「猫」を探して。/南魚沼市・湯沢町


2022年07月11日 558ビュー
私の家には、1才のオス猫、チルがいました。先々月、家族の引っ越しでチルがいなくなった、いまの我が家。猫がいなくなった家は、それだけで灯がひとつ消えてしまったような寂しさがあります。遠くで元気に過ごしているであろう、チルと私の家族。寂しさを紛らわすべく、「猫」を探して、南魚沼を巡ってみようと思いました。

猫…と考えて、まず思い浮かんだのが、八海山尊神社の「ねずみ除けのお札」です。チルがいなくなって、ネズミが家に寄りつかないよう貼っておきたいと思います。

猫のお札を求めに、八海山尊神社へ。

八海山尊神社は、霊峰・八海山の麓、大崎にあります。国道291号線から1.5キロほど八海山の方へ向かった場所です。昭和54年(1979年)、旧里宮(本宮)から御神体が遷座されたそうです。旧里宮は、大崎口登山道から八海山に近い場所にあります。
石段は八十八段。神社に向かって拍手を打つと龍鳴(りゅうめい)が響きます。「神様の歓びの感応(しるし)」だそうです。
手水舎には「金剛霊泉の水 新潟県名水指定」と書いてありました。八海山二合目半に湧き出る水は、四季を通じ清冷で、古から金剛霊泉として尊ばれてきたそうです。
八海山尊神社では「二礼四拍一礼」とのことです。
神社での撮影について伺ったところ、撮影自体はOKだけれども、神さまを正面からは撮らない方が…と教えていただいたので、斜めからの場所で撮影。

ネズミ除けの、猫のお札。

さあ、お札、あるかな。
ありました。中央にある、お札。「鼠除」と書いてあります。
お札を求め、初穂料500円を納めます。
昭和30年代まで農村ではその多くが米作や養蚕を営んでおり、ねずみの被害は共通の悩みで、どこの家でもねずみ除けのお札が貼られていました。猫はねずみ捕りのために飼われ、その図像はねずみ除けのシンボルだったのです。その後、高度成長により生活様式も急速に変化し、ねずみ除けのお札はついぞ見かけることがなくなりました。時は移って平成20年代の初め、それまで「ねずみ除け」は他のお札に追いやられるように、社頭の片隅で「命脈」を保って来ましたが、所望される参拝者が徐々に増えて来ました。それが愛猫家の出現によるものと知ったのは大分後になってからです。(八海山尊神社ホームページより抜粋)
昔は、猫が生活に必要だったんですね。
八海山尊神社

八海山尊神社

住所:新潟県南魚沼市大崎3746
電話:025-779-3080
アクセス:上越新幹線浦佐駅から7km/関越自動車道大和スマートインターチェンジから6km・車で10分

昔はどうだったんだろう。歴史民俗資料館へ。

猫にまつわる民具があるかしら、と湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」へ。
昭和前期頃までの住生活を再現した、囲炉裏(いろり)コーナー。
こちらが「猫つぐら」。「猫ちぐら」とも言います。関川村や栄村が有名ですよね。新品のように見えますが、昔も使っていたのでしょうか?この猫つぐらを作って寄贈したという方が町内在住なので、聞いてみることにしました。
湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」

湯沢町歴史民俗資料館「雪国館」

住所:新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢354番地1
電話:025-784-3965
アクセス:JR越後湯沢駅より徒歩で約7分
開館時間:午前9時00分~午後5時(受付は午後4時30分まで)
休館日:毎週水曜日(祝日の場合は翌日が休館日) ※8月は無休
入館料:500円/小中学生250円 ※8月は小中学生無料

猫つぐらを作った小林さん。

猫つぐらを作り、雪国館へ寄贈した小林守雄さん(昭和6年生まれ、91才)。雪国館から車で5分ほどの町内に在住しています。ミノ、ワラグツ、ワラジ、セナコウジなど、ワラ細工品だったらほとんどの物は作られる、ワラ細工職人です。
 
小林さんに、猫つぐらを昔、使っていたのか聞いてみると、「昔は使わなかった」とのことでした。ただし、小林さんは50才で湯沢へ移住したので、生まれ育った小芋川(現魚沼市)では、と言われていました。なんで使わなかったんですかね?と聞いてみると、「こんなにワラがたくさん要る品物を、猫になんてもったいない。」と答えていました。猫に使ったのは「猫箱(ねこばこ)」。「木製で、大工さんから作ってもらった。」と話していました。
 
猫つぐらを初めて作ったのは、10年くらい前でした。近所の人から頼まれたのがきっかけで、子ども用のつぐらをヒントにしたそうです。
こちらが、雪国館に展示してある、子ども用のつぐら。赤ちゃんを布でくるんで、ヒモでしばってから、つぐらに入れ、すき間を布でギッチリと詰め、身動きとれないようにしていたそうです。昔は農作業で誰も家にいないことが多く、赤ちゃんだけをおいて行かざるをえないとき、危なくないようにと使われました。「今の時代だったら、かわいそうで、とても入れられないよ。腕が外に出ないように、がっちりしばったからね。泣いてもそのまま、泣き疲れて眠らせていた。」と小林さん。
そのつぐらに、屋根を作って塞ぐのですが、この勾配がなめらかにいかず難しいと、小林さんは説明します。1日8時間を制作するとして、完成まで大体5日間かかるそうです。「なかなか思うように出来上がらないから、次こそはと思って作っている。やりがいがある。」と小林さんは目を輝かせます。

猫つぐらを愛用する、ゲストハウスのオーナー三浦さん。

そんな小林さんの猫つぐら、使っている人がいます。ゲストハウス「Sansan Yuzawa(サンサン ユザワ)」のオーナー、三浦香織さんです。 「うちの猫、入るかな」と最初は心配そうだった三浦さんでしたが、すんなり入ったそうです。
小林さんは「入らなかった猫がいたとは、聞いたことがない。ほとんど全ての猫が入ると思うよ。猫は狭い所が好きな習性だから。」と話します。
三浦さんは広島県の出身。平成28年(2016年)に湯沢へ移住しました。翌年、Sansanをオープン。25才までにゲストハウスを持ちたいという夢を、24才で叶えました。「ゲストハウスは、19才の時にアジアを旅して、その時からやりたいと思っていた。一人旅でも宿へ行けば仲間がいて、すぐ友達になれる雰囲気なのがゲストハウスの魅力。」と三浦さんは話します。
こちらがドミトリー。20畳ほどの部屋に2段ベッドが4台あり、その中の1名分を利用できます。この他にも、6畳と10畳の和室があり、個室として利用できます。
 
ゲストハウスを始めてから3カ月ほど経ったとき、三浦さんはメスの保護猫を譲り受けました。

1匹目の猫、ツブ。

ツブを探して共有スペースへ。「あ、いた。ツブー。」と、三浦さんが声をかけると振り返るツブ。
ツブは、子猫のとき、鼻の頭に黒いツブツブの柄があったからだそうです。
「最初は、ちっちゃと思った。もらったときには、猫かぶっていた。今は、やんちゃ。いばってる。」と話す三浦さん。

2匹目の猫、マル。

ツブをもらった翌月、近所の人からマルをもらいました。マルもメス。大人しく、誰にでもなつくそうです。
マルは背中に丸い柄があるから。
あと、お手々も合わせると丸の柄。
共有スペースは、まるで「猫カフェ」のごとく。ツブは最初、お客さんから逃げていたけど、今は人馴れして「忠猫」になっているそうで、マルはお客さんが座るとなりでゴロンとおなかを出したりしているそうです。お客さんからは「ここの猫、レベル高い」と、ほめてもらえるのだとか。
宿泊しなくとも、共有スペースだけでの利用もできます。苗場から来る常連のお客さんは猫好きで、湯沢で仕事をするときには必ず利用しているそうです。
Sansan Yuzawa

Sansan Yuzawa

住所:新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢4丁目1−36
電話:080-4020-3224(電話対応時間8:00〜21:00、電話予約は当⽇のみ受け付け)
アクセス:JR越後湯沢駅から徒歩3分/関越自動車道湯沢インターチェンジから車で約3分
共有スペース:要予約。午前8時から午後8時まで最大12時間が利用可能。利用料500円。ケトル、Wi-Fi、冷暖房、冷蔵庫、レンジ、トースターあり。お茶とコーヒー無料。

南魚沼で出会った人と猫たち

猫を探して、出会えた南魚沼の人と猫たち。お札のかわいい猫。最高の猫つぐらを作ろうとする小林さん。ゲストハウスの「レベル高い」、ツブとマル。猫たちを愛する三浦さん。

猫好きの皆さんもぜひ、南魚沼を訪れてみてください。
この記事を書いた人
シバゴー

南魚沼市在住。趣味は写真撮影と読書で、本で調べた所へ行って写真を撮ることをライフワークとしています。神社彫刻が好きで、幕末の彫刻家・石川雲蝶と小林源太郎、「雲蝶のストーカー」を公言する中島すい子さんのファン。地域の郷土史研究家・細矢菊治さんや、地元を撮影した写真家・中俣正義さん、高橋藤雄さんのファンでもあります。