雪に包まれた空間でアートや遊びを体験「越後妻有の冬 2026」/十日町市・津南町


2026年02月14日 38ビュー
ドカドカと降りしきる雪の中、出かけたのは十日町市。目的は「越後妻有の冬 2026」を楽しむこと! 大地の芸術祭は3年に1度開催の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」以外にも、それぞれの季節で楽しめるアートイベントを展開しているのです。

越後妻有里山現代美術館 MonETで雪ん子になる

最初に訪れたのは越後妻有里山現代美術館 MonET。昨年の夏に続きBankART 1929のディレクションによる屋外企画展が展開されていました。今年はMonET全体を、雪を感じて楽しむ大きな「ほんやら洞」にしようという意図のもと、さまざまなアート作品をあちらこちらに配して楽しめる仕掛けになっていました。名付けて「ホンヤラドウ─Snow Meeting」。普段はレアンドロ・エルリッヒの巨大アート作品が見られる池は、冬になると雪が降り積もり全く別の空間へと変貌を遂げます。そこに待ち受けていたのは6lines studio+塚本由晴《雪待ち囲い》です。
十日町市には「ほんやら洞」と呼ばれる、雪で出来た家を作る風習があります。いわゆる「かまくら」のようなものですね。かつては地域ごとに作り、憩いの場として機能していたのだとか。こちらは「雪に備えて仮設的につくられる雪囲いや雪棚を参照し、茅や稲藁、サルベージした木材を用いたトンネル」だそうです。入口は真っ暗でちょっと入るのが怖かったのですが、ホンヤラドウの中は意外にも明るくてビックリ。ただ、気象条件によっては床が凍ってツルツル滑ることがあるので、注意して歩きましょう。
中はゆるいカーブになっていて、先が見通せません。この先に果たして何が待ち受けているのか…。出ると目に入ったのは回廊に並んだ井原宏蕗さんによる動物をかたどった彫刻作品たち。他にカバ、犬、サイなどもいますよ。
動物たちに導かれ回廊を進むと、見えてくるのは大きな丸いアート作品、山本愛子《All Things are in Flux》です。こちらはサイアノタイプの技術を活かした作品と紹介されていました。サイアノタイプとは簡単に言うと青写真のこと。パッと見ると、地球のように見えますが、越後妻有の自然や植物、雪などのモチーフを取り入れています。
回廊をさらに歩いていくと、何やら囲われた空間があります。覗いてみると壁にかけられた不思議な作品たち。井原宏蕗《足跡を裏返す》は雪上に残された動物たちの足跡を型取りし、反転させて彫刻作品に仕上げたものです。どうやって作品を作ったのか、その過程が分かる動画や現場の写真など、制作の舞台裏を紹介した展示もありました。
最初に紹介した《雪待ち囲い》は、トンネルのほかに雪対策の民具を紹介するツールシェッドも展開しており、来場者は着てみることができます。雪ん子に扮してアート巡りをするのも楽しいですね。訪ねたときはあまりの豪雪ぶりに雪で埋まっていましたが、トンネル脇の広い空間では、天候が落ち着いたら雪遊びもできるそうです。
MonET隣接の日帰り温泉「明石の湯」にはカフェが入っています。お薦めはチャドカンのチキンカレープレート(1,100円、チャイとセットの場合は1,500円)。チャドカンはかつて清津峡を拠点にキッチンカーで営業していたお店。こちらは3月末までの期間限定提供となります。

古民家の中で作品の登場人物になりきり、アート体験

次に向かったのは、まつだい「農舞台」のほど近くにある「まつだい郷土資料館」。お目当ては企画展、田中望「季節をとじる、恵みをひらく」です。作品鑑賞の前に導入部としてストーリーの説明があります。雪の日、集落に赴任してきた教員が遭難しそうになり、民家に迷い込むという内容。私たち鑑賞者があたかもその教員になった気分で、真っ暗な空間をおそるおそる回っていくという仕掛けになっています。
作家は、かつての越後妻有が冬に陸の孤島と化すため、保存食が発達したという事実に着目。現在は車でいくらでも往来ができるため、真冬に備える必要がないにも関わらずなぜ手間のかかる保存食を作り続けるのか、長年食べられてきた理由は何か、という問いかけをベースに制作。地域の人たちにヒアリングを行い、実際に集めた声が作品に反映されています。
資料館では土・日・祝日限定で、囲炉裏で餅焼き体験(500円)を行っています。予約は不要、希望者はスタッフに一声かけてください。お餅が焼けるまでの時間、地域の風習や冬の遊びなど、いろいろ面白い話が聞けるかもしれませんよ。
餅焼き体験では、企画展で紹介する保存食も一緒に楽しめます。訪ねたときは「かぐら南蛮味噌」「ふき味噌」のいずれかを、焼いたお餅にトッピングしていただくという趣向でした。こちらは草餅にふき味噌をつけたもの。一口食べるとふんわりとふきのとうの香りが広がり、一足先に春を感じることができました。
餅焼き体験のほかにも、2月21日(土)からは土・日・祝日限定のイベントがあります。それがまつだい「農舞台」フィールドミュージアムの「里山雪の遊園地」。スノーチューブ、バナナボートのアクティビティのほか、焚き火でコーヒー、七輪でお餅焼きなど雪上グルメ体験も楽しめます。
さらにまつだい「農舞台」フィールドミュージアムでは、2月21日(土)から狩野哲郎《山に沈む、谷に浮く》が展開予定。こちらも土・日・祝日限定で、荒天の場合は中止となります。

奴奈川キャンパスで印象的な作品に出会う

次に向かったのは奴奈川キャンパスです。1階には2025年3月まではMonETにあった、つちやあゆみ《輪唱の〇》《音の道》が特別展示として置かれていました。これは木製のボールを転がすと音を奏でるという仕掛け。ボールは複数用意されており、ここぞというフレーズのタイミングで次なるボールを転がすと見事に輪唱して、心地よいハーモニーが楽しめます。
2階は「木湯」などの常設展示に加え、大村雪乃企画展「断片的な逸話(アネクドート)」が開催されています。大村さんは文房具の丸シールを貼って作品を作るアーティストです。2022年に富山県朝日町で開催されていた個展を鑑賞したとき「丸シールだけでここまで表現できるのか!」と、その作風が印象に残っていました。今回はがらんとした空間に越後妻有の夜景を描いた作品が置かれており、妙にさみしい雰囲気が漂っているのですが、それも作品制作の舞台裏につながる演出だったようです。物語仕立ての展示にふむふむと納得。その仕掛けとは一体何か、ぜひ会場でご確認ください。
屋外では「雪上グラウンド」を展開。雪玉あてや巨大福笑い、雪の中を転げ回って遊べるバブルボールなどをさまざまな雪遊びが用意されています。なおアクティビティの内容は積雪量によって随時変わるそうです。
越後松之山「森の学校」キョロロでは秋冬季企画展「美人林ものがたり-里山の美しきブナの森の秘密-」を開催中。こちら平成29年秋冬季企画展がベースとなっているアンコール展です。そもそも美人林の成り立ちとは何か、林に訪れた危機など、トリビアがたっぷり。クイズも用意されており、ファミリーで楽しめる展示ですよ。
キョロロの副館長、小海修さんは「雪も展示のひとつ」と話します。水族館で使われているようなアクリル板を使い、春から秋にかけては松之山の自然豊かな風景を、冬は積雪状況を見ることができます。
またキョロロでは「スノーシュー体験」(400円)も行っています。美人林まで行くコースで所要時間はおよそ1時間程度。なお対象は入館者で、体験のみのサービスは行っておりません。
こちらは「顕微鏡で雪虫観察」ができるコーナーです。スノーシュー散策の際にも探したりするそうなのですが、いかんせん体長が1.5mmと小さい!(コシジマルトビムシ)。ぜひ顕微鏡で見てみましょう。
近年はインバウンドの需要が多いため、一部の説明パネルが日本語のほか、英語、中国語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語、タイ語の6カ国語対応になっていました。

越後妻有の冬 2026

期間:2025年1月24日(土)~3月8日(日)
定休日:火水曜日(祝日を除く)※開館日は施設により異なる
共通チケット:一般2,000円/小中学生800円
※各施設の個別鑑賞券もあり。共通チケットでの入館は1回まで。2回目の入館は半額

●越後妻有里山現代美術館 MonET
美術館入館料 一般1,200円/小中学生600円(2/20までは展示入れ替えのため一般600円/小中学生300円)、または「越後妻有の冬2026」共通チケット
※料金には、越後妻有里山現代美術館 MonET常設展示と企画展示鑑賞料含む
回廊作品は鑑賞無料

●まつだい「農舞台」
入館料 一般600円/小中学生300円、または「越後妻有の冬 2026」共通チケット

●まつだい郷土資料館
入館料 一般400円/小中学生200円、または「越後妻有の冬 2026」共通チケット

●奴奈川キャンパス
入館料 一般800円/小中学生400円、または「越後妻有の冬 2026」共通チケット

●越後松之山「森の学校」キョロロ
入館料 一般600円/中学生以下無料、「越後妻有の冬 2026」共通チケットで300円引き

越後妻有の冬 2026

エリア

湯沢・魚沼エリア

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この記事を書いた人
和田明子

長岡市のリバティデザインスタジオで、夫とともにグラフィックデザインやコンテンツ制作を行う。アート、映画、文学、建築、カフェ巡り、旅行、可愛いものが大好き。ウェブマガジン「WebSkip(https://webskip.net/)」も細々と更新中。