【後編】こんなに違うの?!「栃尾のあぶらげ(油揚げ)」全13店舗を巡って食べ比べ/長岡市
2026 10.07
長岡市栃尾名物「あぶらげ」は、お店によって驚くほど個性豊か!厚みや食感、揚げ方、食べ方まで異なる味わいを求めて、全13店舗を巡ってきました。後編では5店舗を食べ比べ。
- 新井まさみ

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「栃尾のあぶらげ」全13店舗を巡る旅もいよいよラスト!
前編・中編では9店舗を訪ね、それぞれのあぶらげ作りを見ながら、実際に食べ比べてきました。基本的な工程や材料、見た目は似ているのに、食べると分かるその違い。13店舗それぞれの個性を知れば、あなたもきっと「あぶらげ沼」にハマるはず~!
それではさっそく10軒目へ、行ってみましょう。
揚げ正
長岡産大豆100%! 豆の味わいを楽しむ「揚げ正」
後編のはじめ、10軒目に訪れたのは、「道の駅R290とちお」から車で1分の場所にある、「揚げ正(あげまさ)」です。
店主の横山正三さんは、もともと大工職人。栃尾のあぶらげに魅せられ1992年に開業しました。長年、栃尾で親しまれてきた「吾作揚本舗」さんであぶらげ作りを教わり、技術を受け継ぎながら現在まであぶらげを作り続けています。
同店の特徴は、何と言っても長岡産・中村農園の大豆を100%使っていること。素材そのものの味を大切にし、大豆の旨みや甘みを感じられるあぶらげを目指しています。さらに驚いたのがその値段。なんと、持ち帰りなら1枚200円で販売されています。
揚げ正では、家族を中心に少人数であぶらげを製造しており、製造にかかるコストを見直すなど、できるだけ手頃な価格で届けられるよう工夫を重ね、現在の価格を実現しているのだそうです。
あぶらげの製造は早朝から始まり、8:00ごろには全て揚げ終えるとのこと。私が訪れた時間にはすでに作業を終えていたため、工場の中だけ見学させていただきました。
「わざわざ買いに行きたくなるあぶらげを」と、素材や味にこだわり、長岡産大豆のおいしさが味わえる一枚を丁寧に作っています。
===実食レポート===
【価格】揚げたて 300円
【揚げたて】提供あり(7:30~8:00 ※揚げ終わり時間による。揚げ時間以外は、焼いて提供)
【店内飲食】不可。駐車場内にテラス席あり
一口食べて印象に残ったのは、大豆の味の濃さ。噛みしめていくと豆の風味がしっかりと感じられ、シンプルなあぶらげだからこそ、素材そのもののおいしさがよく分かります。
一度食べてリピーターになる人も多いそうですが、この豆の味わいを知ると納得です!
揚げ正
新潟県長岡市栃尾泉2378
0258-53-2522
営業時間/7:00~19:00
休業日/月曜定休 ※大型連休後などに振替休業の場合あり

星長豆腐店
ずっしりなのに、サクッ、シュワッ!「星長豆腐店」
11軒目は、栃尾大野町にある「星長豆腐店(ほしちょうとうふてん)」へ。
星長豆腐店といえば、実は「あぶらげ」よりも先に、私がその名を知ったきっかけは「おぼろ豆腐」でした。
新潟市内のスーパーで見つけると必ず買って帰るほど好きなのですが、あぶらげを食べるのは今回が初めてです。(スーパーではすぐ売り切れてしまう大人気商品なんです)
星長豆腐店のあぶらげは、手に持った瞬間からずっしり。中身がしっかりと詰まった、食べ応えのある仕上がりを目指して作られています。
昔ながらの作り方を受け継いでいますが、同じように作れば毎日同じ仕上がりになるわけではありません。季節が変われば、大豆が水を吸うときの温度なども変化するため、その状態を見ながら作り方を細かく調整しているのだそうです。
お話を聞いた職人さんは、あぶらげ作りに携わって20年近く経つそうですが、それでも毎日、見極めながら作っているといいます。揚げる時間も「何分」と決めているわけではなく、その日の状態を見ながら判断。仕上がりによっては、揚げ時間に5分ほど差が出ることもあるそうです。
一日に作るのは約700枚。大量に作って広く卸すというより、店頭での販売を大切にしながら、県内のローカルスーパーなどにも届けています。
さて、このずっしりとしたあぶらげ。食べてみると、どんな食感なのでしょうか。
===実食レポート===
【価格】油揚げ 260円
【揚げたて】提供なし
断面を見てみると、中までぎっしり! 見た目から「厚揚げのような食感なのかな?」と想像しながら一口食べてみると……お、おお、思っていたのと違う! きめ細かなスポンジのように、小さな空気の層がびっしりと広がっています。
最初に感じるのは、皮の「サクッ」とした歯切れのよさ。そのあと、中のきめ細かな生地が「シュワシュワッ」とほどけていきます。一枚食べるとかなりの満足感があるのに、口の中では重たさを感じさせない。この「サクッ、シュワシュワ」の食感が、なんとも特徴的です!
おぼろ豆腐もファンでしたが、あぶらげも一度食べるとハマってしまいました。
星長豆腐店
新潟県長岡市栃尾大野町1-2-27
0258-52-2292
営業時間/7:00~18:30
休業日/月・火曜定休

丸昌豆腐店
ごま油がほんのり香る「丸昌豆腐店」
12軒目は、栃尾の街なかから少し離れた小貫地区にある「丸昌豆腐店(まるしょうとうふてん)」です。
創業は1956年ごろ。現在の店主・稲田さんのお父さまが始めた店で、もともとは栃尾の街なかで営業していましたが、その後、現在の場所へ移りました。
現在は稲田さんが一人で店を切り盛りし、昔ながらのあぶらげ作りを続けています。豆は自然のものだけに、毎回まったく同じ状態とは限りません。その日の状態を見ながら作り、納得のいく仕上がりにならなかったものは販売しないというこだわりぶり。
お話を伺うと、揚げ油には、菜種油に少量のごま油を加えているのだとか。これまでにない特徴ですね~! これは食べるのが楽しみです。
===実食レポート===
【価格】油揚げ 200円
【揚げたて】提供なし
一口食べると、まず鼻に抜けたのが、ほのかに香ばしい香り。菜種油に加えたごま油の風味が、ふわっと広がります。決して主張が強いわけではないのですが、この香ばしさがいい!
続いて感じたのが、皮のしっかりとした食感。そして中はみっちりと詰まりながらも、ふんわりとしています。噛むほどに香ばしさも重なって、じっくり味わいたくなる一枚でした。
丸昌豆腐店
新潟県長岡市小貫3108-1
0258-52-4326
営業時間/8:00~19:00
休業日/火曜定休

豆撰
「生搾り」で県産大豆のおいしさを引き出す「豆撰」
さあ、いよいよ13軒目! 全店舗食べ比べの最後を飾るのは、栄町にある「豆撰(まめせん)」です。
同店が大切にしているのは、大豆そのもののおいしさ。創業時から新潟県産の大豆にこだわり、現在も大豆の風味や甘みをしっかり感じられるあぶらげを目指して作っています。
そして、こちらのあぶらげ作りで注目したいのが「生搾り」という製法です。
一般的な豆腐作りでは、大豆をすりつぶしたものを加熱してから豆乳とおからに分けますが、生搾りでは加熱する前に豆乳とおからを分離。その後、豆乳を加熱して豆腐へと仕上げていきます。
この方法によって余分な皮などが入りにくくなり、大豆のおいしさを生地に残すことができるのだそう。豆撰では創業時からこの製法を続け、大豆本来の風味や味わいを生かしたあぶらげ作りを大切にしています。
もちろん、最後の揚げの工程も簡単ではありません。厚みのあるあぶらげを中まできれいに仕上げるには、その日の生地の状態を見ながら揚げていく必要があります。素材を選ぶところから、豆の味を引き出す生搾り、そして揚げの見極めまで。ここまで話を聞いたら、もう食べずにはいられません!
===実食レポート===
【価格】揚げたて3種のタレつき 525円(揚げたて1枚 330円)
【揚げたて】提供あり(11:00~14:00)
【店内飲食】可
まず驚いたのは、皮のきめ細かな食感。細かなクリスピー生地のようなサクッとした歯触りがあり、その中には密度のある生地がしっかりと詰まっています。
そして噛みしめるほどに広がってくるのが、大豆の香りと甘み。口の中に豆の味がぐっと広がり、後からじんわりと深みが残ります。「大豆のおいしさを味わう」という豆撰のあぶらげ作りが、食べてみるとよく分かります。
セットになった3種類のタレは、オリジナルブレンドの「塩山椒」、五泉市「すずきや」の「なんばん味噌」、そして豆撰のあぶらげに合わせて作られた「特製出汁醤油」と、どれも選りすぐりのものばかり。あぶらげはもちろん、一緒に味わうものにまでこだわるところに、豆撰らしさを感じました。
豆撰
新潟県長岡市栄町2-8-26
0258-53-2014
営業時間/9:00~17:30
休業日/火曜定休

道の駅R290とちお
あわせて立ち寄りたい「道の駅R290とちお」
全13店舗のあぶらげを食べ終えたところで、最後にもう一カ所ご紹介したいのが「道の駅R290とちお」です。
国道290号沿いにあるこちらは、食事やおみやげ、観光情報などが集まる栃尾観光の拠点。物産販売コーナーには栃尾の特産品がずらりと並び、もちろん名物のあぶらげも販売されています。
今回のように13店舗を一軒ずつ巡るのはなかなか大変ですが、ここなら複数のお店のあぶらげをまとめてチェックできるのもうれしいところ。気になるものを買って帰って、自宅で食べ比べてみるのも楽しそうです。
こちらでは、中編の最初にご紹介した「佐藤豆腐店」が営む、あげたて油揚販売コーナー「揚げ処さとう」も。本店にはない「ねぎ付きあぶらげ」「キムチあぶらげ」もありますよ。
さらに館内で見つけたのが、なんとも栃尾らしい「あぶらげガチャ」!
ここまで13店舗のあぶらげを食べ歩いてきた私としては、これは素通りできるわけがないっ(笑)。さっそく回してみることにしました。何がでるかな~?
さらに、今回は特別に「あぶらげガチャ」の全種類をお借りしました。
それがこちら!
これはなかなかの光景~! どのお店が出てくるかは、回してからのお楽しみ♪ 道の駅であぶらげガチャを回して、出たお店に行ってみるというお客さんもいるそうですよ。
実は「枡忠油揚げ店」は、機械の故障により2026年夏に閉店されました。長年にわたって栃尾のあぶらげを作り続けてきたお店で、現在もキーホルダーにはその姿が残されています。
栃尾を訪れた際には、ぜひ「道の駅R290とちお」にも立ち寄ってみてくださいね。
道の駅R290とちお
新潟県長岡市栃尾宮沢1764
0258-53-2030
営業時間/9:00~17:00
交通アクセス/関越自動車道「長岡IC」より約40分

「栃尾のあぶらげ」は美味しい、面白い、奥深い!
みなさん、13店舗のレポートはいかがでしたか?
今回、実際に食べ比べてみて感じたのは、同じ「栃尾のあぶらげ」でも、こんなにも違いがあるということ。
皮がカリッと軽やかなものもあれば、やわらかいのもあり。中までぎゅっと詰まった食べ応えのあるものもあり。そして、使う大豆や油、揚げ方はもちろん、目指す味や食感、作り続けてきた歴史もそれぞれなんですね。
13店舗を巡り、あぶらげを13枚食べる前人未到の取材……あぶらげが嫌いになってしまうのではないか、と心配していましたが、不思議なぐらい食べても食べても飽きることのないおいしさ! そして、味わえば味わうほど増していくのは、あぶらげ愛でした!!(これ本当)
気になるお店を目指して一軒訪ねるもよし、何軒か巡って食べ比べてみるもよし。ぜひ栃尾へ足を運んで、自分好みの「推しあげ(推しのあぶらげ)」を探してみてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
この記事を書いた人
新井まさみ
富山県生まれ、新潟市在住の取材ライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/









































