岩室温泉にある、温泉並みにアツい食の交差点!【後編】秀石菴・ネファラ・角屋悦堂/新潟市


2023年09月18日 2196ビュー
前編に引き続き、「岩室交差点」を取り囲む美食の名店をご紹介します!

後編は「懐石 秀石菴」、「南インド料理 ネファラ」、「角屋悦堂」の3店です。

新潟県屈指の日本料理店「懐石 秀石菴」

岩室温泉の入り口にかかる矢川橋から岩室交差点まで続く通称”ドン坂”の中腹に、ひっそりと佇む「懐石 秀石菴」。東京にあった茶懐石の名店「和幸」で修業を積んだこの道35年のご兄弟が営む日本料理店で、ミシュランガイド2020新潟版で一つ星を獲得されました。

”星付きの日本料理店”と聞くとなんだか敷居が高く近寄りがたい感じがしますが、同店は肩肘張らず気軽に楽しめるお店。「日本料理の裾野を広げたい」と価格帯は極力抑え、何よりご兄弟の温かなお人柄が心地よい空間を作り出しています。
店内は、樹齢300年の栃の木の一枚板カウンターに、テーブル席と個室が1室。

子供連れも歓迎してくださり、我が家は小さな頃からおじゃまさせて頂いています。小学生になった今では、「どこに食べに行きたい?」と聞くと「しゅうせきあん!」と答えるほど。私自身も毎度感動の美味しさで、本当に大好きなお店です。

お品書きは以下の通り。※要予約

●【昼の部】ミニ懐石 4,400円 /懐石コース 5,500円~
●【夜の部】懐石コース8,800円~

初夏に訪れた際の、昼の部ミニ懐石コースをご紹介します!
まずは、「季節の八寸」

ゴリとどじょうの山椒煮、スイートコーンの天ぷら、鮎の風干し、タコの柔らか煮、万願寺唐辛子の焼き浸し、さつまいもの蜜煮。

季節の訪れを映し出す一皿です。見た目はシンプルですが一つひとつにものすごく細かな仕事がされています。よく「素材の味を活かした」という言葉を使いますが、手間を加えないのではなく、見えないところに手間暇をかけて仕込まれているのが伝わってきます。

ひと口噛み締めるたびにおいしくて幸せのため息がでる、そんなお料理ばかりです。
「コチの湯引きとコハダのお造り」。

夏場を代表する魚「コチ」は、岩室の間瀬海岸で揚がったもの。生きた状態で卸し、お刺身にした後に低温で湯引きをするそうです。技術がいる調理法なので、どこでも味わえるものではありません。

そしてお造りの付け合せには、白瓜のかみなり干し、間瀬海岸産天然のおかひじき、菊、穂紫蘇。

かみなり干しは、白瓜の中心に管を通して種を抜き、らせん状に剥いたものを塩漬けして風干しするそうです。水分が抜けてくたっとなりますが、それを出汁につけるとバリバリっとした食感に変化し、お造りの付け合せにいいアクセントに。このような脇役にも想像を超える手仕事がされていて、日本料理の奥深さを感じます。
「茶碗蒸しの冷製仕立て」。

お出汁がたっぷり効いた茶碗蒸しの中には、鱧の肝の生姜煮が。この日のお料理で使用した鱧の肝や白子などを生姜と合わせて炊いたもので、臭みは一切ありません。下処理が丁寧に施されているからこそできる一品ですね。
「鱧、よもぎ麩、長ひじき、つる菜、管牛蒡の椀物」。

私が同店の中で最も好きなお料理が、この椀物です。このお出汁、、、このお出汁が・・・!!もう至福の美味しさなのです!!ひと口含むと思わず目を瞑り、しばらく帰って来られなくなります(笑)五臓六腑に染み渡るとはこのこと。
この日は夏らしくハモが合わせてありました。ぷりぷりとしたハモの身、香り高い自家製よもぎ麩、シャキッとした長ひじき、そして青ゆずが一体となっています。
「小茄子、白海老のたたき寄せ、穴子、さやいんげんの炊合せ」。

こちらも同店の中で好きなお料理。旬の素材を一品一品丁寧に下ごしらえし、それぞれの味を存分に生かすように仕上げられています。見た目は映えませんし、ただの煮物に見えるかもしれません。しかし、同店の素晴らしさは、この何の変哲もないように見える小茄子一つにも表れているのです!

丁寧に入れられた隠し包丁。ひと口噛むと、じゅわ~~っと溢れ出るお出汁。小茄子一つにまで、美味しさの感動が詰まっています。
「丸茄子の田楽」。

とろとろに火入れされた丸茄子。低温で揚げてから、炭火で焼いて余分な油を落とすそうです。田楽みそは、白味噌をベースにごま、卵黄、調味料を合わせて裏ごし。そしてそれらを寝かせてから使われるそうで、角のないまろやかな味わいです。

シンプルなお料理のようで、こちらもとても手が込んでいます。
「もずく酢」。シャキシャキの岩もずくにはホタテを合わせて。角のないまろやかな酸味の味付け。

「胡麻豆腐」。自家製胡麻豆腐は舌触りなめらかでお口の中で瞬く間に消える儚さが。この胡麻豆腐用のお出汁も絶品です。
「稚鮎の炭火焼き」。

香ばしく炭火で焼かれた稚鮎は頭からまるごと頂きます。郡上八幡の上流の貴重な鮎は雑味や臭みは一切なく、清らかな香気と苦味がたまりません。

蓼の葉を擦りおろして裏ごしした、自家製蓼酢とともに頂きます。
締めは、「土鍋ご飯と自家製ちりめんじゃこ」。季節によって炊き込みご飯の場合もあり、伺う度に楽しみがあります。
甘味は「水羊羹」。

お料理もさることながら、甘味も美味しいんです。水羊羹はみずみずしく、なめらかな舌触りと上品な甘さ。最後まで幸せな気持ちに満ち溢れるひとときでした~!
新潟を中心に全国から厳選した旬の食材を活かす、丁寧な仕事ぶり。一品一品、細部に至るまで見えないところに光る職人技には脱帽です。

こんなに手間暇かけた至福のお料理がリーズナブルに楽しめるなんて、皆さんもきっと驚くはず!普段使いにも、特別な日にも、肩肘張らず気軽にその美味しさを愉しめる「懐石 秀石菴」でした。
懐石 秀石菴

懐石 秀石菴

新潟県新潟市西蒲区岩室温泉617
0256-82-2009
営業時間/12:00~14:00(L.O.13:30)、17:00~22:00(L.O.21:30)
不定休※店舗へ問い合わせを

温泉街に新たな風!「南インド料理 NEFAARA(ネファラ)」

岩室交差点から、新潟市岩室観光施設「いわむろや」方面へ。旧北国街道沿いに2022年彗星の如く現れた「南インド料理 NEFAARA(ネファラ)」。

「温泉街に南インド料理店?!」となかなか聞いたことのないコラボレーションに、胸をときめかせ足を運びました。
同店は南インドを旅して回ったご主人と奥様のお二人で営まれています。

「現地の味をそのままに」をコンセプトに日本人好みに寄せず、ご主人が旅をして出会った味をそのまま楽しんでもらうことを大切にしているそうです。

元々は間借り営業やイベント出店がはじまり。徐々に人気を博し、待望のお店を構えようと物件を探した時に、縁あってたどり着いたのがここ岩室温泉でした。

以前飲食店だった店舗はそのままに、家具などは自分たちで改装。ロッジのような雰囲気の、温かみのある空間です。
”インド料理”と聞くと、カレーやナンのイメージが強いのですが、同店で味わえるのは「ミールス」。主食であるお米を美味しく味わうための、おかずや小鉢、スープなどがあれこれ付いた、南インドの定食です。

新潟ではまだ提供する店も少なく馴染みがあまりないかもしれませんが、お米を主食におかずを食べるという食文化は日本と同じ。また、野菜や豆なども多様に使われるので、日本人の口に馴染みやすいと言われています。

カレー好き、スパイス好きは一度食べたらハマるおいしさがあります!
メニューはこちら。

●ベジミールス(1,300円)
南インドの野菜定食。お肉は使われていません。

●ノンベジミールス(+1種1,600円、+2種1,900円、+3種2,300円)
ベジミールスに、お肉や魚介が入ったカレーを追加。

●カリーセット(900円)
カレーをメインに、ライス、アッパラム、アチャール付き。

その他、毎週土曜日限定で"ビリヤニ"というインドの混ぜご飯料理も。温泉街という土地柄、最近ではサウナ後のサウナ飯、通称「サ飯」として同店にいらっしゃる方も多いそうです。

いざ、奥深きスパイスの世界へ

今回私がオーダーしたのは「ノンベジミールス+1種」。

大きなバナナの葉のお皿の真ん中には"ポンニライス"という、南インドで日常的に食べられているお米が。日本米ほどの長さで風味も香りもクセが強くないので、日本人には食べやすいお米なんだそうです。このポンニライスに、副菜などを少しずつ混ぜて味の変化を楽しむのがミールスの醍醐味!

それでは、副菜など一部をご紹介します。
サンバル」という南インドでは定番の豆と野菜のカレー。ミールスの主役のような存在感で、ライスとサンバルの組み合わせをベースに、他のカレーや副菜を混ぜて食べていきます。
ラッサム」は、甘酸っぱいスープ。タマリンドというインドやタイでよく使われるマメ科のフルーツを使用しているそうです。
ワダ」はインドの甘くないお食事ドーナツ。マメをベースにして揚げたおやつのような存在だそうです。「チャトニ」というココナッツのつけダレとともにいただきます。

現地ではミールスには付かないそうですが、お客さんからの待望のリクエストがありミールスに添えることになったそうです。
ノンベジミールスのカレー+1種は「マトンコランブ」。濃厚なセミグレイビーのマトンカレーで、辛味と酸味があります。マトンらしい独特の香りと濃厚な旨味が美味しく、どんどん食欲を掻き立てられるような味わい!
今回初めて「ミールス」というものを食べてみて、その美味しさと楽しさに驚きました。

日本の定食にも主菜、副菜、箸休めなどの味のバランスがあるように、ミールスのおかずたちにもそれぞれの役割があります。最初はそれぞれの味を楽しんで、次に少しずつ混ぜていき、最後には全てが混ぜ合わさり新たに生まれる味わいがあるのです。

スパイスや辛味が全てに使われているわけでなく、甘みや酸味など色々な味覚が楽しめて新たな発見があります!
「食文化っておもしろい!」。

温泉街で出会った異国のお料理は新たな発見と驚きがあり、味覚の幅が広がる新感覚のおいしさ。食文化の奥深さを感じた「南インド料理 NEFAARA(ネファラ)」でした。
南インド料理 NEFAARA(ネファラ)

南インド料理 NEFAARA(ネファラ)

新潟県新潟市西蒲区岩室温泉637
070-3113-9589
11:00~15:00(L.O.14:30)
定休日/月曜、火曜

創業80年を超える老舗菓子店「角屋悦堂」

岩室交差点のちょうど角に佇む菓子店「角屋悦堂(かどやえつどう)」。

その歴史は江戸時代後期から。元々は塩や煙草、生活雑貨を売るよろず屋がはじまりで、時代とともに岩室温泉が湯治場として栄えるようになり、湯治や旅行のお客様のお土産向けに団子やおまんじゅうを作って売るようになったそうです。

「角屋悦堂」としては昭和7年頃から。今では創業80年を越え地元では知らない人がいないほど、岩室温泉の歴史とともに歩んできた老舗菓子店です。
店内には、所狭しとお菓子が並びます。季節を問わない通年商品から、四季を愛でる季節商品まで幅広いラインナップ。

特に季節商品が充実しており、上生菓子や干菓子、季節の果物を使ったお菓子など、訪れるたびに今しか味わえない旬のお菓子に出会えます。
そしてお菓子はお店の奥で、一つひとつ職人さんによる手づくり。

「お客様に安心して召し上がって頂きたい」と、材料は国産のものにこだわり、保存料や着色料、防腐剤などの添加物も極力使っていません。そのため、毎朝作りたての生菓子は賞味期限が短く、ものによっては当日中や2日のものも。

それが美味しさの秘訣であり、安心安全なお菓子の証拠なのです。
そして同店のお菓子の特徴は、どれも上品な甘さで素材の味が活かされていること。初めて口にした時、その控えめで優しい味わいに驚いたことを覚えています。特に色々なお菓子に使われる、餡が美味しいんです!

北海道産の小豆を使用した手作りの餡は、商品によって糖度や炊き方を変え、その数なんと15種類以上も。

あらゆる商品の中でも最も人気なのがこちら。
看板商品「金鍔(きんつば)」は、あずき、青えんどう、白いんげんの3種類。賞味期限は3日で、7~8月の夏場は暑さが厳しく日持ちしないため販売製造をお休みするそうです。

手焼きの皮はもっちり、中の餡は粒感があり豆本来の美味しさが。一つ食べるともう1つと、ついつい手が・・・!

きんつばと言うと、甘みの重厚感が強いものが多いのですが、同店のものは小豆そのものの美味しさが感じられます。そして、3種類それぞれの豆の風味や食感の違いも楽しいんです。
そして、もう一つの人気商品が「水ようかん」。夏場と冬場で、姿も味も変えて登場します。

冬場の水ようかんは、11月から3月頃。材料はシンプルに、こし餡、グラニュー糖、寒天、水という4つの材料のみ。体にスーッと沁み渡るようなみずみずしさ優しい甘さに驚き、一度食べると忘れられない美味しさです。
夏場の水ようかんは、6月~9月頃。冬場のものよりは弾力がありますが、みずみずしさは健在。隠し味の天日塩がポイント。喉越しがよく、ほどよい甘みと塩気で夏の疲れた身体を癒やしてくれます。
豊富な商品の中には伝統和菓子だけでなく、フルーツ大福や洋菓子など新しいエッセンスを取り入れた商品も。

中でも、「シャインマスカット大福」は秋の人気者。柔らかな求肥の中には上品な甘さの白あんと、地元西蒲区の農家さんから仕入れる大粒のシャインマスカットを丸々1粒!果汁がじゅわ~と溢れ出し、とってもジューシー!!

その他コーヒー生大福や、冬~春にかけては苺大福も人気なんですよ。
岩室温泉の特徴である「黒湯」をモチーフにした、竹炭入りの温泉まんじゅうも。
新潟・岩室の四季の移ろいを目で見て、舌で味わい、心で楽しめる和菓子たち。おいしく頂く時間は、日常に彩りをもたらし、旅の思い出をより鮮明にしてくれることでしょう。

温泉街の歴史とともに歩み、伝統の味を守りながらも新たな息吹も取り込む。いつの時代も来店する人々に安心安全でおいしいお菓子を楽しませてくれる「角屋悦堂」でした。

(画像一部提供/角屋悦堂)
 
角屋悦堂 岩室本店

角屋悦堂 岩室本店

新潟県新潟市西蒲区岩室温泉616
0256-82-2004
営業時間/8:00~19:00 
定休日/毎月第4木曜日

結論:岩室温泉街は、胃袋が1つじゃ足りない!

いかがでしたか?

どのお店も個性的で随所にこだわりが光り、想いを込めてお料理や商品を提供されています。また、店主さん同士も交流が盛んに行われていて、一丸となって岩室温泉街を盛り上げようとする結束力も、このエリアの素敵なところ。

岩室温泉では、宿泊は旅館で、夕食は温泉街の名店でいただく「泊食分離プラン」もあり、今回ご紹介したお店とコラボレーションしている温泉旅館もあります。岩室温泉に来たら、間違いなく胃袋が1つじゃ足りません!

宿泊をして温泉に浸かり、ゆっくりと名店の味を堪能。そしてお土産にはお菓子を。温泉並みにアツい、美食が集まる岩室温泉へぜひ足を運んでみてくださいね。
この記事を書いた人
エムコネ

富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中! 

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