「つがわ狐の嫁入り行列」に狐の花嫁として参加してみた/阿賀町


2023年12月18日 859ビュー
こんにちは!ライターの竹内ありすです。

昔話や伝説でおなじみの動物、。今でも狐にまつわる言い伝えは残り、日本の各地で狐をモチーフにした行事や祭りが開催されています。
新潟県にも、阿賀町津川の「つがわ狐の嫁入り行列」という奇祭が!

10月8日、4年ぶりに開催された今年の「つがわ狐の嫁入り行列」に、私は「狐の花嫁」として参加してきました。

今回は、4万3,000人が阿賀町津川を訪れ幻想的な世界を味わったひとときをリポートします!

「つがわ狐の嫁入り行列」とは?例年と異なる点も

福島県との県境に位置する、新潟県阿賀町津川地域。
ここで毎年5月3日に開催されるのが、「つがわ狐の嫁入り行列」です。狐の姿に扮した人々が、江戸時代の花嫁行列を再現します。
「つがわ狐の嫁入り行列」のもとになったのは、阿賀町津川に古くから伝わっていた「狐火伝説」。
町のシンボルである麒麟山には、かつて夜になると無数の「狐火」が現れていたそうです。時代が進むにつれて火は見られなくなってしまいましたが、津川では地域をアピールするべく「つがわ狐の嫁入り行列」のイベントを平成2年から開催するようになりました。

阿賀町津川に伝わる狐火伝説や例年の「つがわ狐の嫁入り行列」については、以前に書いた記事がありますのでぜひあわせてお楽しみくださいね!
さて、2020年から2022年までの3年間はコロナ禍により中止となっていた「つがわ狐の嫁入り行列」ですが、今年は4年ぶりに開催されることに!

例年は5月3日のゴールデンウィーク期間に行われていましたが、久しぶりとなる今年は準備スケジュールなどの都合により10月8日に開催されました。

嫁入りを行う花嫁と花婿は、例年の開催日である5月3日に阿賀町津川での「公開オーディション」を経て選ばれました。

また、開催時期の変更にともない、例年のプログラムとは花嫁と花婿が出会う場所やクライマックスの演出などが異なるという点も。

ここからは「狐の花嫁」目線で「つがわ狐の嫁入り行列」当日を振り返ります!

花嫁「旅立ちの儀」

10月8日、「つがわ狐の嫁入り行列」当日を迎えました。

津川小学校にて行列参加者のみなさんとともに着替えやメイクを行い、出発のときが。

出発直前には狐に化身した総勢105名の行列参加者のみなさんや行列スタッフ、阿賀町役場の方々と集合するセレモニーがありました。「楽しみましょう!よろしくお願いします!」とご挨拶すると、「いよいよだな」と気持ちが引き締まりました。そして、行列に加わらない夫の花婿狐に「またね〜」と告げて出発です。
津川小学校すぐそばには、津川を見守ってきた住吉神社があります。そこで行われるのが、花嫁「旅立ちの儀」。

15:00、住吉神社にはすでにたくさんのお客さんの姿が!
私は出発に際しての挨拶スピーチが控えていて緊張していたため、境内を進んでいくと頭が真っ白になり、「次はどこを向くんだったかな」としばし迷ってしまいました。
しかし、見に来てくれた家族や友人の姿を見つけたら気持ちも和みました。

花嫁「旅立ちの儀」では安全に行列が進められるようにお祓いを受け、提灯のあかりが灯されました。

そのあとには、写真撮影の時間も。
ここであらためてたくさんの方が来てくださったことを実感して、あたたかい気持ちになりました。「おめでとう!」「こっちに笑顔ください!」と声をかけていただいて嬉しかったです。

津川の町なかを歩く

行列の途中に加わり、住吉神社を出発です。行列は、津川の商店街があるメインストリートを進んでいきます。
(写真提供:つがわ狐の嫁入り行列実行委員会)
(写真提供:つがわ狐の嫁入り行列実行委員会)

雁木が連なった趣ぶかいメインストリートにも、たくさんのお客さんの姿が!
 
愛犬の足を持って手を振ってくれる方や狐メイクをしている方、狐のポーズで笑顔を向けてくれる方も。
歩くスピードがゆっくりめだったので、見に来てくださった方一人一人の顔を見ることができました。

実はこのあたりから、普段かぶり慣れないカツラ姿で張り切って頭を振りすぎたせいか、頭が痛くなってきてしまいました。
しかし、「長時間だけど頑張って!」と声をかけてくださるお客さんの姿に何度も励まされたものです。

そして行列は商店街の角を大きく曲がります……

「出会いの儀」

津川の町なかを進む行列の動きが、下越酒造の前で止まります。ここで、花嫁と花婿が出会うのです。

実はここが例年と異なるポイント!
例年はここで花嫁と「仲人狐」が出会うのですが、今年は花婿が早めの登場となりました。

夫の花婿狐の顔を見てなんだかホッとしました。
「出会いの儀」では、地元の保育園に通う子どもたちが扮する子狐たちによる「子狐の祝い踊り」が披露されました。狐のメイクや耳飾りはもちろん、大きな白いしっぽをつけた子狐たちが一生懸命に踊る姿がとってもかわいくて、癒されます!
「特大油揚げの贈呈」など、ほっこりする演出も。

再び行列が出発する前には化粧直しの時間があり、私はカツラをとってちょっとリフレッシュすることもできました。

麒麟山公園を目指して

ここからは花嫁と花婿が揃って行列に加わり、披露宴会場となる麒麟山公園を目指します。

道中、私が今回「つがわ狐の嫁入り行列」に参加する一番のきっかけとなった祖父の姿も沿道にありました。
歩みを進めるほどに、あたりはどんどん暗くなっていきます。行列の提灯のあかりが暗闇に柔らかく発光し、カメラのフラッシュに照らされる狐たちの表情も幻想的なものに。
昼間は暑いとさえ感じるような陽気でしたが、太陽が沈んだあとは秋の深まりを確かに感じる気候でした。
途中でもう一度化粧直しの時間がありました。ヘアメイクさんが口に入れてくださったりんごの飴玉の味にホッとして、「よし、披露宴に臨もう」と一息入れる良い時間になったことが忘れられません。

川辺の麒麟山公園で披露宴

ゴールとなる麒麟山公園はすぐそこ!

例年は「城山橋」で花嫁と花婿が出会い、披露宴のあとに渡し舟に乗って川を渡り、麒麟山の向こう岸でフィナーレを迎えます。しかし今年は「城山橋」は渡らずに、花嫁と花婿は揃って川辺の坂道を慎重に下り、麒麟山公園へと向かいます。

麒麟山公園に設けられた披露宴会場にも、たくさんのお客さんの姿がありました。
披露宴会場のステージに上がって椅子に座ると、強い照明越しに見えるお客さんたちのシルエットがまた幻想的。あらためて、たくさんの人々と同じ時間を共有していることに感動していました。

披露宴を進行するのは、役者でボーカリストのむとう寛さん扮する長老ぎつね。ユーモアたっぷりに進めてくださり、滞りなくお祝いしていただきました。
ステージを後にし、私たち花嫁花婿は煙の中狐火となって麒麟山へと消えていったのでした……

「つがわ狐の嫁入り行列」を振り返って

「訪れた4万3千人(主催者調べ)は時代絵巻に酔いしれた。」

……翌朝スマホで目にしたニュース記事で「つがわ狐の嫁入り行列」に大変多くの方が訪れていたことを知りました。写真を見返し、「ああ、昨日無事に終えられたんだ」とあらためてほっとしたひとときです。
今回私が「つがわ狐の嫁入り行列」に参加しようと考えたのは、津川出身の祖父の存在がありました。

祖父に連れられて幼い頃から毎年津川を訪れ、町中に狐のオブジェや「嫁入り行列」のポスターが飾ってあるのを目にするたび、「狐の嫁入り行列」は町の人に愛されていて、みんなで一丸となって作り上げる特別な行事なんだなぁと憧れていました。

私は花嫁・花婿を決定するオーディションの時から一貫して「幼いときから毎年訪れ、美しい思い出をたくさんくれた津川に感謝の気持ちを込め、大切に歩きたい」という思いを持っていました。

当日は行列でゆっくりと歩みを進めながら、沿道のお客さん一人一人の目を見て心を交わすことで、その思いを叶えることができたと思います。

オーディションから当日まで、今まで以上に阿賀町を訪れる機会も増えました。もとは祖父のふるさとですが、私にとってもすっかり「心のふるさと」になり、今まで以上に阿賀町が好きになりました。

「つがわ狐の嫁入り行列」、これからもずっとずっと長く続いていってほしいです。

4年ぶりの開催であり、例年とは開催時期が異なった今年は少しイレギュラーなプログラムで楽しんだ「つがわ狐の嫁入り行列」。来年はどんなふうに開催されるのでしょうか。

楽しみに、これからも見守っていきたいと思います。

最後にはなりますが、「つがわ狐の嫁入り行列」にお越しくださったみなさま、この参加リポートを読んでくださった読者のみなさま、ありがとうございました!

また、今年の「つがわ狐の嫁入り行列」の様子は、YouTubeでも配信されていました。現在もアーカイブ映像を観ることができますので、よかったらぜひご覧ください。
 

第31回つがわ狐の嫁入り行列 開催情報

日程:2023年10月8日(日)
時間:15時〜19時
会場:阿賀町津川 住吉神社~麒麟山公園

お問い合わせ先:
0254-92-4766
(つがわ狐の嫁入り行列実行委員会事務局 阿賀町まちづくり観光課 観光商工係)

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この記事を書いた人
竹内ありす

1995年新潟市生まれ。放送局での番組制作を経て、フリーランスのライター・ディレクターへ。 昭和歌謡と喫茶店、新潟の日本酒が大好き!もの・こと・人にまつわる、魅力あるストーリーをお伝えします。
Twitter→ https://twitter.com/atelier_aliswan