旧月潟駅のかぼちゃ電車に会いに行き「牛のコーヒー」でひといき/新潟市
2023年06月22日
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いまから30年以上前に廃止になりましたが、現在の新潟市役所から東関屋のあたりまで路面電車が走っていました。その路面電車を含む新潟交通電車線は、かつての新潟県庁(現新潟市役所辺り)から東関屋を通り、黒埼、味方、月潟を抜け燕までの全長36.1キロの路線です。
路面電車として走る軌道線は、県庁前駅(のち白山前駅) から鉄軌分界点の東関屋駅まで 2.2km。東関屋駅から燕駅までは鉄道です。
軌道線では車と同等、道路交通法により最高速度が40km/hと決まっていました。
家族で新潟の街中に向かう途中、車が電車と並走した思い出があります。
昔の新潟平野は川の氾濫や潟による泥湿地帯が多く、地盤の弱い地域だったので水運が発達し、信濃川支流の中ノ口川には「河川蒸気」と呼ばれる川蒸気船が運行されていました。しかし大河津分水ができて水量が減り、蒸気船が使えなくなったので、その代替として新潟電鉄線(のちの新潟交通電車線)が建設されたのです。
1933(昭和8)年 4月東関屋~白根間開業 7月県庁前~東関屋間、8月白根~燕間 開通 1943(昭和18)年 会社組織は新潟交通となる
開通当初は県庁前駅から新潟駅前駅まで延伸を予定し、このため信濃川を渡る萬代橋は広く作られましたが、戦後の物資不足により延伸は実現しませんでした。
新潟交通電車線は新潟市中心部から西区黒埼を通り、中ノ口川沿いを通って燕まで、沿線住民の足となり、米や野菜、金物や食器などが運ばれました。
月潟駅は南区の中で一番標高が高いところ。当時は線路が複線でホーム2本、貨物用ホーム。近くには輸送で利用した農業倉庫がありました。
しかし新潟地震で被災したことによる長期の運休、またモータリゼーションの急速な進行により利用者が激減。
1992(平成2)年 白山前(旧県庁前)~東関屋間 路面電車区間を廃止 1993(平成3)年 月潟~燕間を廃止 1999(平成11)年 4月4日最終的に残っていた東関屋~月潟間が廃止 となり全廃
新潟交通電車線は廃線となります。
月潟駅跡では車両が静態保存されることになり、廃止の翌日4月5日、ラッセル車・電動貨車・電車が月潟駅まで回送されます。
モハ11号電動客車(モハ10型11号)
新潟電鉄開業時である1933年に、日本車輌製造で製造された電車「モハ11形11号」(書類上は14号)がもととなっている。1966年12月に日本車輌製造で、この旧モハ11号の機器と新造された車体を組み合わされ、現在の「モハ11号」となった。
ワンマンカーの機械などバスの部品があちこちに使われている。
路面電車に必要な車と同じテールライトが付いている。
車体の先端に①②と書いてあり、①番エンド②番エンドといって設備設置の目安になっている。
保存されている車両は電気が通っているので、照明・扇風機・車内放送が使える。
電動貨車モワ51
(写真はかぼちゃ電車保存会よりお借りしました)
新潟電鉄開業時である1933年に、日本車輌製造で製造された電動貨車。電動貨車とは、一般の電動客車の客室に相当する部分が貨物室になっている車両のことである。
水運は蒸気船がスタートだったので、積載量も少なく、貨物電車としても空間が少ない感じ。
天井は船の技術で3D湾曲の木造。今の技術では難しく車輌を再現することはできない。
東芝になる前の芝浦製作所のマークが入った機械類が載っている。
廃線翌日の4/5に保存のため月潟に回送運行され、その際に車両に飾られたヘッドマークが車内に展示されている。
水運は蒸気船がスタートだったので、積載量も少なく、貨物電車としても空間が少ない感じ。
天井は船の技術で3D湾曲の木造。今の技術では難しく車輌を再現することはできない。
東芝になる前の芝浦製作所のマークが入った機械類が載っている。
廃線翌日の4/5に保存のため月潟に回送運行され、その際に車両に飾られたヘッドマークが車内に展示されている。
除雪ラッセル車キ116号
このキ116号は、1932(昭和7)年に鉄道省大宮工場(現在のJR東日本大宮総合車両センター)で製造、奥羽本線新庄駅(山形県)常備の車両。
計器等に書いてある言葉が時代を感じさせる。
早朝1番列車の前にモワ51に押されて走り、左右の翼を広げたり閉じたりして雪を掻いていた。
転車台がないので帰りは後ろ側が先頭となるため、モワ51には小さい雪かきがついている。
廃線まで現役で使われていた。
現在の旧月潟駅周辺の廃線跡は、約2.2㎞は遊歩道のある「旧月潟駅周辺公園」として新潟市が整備。
駅舎と車輌は鉄道ファンや地元住民で組織された「かぼちゃ電車保存会」がボランティアで管理しています。
新潟交通電車線を利用していた人や沿線で見てきた人、懐かしいから残したいという人が集まってできた「かぼちゃ電車保存会」。現在のボランティアのメンバーには、廃線後に生まれた人も!
車輌の塗装があせて割れているところをはいで、パテを盛り塗り直し、電気系を直したり、整備復元に挑戦したり、いろいろな人が自分のできることを楽しみながらできる場所です。
電車が保存されているところは数あれど、ロケーションがそろっているところは希少で、昭和を感じることができる場所として人気があるようです。
廃線跡も遊歩道、サイクリングコースとして利用され、駅の痕跡が残っている場所もあるので廃線マニアの方にも人気です。
車輌は6月の月潟まつりの夜に夜間開放ライトアップをしています。
ほかに夜桜の時期などもライトアップがあります。
(写真はかぼちゃ電車保存会よりお借りしました)
昨年初めて小さい車輌移動機「アント」をつけて、駐車場に残っている線路の端まで走らせる車両走行・乗車体験イベント『走れ!かぼちゃ電車』という企画を開催。
1回40人を載せて走る1日8便の乗車券は、発売開始7分で完売!
2023年秋にも開催したいと考えているそうですよ。
2023年秋にも開催したいと考えているそうですよ。
いろいろな企画はぜひ「かぼちゃ電車保存会」のホームページをチェックしてみてください。
新潟交通電車線 旧月潟駅 <かぼちゃ電車>
住所:950-1304 新潟県新潟市南区月潟 2919
公園管理に関するお問い合わせ 新潟市南区役所建設課
電話:025-372-6460
駅舎・車両及び見学に関するお問い合わせ かぼちゃ電車保存会
メール:kaboden@hotmail.com
かぼちゃ電車保存会のみなさんおすすめのお店をご紹介!
マスヤ製菓
梨ようかんは、水ようかん寄りのさっぱり感あり。ときおり梨のシャリっとした食感も。
かぼちゃサブレは、さくさくの生地にナッツのようなかぼちゃの種入りです。
(有)マスヤ製菓
住所:新潟市南区月潟1543-1
電話:025-375-2684
扇弥商店
みそもしょうゆも杉桶仕込み!蔵にはたくさんの桶が並んでいました。
燕系背脂ラーメン屋さんにしょうゆを納めているそうです。知らず知らずにみんなが食べている味。
お店には昔、電鉄で商品を運搬していたときの【鉄道貨物通知書】が展示されていました。
有限会社 扇弥商店
住所:新潟市南区月潟1524
電話:025-375-2002
角兵衛地蔵尊
旧月潟駅の隣には角兵衛地蔵尊があります。
もともと角兵衛地蔵尊祭としてはじまった月潟まつりでは、かぼちゃ電車の開放見学会もありますが、新潟市指定無形民俗文化財である角兵衛獅子が披露されます。
角兵衛獅子の一党が技芸上達と旅巡業中の安全を祈願し守護尊としてきた角兵衛地蔵尊。
祭礼日である6月24日には一党総て巡業から帰り、その技芸を競演奉納してきました。
現在祭礼日は想いを引き継ぎ、毎年6月の第四土曜・日曜に開催されています。
角兵衛獅子は口上・囃子に合わせて飛んだりはねたり曲芸を見せる江戸時代の大道芸のようなもの。
その繋がりで9月下旬には月潟で大道芸フェスティバルが催されます。そちらも楽しみですね。
月潟まつり実施協議会
お問い合わせ
新潟市南区役所月潟出張所内
電話:025-372-6905
牛のコーヒー
さてと。
旧月潟周辺を散策したあとは、ほっとひといき「牛のコーヒー」へ。
劇団ハンニャーズの稽古場の端の方をカフェとする建物は、角田山・弥彦山を望む田園の中にあります。
カフェの店主は劇団ハンニャーズの主宰、演出家の中嶋さん。
私も中嶋さんと同世代の演劇畑出身で、このカフェのことがずっと気になっていました。
さすがカフェ設置のチラシや張り紙は、演劇芸術系が多く、でもそれもシンプルで、どなたでもウエルカムな印象です。
2人で行ったのでグランドメニューからひとつずつランチを注文。
「トマトパスタ」と「スパイスチキンカレー」ミニサラダ付きをドリンクセットで注文。
ランチはともに限定数の提供なので、開店時間早めの方が確実に食べられそうです。
少し苦めの「喫茶店プリン」と、メニューでは2種だけ提供のコーヒーのうち「甘いコーヒー」。
砂糖が入っていなくてもほんのり甘かったのが私にも分かりました!
コーヒーは産地や焙煎や淹れ方で味が違うらしいですが、ワインのテイスティングの感想のように、ふだん、メニューに載っている説明が私にはよく分からないものが多いのです。飲み比べをすれば、好みも分かってくるのでしょうが、ここまでずばり「甘いコーヒー」と分かるのが私には衝撃的でした。
砂糖が入っていなくてもほんのり甘かったのが私にも分かりました!
コーヒーは産地や焙煎や淹れ方で味が違うらしいですが、ワインのテイスティングの感想のように、ふだん、メニューに載っている説明が私にはよく分からないものが多いのです。飲み比べをすれば、好みも分かってくるのでしょうが、ここまでずばり「甘いコーヒー」と分かるのが私には衝撃的でした。
話すことが大好きだという店主の中嶋さんから、新潟の演劇や、本棚のマンガについて、演出のお話から人生のお話まで多彩なお話しをお聞きしました。演劇を演出することは人生を傍観することに似て、カフェを経営することにも通じる。中嶋さんの、「演劇は楽しくおもしろいと思う時間を提供し続けたい」という想い、それはカフェでも同じく、彼が美味しいと思うものを提供している、想いが詰まった素敵なお店でした。
牛のコーヒー
住所:新潟市南区大別當949-1 月潟稽古場
電話:070-5547-4582
営業時間:11:00~LO18:15 ※閉店時間は変動あり
休み:月曜、第3火曜
席数:15席
駐車場:20台
今回寄ったところ
この記事を書いた人
72年新潟市生まれ、99年結婚、夫婦二人暮らし。イラスト描きます。 読書、創作、映画、音楽、演劇、着物など、文化系多趣味で、ちょっと?鉄子。企画運営好き。 15年-18年は信州暮らし。
https://314musubiya.9nzai.net/