岩室温泉にある、温泉並みにアツい食の交差点!【前編】KOKAJIYA・とり蔦/新潟市


2023年09月17日 3276ビュー
新潟市唯一の温泉街である「岩室温泉」。江戸時代より北国街道の宿場町として栄え、開湯300年を超える歴史ある温泉地です。

また、「新潟の奥座敷」と呼ばれるこの地は新潟芸妓発祥の地でもあり、今もなお伝統と品格が漂う風情ある町並みが残ります。

そんな岩室温泉街に、温泉並みに熱気を帯びた大注目の交差点があるんです。その交差点をアツくしているものとは・・・

美食!!


今、岩室温泉街のが激アツなんです。

半径50m以内に集結!豪華すぎる交差点

新潟市西蒲区にある岩室温泉街。

新潟駅から最寄りの岩室駅までは、JR越後線に乗って約50分。岩室温泉駅からはタクシーで約10分。自家用車の方は新潟市中心部から約45分というアクセス。その他、バスや空港からの直通タクシーなども用意されています。

温泉街のメインストリートに位置するのが「岩室交差点」。温泉旅館とともに、東西南北と飲食店が集結しています。懐石、レストラン、焼き鳥、南インド料理、和菓子と、ジャンルは多岐に渡りどれも市内屈指の名店揃い。中にはミシュラン星獲得店も!

さらに驚くことは、それらが交差点を中心に半径50m以内と、徒歩圏内でぎゅぎゅっと集結していること!今回は5店舗を前編・後編に分けてご紹介します。ぜひご注目ください。

築120年の古民家レストラン「灯りの食邸 KOKAJIYA」

まず最初にご紹介するのが、こちら。交差点脇すぐの場所に佇む、ひと際風情を放つ古民家が「灯りの食邸 KOKAJIYA(こかじや)」です。
江戸時代後期に建築され、築およそ150年の歴史を持つこの古民家「小鍛冶屋(旧高島家住宅)」は、隣接する温泉旅館「高島屋」の分家。かつては民家として温かな暮らしがあったものの、時代が流れ空き家に。そしてこの建物に再び灯りをともすために誕生したのが同店なのです。

なんと、2022年には国の登録有形文化財に登録。そんな歴史ある文化財レストランでお食事を楽しめるなんて素敵すぎます!
同店が提供するのは、イタリアンがベースではあるものの、ジャンルに囚われない”イノベーティブフュージョン”と呼ばれる革新的かつ自由な発想で生み出した料理の数々。

「ミシュランガイド2020新潟版」や「ゴ・エ・ミヨ2023」など、海外のレストランガイドにも掲載されるなど、国内外から注目が集まっています。
 
新潟産の旬の食材たちを活かすことはもちろん、発酵や乾物といった雪国新潟ならではの食文化や最新の調理法を取り入れるなど、まさに”温故知新”なレストランなのです。

メニューは要予約制で、ランチ・ディナーともに2コースのみ。ランチは12時一斉スタート、ディナーは18時一斉スタートです。
 
●8,800円コース…料理8品前後+自家製パン+食後の飲み物+小菓子
●14,300円コース…料理10品前後+自家製パン+食後の飲み物+小菓子

今回はランチで利用させて頂きました。それでは、お料理のご紹介です!

この土地と季節の恵みを存分に堪能

まず初めに登場したのは「新潟枝豆と南蛮海老のアミューズブッシュ」。
桜のスモークを目の前で纏う演出に、コースの始まりから心を奪われました。

春巻きの皮を焼き上げた器に入るのは、新玉ねぎのピューレを使ったブランマンジェ。中にはねっとりと甘い南蛮えびとずんだピューレ。塩茹でした新潟枝豆と木の芽を添えて。

南蛮海老、枝豆、新玉ねぎという甘みが強い食材たちが桜のスモークを纏うことで味わいにアクセントが。そして、豆の食感と春巻きの皮のパリパリとした食感が楽しい!
続いては「とうもろこしのスフォルマート」。岩室産「ピュアホワイト」という甘みが強いとうもろこしのピューレをたっぷり使用した、茶碗蒸しのような卵料理です。

そして、自家製くるみパン
「ピーマンと出雲崎産サザエの一皿」。

炭火で焼いたピーマンの下に潜むのは、ゆっくりと時間をかけて酒蒸しされた柔らかなサザエ。サザエ自体は肝やオリーブなどを合わせたブラックソースに絡めてあります。そして緑のソースには焼きピーマンとホエイを使用。

苦味と酸味が折り重なり、旨味へと変化する。新しい美味しさを発見した一皿でした。
「鮎ボナーラ」。

なんとこちらは鮎を使ったカルボナーラ!手打ちの生パスタに稚鮎のフリットをあしらってあります。カルボナーラには、新潟市古町「my farm to table おにや」さんの養鶏場からいただいた卵を使用。稚鮎の出汁を忍ばせて、鮎の香りをほのかに感じながらも雑味のないクリアな卵の美味しさが感じられるパスタでした。

仕上げに蓼(たで)のオイルを垂らしてあり、その抜かりないこだわりに驚きが止まりません。
「寺泊産マハタのフリット」。

アオサとチーズの衣を纏ったマハタは、カリッふわっ。添えられている海苔は、一度バラしたものにハーブを加えリメイクされた自家製海苔。海苔まで自家製だなんて・・・シェフすごすぎます!!
「山女魚のコンフィ 熟成味噌ソース」。

12時間低温で火入れされ、骨までホロホロになった山女魚のコンフィ。黒にんにくや熟成味噌を合わせたソースとツルムラサキを添えて。

コリアンダーシードの自家製ピクルスが味噌ソースに合います。新潟らしいお料理だなと感じるとともに、そこにスパイスを組み合わせた新しさに、新たな食の発見を感じました。
「山古志和牛のロースト」。

メインのお皿は、新潟県の県央地域に位置する山古志産の和牛を60日熟成をかけてから低温で火入れし、仕上げに藁の燻製で香り付けしたもの。付け合せは、甘酸っぱいソースに漬け込んだ茄子のアグロドルチェと、鶏のブロードで煮込んだ干しわらびを。

肉々しくも柔らかく、絶妙な火入れに感動の渦!シェフの科学が詰まった一皿です。
そして締めのご飯。目の前で羽釜の蓋を開いてくださると、黄色い宝石が・・・
「とうもろこしと毛蟹の炊き込みご飯」。

2品目と同じ岩室産のとうもろこしと毛蟹がふんだんに入っています。もう、香りがすごいんです!とうもろこしと毛蟹の甘い香りに思わずうっとり。アワビの肝と弥彦村のブランドしいたけ「やひこ太郎」、ポルチーニ茸などのソースが添えられています。

もうその美味しさは言わずもがな…これまで沢山のお料理をいただいてお腹いっぱいのはずですが、スルスルとお腹に入っていくのはなぜでしょうか?!
そして、ドルチェ1品目は「青梅とトマトのコンポート」、​2品目は「黒豆ソースのブランマンジェ​」
そして、ドルチェ2品でおしまいかと思えば・・・
「わぁ~!」と思わず見惚れる素敵な演出で登場したのは、焼き菓子とコーヒー。酒粕と柚子のバターサンド、焦がしバターの抹茶フィナンシェ、ライムとメロンのマシュマロの3種でした。
今回初めて訪れましたが、最初の一品目から最後の小菓子まで、その見た目にも味わいにも驚きと感動の連続!

シェフの料理への探究心、生産者への敬意と尊敬、そしてお客様に喜んでもらいたいという想いが一皿一皿に込められていて、お腹も心も温かく満たされお店を後に。

大切な人を連れてまた来たくなる文化財レストラン、「灯りの食邸 KOKAJIYA」でした。
灯りの食邸 KOKAJIYA(こかじや)

灯りの食邸 KOKAJIYA(こかじや)

新潟県新潟市西蒲区岩室温泉666
0256-78-8781
営業時間 ※食事はコースのみ
Lunch/ 12:00〜 Dinner/18:00〜
定休日/不定休

温泉街に佇む粋な焼き鳥屋「岩室 とり蔦」

続いては、岩室交差点から山側へ、KOKAJIYAと慶覚寺(きょうがくじ)横の脇道を上がった途中に佇むのが「岩室 とり蔦(とりつた)」です。
かつて岩室芸妓が商いをしていた空き家をリノベーションして、2021年にオープン。店主の岩田さんは、東京の串焼き店や日本料理店で長年修業をされてこられ、ここ岩室にお店を構えました。
店内は、土壁と越後杉の白木のカウンターが印象的な静かな空間。テーブル席も用意されています。

私が初めて伺ったのはちょうど1年前。これまでの焼き鳥の概念を覆す美味しさに驚きと感動の連続で、すっかり大ファンに。それから何度か通わせて頂き、今に至ります。

特に温泉に入った後、リラックスした状態でいただく焼き鳥って最高じゃないですか?(夜はお酒も!)
メニューはコースのみで事前予約制。懐石仕立てで楽しめるコースは、昼と夜で内容が異なります。

●昼の部…3,500円
●夜の部…8,800円

今回は、昼の部のランチをご紹介します!

鶏と季節を愉しむ、焼き鳥懐石

名物、「焼き胡麻豆腐」

同店の先付けで必ず出てくるのが、このお料理。
外はカリッ、中は熱々でねっとりとろとろ。なんとも言えない珍しい食感で、優しくも濃厚な胡麻の風味と甘みが口いっぱいにひろがります。添えられている醤油麹とわさびに、同店の粋を感じます。
「岩室産とうもろこしの摺り流し」。

岩室産とうもろこし「ピュアホワイト」と、ゆで汁、そして三五八(さごはち)という自家製調味料のみで味付けした、シンプルな一品。

「三五八」は東北地方の郷土料理で、塩・米麹・蒸した米を「3:5:8」の割合で混ぜて作るのだそうです。新潟でも昔は馴染みがあった発酵調味料で、郷土の食文化を取り入れているのも同店ならでは。

そして「オクラの天ぷら」。焼き鳥を焼いた炭の灰を釉薬(ゆうやく)にした、特注の器も素敵です。
1串目は「ねぎま」

この日のランチでは四万十鶏を使用。ランチ、ディナー、そして仕入れによって使う鶏を変えているそうです。ねぎまは、ジューシーながらも上品な脂。お料理もとても美味しいのですが、同店の焼き鳥は思わず唸る、想像を超える美味しさがあります!
2串目は「ハツ」​。

私が知っているハツは弾力のある肉質というイメージだったのですが、こちらのハツはふわふわで柔らか。丁寧な下処理と絶妙な火入れで、これまでの概念を覆します。口の中からなくなることを惜しむように、1本を噛み締めて味わいました。
新潟の夏の郷土料理「くじら汁」

くじらの皮とゆうごう、それに自家製梅肉を添えて。お出汁は田舎味噌と白ごまペーストを合わせてあるそうです。そして、隠し味にはとある野菜から作ったオリジナルの味噌が忍ばせてあるとのこと。郷土料理をとり蔦風にアレンジした一品です。
この日の締めのご飯は、5種類から選べました。
  • 風鶏親子丼
  • 鶏そぼろめし
  • 津南舞茸と地鶏のあんかけ
  • 焼鳥丼
  • 塩にぎり

私が選んだのは焼鳥丼。仕上げに炭を直接焼き付け、ジュ~っと炭火の芳ばしい香りが立ち込めました。
見てください、この照り!美味しいに決まっていますーーー!!

修業先から頂いたという45年継ぎ足しのタレを纏った焼き鳥たち。もう、言葉が出ないくらい・・・感動の美味しさ!!思い出しただけで、幸せが蘇ってきます。

美味しいのは、焼き鳥だけでなくご飯も。炊きたての竈門飯は一粒一粒が立っており、その絶妙な炊き具合に脱帽です。
最後に甘味「すだちのシャーベット」​。

旬のすだちのシャーベットにいちじくを添えて。最後まで手抜かりなく、新たな季節の訪れを感じさせて頂きました。
日本料理店で修業されていたこともあって、田舎料理と銘打った季節のお皿は洗練さがあり懐石料理のよう。そして主役の焼き鳥は1串の存在感がすごいんです!焼き鳥が数多く楽しめる夜のコースは、とり蔦の真骨頂。ぜひこちらもオススメです。

肩肘張らない空間と、美味しいお料理、そして店主さんの温かなお人柄のすべてにおいて、幸福感とあたたかな余韻をもたらしてくれる「岩室 とり蔦」でした。
岩室 とり蔦(とりつた)

岩室 とり蔦(とりつた)

新潟県新潟市西蒲区岩室温泉667-19
0256-78-8618
営業時間/11:30~14:00、18:00~22:00
定休日/火曜、水曜

引き続き【後編】もご覧ください!

この記事を書いた人
エムコネ

富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中! 

PR