現代的酒造り発祥の酒蔵「お福酒造」へ酒蔵見学/長岡市
2023年12月15日
いいね
2433ビュー
ここから全国の酒蔵へ現代的醸造方法が波及した!「速醸酛」発祥の蔵
こんにちは、酒の心です。
今回はお福酒造、「飲む程に福を招く酒、お福酒造」を訪ねました。
飲めば飲むほど福を招き、幸せになれるような酒がお福酒造の理念です。
一体どんな酒なのでしょうか、気になりますね。
また、お福酒造は現在全国の酒蔵で取り入れられている日本酒の醸造方法「速醸酛」発祥の蔵です。
現代の酒造りの土台となる手法を生み出し、それが全国に波及しているのです。
今回はお福酒造、「飲む程に福を招く酒、お福酒造」を訪ねました。
飲めば飲むほど福を招き、幸せになれるような酒がお福酒造の理念です。
一体どんな酒なのでしょうか、気になりますね。
また、お福酒造は現在全国の酒蔵で取り入れられている日本酒の醸造方法「速醸酛」発祥の蔵です。
現代の酒造りの土台となる手法を生み出し、それが全国に波及しているのです。
今回、いつもお世話になっているお福酒造の坂詰さんより案内していただきました!
お福酒造はもちろんのこと、坂詰さんのファンの日本酒好きも多いお福酒造の顔のような方です、よろしくお願いします!
この記事では、日本酒好きのみならず日本の文化に興味を持つ方に向けた酒蔵見学のレポートをしていきたいと思います。
酒蔵見学は日本酒の醸造工程のみならず、伝統や技術を感じ、最後にはその酒蔵の酒を試飲できる、酒好きにはたまらない最高のコースとなっています。
それではさっそく行ってみましょう!
お福酒造はもちろんのこと、坂詰さんのファンの日本酒好きも多いお福酒造の顔のような方です、よろしくお願いします!
この記事では、日本酒好きのみならず日本の文化に興味を持つ方に向けた酒蔵見学のレポートをしていきたいと思います。
酒蔵見学は日本酒の醸造工程のみならず、伝統や技術を感じ、最後にはその酒蔵の酒を試飲できる、酒好きにはたまらない最高のコースとなっています。
それではさっそく行ってみましょう!
お福酒造を訪問
お福酒造は自然あふれる長岡市の南東部、長岡東山の麓にある横枕という地区にあります。
国道17号線長岡横枕の信号を山側に曲がって100mほど進むと、見えてきました「お福」の文字!
国道17号線長岡横枕の信号を山側に曲がって100mほど進むと、見えてきました「お福」の文字!
速醸酛発祥の蔵、お福正宗醸造元と看板に謳われています。
ワクワクしますね。
角にある比較的新しげな白い建物はお福酒造直売所「福の蔵」。
酒蔵見学が終わったあとに行ってみましょう!
ワクワクしますね。
角にある比較的新しげな白い建物はお福酒造直売所「福の蔵」。
酒蔵見学が終わったあとに行ってみましょう!
敷地内に入るとまず目に飛び込んでくるのは、大きな茅葺き屋根の家屋。
この家屋は宝暦時代(1751~1764)の建物で、代々当主によって受け継がれてきたものだそうです。
2006年には国の登録有形文化財にもなっています。
立派で見惚れてしまいました。
2006年には国の登録有形文化財にもなっています。
立派で見惚れてしまいました。
おっと、さらには酒蔵のシンボルといったらこれ、杉玉もあります。
まんまるな杉玉。
杉玉は「今年も新酒ができましたよ!」という酒蔵からの目印です。
新酒の時季です、酒好きが最も活発になる時季です。笑
まんまるな杉玉。
杉玉は「今年も新酒ができましたよ!」という酒蔵からの目印です。
新酒の時季です、酒好きが最も活発になる時季です。笑
速醸酛とは
前提知識として、酒造りの一般的工程は、
①精米→②洗米・浸漬→③蒸米→④麹造り→⑤酒母造り→⑥もろみ・仕込み→⑦上槽→⑧濾過・火入れ→⑨貯蔵・調合・割水→⑩火入れ・瓶詰めという流れで行われます。
お福酒造発祥の「速醸酛」というのは、上記工程の⑤酒母造りのところで行われる画期的な手法となります。
江戸時代から明治時代まで主に行われてきた酒造りの方法は「生酛造り」という手法です。
この方法は自然の力を活用した、昔ながらの日本酒の造り方。
手間ひまがかかり、取り扱う菌にも高度な技量が必要な造り方です。
品質を一定に保つ安定的な酒造りが難しいというデメリットがありました。
一方で、今回のお福酒造発祥の酒造りの手法は「速醸酛造り」と言います。
酒母(酒のもとのようなもの)に乳酸を加え発酵させる手法で、乳酸の力で酸性を維持することで酵母以外の雑菌の侵食を防ぐことができるようになります。
つまり、速醸酛造りという画期的な手法ができたことで、品質の安定化を成し遂げることができたのです!
日本酒は大きく分けて前述の「生酛造り」と「速醸酛造り」に分類できますが、生酛と書かれていない、つまり現代のほとんどの日本酒はお福酒造発祥の「速醸酛造り」によるものなのです!
この功績により、後年、創業者の岸五郎氏は醸造界初の黄綬褒章を受章しています。
ちなみに写真の書物はお福酒造の蔵から出てきた指南書のような物です。
見るからに歴史がありそうですね。
酒蔵は創業100年以上の企業がほとんどなので、蔵に年代物の資料や当時使われていた物が多くあります。
そういった年代物から当時の様子に思いを馳せるのも酒蔵見学の醍醐味かもしれません。
①精米→②洗米・浸漬→③蒸米→④麹造り→⑤酒母造り→⑥もろみ・仕込み→⑦上槽→⑧濾過・火入れ→⑨貯蔵・調合・割水→⑩火入れ・瓶詰めという流れで行われます。
お福酒造発祥の「速醸酛」というのは、上記工程の⑤酒母造りのところで行われる画期的な手法となります。
江戸時代から明治時代まで主に行われてきた酒造りの方法は「生酛造り」という手法です。
この方法は自然の力を活用した、昔ながらの日本酒の造り方。
手間ひまがかかり、取り扱う菌にも高度な技量が必要な造り方です。
品質を一定に保つ安定的な酒造りが難しいというデメリットがありました。
一方で、今回のお福酒造発祥の酒造りの手法は「速醸酛造り」と言います。
酒母(酒のもとのようなもの)に乳酸を加え発酵させる手法で、乳酸の力で酸性を維持することで酵母以外の雑菌の侵食を防ぐことができるようになります。
つまり、速醸酛造りという画期的な手法ができたことで、品質の安定化を成し遂げることができたのです!
日本酒は大きく分けて前述の「生酛造り」と「速醸酛造り」に分類できますが、生酛と書かれていない、つまり現代のほとんどの日本酒はお福酒造発祥の「速醸酛造り」によるものなのです!
この功績により、後年、創業者の岸五郎氏は醸造界初の黄綬褒章を受章しています。
ちなみに写真の書物はお福酒造の蔵から出てきた指南書のような物です。
見るからに歴史がありそうですね。
酒蔵は創業100年以上の企業がほとんどなので、蔵に年代物の資料や当時使われていた物が多くあります。
そういった年代物から当時の様子に思いを馳せるのも酒蔵見学の醍醐味かもしれません。
お福酒造の蔵の中に潜入!
さて、いよいよお福酒造の酒蔵内へと潜入開始です!
まず訪れたのは蒸米機の区画です。
工程③蒸米とは、その名の通り酒米を蒸す工程です。
ポイントは「炊く」のではなく、高温の蒸気で「蒸す」のです。
そうすることで外側は硬めで、内側が軟らかめな日本酒造りに最適な蒸米ができあがります。
蒸米は、麹米と掛米・酒母造りなど様々な工程へと移り使用されるので、この蒸米での米の出来具合によって酒質が大きく左右されます。
大きな蒸米機で蒸し、出来上がった蒸米はエアーシューターで次の工程へと送られます。
工程③蒸米とは、その名の通り酒米を蒸す工程です。
ポイントは「炊く」のではなく、高温の蒸気で「蒸す」のです。
そうすることで外側は硬めで、内側が軟らかめな日本酒造りに最適な蒸米ができあがります。
蒸米は、麹米と掛米・酒母造りなど様々な工程へと移り使用されるので、この蒸米での米の出来具合によって酒質が大きく左右されます。
大きな蒸米機で蒸し、出来上がった蒸米はエアーシューターで次の工程へと送られます。
次に訪れたのは④製麹の工程です。
製麹とは蒸米に麹菌を繁殖させて、麹米を造る工程です。
麹米は、麹菌から発せられる酵素によって酒米のデンプンを糖化(ブドウ糖)させる役割を担っています。
このブドウ糖を酵母が食べることで、アルコール醸造がなされるという仕組みになっています。
製麹とは蒸米に麹菌を繁殖させて、麹米を造る工程です。
麹米は、麹菌から発せられる酵素によって酒米のデンプンを糖化(ブドウ糖)させる役割を担っています。
このブドウ糖を酵母が食べることで、アルコール醸造がなされるという仕組みになっています。
次に訪れたのは⑤酒母室です。
まさに速醸酛造りが行われる現場です!
酒母室はひんやりとしていて、酒のいい香りが充満している区画です。
この部屋で造られた酒母が日本酒造りの素のような役割を果たすのです。
まさに速醸酛造りが行われる現場です!
酒母室はひんやりとしていて、酒のいい香りが充満している区画です。
この部屋で造られた酒母が日本酒造りの素のような役割を果たすのです。
次は⑥もろみ・仕込みの段階です。
これまでの段階で準備してきた仕込み材料を合わせながら、いよいよこのタンク内で仕込みながら発酵させていきます。
これまでの段階で準備してきた仕込み材料を合わせながら、いよいよこのタンク内で仕込みながら発酵させていきます。
ここは仕込みタンクの上部になっていて、タンク内の様子がうかがえます。
タンク内ではプクプクと泡が発生して発酵が進んでいるのがわかります。
個人的には酒蔵見学内で「日本酒は目に見えない小さな微生物が一生懸命働いて造ってくれるんだなぁ」と感じることができるので、このタンク内のプクプクとした発酵を見るのが一番好きな場面です。
タンク内ではプクプクと泡が発生して発酵が進んでいるのがわかります。
個人的には酒蔵見学内で「日本酒は目に見えない小さな微生物が一生懸命働いて造ってくれるんだなぁ」と感じることができるので、このタンク内のプクプクとした発酵を見るのが一番好きな場面です。
仕込みの管理表もあり、毎日室温や湿度、仕込みの具合が記されています。
生産現場ならではの光景で、こういった細かい物まで新鮮に感じられます。
生産現場ならではの光景で、こういった細かい物まで新鮮に感じられます。
タンクの下に来ました。
大きなタンクが並んでいます。
最近はサーマルタンク(冷却装置付きタンク)が一般的で、酒質と保存状態の向上に大きく貢献しています。
大きなタンクが並んでいます。
最近はサーマルタンク(冷却装置付きタンク)が一般的で、酒質と保存状態の向上に大きく貢献しています。
次の段階は⑦上槽です。
タンクでの発酵の終わったもろみを清酒と粕に分離する操作を上槽といいます。
20日ほどかけて発酵を終えたもろみは、この圧搾機で搾られ、酒と酒粕に分けられます。
この搾られた板についたものを剥がした酒粕がスーパーで売られているものです。
タンクでの発酵の終わったもろみを清酒と粕に分離する操作を上槽といいます。
20日ほどかけて発酵を終えたもろみは、この圧搾機で搾られ、酒と酒粕に分けられます。
この搾られた板についたものを剥がした酒粕がスーパーで売られているものです。
搾られた日本酒はその後、濾過や火入れ、ビン詰めの工程を経て、ラベルが貼られて出荷されていきます。
直売所「福の蔵」へゴー!
そして酒蔵見学が終わったあとは、お楽しみの直売所へ!
お福酒造の酒がズラリと並んでいます。
お福酒造ひとつの蔵だけでもこんなにも銘柄数が多いんだ、と改めて幅広いなぁと実感。
お福酒造ひとつの蔵だけでもこんなにも銘柄数が多いんだ、と改めて幅広いなぁと実感。
その中でもこの直売所でしか飲めない、買えない酒はこれです!
「大吟醸 直詰原酒」
香り高く米の旨みがギュッと感じられる重厚感がある味わいで感動モノでした。
貯蔵タンクから直詰めされているので新鮮さもバツグンで、その場で量り売りというところが直売所ならではです!
「大吟醸 直詰原酒」
香り高く米の旨みがギュッと感じられる重厚感がある味わいで感動モノでした。
貯蔵タンクから直詰めされているので新鮮さもバツグンで、その場で量り売りというところが直売所ならではです!
こんな甕も置いてありました。
明治~大正時代にかけての容器だそうです。
酒蔵は歴史が長いので、こういった年代物もたくさんあります。
酒蔵の奥で眠っていたそうです。
明治~大正時代にかけての容器だそうです。
酒蔵は歴史が長いので、こういった年代物もたくさんあります。
酒蔵の奥で眠っていたそうです。
こちらは通い徳利。
通い徳利とは、酒屋が小売用として貸し出した陶磁製の徳利です。
江戸時代から酒を日常的に楽しむようになり、造り酒屋から出荷された酒が問屋を通じて各酒店に送られ、それを個人が通い徳利を持って買いに行くという文化がありました。
サイズは1升(1800ml)が一般的だったそうです。
酒屋が徳利を貸し出し、それにお客の欲しい量を詰めて販売。
貸し出し主である酒屋の屋号や商標などが書かれています。
こういったものから日本の昔の文化に思いを馳せて飲むと、また一段と酒がうまく感じます。
通い徳利とは、酒屋が小売用として貸し出した陶磁製の徳利です。
江戸時代から酒を日常的に楽しむようになり、造り酒屋から出荷された酒が問屋を通じて各酒店に送られ、それを個人が通い徳利を持って買いに行くという文化がありました。
サイズは1升(1800ml)が一般的だったそうです。
酒屋が徳利を貸し出し、それにお客の欲しい量を詰めて販売。
貸し出し主である酒屋の屋号や商標などが書かれています。
こういったものから日本の昔の文化に思いを馳せて飲むと、また一段と酒がうまく感じます。
山古志産の米を贅沢に使用した、旨みがのった酒
お福酒造の酒をいただきました!
新酒のにごり酒をいただきました!
開栓するとふわっとヨーグルトのような醪(もろみ)の香りが立ち上がります。
口に含むと甘酒のような甘口なのかと思いきや、にごりのまろやかーな味わいがあり、後味は初口とは裏腹にスーッと切れていきます。
にごり酒はこの時季しか味わえない特別なものですね。
日本酒にはその季節ごとの味わいがあります。
冬には新酒、しぼりたて、にごり酒
春にはすこし落ち着いた花見酒
夏はキリリとした爽快な夏酒
秋にはまろやかな熟成感があるひやおろし
四季のそれぞれに味わいを変えるのは、世界中の酒類を見渡しても日本酒だけです。
新酒のにごり酒をいただきました!
開栓するとふわっとヨーグルトのような醪(もろみ)の香りが立ち上がります。
口に含むと甘酒のような甘口なのかと思いきや、にごりのまろやかーな味わいがあり、後味は初口とは裏腹にスーッと切れていきます。
にごり酒はこの時季しか味わえない特別なものですね。
日本酒にはその季節ごとの味わいがあります。
冬には新酒、しぼりたて、にごり酒
春にはすこし落ち着いた花見酒
夏はキリリとした爽快な夏酒
秋にはまろやかな熟成感があるひやおろし
四季のそれぞれに味わいを変えるのは、世界中の酒類を見渡しても日本酒だけです。
お次はその名の如く、とろっと甘いデザートサケ!
私の妻が大好きでお気に入りの1本です。
ヨーグルトに日本酒を混ぜ合わせたこのリキュールは、ひんやりと心地よいヨーグルトの甘酸っぱさの中に日本酒の米のコクが溶け出したなめらかなくちあたり。
以前は別の牛乳ヨーグルトを使用していたのですが、今年リニューアル!
新たに地元見附市諏訪乳業のスワヨーグルトを使用しています。
この秘密のレシピは坂詰さんが自ら調合していて、何度も試行錯誤を重ねたとのこと。
私の妻が大好きでお気に入りの1本です。
ヨーグルトに日本酒を混ぜ合わせたこのリキュールは、ひんやりと心地よいヨーグルトの甘酸っぱさの中に日本酒の米のコクが溶け出したなめらかなくちあたり。
以前は別の牛乳ヨーグルトを使用していたのですが、今年リニューアル!
新たに地元見附市諏訪乳業のスワヨーグルトを使用しています。
この秘密のレシピは坂詰さんが自ら調合していて、何度も試行錯誤を重ねたとのこと。
お福酒造の酒蔵見学を終えて
今回は速醸酛発祥の蔵、お福酒造を紹介しました。
速醸酛研究により開発した創業者の醸造技術への飽くなき探求心が感じられる酒蔵見学となりました。
お福酒造の酒はどれも米を贅沢に使用した旨みがのった味わい。
そしてその酒米は、すぐ近くの山古志地区で契約栽培された酒米各種を使用しています。
地元の米で酒造りを行っているので、山古志地区ならではの自然味あふれる味わいが感じられるんですね。
新潟県にはまだまだおもしろい酒蔵がたくさんあります。
次はどこへ行こうか、、、
ご覧いただきありがとうございます。ではまた!
速醸酛研究により開発した創業者の醸造技術への飽くなき探求心が感じられる酒蔵見学となりました。
お福酒造の酒はどれも米を贅沢に使用した旨みがのった味わい。
そしてその酒米は、すぐ近くの山古志地区で契約栽培された酒米各種を使用しています。
地元の米で酒造りを行っているので、山古志地区ならではの自然味あふれる味わいが感じられるんですね。
新潟県にはまだまだおもしろい酒蔵がたくさんあります。
次はどこへ行こうか、、、
ご覧いただきありがとうございます。ではまた!
福の蔵 お福酒造直売所
■住所:新潟県長岡市横枕町606番地
■営業時間:平日10時〜17時(12時〜13時除く)
■電話:0258-22-0086
この記事を書いた人
【年間400種類以上試飲している唎酒師が唸るうまい酒を紹介】
EC酒店「酒の心」代表+1児1歳の父 日本酒を通じて新潟の魅力を発信していきます! 子どもがおおはしゃぎする子育て世代へのおすすめスポットも紹介していきます。
■酒の心HP:https://sakenokokoro.com/