越後三大花火“山の片貝”今年は9日の花火がお得!見どころ満載「2022片貝まつり」ガイド/小千谷市
「上がれ!」「上がれ!」中止となった2年分の思いをのせて
越後三大花火、7月の“海の柏崎”、8月の“川の長岡”が終わり、9月“山の片貝”の開催が近づいてきました。
そこで今回は「片貝まつり」をぐっと深掘りしてレポートします。
名物の花火はもちろん、魅力的な日中行事や立ち寄りたいおすすめスポットについても紹介。
周辺MAPや、タイトルの「9日の花火がお得」の答えもありますよ。
写真協力 小千谷市観光交流課 片貝町煙火協会
片貝まつりの舞台 小千谷市片貝町
片貝町は小千谷市の北部、長岡市との市境にある人口4000人弱の町です。
小千谷駅からは車で20分ほど。市街地からのアクセスは自家用車か路線バスがメインです。
駅では来迎寺駅が最寄りですが、徒歩で行くにはちょっと距離があります。
普段は静かな町ですが、祭りが近づくにつれて活気づき開催日前後は多くの帰省客、観光客で賑わいます。
「三尺玉発祥の地」としても有名ですね。
実際に使用されていた花火筒を展示していて迫力満点。左端の尺玉筒と比べると、三尺や四尺の筒のなんと大きいこと!
筒や石碑に書かれている「花火と職人のまち 片貝」というキャッチフレーズ。
実はこの「花火」と「職人」の関係が片貝まつりの発展に大きく寄与しているのです。
片貝花火の基礎知識
その名の通り、町の鎮守「浅原神社」の祭礼で、私たちは奉納された花火を楽しませていただいています。
まつりは毎年9月9日10日に開催。花火は2日間で約1万5千発を打ち上げます。
いわゆる「花火イベント」ではなく神様へ奉納する花火なので、雨天でも花火を打ち上げます。
片貝花火の特長は「尺玉」が多いこと。しかも同時打ちや追打ちなど趣向を凝らした演出で見る人を飽きさせません。
世界最大の花火「四尺玉」は重さ420kg、地上880mまで打ちあがり、開いたときの大きさは直径800mにもなります。
しかも、9日は「昇天銀竜黄金すだれ小割浮模様」10日は「昇天銀竜黄金千輪二段咲き」と両日異なる内容の四尺玉を打ち上げます。
そしてもう一つの魅力は花火の打ち上げ時間の長さ!19時30分から22時すぎと、約3時間もの間、花火を楽しむことができます。
四尺玉の打ち上げは22:00頃。打ち上げが近づくと、まつりの盛り上がりが最高潮に達します。
花火の打ち上げは夜だけではありません。10日の日中には「真昼の三尺玉」が打ち上げられます。
地域の安寧を見守るかのように、町の中央に鎮座しています。
緑の参道を抜けると社殿が見えてきました。
普段は鍵がかかっていて中に入れませんが、宮司の今井昭彦さんや社務の方のご厚意で、今回特別に見学させていただきました。
凛とした風貌の今井さん。普段着ということで撮影は遠慮されましたが、御年90歳を超えているとは思えないほどお元気で若々しい方でした。
浅原神社の宮司を50年以上務めていて、片貝や周辺地域の成り立ちにも詳しく、興味深い話もたくさん聞かせていただきました。
今井さん曰く「里山や信濃川などの大河や支流の川、小粟田(こわだ)などの田園地帯に囲まれた片貝は、昔は“陸の孤島”だったんだよ。」
しかし不便なゆえに独自の道を進み、周囲に農村が多い中で片貝町は職人の町として発展。
住民も遊び心が旺盛で、日々の暮らしの中に楽しみを見つけていき、そこからさまざまな技術や文化が生まれていきました。
そして町が賑わうにつれて周辺の人たちも訪れるようになり、買い物や交流の場として栄えたそうです。
今井さんの片貝花火の思い出は、宮司に就任した当初、観覧で同席した地元の古老たちが「開きがまん丸でない、あれは70点だな。」とか「星が一瞬で消えてない。マイナス20点」などと独自目線で楽しそうに審査しながら、まだ化学による色彩の知識がない中、花火師でもない彼らが自然の中の素材で色を出す知恵を話していることにとても驚いたとか。
片貝花火には、職人の誇りや知恵が脈々と受け継がれていますね。
祭礼初日の9日には、朝から神事を行い、1年の安寧を祈ります。
杉木立に囲まれた境内は、時おり心地よい風が吹く気持ちの良い空間。
まるで神様に見守られているようです。
片貝まつりを見に来たなら、まずは神社にお参りすることをおすすめします。
片貝花火のことならここに聞け!「片貝町煙火協会」
ということでまつり全般の運営を行っている「片貝町煙火協会」へゴー!
お話を伺ったのは会長の安達勇さん。優しい笑顔で迎えていただきました。
安達さんも片貝町や花火の歴史に造詣が深く、独自で研究もしています。
片貝と花火の縁は古く、400年以上前にさかのぼると言われています。
江戸時代、天領の地として鍛治や大工、染物で栄えていた片貝。煙火に縁のある遠州や堺とも交流があったことや、鍛冶で鉄砲も作っていて火薬が身近にあったことなどから、人々の遊びとして花火作りが始まりました。
しかしそこは職人気質、それぞれがこだわりの花火を追求し競いあったことから、花火作りの技術が飛躍的に進歩していったそうです。
当時は「手筒花火」で上げていましたが、花火が大きくなるにつれて危険が伴うようになり、やがて打ち上げ花火の技術競争へと移っていきました。
昔の文献には、400年前の観音堂の祭礼で花火を盛大に打ち上げたという記録が残っているそうです。
その後観音堂の焼失もあり、いつからか浅原神社の例祭に奉納花火を上げるようになりました。
花火の規模もどんどん大きくなり技術力も日本トップクラス、明治24年には三尺玉を4発も打ち上げ、このことから「三尺玉発祥の地」と呼ばれるようになったそうです。
花火ひとつひとつの思いが伝わる花火番附
中面には花火の内容とともに、それぞれが考えたメッセージが書かれています。
自身や家族のこと、仲間のこと、そして故人のこと...。思いが込められた言葉を読むだけで涙腺が緩みます。
当日はアナウンサーが名調子でメッセージを読み上げ、その後花火を打ち上げます。
お土産としても人気の品。見かけたらぜひ購入を!
片貝まつりの行事・催しスケジュール
今のところ、今年もほぼ同じスケジュールを予定しているそうです。
8日の前夜祭から10日まで面白そうな行事・催しが目白押し!
どれもこれも見てみたいなぁ。
移動時間を考えて、上手くスケジュールを組んでおきたいですね。
片貝まつり 周辺MAP
こちらも前回開催時のMAPです。
周辺駐車場などに少し変更があるかもしれませんが、おおよそこの通りで予定しているそうです。
まつり開催時、周辺は通行規制になり駐車場も混み合うため、路線バスやシャトルバスを利用することをおすすめします。
シャトルバスは、イオン小千谷店 ~ 片貝製作所 間を、往路は 16:00 ~19:30、復路は 20:30~22:45の間随時運行。
片道500円です。
路線バス、シャトルバスのお問い合わせは、越後交通 小千谷営業所 0258-83-2442
伝統祭り屋台曳き廻し(8日昼)
前日の8日に行われる「伝統屋台曳き廻し」。まつりの口火を切る賑やかな練り歩きです。
祭り屋台を子どもたちと一緒に引っ張り、町にまつりの訪れを告げます。
民謡流し(8日夜 前夜祭)
民謡流しは雨天中止です。
筒引き
朝、八島地区から浅原神社を目指し、二本の太縄に引かれた花火の筒を引きながら練り歩き、花火打ち上げの成功と無事を祈ります。
玉送り(9日 10日 日中~夜)
各同級会は、自分たちが花火を上げる日、町を巡って神社に花火の玉(実際の玉は入っていない)を奉納する「玉送り」という行事を行います。
色とりどりに飾りつけされた屋台を賑々しく引っ張り、住民や町ゆく人と一緒に盛り上がります。
それゆえ同級会のまとまりが強く、生涯の友として関係はずっと続きます。
節目の花火を上げるのもこのメンバーで、中学卒業時に「○○会」の名前や役職を決めて積み立てをスタート。
最初に迎えるのは20歳の花火。初めての大舞台ということで気合が入ります。
しかし少子化の影響で、近年は人数や資金面に苦労することが多くなりました。
そこで町が全面バックアップし、片貝の未来を担う彼らに向けて、まつりの最後の10日夜、成人を祝う「正四尺玉」をあげてエールを送ります。
60年ともに歩んできた仲間へのねぎらい、そしてこれからの人生をさらに実り多くするために、超特大のスターマインを打ち上げます。
この還暦という大きな節目の花火。コロナ禍によるまつりの中止で2020年、2021年と上げることができませんでした。
そこで3年ぶりの開催となる今年、なんと3年分の還暦花火を打ち上げます!
初日の9日は一昨年(20年)と今年(22年)の分、翌10日が昨年(21年)の還暦の花火です。
ということは、9日は還暦の特大スターマインが2回も見れちゃうんです!こんなこと2度とないですよ...多分。
もちろん両日楽しむのがベストですが、どちらか1日ということであれば、9日の花火をおすすめします!
打ち上げが近づくと“あっが~れ、あっが~れ”の掛け声とともに盛り上がりも最高潮。
無事奉納が終わると、安堵とどことなく寂しい気持ちに包まれるそうです。
奉納相撲もあります!
神社の境内にある土俵では、伝統の「奉納相撲」も行われます。
この土俵、日本相撲協会公認なんだとか。
桟敷席で迫力の花火体験を!
花火の観覧、声を大にして「桟敷席」をおすすめします。
有料席なんだし桟敷がいいのは当たり前なんじゃないのと思われた方。もちろんその通りなのですが
片貝花火の桟敷席はとにかく凄いんです!
特設の桟敷席が作られるのは神社裏手の空き地。花火はここからすぐの高台で打ち上げられます。
もう一度言います。
桟敷席の真ん前で、世界最大の花火が爆音とともに頭上に打ちあがるのです。
こんな体験、他ではできません。“花火は腹で感じるもの”と思っている私。大輪の華に遅れて響くあの反響音、あの振動、思わず「うぉー」っと叫んでしまうほどの衝撃です。
このスペシャルな体験、ぜひ体験してもらいたい。安達さんも強く仰っていました。
桟敷席は露店が立ち並ぶ参道や県道にも近いので、買い出しや町歩きにもとても便利。
境内に集まる同級会の人たちの姿を見れたり、片貝まつりの雰囲気をまるごと堪能できますよ。
現在前売り券を好評発売中。家族やグループでの観覧にとってもお得です。
また当日券の発売も予定しています。
桟敷席の予約および当日券については「片貝町煙火協会」までお問い合わせください。
TEL 0258-84-3900 or 0258-84-7880
浅原神社秋季例大祭奉納大煙火(片貝まつり)
日時 2022年9月9日(金)、10日(土) 前夜祭は8日(木)
場所 浅原神社 ほか
片貝花火 9日 10日 19:30~22:20
片貝まつりのお問い合わせは 片貝まつり実行委員会(片貝町煙火協会) 0258-84-3900
片貝のおすすめスポット
老舗和菓子店から話題のニュースポット、お惣菜が豊富なスーパーなど、どれもぜひ立ち寄ってほしいスポットをピックアップ!
花火観覧や町散策でぜひご利用ください。
職人の町で愛され続ける老舗和菓子店「本丸池田屋」
地元職人や訪れる商人たちの肥えた舌をうならせ、今も地域で愛されています。
人気は「玉花火」シリーズ。花火筒や花火玉のパッケージに、星に見立てた色とりどりの羊羹やゼリーを充填。
パッと華やかな見た目も楽しい、片貝土産の定番商品です。
カラフルなビジュアルがSNSで人気を呼び、ローカル番組などで取り上げられたことで一気に売り切れ。
現在も品薄状態が続いているそうです。見つけたら即ゲット!してくださいね。
そのひとつがこちらの「ぽちようかん」。ドリップコーヒーのポチ袋に薄くスライスした羊羹をイン!
羊羹に馴染みの薄い世代にも手軽に味わってもらいたいという思いで開発しました。
嵩張らないので、友人や同僚への土産まとめ買いにぴったり!
他にも、羊羹×チョコレートのダブルの美味しさで見た目にもこだわった「ショコラ羊羹」など、お客様に楽しんで召し上がってもらえるよう工夫を凝らしています。
夏季はかき氷も行っているので、行事見学のお供にいいですね。
本丸池田屋
住所 小千谷市片貝町6293
TEL 0258-84-2004
営業時間 10:00~18:00
定休日 火曜
バリスタのいるカフェレストラン「NISCIRO(ニシロ)」
元倉庫だった場所をオシャレにリノベーション。天井が高く開放感抜群な空間で、大きな窓からは田園風景を楽しむことができます。
地元片貝で生まれ育った若きバリスタが、コーヒーが主役の「人生の交差点になるような場所」を目指して作りました。
その思いの通り、地元はもちろん新潟市など市外からも多くのお客様が来店し連日にぎわっています。
また彼の思いに賛同して片貝に来たというシェフのイタリアンも絶品!
パニーニやパスタなどイタリアンを代表するメニューの本格的な味を楽しめます。
デザートのドルチェメニューも豊富。この日は濃厚ピスタチオのティラミスをセレクト。
コーヒーとの相性も抜群で、のんびり幸せな時間を過ごせました。
片貝に来たらぜひ立ち寄ってほしい、とてもステキなお店です。
NISCIRO
住所 小千谷市片貝町4681
TEL 0258-89-8488
営業時間 カフェ 8:00~17:00
朝食 8:00~10:00 ランチ 11:30~14:00
定休日 月 火
花火観覧の買い出しはここで!地元密着「スーパーつつじ」
介護事業を展開する会社が、買い物難民の解消など地域のために運営しています。
食料品全般のほか生活用品など品ぞろえも豊富。
人気料理店の惣菜などもあるので花火観覧のお供にいいですね。
とれたての品ばかりで安くて新鮮!超お買い得です。
片貝町の味を自宅で堪能するのも良いですね。
スーパーつつじ
住所 小千谷市片貝町5023-11
TEL 0258-86-6403
営業時間 6:00~19:00
片貝花火の切手もあります!
観覧のお土産にいかがですか?
他にも手ぬぐいなど地域の商品をワゴン販売しています。
片貝郵便局
住所 小千谷市片貝4790-6
TEL 0258-84-2050
営業時間(窓口) 平日 9:00~17:00
世界一の花火を見て今ある幸せを祈ろう
花火も日中の行事も、地域で大切に受け継がれてきた由緒あるものです。
人生の折り目、節目に奉納する花火。
家族や仲間、故人...誰かを思いやる心があふれていて、メッセージとともに上がる花火を見ていると、今ある幸せに感謝しこれからを祈る気持ちにさせてくれます。
まつりが終わるといよいよ本格的な秋の始まり。
今年の夏の締めくくりに、ほっこり温かい気持ちになれる世界一の花火を見に行きませんか?