあぶらげからいただきます! 皮はカリッとしていますが、中はやわらかく、ふんわりとやさしい食感。そして、ぽっぽでは提供の仕方にも遊び心が。
あぶらげがのっているお皿……実は、えびせんでできているんです! もちろん、このお皿も最後まで食べられます。あぶらげを食べた後は、パリパリのえびせんまで楽しめて、なんだか得した気分。個人的には、垂らしたしょうゆがしみた部分が好きでした~。
【価格】めんたいチーズはさみ油揚げ(食べられるトレー付き)
イートイン 927円/テイクアウト910円
そして、これは絶対に食べておきたい、はさみ油揚げの中で一番人気の「めんたいチーズ」。中には、ほんのりピリッとした明太子に、とろとろのチーズがた~っぷり。やわらかなあぶらげとの相性が想像以上に良く、驚きました。
シンプルに食べるあぶらげは鉄板のおいしさですが、具材が挟んであるのもいいですね~! 栃尾のあぶらげの楽しみ方がまた一つ広がりました。
まめ工房 ぽっぽ
新潟県長岡市栃尾大野町4-2400
0258-52-1172
営業時間/9:00~18:00(平日の月曜は~16:00、冬期は~17:30)
休業日/元日、不定休

個性豊かな栃尾のあぶらげ
まずは4店舗を巡りました。
正直、食べ比べる前は「同じ栃尾のあぶらげで、そんなに違いがあるのかな?」と思っていましたが、実際に食べてみると、その違いは思っていた以上!(おいしさもお値段以上)
皮のサクサク感や中身のやわらかさ、大豆の味わいはもちろん、厚みや食べ応えもそれぞれ。さらに、お店を巡って話を聞いてみると、作り方やあぶらげの楽しみ方にも、各店の個性がありました。
栃尾のあぶらげ食べ比べ、残り9店舗。【中編】も引き続き、お腹いっぱい食べながら巡っていきますよ~!
この記事を書いた人
新井まさみ
富山県生まれ、新潟市在住の取材ライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/








































