城下町高田の街なかで近代日本の建物に浸る/上越市


2018年05月07日 4784ビュー
北陸新幹線の上越妙高駅改札を抜けると直ぐ隣に越後トキめき鉄道が走っている。
高田までは二駅。

東京駅を模した様な駅舎を背に直進すると右にマンション、左にホテルが見えてくる。
その角を曲がって徒歩3分。

現代的な様相の街並みから、明治・大正・昭和初期の面影を色濃く残す景色に変わる雁木通りの中ほどに「高田世界館」と書かれた看板が視線の先に現れてくる。
今年107歳を迎える、日本に於ける現役最古級の劇場だ。
陸軍第十三師団が高田に誘致された事をきっかけに、当時一番の娯楽施設だった映画館として建設されたとされる同館は、映画隆盛の頃は数多の洋画・邦画が上映された。

私が小学6年生の頃、日替わりで1学年ごとに市川昆監督の「東京オリンピック」を観に行った事を覚えている。

街なかの寂しさが加速する中、同じく街なかにあるコミュニティFM局として何か有効利用できないかと模索をしていたところ、高田出身で高校の後輩である落語家三遊亭新潟が真打三遊亭白鳥になり、そのお披露目興業を高田の街なかで演りたいとの命を受け、白鳥後援会事務局長の岸田國昭さんが私を訪ねてきた。

話は弾み、二人で当時の高田日活(現在の世界館)オーナー熊谷さんにお願いしたら、「昼間に落語会、夜に音楽ライヴだったら丸一日で済むから50,000円で貸してあげる」と言われ、これ幸いと準備を進め、2002年初の試みを実施したところ大盛況を博した。

約180席のキャパ、街なかだから徒歩でも自転車でも車でも行けるロケーション、何よりも演者からの「音の回りも良い。お客さんの顔も息遣いも分かる」との好印象に手ごたえを掴んだ我々は「年に一回イベントを打とう」と成り、その後数年続けたある日、熊谷さんに呼ばれて「もう疲れたし営業を終了・取り壊す」と宣告を受けた。

晴天の霹靂!
二人とも熊谷さんに異口同音「壊さないで下さい。」と懇願したところ「だったら、あんたがた貰ってくれる?貰ってくれるんなら建物は無料であげる。」と言われ、友人・知人に声掛けをし会議を重ね、結果2008年6月にNPO法人街なか映画館再生委員会を発足し、これを機に高田世界館と改称。
音楽ライヴ、講演会や演芸、演劇などにも使用され脚光を浴びる様になった。又、数年前に専従の支配人を雇用し、彼の努力とアイデアで、NHKを始めテレビの全国放送や映画のロケ地としても使われている。

「映画」では無く「映画館」を見に来られる全国からの観光客が増えて、地元の我々が一番びっくり。
最近、高田世界館のボランティアスタッフが意を決して世界館の隣に、その名も「世界ノトナリ」というカフェをオープン!

映画を観る前に、観た後に是非。
高田世界館

高田世界館

住所:新潟県上越市本町6-4-21
定休:火曜日
電話:025-520-7626

この記事を書いた人
FMじょうえつ

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