新潟ガストロノミー おいしさの裏側を求めて⑨――温泉街に灯りをともす古民家イタリア料理店「KOKAJIYA」/新潟市


2023年01月09日 509ビュー

古民家再生プロジェクトがストーリーの始まり

KOKAJIYAというユニークな店名はこの建物の屋号「小鍛冶屋」からとった。
なんでも本家である温泉旅館のルーツが「鍛冶屋」だったことに由来するそうだ。

岩室温泉街の入口にかかる矢川橋から続くドン坂のつきあたりに静かに佇んでいた築100年を超えるこの家が空き家となっていたものを、縁があってシェフである熊倉誠之助さんが引き受けることになったのだ。
「KOKAJIYAは再生プロジェクトです。人が住まなくなった空き家に再び灯りをともすプロジェクトなんです。」
この再生には地域住民の他、新潟市内近隣のクリエイター20名以上の方が参加したそうだ。
そして、かつての趣はそのままに古民家は「灯りの食邸 KOKAJIYA」として2013年開業。このほど国の有形文化財にも認定された。

料理はその日とれた食材で決める

山、田んぼ、畑、そして海と自然環境に恵まれた岩室温泉地域。食材は豊富だ。
「その時々で採れるものが変わるので、料理はその日に採れた食材で決めます」
沖縄の大学卒業後、バーテンダーとしてキャリアをスタートし、独学で料理を学んで地元新潟へ帰ってきた。
飽くなき探求心が生み出したのは、自然の恵みにシンプルに手を加えた“新潟イタリアン”ともいうべき料理だ。

シェフはハンター

またシェフである熊倉さんは狩猟免許を持ち、食肉処理施設を整え、自ら獲ったカモやキジなどをジビエとして提供している。
スペシャリテは「晩秋のジビエ解禁以降に獲れる小鴨のロースト」。
稲を刈った後に取れる藁を利用し、その藁で燻し野鳥の滋味を引き出す。

またKOKAJIYAは、地域連携の一環として「泊食分離」にも取り組んでいる。
「泊食分離」は宿は1泊朝食の利用で、夕食は近隣の飲食店でとるという近年脚光を浴びている新しい旅のスタイル。
利用者の利便性向上と旅館の生き残り策の一つとして、多様化する観光ニーズに対応するものだ。

さらに近年では隣接する空き家を利活用し、焼鳥店「岩室 とり蔦」や一棟貸しの宿「岩室久元」を開業するなど、岩室温泉の活性化に貢献している。

岩室温泉の夕方、KOKAJIYAに灯りがともる

弥彦山の麓にある、岩室温泉の夜は早い。山の向こうに陽が沈むころ、KOKAJIYAのオリジナルのランタンに火が灯る。
「灯りのあるところには、温度が生まれ、命が宿るといいます。人との会話、料理のぬくもり、そして古民家が持つ温かさをここで感じて欲しいです。」
灯りの食邸 KOKAJIYA

灯りの食邸 KOKAJIYA

住所:新潟県新潟市西蒲区岩室温泉666
電話:0256-78-8781
営業時間:ランチ 11:30〜/13:00〜 ディナー18:00〜/19:00〜
定休日:火・水曜
駐車場:あり(10台)

エリア

新潟・阿賀エリア

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NIIGATA GASTRONOMY

「美食学」と訳され、料理と文化の関係性を考察することを指す“ガストロノミー”。
口にすることで地域の風土や歴史を感じられることから、成熟しつつある食文化の中で、注目を集めている考え方。多様な歴史と文化、豊かな自然に恵まれた新潟県はガストロノミーの宝庫。

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