乙まんじゅうや新ブランド「JYUKICHI」/胎内市


2021年12月14日 634ビュー

乙宝寺門前に乙まんじゅうあり!

如意山 乙宝寺と言えば、阿賀北では知らぬ人がいないお寺。地域の人の参拝はもちろん、境内には様々な史跡や文化財があり、観光スポットしても人気を博しております。その「オッポー」という響きのおかげでおっても覚えやすいお寺です。なんかアレですね。オッポーといえば、三条市名誉市民、あの十六文キックでおなじみのジャイアント馬場こと馬場正平さんが思い浮かぶのは私だけではないはず。
ちなみに、お寺のすぐ裏には、県内の子どもたちが各種宿泊研修などで使う新潟県少年自然の家があります。なので、そちらを利用したときに、このお寺の名前を覚えた人も多いかもしれないですね。
そして、その乙宝寺の門前にあるお饅頭屋さんが乙まんじゅうやさんです。こっちは地名と同じ乙(きのと)と読みます。創業は1804年。200年以上も続いてきたお店は、創業者である重吉さんが当時の乙宝寺の住職から饅頭の製法を教わったことからスタートし、以来、乙宝寺、そして乙の地と共に歴史を歩んできました。
そんな乙まんじゅう屋さんが、コロナ禍の今年、新ブランドを立ち上げたと聞き取材して参りました! オッポゥー!

まずはお寺を参拝

736年に開山した乙宝寺は、ご祈祷のお寺として阿賀北地域を中心に多くの参拝客が訪れる歴史のあるお寺です。中心にある大日堂は、1年を通じて厄除け開運、家内安全などさまざまな祈祷を行っており、とくに初詣は賑わうそうです。
観光スポットとしても見どころ十分。かの松尾芭蕉が奥の細道でお寺を参拝、その句碑が残されているほか、やはりインパクトがあるのは、国指定重要文化財の三重塔。1620年に当時の村上城主の寄進により竣工したもので、その造形はとてもバランスが取れていて美しい!
それと、ここの手水舎の水は、新潟の名水百選にも選ばれているそう。胎内市きのと観光物産館「どっこん水の里」にも水場が整備されていますが、こちらの方がご利益がありそうな気がするのは、やっぱりロケーションのせいなんでしょうね。

SNSで話題の花手水も!

また、この手水舎では、今回のコロナ禍の最中、地域の有志による花手水(はなちょうず)が行われています。(写真は乙まんじゅうやさん提供)
新潟ではなかなか見ることのないこの花手水は、胎内市で花育活動やオーダーメイドのフラワーギフトを手掛けるMusubi屋の代表・石山浩さんが企画したもの。コロナ禍で花の出荷量が減少、市場に流通できなかった花を生かし、地域を盛り上げつつ、花の生産者や流通業者を応援したいという思いから取り組んでいるものです。毎月、第2・第4日曜日に参加者を募って取り組んでいるそう。この出来栄えは「美しい」の一言。お花好きはもちろん、SNS映えするビジュアルはどなたでも楽しめると思います。たまたま訪れたときに、こんな花手水が見られたらうれしいですよね。
なお、冬期間は一般参加者の募集はお休みしており、また春から再開するそうです。また、冬期間は石山さんが花手水を作る予定となっているそうで、そちらも楽しみです。
なんだか、お寺も時代と共に地域における役割は変化していくのだな、ということをすごく感じますね。

二年参り・初詣について

乙宝寺の二年参り・初詣については、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、なるべく混雑する日を避けてお参りするように呼びかけています。
1月中は随時御祈祷を執り行っているそうなので、わざわざお正月の三が日に参拝しなくても大丈夫そうです。また二年参りについては夜間の交通規制があるので注意。
如意山 乙宝寺

如意山 乙宝寺

住所:胎内市乙1112番地
TEL:0254-46―2016
無料駐車場あり(普通車・大型車)

そして、乙まんじゅうやさんへ

参拝のあとは、いよいよ乙まんじゅうやさんへ行きます。
乙宝寺の門前にある老舗のまんじゅう屋さんですが、おまんじゅうに限らず、お寺の参拝客がお土産を買ったり、一休みしたり愛されてきました。また、店内に並んでいる駄菓子から推察するに、地域の子どもたちもよく足を運ぶんでしょうね。
取材の日も、冷たいが雨が断続的に降る寒い平日でしたが、常連と思しきお客さんが絶えませんでした。

まずは、お店の看板たる乙まんじゅうの紹介から

地元の糀屋さんが作った米糀と餅米を使った生地で自家製のこし餡でくるんで蒸し上げた酒まんじゅうで1個税込108円。糀を使って自然発酵させた生地は、ほんのりと米糀の良い香りがします。そのふわふわもちもちの独特の生地の食感と甘さ控えめのこし餡のバランスが絶妙で、ちょっと他所では食べられない味。糀への愛と敬意を強く感じます。

JYUKICHIについて

この乙まんじゅうの伝統を守り続けてきた乙まんじゅうやさんですが、若き11代目・久世俊介さん、そして弟の圭介さんらは「参拝に来たお客さんに、乙まんじゅうやの新しい楽しみ方を提供できたら」という思いから、同じく家業を継いだ弟の久世圭介さんと新ブランド「JYUKICHI」を立ち上げました。
新しく、けれども伝統に裏付けられたものを――。福島から当時の乙宝寺住職を慕って乙にやってきた初代・萬屋重吉の名を冠したことからも、そうした思いが窺えます。
さて、この「JYUKICHI」の商品、プリンやアイスもあるのですが、今回は新感覚のサンデー系スイーツ「おってぎさんでぇ」を頂きました。この「おってぎ」というのは、こちらの方言で「お疲れさん」という意味らしいです。
「糀」と「茶」の2種類があり、価格はどちらも税込350円。カップの底には乙まんじゅうの餡が敷かれ、その上から胎内市特産の米粉で食感を整えた糀のプリン、さらに「茶」はその上から抹茶のプリン、そしてトッピングの求肥が乗った2層、あるいは3層構造。まさに乙宝寺の三重塔を彷彿とさせるビジュアル。
「糀」の方はいわゆる糀甘酒の優しい甘さが良いです。米粉を入れているせいなのか、ちょっと普通の甘酒よりクリーミーな感じがします。糀の美味しいところだけを抽出したような優しさにこし餡が合います。
一方の「茶」は、お茶の栽培地としては日本の北限として知られる村上市の九重園の抹茶を使用。これは、乙宝寺の三重塔が村上藩主の寄進により完成したこともあり、どうしても村上ゆかりの食材を使いたくて採用したそう。こちらは、抹茶の程よい苦みがすごく和菓子らしくて完成度が高いです。
ちなみに、私は「糀」の方が好みかも。糀の風味が面白かったです。糀ブームのおかげで甘酒を使ったスイーツも最近は増えてきましたが、まんじゅう職人が手掛けるとこうなるのか、っていう驚きがありました。もちっとした食感もすごく好み。
今回、新ブランドで中心として取り組んでいる圭介さんは「それぞれの層で違う食感を楽しめるようにしたかったです」と話していました。特に、プリン部分は米粉で食感を整えるのに腐心したそう。
どの商品もこれまで従業員同士の「まかない」的に色々作っていたものがアイデアのベースになっていたそうで、ひとつひとつブラッシュアップして商品に仕上げていった圭介さんは、「ぜひ、おまんじゅうと合わせて楽しんでいただければ」と話していました。
乙まんじゅうや

乙まんじゅうや

住所:胎内市乙1235
営業時間:午前8時から午後6時まで。
不定休
TEL:0254-46―2008

最後に…

乙宝寺といえばとても格式の高いお寺で、その門前の老舗まんじゅう屋さんとなれば、良くも悪くもコンサバティブなイメージがあったわけですが、全然そんなことはなかったです。乙宝寺の小川義隆住職も乙まんじゅうやさんのお2人もとても気さくで、とにかく、それぞれの立場から乙地域を盛り上げていこうとする意欲を感じさせられました。それに、御三方ともとても若い! なんだかこちらも元気をもらいました。
なお、乙まんじゅうやさんは正月三が日はもちろん営業しているそうですので、ぜひ今年の初詣は乙宝寺に行き、こちらに立ち寄っていただければと思います。
この記事を書いた人
ヤマダ マコト

新潟市秋葉区在住。サラリーマンの傍らkindleストアで電子書籍にて地元・新潟を舞台にしたエンタメ小説を発表。インディーズながら一部で熱烈な人気を集め、どっちが本業か分からなくなりつつある中年男。