大漢和辞典を編さんした諸橋轍次を訪ねて「諸橋轍次記念館」と「道の駅漢学の里しただ」へ/三条市


2024年08月06日 915ビュー
辞書を作るドラマにはまり、先日は「大日本地名辞書」を1人で編さんした吉田東伍の博物館を訪ねた小柴ぱせりですが、新潟県にはもう1人、「大漢和辞典」を編さんした諸橋轍次がいます。
 
あなたは漢字が好きですか?
 
諸橋轍次は1883年新潟県南蒲原郡四ツ沢村(現在の三条市庭月)で、私塾を開き訓導様と呼ばれていた教育者の次男として生まれます。
幼い頃は、伝統的な中国の初学者用の学習書「三字経」を習い、母の読む西遊記を聞き、中国の景色にも似た故郷の風景である八木ヶ鼻を見ながら中国に思いを馳せ、漢学を勉強していました。
やがて嘉納治五郎、犬養毅、岩崎小彌太、渋沢栄一などそうそうたる面々と人脈を築き、5万字というものすごい数の漢字の辞典「大漢和辞典」全13巻を編さんした人です。
 
そんな諸橋轍次の功績を見ることができるのが、ここ「諸橋轍次記念館」です!

諸橋轍次記念館

エントランスホールは天井高く、左右に諸橋轍次の書籍と書、正面には銅像と水墨画が迎えてくれます。日中国交正常化40周年を記念して、中華人民共和国駐新潟総領事館から寄贈された水墨画です。
正面の左手に展示室有料ゾーンの入口があります。
1904年 新潟師範学校を卒業
1910年 東京高等師範学校を卒業して教師になる
1919年 いろいろな人の援助もあり2年間の中国留学
1921年 三菱財閥の岩崎小彌太から静嘉堂文庫長を頼まれる
1928年 大修館書店から漢和辞典の編さんをもちかけられ約定
1943年 「大漢和辞典」第1巻刊行
1945年 東京大空襲により「大漢和辞典」全巻の印刷用組版と資料を焼失
1960年 「大漢和辞典」全13巻完結。このとき諸橋轍次78歳
生涯さまざまな著書を残し「三聖会談」を執筆後、1982年99歳6ヶ月で老衰のため永眠しました。
1982年といえば、私10歳です。・・・そこ計算しないでください!笑

学校では将棋が好きすぎて勉強をしろと怒られ、成績は良かったけれど音楽が苦手だったとか、学芸員さんの裏話の方に興味をそそられます。
漢学を勉強していましたが、中国の文献を読んでいると漢字を和訳するのが不便で、漢和辞典の必要性を感じていたらしいです。
歳月をかけ完成させた「大漢和辞典」、親字数5万余、熟語数52万余。博士の死後2000年には補巻、修訂版、語彙索引を含めた全15巻が刊行しました。
じゃーん。このパネルは大漢和辞典掲載の親字数5万字がすべて表示されています。現在使っている常用漢字は2,000に満たないので、すごい数の見たことのない漢字が並んでいます!
漢字好きな人はぜひ見てね。

諸橋轍次の功績もさることながら、宮内省御用掛をつとめ昭和天皇に「論語」を講義し、親王らの命名にもかかわり、静嘉堂文庫長を委嘱された彼の人脈がすごすぎます。
個人的に感動したのは銀製ボンボンの展示ですよ!
皇室の慶事の記念として関係者に配られる記念品として、ボンボニエールと称され、美術番組などでは見たことがありましたが、本物がありました。
ボンボニエールとは、フランス語でボンボン(キャンディーなどの砂糖菓子)を入れる菓子器のことです。ヨーロッパでは誕生祝い結婚式などのお祝いの場に砂糖菓子が添えられることがあり、手のひらに乗るほどの小箱が利用されました。
これは昭和天皇ご成婚記念のものですね。

年に1度は下田に帰ってきて、この地に埋葬して欲しいと願っていたほど好きだった故郷。
記念館の庭の奥に、「生家」と移築された辞典編さん所「遠人村舎」が展示されています。

生家

遠人村舎

「諸橋轍次博士ものがたり」という絵本も刊行されています。
絵本は、三条市立図書館 漢学の里分室(諸橋轍次記念館)、三条市立図書館 本館(まちやま)、その他三条市立図書館分館・分室でも借りることができます。
ぜひ記念館へ足を運び、諸橋轍次を訪ねてみてください。
漢学の里 諸橋轍次記念館

漢学の里 諸橋轍次記念館

住所:〒955-0131 新潟県三条市庭月434−1 
TEL:0256-47-2208
E-mail:kangaku@city.sanjo.niigata.jp

【施設の利用案内】
[記念館]
1階/展示室・多目的ホール 9:00~17:00(入館は16:30まで)
2階/研修室・和室 9:00~17:00(予約・行事がない場合は、原則立入禁止)
[生家] 9:00~16:30
[遠人村舎] 9:00~16:30

休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)

【展示室入館料】 一般500円/ 学生無料
※学生とは学校教育法が定める学校に在籍している方です。
※展示室の見学は、入館券が必要となります。受付にてお買い求めください。
※エントランスホール・生家・遠人村舎は無料で見学できます。
※各種入館料割引あり

【貸室利用料】1時間単位
研修室1,400円/和室300円/多目的ホール700円

駐車場あり

さて、諸橋轍次記念館の向かい側には、道の駅 漢学の里しただがあります!
農産物直売所彩遊記農家レストラン悟空は、諸橋轍次になぞらえて名づけられたもの。

道の駅 漢学の里しただ

農家レストラン悟空では、ひめさゆりの花が飾られていました。
普通のゆりよりも半分くらい小さいサイズの、ピンクの愛らしいゆりでしたよ。
今年は害獣被害で球根が食べられ群生地は残念ながらゆりを見ることができず、福島のひめさゆりを分けてもらったとのことでした。
そしてぱせり念願の!ダムカレー。
ダム湖に見立てたカレーは、数年前にダムカード配布が始まった頃、ダム近隣で流行ったカレーです。
ダムカード欲しかったんですよね。というわけでもちろん大谷ダムも見に行っていたりして。
デザートにプリンいただきました!
農産物直売所彩遊記では野菜やここでしか買えないものがいっぱい!あ、プリンも売っています。
ヨモギの代わりにごんぼっ葉(オヤマボクチ)を繋ぎにし、コガネモチ100%を使用した笹団子を隣接の加工場で作っています。6月が最盛期の笹は地元の山で1年分を取ります。
只見町の酒蔵で作る、下田と只見町の棚田米をブレンドして、八木神社の宮司さんにラベルを書いてもらった米焼酎「八十里越」、福島の酒米を使って三条の酒蔵で作る、下田と只見と南会津から1字取った純米吟醸酒「しただみ」、下田産ブルーベリー100%使用の「ブルーベリーワイン」、ここでしか買えないお酒が勢揃い。

都内の有名店で働いていたパティシエが作り出すケーキは、土・日・祝日限定(予約であればいつでも購入可能)季節によって品を変え販売されます。

2027年夏には八十里越国道が開通予定
国道289号は、三条市から下田地区、只見町などを経由して、福島県南会津町までつながります。
下田地区はフォトスポットも多く、棚田、景勝地八木ヶ鼻や、いい湯らていにもぜひお寄りください。
(写真は下田郷開発様よりお借りしました)
道の駅 漢学の里 しただ

道の駅 漢学の里 しただ

住所:〒955-0131 新潟県三条市庭月451-1
TEL:0256-47-2230
FAX:0256-41-3900

【営業時間】
農産物直売所 彩遊記 9:00~16:00(冬季間 12月~3月 10:00~15:00) 
農家レストラン 悟空 11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
【定休日】
年末年始(12月31日~1月3日)
1月・2月毎週月曜日(祝日の場合は翌日)

駐車場:180台
身体障害者用設備あり

大谷ダム

大谷ダム

住所:〒955-0124 新潟県三条市大谷171-2
TEL:0256-47-2305 
FAX:0256-47-2629
ダム見学は5名から
大谷ダムふれあい資料館の見学申込も上記で受付けます

今回寄ったところ

この記事を書いた人
小柴ぱせり

72年新潟市生まれ、99年結婚、夫婦二人暮らし。イラスト描きます。 読書、創作、映画、音楽、演劇、着物など、文化系多趣味で、ちょっと?鉄子。企画運営好き。 15年-18年は信州暮らし。
https://314musubiya.9nzai.net/