カフェ好きには堪らない!雪国文化が息づく『古民家カフェ』の魅力

2018.08.06

雪国の暮らしを垣間見ることができる新潟県の古民家。その力強い梁と造りは、何十年経っても新潟の豪雪地域に住む人々の生活を支え続けています。 

今、その古き良き日本建築を活かした「古民家カフェ」が、カフェ好きの間でブームに。 
古民家とは言っても、長く使われていなかった空き家や蔵をリノベーション(機能転用)した場所なので、内装はきれいに生まれ変わり、宿泊施設やショップを併設しているところも多いのが特徴です。 

今回は、新潟県内でも豪雪地帯と言われている十日町と南魚沼にある古民家カフェを紹介します。日本家屋の良さを残しながらも、現代風にアレンジされたお洒落な古民家カフェへ癒されに行きましょう。

本格的なビストロとしても堪能できる
カールベンクス古民家レストラン『澁い』-SHIBUI-

  • 古民家カフェ「澁い」

北越急行ほくほく線まつだい駅から徒歩5分ほどの商店街。元々宿場町だった町並みから滲み出る趣は、古民家カフェ好きが一目惚れしてしまう風景ではないでしょうか。 

その中でも、ひと際目立つオレンジ色の建物が古民家カフェ「澁い」です。
100年前に営業していた「田村屋旅館」の建物を、ドイツ人の建築デザイナー、カール・ベンクス氏が買い取り、見事に再生。

1階は古民家ならではの梁や柱を活かしたモダンなカフェ&レストラン、2階はすっかり古民家の虜になってしまったカール・ベンクス氏の事務所となっています。
  • 古民家カフェ「澁い」店内

「多くの人に古民家の空気とドイツの風を感じてもらいたい」と話すベンクス氏。

元々あったものをリメイクした家具をはじめ、店内の造作や使われている建材は見事なもの。
ここでできたてのお料理をいただくと、とても贅沢な気持ちになれます。
  • 古民家カフェ「澁い」ランチ

ランチのおすすめは、津南ポークの自家製ベーコンと、地元野菜を使った「キッシュ」が含まれたランチセット(2,500円)。
古民家カフェでありながら「本格派ビストロ」を堪能できます。

ノンアルコールワインならお昼でもディナー気分に!優雅な昼下がりを楽しんでみてはいかがでしょうか。
  • 建築家カール・ベンクス氏

建築デザイナーカール・ベンクス氏
  • コーヒーマイスター

バリスタに入れていただく最高の一杯も魅力的です。
  • アイスコーヒー

抽出に8時間かけている水出しアイスコーヒー。

ディナータイムは完全予約制になるのでご注意を。

【店舗情報】
店名:カールベンクス古民家レストラン 澁い -Shibui-
住所:〒 942-1526 新潟県十日町市松代2074-1 まつだいカールベンクスハウス1F
アクセス:北越急行ほくほく線まつだい駅から徒歩約10分
電話番号:025-594-7944
営業時間:11:00~16:00(15:00ラストオーダー)※夜は予約制
定休日:月曜、他不定休
席数:30席
駐車場:5台。近くに無料の公共駐車場もあり

泊まれる古民家カフェを文化交流の拠点に!山ノ家カフェ&ドミトリー

  • 山ノ家カフェ&ドミトリー

「澁い -Shibui-」から商店街をまつだい駅方面に歩いていくと、もう1軒の古民家カフェ「山ノ家カフェ&ドミトリー」が見えてきます。ここは2階がドミトリー式の小さな宿になっている「泊まれる古民家カフェ」です。

元々は「履物屋さん」だった建物。1階の土間はそのままに、DIYで壁を塗ってカフェ&ドミトリーに生まれ変わりました。店内はアート作品が展示されていて、どことなくギャラリーのような空気が漂います。
実際にアーティストさんが滞在して作品制作や展示を行なったり、音楽のイベントなども開催されているそうです。縁のアーティストのアートブックやCDなども並んでいます。

「家具や建具もできるだけ残して、たとえば、桐たんすの引き出しを抜いてオープン棚として使ってみる等、自分たちなりに元々あった素材を活かした空間づくりをこころがけました。」
  • 店主の池田さん

そう話すのは、アートディレクターとしても活躍する店主の池田さん。
こちらは、東京の清澄白河との二拠点生活をしている空間デザインユニット「gift_lab」が運営しています。

東京都現代美術館や倉庫の跡地を転用したギャラリーなどが点在する清澄白河の空気が、大地の芸術祭のお膝元でもあるここ十日町松代の古い商店街の一隅の空気とシームレスに交わって、アートファンにとっても心地よい空間となっています。

週替わりの定食プレートやスイーツは、「この地で出会った食材と私たちの慣れ親しんだ料理の融合」をコンセプトにしたオリジナルレシピ。使われている食材は、地元の農家さんがつくる折々の旬の野菜や棚田米、松代蕎麦、平飼いで飼われている鶏の卵など、地場の食材を敢えて伝統的な郷土料理の手法ではなく、ヨソモノである料理人がエスニックや創作和食の手法でアレンジしたメニューを提供しています。
  • 「ガパオライス」と「アールグレイティーのパウンドケーキ」

この日のメニューは「地鶏のガパオライス」と「アールグレイとオレンジピールのパウンドケーキ」。地元の焙煎工房のコーヒー豆を丁寧にハンドドリップしたアイスコーヒーを添えて。

出てきた時に思わず笑みがこぼれてしまう彩りが美しいカフェご飯に、気分も上がります。
  • ドミトリー

2階は2部屋10床のドミトリー。ベットルームは男性用と女性用に分けられています。

大地の芸術祭の期間には、国内外からのお客様で満室になることが多いのだそう。
アートや古民家カフェ巡りの拠点にぴったりですね。

【店舗情報】
店名:山ノ家カフェ&ドミトリー
住所:〒942-1526 新潟県十日町市松代3467-5
アクセス:北越急行ほくほく線まつだい駅から徒歩約5分
電話番号:025-595-6770
e-mail:info@yama-no-ie.jp
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※毎月の営業日程はFacebookから確認

≪カフェ≫地場産野菜たっぷりの手作りのごはんや地酒が味わえるコミュニティカフェです。
営業時間:木・金・土・日・月(毎月第一週は休業) 12:00~18:00(ランチは15:00まで)
※18:00以降の夕食は、当日15:00までの予約にて承ります。

≪メニュー≫
・お昼の定食(日替わり) 1,000円〜(コーヒーまたは紅茶付き)
妻有豚のキーマカレー / エビとほうれんそうのキッシュ / ガパオライス など
・スイーツ 500円
花豆のチェー/バナナマフィン/スパイスキャロットケーキ/シナモンショコラケーキ など
・ドリンク 400円~
ハンドドリップコーヒー / ジンジャーソーダ/エチゴビール / どぶろく / 地酒 / ワインなど

≪ドミトリー≫
料金:素泊まり一泊 4,000円(ハイシーズンは4,500円)
朝食 800円 ※前日までに要予約
チェックイン:17:00~21:00
チェックアウト:7:00~10:00
ベッド数:9台
アメニティ:シャンプー/コンディショナー/ボディソープ/歯ブラシ
シャワーブース2室

里山の自然の中で癒される 竹所集落のイエローハウス

  • 星峠の棚田

春先に立ち込める雲海が幻想的な風景を生み出す「星峠の棚田」は、世界的にも有名な絶景スポット。次の古民家カフェは移動手段を車に変えて、「星峠の棚田」方面へ向かいます。
  • イエローハウス

まつだい駅から車で25分ほどの竹所集落を目指していくと、里山のど真ん中におとぎ話に出てきそうな雰囲気の古民家カフェが姿を現します。淡い黄色の外観と広々としたガーデンのその建物は、「イエローハウス」という古民家カフェです。

こちらも「澁い -Shibui-」を手掛けたカール・ベンクス氏が再生した建物だけあって、日本家屋でありながらデザインが西洋風という、なんとも洒落たカフェになっています。

外観のふんわりとした雰囲気とは異なり、立派な梁と和洋折衷なアンティーク、西洋家具と桐箪笥が並べられた店内。オーナーの吉田さんは、普段は東京の会社で働きながら週末にこの家に帰ってくるという二拠点生活を2006年からしているのだそう。
  • イエローハウス室内

カフェを始める前にも「オープンガーデン」と名前をつけて庭先を開放していましたが、2015年から古民家カフェとして正式に運営することになりました。

室内には、手作りのシャンデリアをはじめとする質の良いアンティークの調度品と、豪雪地帯を支える太くて立派な梁。2階から見下ろすと日本家屋と異国情緒が見事に調和している様子が分かります。

築100年以上とは思えない外観の美しさと室内の絶妙な和洋のハーモニーは、一言では言い表せないほどの、なんとも居心地の良い空間を作り出しています。
  • イエローハウス室内イエローくつろぐ

飲み物は、吉田さんがすすめてくれた「ハーブティー」を注文。
「今日のハーブティーはスギナ、つくし、オオバコのブレンドです。夏にはドクダミのハーブティーも飲めるようになりますよ」
  • ハーブティー
  • ハーブティー

このハーブティーを毎日飲んでいるという吉田さんは、身体の調子も整って、日々を健康に過ごせているそうです。
  • ミニトマトカレー

料理のおすすめは「ミニトマトカレー(1,000円)」。
芳醇なルーと魚沼産コシヒカリの相性は抜群!集落内の野菜が使われており、雪国の肥沃な土壌で育てられた地産地消の味を楽しむことができます。

【店舗情報】
店名:イエローハウス
営業日:10月末までの土・日限定
営業時間:11:00~16:00
住所:〒 942-1356 新潟県十日町市竹所5502-2
電話番号:0255-98-2558
道順:カーナビに「竹所生活改善センター」と入力。国道403号線沿い「竹所」と書かれた看板を曲がる。(北越急行ほくほく線まつだい駅から車で約25分)

2018年7月にオープン!6年かけて完成したカフェ 六つ季の家

  • 六つ季の家

最後に紹介するのは南魚沼市にある「六つ季の家」です。
「ありのままの古民家で、雪国の暮らしを感じて欲しい」という想いから始まった古民家カフェ。カフェというよりも「お茶飲み場所」という表現の方がしっくりくるかもしれません。

普段は都内で芸能プロダクションを経営するオーナーが、レッスンや撮影の関係で新潟に通っていたことをキッカケに、六つ季の家がある「辻又集落」に出会いました。上越新幹線「浦佐駅」から車で15分ほどとアクセスが良いこともあって、この集落に空き家を購入。
 
その後、利用方法の構想や改修工事を少しずつ進めて、購入から6年目の2018年7月、遂に古民家カフェ&銅器ギャラリーとしてオープンすることになりました。
  • 百年前の雰囲気を残す空間

「貼られたシールも剥がして欲しくなくて、なるべく綺麗に直さず、安全性に関わる部分だけを改修する。『ありのまま』の雪国の古民家を残していきたくて、施工をしてくれた大工さんとも何回も話をしながら進めました。」という徹底したこだわりで生まれた六つ季の家。
百年前の雰囲気を残すために、内部工事ではほとんど手を加えていません。  

その甲斐あって、古民家カフェでありながら、囲炉裏を囲んでゆったりと時間を過ごすことができる空間になっています。
  • カフェの女将

「地元の人との交流も、この場所から生まれて欲しい」と想いを話すのは、このカフェの女将。
祖父母の神社を継ぐために移住をしてきて、神主さんをしながらカフェの運営もしているのだそうです。
 
古民家には、その場所が積み重ねてきた時間の長さだけ、色々な人達の関わりがあります。だからこそ、人が集まり、交流が生まれる。
 
古民家カフェの持つ雰囲気や料理だけではなく、旅先で起きる「人との出会い」が生まれやすいのも魅力のひとつなのかもしれませんね。
  • コーヒー

地元のバリスタが提供するフレーバーコーヒーもぜひご賞味を。

【店舗情報】
店名:南魚沼百年古民家 六つ季の家
住所:〒949-7319 新潟県南魚沼市市野江丙379番地
アクセス:上越新幹線「浦佐駅」から車で約15分(冬季間のアクセスは要問合せ)
電話番号 : 090-3422-4888
営業日:土・日曜日のみ営業 ※予定

工夫を凝らした古民家カフェの数々、いかがでしたでしょうか。

このエリアには他にも空き家や廃校をリノベーションしたカフェやレストランが点在しているので、ぜひチェックしてみてください。

新潟のお気に入りの古民家カフェが見つかりますように!

※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。お出かけ前に電話などで直接お店にご確認ください。

この記事で紹介した古民家マップ