【中編】こんなに違うの?!「栃尾のあぶらげ(油揚げ)」全13店舗を巡って食べ比べ/長岡市
2026 10.06
長岡市栃尾名物「あぶらげ」は、お店によって驚くほど個性豊か!厚みや食感、揚げ方、食べ方まで異なる味わいを求めて、全13店舗を巡ってきました。中編では5店舗を食べ比べ。
- 新井まさみ

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「栃尾のあぶらげ」を作る全13店舗を巡る、食べ比べの旅。
前編の4店舗に続き、中編ではさらに5店舗へ! 製造現場を見学し、実際にお話を聞き、そして実食するという、あぶらげ三昧な一日。まだまだ知らない一枚に出合うべく、今回も栃尾エリアを奔走しました。
それでは、5軒目へ行ってみましょう!
佐藤豆腐店
あえて搾りすぎない! 独自の食感を生み出す「佐藤豆腐店」
「中編」最初にやってきたのは、栃尾のまちなかにある「佐藤豆腐店(さとうとうふてん)」。昭和初期から続くとされる、歴史あるあぶらげ店です。
工場へおじゃますると、ちょうどあぶらげ作りの真っ最中。話を聞いていくと、同店のあぶらげ作りには、大きく2つの特徴がありました。
一つ目は、豆乳の搾り方です。佐藤豆腐店では、できるだけたくさんの豆乳を取ろうとするのではなく、搾った後のおからにまだ残るくらいで止めています。
取れる豆乳の量が減れば、その分作れる豆腐の数も少なくなりますが、あえて搾りすぎないことが、佐藤豆腐店が目指す味や食感につながっているのだそうです。おからを見せてもらうと、確かにまだしっとりと豆乳が残っていました。
そして二つ目が、揚げ方です。 栃尾のあぶらげは、低温と高温の油で二度揚げするのが基本ですが、こちらでは低温と高温の間にもう一つ「中温」の温度帯を設け、三段階に分けてじっくり揚げています。そのため、使っているフライヤーも特注なのだとか。
===実食レポート===
【価格】揚げたてあぶらげ 350円/青唐辛子みそ付 450円
【揚げたて】提供あり(9:30~ ※揚げ作業が終わり次第終了)
【店内飲食】不可
揚げたてを頬張ってみると、まず皮はカリッ。ところが、そのまま噛み進めていくと、今度はふわっとほどけ、中からぷるっとしたやわらかな生地が現れたではありませんか。
カリッ、ふわっ、ぷるっ。なんだこの食感は……! さらに噛みしめていると、大豆の甘い香りもふわっと鼻へ抜けていきます。
付け合せの「青唐辛子みそ」をのせて食べてみると、ピリッとした辛さがアクセントに。さらに醤油をほんの少し垂らしてみると、味噌のコクに醤油の風味が加わり、あぶらげによく合う~。
シンプルにそのまま食べたり、薬味を合わせたりと、食べ方を変えながらあっという間に完食してしまいました。
佐藤豆腐店
新潟県長岡市金町2-3-11
0258-52-2558
営業時間/9:00~17:00
休業日/不定休

小林総本舗
一晩寝かせて「皮パリ、中ふわ」に!「小林総本舗」
6軒目にやってきたのは、「小林総本舗(こばやしそうほんぽ)」。
こちらは、スーパーなどへの卸売を中心に、一日に約3,000枚のあぶらげを製造するお店です。中でも、新潟県民にはおなじみのスーパー「原信ナルス」で販売されているあぶらげも手掛けています。知らず知らずのうちに小林総本舗のあぶらげを食べていた、という方も多いかもしれませんね。
作っているあぶらげは2種類。外国産大豆のあぶらげのほか、県産大豆100%の肉厚タイプも製造。今回は、この2種類を食べ比べますが、その前に工場内を見学させてもらいました。
同店が目指しているのが、「焼いておいしいあぶらげ」。シンプルに焼いたときにおいしい一枚を作りたいと考え、「皮パリ、中ふわ」という食感を目指して作っているといいます。
そのために行っているのが、あぶらげ専用の豆腐を一晩寝かせること。豆腐ができたら水を切り、そのまま揚げるのではなく、一晩冷蔵庫へ。冷やしている間に表面の水分だけが抜け、中には水分が残ることで、揚げたときには外側のパリッとした食感が際立ち、中にはふんわりとしたやわらかさが残るのだそうです。
また、揚げ油には香り高い「焙煎菜種油」を使用。油の香りと、その後に感じる大豆の味や甘み、その両方を楽しめるように仕上げています。
===実食レポート===
【価格】県産大豆使用 揚げたてとちお油揚げ 500円
【揚げたて】提供あり(9:00~17:00)
【店内飲食】不可
【価格】揚げたて栃尾油揚げ 350円(豆腐付き)
【揚げたて】提供あり(9:00~17:00)
【店内飲食】不可
噛んだ瞬間に印象に残ったのが、やはり皮のパリッと感! しっかりとした歯応えはありますが、決して硬いわけではなく、サクッと歯切れがよくて口の中にも残りません。
そして、県産大豆を使った肉厚なあぶらげは、甘みがより濃く感じられます。通常タイプが厚さ3cmほどなのに対し、こちらは約4cm! 大きな口を開けて頬張り、じっくり噛みしめるほどに、大豆の味わいをしっかり堪能できました。
小林総本舗
新潟県長岡市巻渕3丁目652-3
0258-52-2656
営業時間/8:30~18:00
休業日/1月1日、2日

油屋久助商店
多い日は約1万8,000枚! 全国へ届ける「油屋久助商店」
7軒目に訪れたのは、大きな工場を構える「油屋久助商店(あぶらやきゅうすけしょうてん)」の栃尾工場です。
こちらは小売ではなく卸売が中心で、県内外のスーパーや百貨店などへ商品を出荷しています。その範囲は首都圏や中部、関西を中心に全国へ。栃尾で作られたあぶらげが、各地の店頭へと送り出されています。
そして驚いたのが、その製造量! 多い日には、なんと一日約1万8,000枚ものあぶらげを製造しているのだそうです。工場の中へ入ると、目の前にはあぶらげが次々と作られていく光景が広がっていました。
同店が大切にしているのは、大きさと厚みがあり、中身もしっかりと感じられるあぶらげに仕上げることです。厚みのあるあぶらげは、中まできちんと仕上げるのが難しく、じっくりと揚げていく必要があります。
実際、こちらでは質の高い焙煎菜種油を使い、低温と高温で合わせて1時間ほどかけて揚げているのだそう。たくさん作る工場だからこそ、てっきり効率よく、スピーディーに製造しているのかと思っていましたが、一枚のあぶらげが出来上がるまでには、想像以上に時間がかかってたのですね。
さらに印象に残ったのが、工場の規模が大きくても、その日の大豆や生地の状態を見ながら作っていること。
「大豆は生き物です」と語るのは、代表取締役の久保原昇さん。農産物である大豆は、いつもまったく同じ状態とは限りません。その日の仕上がりを現場で確認し、翌日の製造に活かしているそうです。
大量に作るからといって、すべてが機械任せになるわけではありません。多くのあぶらげを安定して全国へ届けるためにも、人の目と経験が欠かせないんですね。
===実食レポート===
【価格】栃尾油揚げ 希望小売価格 220円
※卸売につき、工場で購入はできません
まず目を引くのは、やっぱりこの大きさ。私が測ったものは、長さ約20cm、幅約9cm。厚さは3.5~4cmほどあり、横から眺めると、ぷっくりとした厚みがよく分かります。
中はほどよく生地が詰まり、実際に食べてみると口当たりはソフト。それでいて中身にはしっかりと存在感があり、食べ応えがあります!
栃尾の工場から、全国各地へ。全国のスーパーなどで誰かが手に取ることによって、この名物を知るきっかけが生まれているかもしれませんね。
油屋久助商店 栃尾工場
新潟県長岡市北荷頃字西荒途56-3
0258-84-7731

佐野豆腐店
やわらかな皮とふんわり食感「佐野豆腐店」
8軒目に訪れたのは、雁木のまちなみが残る栃尾旭町の「佐野豆腐店(さのとうふてん)」です。
創業から約70年。現在は3代目へと受け継がれ、昔ながらの道具を使いながら、家族であぶらげや豆腐を作っています。同店が目指しているのは、皮がやわらかく、中はふんわりとしたあぶらげ。代々受け継いできた味を大切にしています。
一日に作るあぶらげは約400枚。製造は早朝から始まり、8時30分ごろには出来たてのあぶらげが店頭に並びます。
お話を伺うと、あぶらげの仕上がりを左右する大切な工程の一つが、豆乳を固める「にがりの打ち方」なのだとか。
にがりの量は基本的に同じでも、毎回まったく同じように作れば、同じ豆腐に仕上がるわけではありません。その日の豆乳の状態を見ながら、混ぜる強さなどを手の感覚で調整しているのだそうです。毎日作っているからといって、毎日同じように作ればいいわけではないんですね。(深イイ~)
長く受け継いできた味を変えないために、その日の状態に合わせて手を入れる。あぶらげ作りの奥深さを感じました。
===実食レポート===
【価格】揚げたて油揚げ 250円
【揚げたて】提供あり(8:30~14:00ごろ ※揚げ作業が終わり次第終了)
【店内飲食】不可
揚げたてのあぶらげは、食べやすい一口サイズにカットし、しょうゆをかけた状態で出してくれました。
さっそく頬張ってみると、まず感じたのが皮のやわらかさ。中もふんわりとしていて、噛むと皮と中身が一緒になじむような、やさしい口当たりです。特に印象的だったのが皮の口どけで、口の中に残る感じがほとんどありません。
そして、しょうゆとのなじみがいい~! しょうゆをまとったやわらかな皮と、ふんわりとした中身を一緒に噛みしめると、大豆の味わいもしっかりと感じられます。どこかほっとするような素朴なおいしさでした。
佐野豆腐店
新潟県長岡市栃尾旭町4-26
0258-52-3600
営業時間/7:00~18:00
休業日/火曜定休

栃尾豆庵
コロンとかわいい一口サイズ!「栃尾豆庵」
中編最後となる9軒目は、長岡市吉水にある「栃尾豆庵(とちおとうあん)」へ。見附市方面から国道290号線を走っていると、大きな「とちお油揚げ」の看板が見えてきます。こちらが栃尾豆庵へ向かう目印です。
創業は1998年。もともとは栃尾の地場産業である繊維関係の仕事をしていましたが、繊維産業を取り巻く環境が変化する中で事業転換し、栃尾のあぶらげ作りを始めました。
現在は、卸売を中心に一日2万枚強を製造し、全国のスーパーや飲食店などへ出荷しています。工場には大型の機械も導入し、半自動化によって多くのあぶらげを安定して作れる体制を整えているそうです。
同店の最大の特徴が、コロンとしたサイコロ型のあぶらげ! 一般的な栃尾のあぶらげといえば、分厚くて大きな姿を思い浮かべますが、看板商品である「栃尾の一口あぶらげ」は一辺3~4cmほど。手作業で一口サイズにカットしてから揚げていきます。
実はこの形、最初から商品化を目指して作ったものではなかったそうです。
きっかけは、展示会やスーパーでの試食販売。お客さんに食べてもらいやすいよう、通常のあぶらげをいろいろな形に切って試食用として持っていったところ、この一口サイズが好評だったことから商品化につながりました。
しかも、サイコロ型にすることで変わるのは、食べやすさだけではありません。通常の分厚いあぶらげを小さく切って食べる場合、皮になるのは上下の面。一方、一口サイズの状態で揚げれば、全ての表面がこんがりと揚がります。つまり、一口の中で皮を存分に楽しめるあぶらげなんです!
===実食レポート===
【価格】一口揚げ 408円(12個入り、ネギ・かつお節付き)
【揚げたて】提供あり(8:00~11:00)
【店内飲食】可
目の前に現れたのは、コロンとした大きめの一口サイズ。頬張ってみると、カリッと揚がった皮をたっぷり味わえるのが、この形ならでは。小さくても中にはしっかり生地があり、噛むと皮の香ばしさと中のジューシーさが一緒に広がります。
そして、ぜひ一緒に味わってほしいのが、栃尾豆庵のあぶらげに合わせて作られたオリジナルの出汁醤油。完成までに10回以上の試作を重ねたそうで、枯節の削り節を使った、だしの風味をしっかりと感じる味わいに仕上げたのだとか。
この出汁醤油を一口あぶらげへかけて食べてみると、カリッとした皮にじゅわ~っと染み込み、ジューシーさがさらにアップします!
同店では、この一口揚げを電子レンジで温めるだけで食べられる商品も販売しています。包丁もまな板も使わず、食べたいときにサッと栃尾のあぶらげを楽しめるのがうれしいところ。県外のお客さんからも好評なのだそうです。
"大きい"ことが特徴の栃尾のあぶらげを、あえて小さくすることで生まれた新しい楽しみ方。食べ比べを続けてきた中編の最後に、またまた面白い出合いがありました!
栃尾豆庵
新潟県長岡市吉水1631-1
0258-52-9004
営業時間/8:00~16:00
休業日/1月1日

食べ比べはまだまだ続く
中編では、5軒のあぶらげを食べ比べました。
工場で一度にたくさん作られるものもあれば、昔ながらの作り方を大切にしているものもあり、さらに一口サイズに形を変えたものまで。同じ「栃尾のあぶらげ」なのに、作り方も、目指しているおいしさも、本当にさまざまなんですね。
これで巡ったのは全13店舗中9店舗。残すところ、あと4店舗となりました! さて、次はどんなあぶらげに出合えるのでしょうか。
【後編】へ続きます!
この記事を書いた人
新井まさみ
富山県生まれ、新潟市在住の取材ライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/









































