新潟美食旅 -ガストロノミー

多様な歴史と文化、
豊かな自然に恵まれた新潟県はガストロノミーの宝庫

「美食学」と訳され、料理と文化の関係性を考察することを指す“ガストロノミー”。美味しいだけでなく、口にすることで地域の風土や歴史を感じられることから、成熟しつつある食文化の中で、注目を集めている考え方です。

日本海に面し、山と川に囲まれた新潟県。先人たちは、この自然を生かし、雪と共生しながら、地域に根ざした農水産物の生産に取り組んできました。新潟の食文化は、自然と気候、そして先人たちの知恵と技の調和がもたらした独自のものと言えます。

ガストロノミーを生む風景

  • 雪は新潟の食の源

    新潟県は日本有数の豪雪地域。冬に降る大量の雪は、春になると地層深くにゆっくりと浸透し、清冽な水をもたらします。その水は川に流れ込み、土壌を潤し、日本一おいしい米を育てます。そして日本一の酒蔵数を誇るうまい日本酒を生みだしました。また、ミネラルを含んだ雪解け水は海に流れ込み最良の漁場も作っています。つまり、雪が新潟の食文化を作っているのです。

新潟に雪が多く降る理由

冬にシベリア大陸から北西の季節風が吹きます。それが日本海を渡る時、対馬海流という暖流から蒸発する水分をたっぷり含んで日本まで運ばれます。その後日本列島の陸地に上がり、雲となって山脈にぶつかります。雲が押し上げられ、急速に冷やされることで雪に変わり、新潟の山沿いに3メートルにもなる多くの雪を降らせるのです。

  • 雪国と保存食

    雪の多い地方は半年もの間、雪に閉ざされます。そのため人々は春の山菜が収穫される時期から一年中、冬に食べる保存食づくりを始めるのです。ゼンマイやワラビ、フキは乾燥、ナメコやヒラタケなどのキノコ類やヒメダケは塩漬けに、クルミやムカゴは冷凍して保存します。食物を保存して長い冬を越す工夫が、自然を活かし、自然と共生する独特の食文化を生み出しました。

  • 雪室(ゆきむろ)

    雪室とは雪国に伝わる「天然の冷蔵庫」。冬の間、降り積もった雪を集め、藁などを使って雪を囲い、野菜などを貯蔵して夏まで活用してきました。現在ではその技術を活かし、肉や野菜、お米やコーヒーなども低温で長期間熟成させています。低温長期熟成された食材は旨みを増し、新潟の特産品にもなっています。

  • うまい米と豊富な野菜は
    豊かな大地から生まれる

    新潟は面積が日本5位、耕作面積が日本2位の日本有数の農業地帯。お米は生産量日本一。また、茄子や枝豆の作付け面積も日本一です。砂丘から中山間地、高原まで多様な自然環境を活かし、多種多様な野菜、果物が収穫されます。また、春は山菜、秋はきのこと里山の伝統食材も豊富です。

大河に育まれた肥沃な土地

日本一長い信濃川や阿賀野川などの大河により、上流から運ばれた肥沃な土壌、夏の高温多湿、冬の豪雪がもたらす豊富な水、年間を通じた高い湿度など食物の育成に適した新潟の気候風土は全国有数の農業県を作り上げ、おいしいお米、豊富な野菜、みずみずしい果物などを生み出します。

  • 山菜

    春に獲れる山菜は新潟の春のごちそう。おひたしや天ぷら、サラダなど食で春を感じられます。新潟の山菜はおいしいとの評判です。理由は雪が山菜のアクを取り、おいしくしてくれるから。また、雪や寒さは虫を寄せ付けない環境を生み、山菜はアクで虫を遠ざける必要もないのです。新潟は雪解けが標高の違いにより段階的に進むので、長期間に渡り旬の山菜を食べることができます。

  • 伝統野菜

    気候風土の特長を生かし、昔から栽培され、そこに住む人々の食生活に結びついた伝統野菜、地方野菜が新潟にはあります。十全などのなす、長岡菜、くろさき茶豆、赤かぶ、かぐらなんばんなどは産地の特色を活かして独自のブランドを築き上げています。

  • 海からの恵み

    635㎞の海岸線を有する新潟は、1年を通じて様々な魚が豊富に獲れます。特にブリ、イカ、南蛮海老、ベニズワイガニなどが有名です。たくさんの漁港から水揚げされる新鮮な魚介類は地元新潟はもとより、東京の豊洲市場にも出荷され東京の一流レストランでも利用されるほど質が高いです。

新潟の魚が多種でおいしい理由

新潟は寒流であるリマン海流と暖流である対馬海流が交差する位置にあり、多種多様な魚が獲れます。またミネラルたっぷりの雪解け水や越後平野の広葉樹林帯から流れる滋養豊かな水が海に流れ込んでプランクトンを育み、豊かな漁場を生みます。

  • 両津港魚市場

    海産物資源が豊かな新潟でも四方を海に囲まれた佐渡島は特に漁業が盛んです。春はヤリイカ・タイ・カレイ、夏はマグロ・真イカ・サザエ、秋はマダラ・赤カレイ・ノドグロ・南蛮エビ、冬は寒ブリ・イナダ・ベニズワイガニなどが獲れます。また、カキの養殖も盛んです。

  • 寺泊魚の市場通り

    日本海に面した寺泊漁港の近くに海産物市場が軒を連ねています。イカやホタテ、旬の魚を串刺しにして焼いた名物浜焼きを気軽にほおばったり、食堂で本格的な海鮮の食事も楽しんだりできます。買った海産物はその場で送ることもでき便利。日本海の幸と市場の雰囲気を満喫できる活気あふれるスポットです。

新潟県7つのエリアのガストロノミー

  • 村上・新発田 エリア

    鮭の食文化と
    情緒ある城下町文化

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  • 新潟・阿賀 エリア

    みなとまち文化と料亭
    川に育まれた豊かな土地

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  • 弥彦・燕三条 エリア

    新潟随一のパワースポットと
    ものづくり文化

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  • 長岡・柏崎 エリア

    越後三大花火と
    醸造文化の地

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  • 湯沢・魚沼 エリア

    雪との共存から生まれた
    「雪国文化」とA級グルメ

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  • 妙高・上越・糸魚川 エリア

    謙信公が残した食文化と
    広大なジオの神秘

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  • 佐渡 エリア

    島ならではの歴史・文化、
    そして佐渡金銀山

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新潟ガストロノミーを味わう

新潟ガストロノミーを楽しめるお店

新潟ガストロノミーアワード

「ガストロノミー」とは地域の風土や文化、歴史を表現した料理のことであり、料理を通じてその地域を知ること。
新潟の料理人が、新潟の食材を使い、新潟の風土・歴史・文化・伝統を反映した料理を作る。
旅人がその料理を食べるということは、一皿を通じて新潟を旅することなのです。

新潟ガストロノミーアワードの受賞店はこちら
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新潟ガストロノミー おいしさの裏側を求めて

山海里山に魅せられた生産者と料理人による、地域を表現したストーリーをご紹介。

各ストーリーはこちら

日本酒王国新潟へ

  • 新潟は日本一の酒蔵数を誇る日本酒王国。それはおいしいお酒を生み出す、雪、水、米、そして蔵人の思いと技術があったから。旅先で料理店に入ったら、その料理に合う地酒を聞いてみるのもいいかもしれません。きっと地域のテロワールをたっぷり体現している地酒が料理を一層引き立ててくれることでしょう。

おいしいお酒を生み出す新潟の風土と県人気質

新潟の酒造りは雪を活かした酒造りで、「越後流」とも言われます。雪解け水は大地に浸み込んで軟水となり、淡麗な酒を生み出します。雪は気温を低温にさせ空気を浄化します。日本酒は開放発酵なので麹菌、酵母という二つの生き物をコントロールし、有害な雑菌をシャットアウトするのに冬の雪は大きな役割を果たしているのです。また、厳しい自然環境が育んだ、粘り強いが実直な越後杜氏の技術の賜物でもあることは言うまでもありません。

  • 今代司酒造いまよつかさしゅぞう

    新潟には日本酒の酒蔵を見学できる場所がいくつかあります。この今代司酒造もその一つです。新潟駅から徒歩約15分と歩いていける酒蔵で、お酒づくりはもちろん、新潟や沼垂地域の歴史などを蔵人が丁寧に案内します。酒蔵見学の後はお酒のテイスティングをして、購入することも可能です。(酒蔵見学は要予約)


    新潟県新潟市中央区鏡が岡1-1
    TEL 025-245-0325

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  • ぽんしゅ館ぽんしゅかん

    90近い新潟の全酒蔵の代表銘柄が飲める唎き酒コーナーが人気。500円で5枚の専用コインを購入し、地酒マシンに入れるとお酒を試飲できるので、自分好みのお酒を探すことができます。店内では日本酒だけでなく、お土産も買うことができ、どのお店もJR新幹線駅構内にあるので便利です。


    ぽんしゅ館新潟、ぽんしゅ館 長岡、ぽんしゅ館 越後湯沢

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食体験を支える メイド・イン・ニイガタ

世界で認められた洋食器

燕市は洋食器の町、三条市は刃物の町として、両市とも新潟県有数のモノづくりの町として栄えてきました。燕市の洋食器は全国の生産額の90%以上を占め、世界各国に輸出される一大産地に成長しました。近年ではオープンファクトリーとしてその生産工程を旅行者が間近で見学・体験できる工場もあります。その高い技術と優れたデザインで山崎金属工業のカトラリーはノーベル賞90周年記念晩餐会に採用されたほどです。

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燕三条地場産業振興センター

世界有数の金属加工産地である燕三条地域における新商品・新技術開発及び情報発信の拠点。物産館ではカトラリーをはじめ燕と三条の工業製品を見学・購入することができます。訪問者はスプーン磨きなど様々な体験もできます。

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  • マルナオの箸

    マルナオは80年以上培った木工技術と木に対する知識を駆使して、箸やスプーンなどのハウスウェアを生産しています。その技は、口当たりと挟みやすさを兼ね備えた先端の直径わずか1.5㎜八角形の斬新なデザインの箸を生み出しました。

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  • 玉川堂の鎚起銅器

    燕市では江戸時代に近くの弥彦山から銅が産出され、和釘や銅細工製作が根付いていました。玉川堂は1816年創業以来、銅板を金鎚で成形する鍛金技法を用いた鎚起銅器を、200年以上作り続けてきました。工場では銅器の製作工程が見学可能で、店舗を併設しています。

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ローカルマーケットを歩く

地域のマーケットに立ち寄ると、地域の人々の暮らしや食文化が垣間見えるものです。なじみのある食材もある一方、初めて見る食材も多いはず。新潟ガストロノミーで使われる素顔の食材に出会うかもしれません。旅の合間にのぞいてみましょう。地域の人との触れ合いも楽しめます。

  • 魚を買う

    ピアBandai、寺泊魚の市場通り、マリンドリーム能生など各地に魚市場が点在する新潟県。氷を敷き詰めた売り場には近くの漁港から届けられた、獲れたての新鮮な魚や貝が並びます。買い物はもちろん、魚やイカの浜焼きなど食事もできます。

    新潟の市場情報はこちら
  • 農産物にふれる

    日本有数の農業地域である新潟県には、各地に道の駅など農産物直売所があり、気軽に地野菜を買うことができます。契約している近隣の農家さんから集められた採れたての新鮮な野菜が毎日並ぶので、リピーターも多いです。

  • 果物を楽しむ

    新潟は砂丘から山間の高冷地まで多彩な地形と気温の寒暖差を活用した果物も豊富。いちご、すいか、なし、柿、もも、ぶどうなどブランド品も多数あり、全国にも出荷されます。観光果樹園も各地にあり、果物獲り体験を気軽に楽しめます

    新潟のいちご狩りはこちら 新潟の味覚狩りはこちら

心に残る旅と食と体験

  • 豪農の館と日本庭園

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    北方文化博物館は新潟一の大地主、伊藤文吉の邸宅を改築した博物館。当時の栄華を思い出させる重厚な建物と美しい日本庭園、調度品などが見どころです。日本有数の豪農 伊藤家ではお正月やお祝いの際に餅をつき振る舞う生活習慣があり、一人でついていては終わらないことから開発された三人餅つきを体験することもできます。

    北方文化博物館
    新潟県新潟市江南区沢海2丁目15-25
    TEL 025-385-2001
  • 明治の大商家で愉しむ 新潟古町芸妓の舞

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    日本海側最大の北前船の寄港地として栄え賑わいを見せていた新潟には、いつしか花街が生まれ、訪れる人々を芸でもてなしたのが新潟古町芸妓でした。この「古町芸妓の舞」を日本遺産に認定されたかつての商家のお屋敷「旧齋藤家別邸」などでお食事といっしょにお楽しみいただけます。

    新潟観光コンベンション協会
    新潟県新潟市中央区西堀前通6番町894-1
    TEL 025-223-8181
  • 農家民宿で田舎暮らし体験

    詳しくはこちら

    囲炉裏は雪国にとって暖を取り、料理を作り、濡れた服を干し、食品を乾燥させる暮らしの中心でした。農家民宿「茅屋や」では囲炉裏端でいただく田舎料理を堪能できます。他にも畑や田んぼでの農業体験、山の中での自然観察、雪国体験、田舎の保存食づくり・伝統食文化の体験など各種体験ができます。

    農家民宿 茅屋や(かやや)
    新潟県十日町市新座乙764(三ツ山)
    TEL 025-755-5676
  • えちごトキめきリゾート 雪月花

    詳しくはこちら

    「えちごトキめきリゾート雪月花(せつげっか)」は、上越地方を走るリゾート列車。糸魚川と妙高間の海と山の景色を車窓に見ながら、新鮮な地元の海の幸、山の幸がぎっしり詰まった料理を楽しむことができます。また車両も「all made in NIIGA-TA」を合言葉に製造され、新潟が世界に誇る技術を採用した新潟のモノづくりの粋がこめられています。

    えちごトキめき鉄道
    新潟県上越市東町1番地1
    TEL 025-543-8988