山間の造り酒屋で酒造見学+試飲+日本酒マイボトル作り体験

2019.10.16

全国有数の酒どころである新潟県を旅するなら、酒造見学は外せません!
新潟と言えば端麗辛口のイメージがありますが、ここ「石塚酒造」の日本酒はもち米を使った「凛麗芳醇」な味わい。
伝統ある山間の造り酒屋で、旨味たっぷりの日本酒飲み比べと、マイボトル作り体験をしてみませんか?

山々に囲まれ、水がきれいな「高柳」という町の恵み

山々に囲まれた、自然豊かな高柳町。
きれいな湧水の恵みを受けて、モリアオガエルやサワガニなど多くの生き物たちが息づく地です。
冬に降り積もる雪は空気中の塵を包み込み、空気をきれいにすると言われています。

「姫の井」の石塚酒造は、そんな高柳の自然の恵みを受けて町と一心同体の酒を造る、小さな酒造です。

石塚酒造の歴史は元禄時代に遡ります。
元々は、庄屋を務めた旧家・村山家の庭園「貞観園」で酒造りをしていました。
苔むす石段の先に、趣深い木造の建物が静かに佇んでいます。

貞観園の隣にはためく「蔵見学」の幟が目印。

山間の小さな町にある蔵で、バスは1時間に1本もありません。
車での来訪がおすすめです。

上越新幹線の越後湯沢・長岡・浦佐からは、それぞれ50分~1時間強。
北越急行の十日町・まつだいからは、25分~30分。
JR越後線・信越本線の柏崎から35分です。

いよいよ酒造の中へ!蔵人の案内で酒造見学

中へ入ると日本酒のボトルがズラリ。
見学後に試飲させてもらえると思うと気分がウキウキしてきます。

蔵人の金澤さんの案内で酒造見学がスタート。

コンセプトである「凛麗芳醇」な日本酒の秘密は「もち米四段仕込み」という伝統製法にありました。
お酒を絞る2-3日前に「もち米」を入れるのが特徴です。
もち米を使うことで、旨味とコクが生まれ、ふくよかな味わいに仕上がります。
今ではこの製法で造る酒蔵はとても少ないのだそう。

手作業で1トンの蒸し米を掘り起こした後は、麹室へ。
温度・湿度を調整し、蔵人がお米や麹の表情を見ながら、麹菌を育てていきます。
大昔は裸で作業をしていた時代もあったとか。

もろみを管理する大きなタンク。造り時期にはお酒のいい香りが広がるそうです。
おもむきのある雰囲気です。

お待ちかねの試飲タイム!5種の日本酒を飲み比べ

金澤さんの説明のおかげで「凛麗芳醇」な味わいへの期待が高まります。
今日、試飲できるのは5種類の日本酒。
大量生産ができない小さな酒造だけに、日常的に酒屋で買うのは難しい希少なお酒たちです。

まずは純米吟醸酒の「姫の井」。
確かに「すっきりなのにふくよか」で「凛麗芳醇」を体現した味!!
さわやかな飲み口ながら、米の旨味が感じられ、ほのかに吟醸香が香ります。
温かみがある白ボトルのイメージにぴったりの味わい。

次は純米酒「もりあお」。
豊かな森にしか生息できないモリアオガエルをモチーフとしたお酒です。
地元のアーティストがデザインしたラベルにもカエルのシルエットがあしらわれています。

口に含むとバナナのような香りが広がり、後味はスキッとした酸味が締めてくれます。
その変化の有様と「麹菌が元気に醸してる感」は生命力のある元気なモリアオガエルのよう。
目指したコンセプトに見事なまでにマッチした仕上がりで、思わず笑ってしまいます。

続いて、純米酒「越後高柳 さわがに」をいただきます。

酒蔵の裏手に流れる小川にサワガニがたくさん棲んでいることから名づけられたこのお酒。
高柳はきれいな水の指標ともいえる生き物が息づき、酒造りに適した湧水の恵みがある地なのです。

今度はなんとメロンの香り!!
これは絶対に野菜や魚介との相性が抜群なはず。
飲み進むほどに好きになってくる、上手な順番で試飲させてくれるのも心憎い演出です。

今度は本醸造酒「高柳」。
四季折々の美しい自然が残る新潟県柏崎市高柳町の魅力をすべて詰め込んだお酒です。
高柳の棚田で育てられた五百万石の米、高柳の湧水、高柳特産の門出和紙を使ったラベルと、とことん高柳産にこだわった地元愛あふれる逸品。

雑味のないスッキリとした綺麗な味。
お燗にするとほのかな旨味がいっそう引き出されそうです。

最後は生原酒「雪眠洞貯蔵 かめぐち酒」。

火入れも割り水もしていない「生原酒」の響きに期待が高まります。
しかも石塚酒造最大の特徴である「もち米四段仕込み」で造られた濃厚旨口。
雪眠洞(雪中貯蔵庫)で寝かせることで、新酒の荒さが取れ熟成されるとのこと。

試飲の最後を飾るにふさわしい芳醇な味わい!!
姫の井の一番人気と言われるのも納得です。
アルコール度数も20%と高めで、飲みすぎ注意の危険なお酒です(笑)。

新幹線で帰ることを考えると持てる瓶の重さにも限界があるため、お土産にどれを買うかは非常に悩むところ。
熟考の末、筆者はこの「雪眠洞貯蔵 かめぐち酒」と「さわがに」にしました。

最後は日本酒マイボトル作り体験!

今回の体験プランがユニークなのは、酒造見学と試飲だけでなく、自分好みのラベルを貼ったオリジナルボトルの日本酒をおみやげに持って帰れる点。
隣の建物に河岸を移して、ラベル制作に入ります。
入口にある巨大な酒ばやし(杉玉)が目印です。

「酒の館」と呼ばれるこの建物、無料休憩所として利用できます。
中は広々としていて、ミニコンサートなどのイベントが開かれることもあるそう。

地酒「越後 高柳」が中に詰められたキレイなブルーのボトルをいただけます。
ここに、各自でオリジナルのラベルを貼りつけていきます。

色鉛筆、カラーペン、のり、はさみ、カッターなど、様々な文房具が用意されています。
色のついた和紙や、子供向けのシールなどもありました。

オリジナルラベルは、その場で絵を描く人が多いとのこと。
酒蔵見学の様子を記念撮影し、それをラベルにしてもOK(予約時に要相談)。

私たちは写真をラベルにしたかったので、事前に金澤さんにデータを送付し、出力したものを用意しておいていただきました。

写真の下に白地のあるものを用意しておいてくれました。
文字を書き入れてもいいし、白地部分を切り落としてもOK。

ぐいのみの下に和紙を挟み、ラッピングをしてオリジナルボトルの完成です!!

こちらは他の方の作品。
和紙に絵を描かれています。

酒造見学の記念にマイボトルをおみやげにできるこのプラン、3月下旬から12月中旬に体験できます。
写真をラベルにしたい方は、予約時に伝えてくださいね。
姫の井 石塚酒造

姫の井 石塚酒造

この記事で体験取材に協力してくれたのは「姫の井 石塚酒造」。酒造見学の後は美味しいお酒を試飲し、オリジナルラベルを貼った地酒のマイボトルをお土産に持ち帰れる充実プラン。旅の記念にぜひどうぞ!!