釜めし屋で「釜かき氷」?めだかも食べちゃうの?「城下町 釜飯 めだかの里」/五泉市


2024年08月13日 36ビュー
梅雨が明けると一気に暑くなってきた気がしますが、今年の夏はどうなるのでしょうか?
国道沿いに「釜かき氷」(!?)という気になる名前ののぼりが立っていたので、訪ねてみました。
場所は五泉市村松の国道290号線が阿賀野川の支流、早出川と交差する地点の近く、
JR磐越西線の五泉駅から車で10分ほどのところにあります。
国道脇には「期間限定 釜かき氷」ののぼりが風にはためいていました!
駐車場の前は山と田んぼの新潟らしい景色が広がっています。

めだかの学校は川の中、めだかの里は早出川の脇

「城下町 釜飯 めだかの里」は旧村松町で140年続く「割烹仕出し 松の家」が2022年10月に始めた釜飯専門店です。
店主の周佐駿さんによればコロナ禍で割烹仕出しを利用する冠婚葬祭が減ったため、少人数でも楽しめる新しいコンセプトのお店を以前「松の家」が経営していた別店舗の跡地に始められたそうです。
のれんや障子で区切られている和モダンな内装の個室や半個室のスタイルです。
テーブル室、座敷、掘りごたつ個室などがあり団体でのご利用もできるそうです。

地元のお米を使って注文を受けてから炊くこだわりの釜飯

まずはじめに釜飯をいただきます。
定番メニューとしては「五目釜飯」に三品目を追加し海老、帆立、鮭、椎茸、たけのこ、栗、鶏肉、うずら、さやいんげんの入った「八目釜飯」などがあるらしいのですが、今回はエビが踊り出すように飛び出た「特上海老釜飯」を選択しました。

お吸い物・漬物付きの「単品」(2,178円税込)でも注文できるのですが、さらにサラダ、本日の小鉢2点、めだかの佃煮のついた「籠盛りセット」(2,508円税込)を注文させていただきました。
特上海老釜飯はエビフライと尾頭付きの有頭海老蒸しエビ小エビの四種類のエビが入ったとことんエビが楽しめる釜飯になっています。
お釜からお椀によそうと、ひかえ目についたおこげが嬉しいです。
プリプリのエビと一緒に食べる、出汁の染み込んだ炊き込みご飯がいいコンビネーションプレイを繰り出してきます!
お米はもちろん100%村松地域で作られた地元のお米だそうです!

タルタルソースをつけるサクサクのエビフライや有頭海老は、仕出し弁当やオードブルでお馴染みの品なので、
こうした部分に140年続いた割烹の技が活かされているのではないのかなと感じました。

エビをたっぷりと味わえる釜飯でしたが、これ以外にも仙台の牛タンをたっぷりと味わえる「仙台牛タン釜飯」、贅沢にウニをたっぷりと味わえる「極上うに釜飯」、お子さんも喜ぶ迫力満点の「ハンバーグ釜飯」など非常にバラエティに富んだ釜飯を食べることができます。

期間限定の釜飯が販売される時もあるそうなので、気になる方はSNSをチェックしてください!

ずっと守り続けられてきた越後の珍味

一品料理として陶板焼きや揚げ物もありますが、
やはり特徴的なのは店名にも入っている郷土料理「めだかの佃煮」です。

村松地域では昔からめだかの佃煮が冬場の貴重なタンパク源として食べられてきたそうです。
店主のお話によればお殿様にめだかの佃煮を献上したとか、めだか特有のほろ苦さから酒の肴として食べられてきたといったお話が残されてきたとのことでした。
2003年には絶滅危惧種に指定されためだかですが、「松の家」の先々代の頃から野生のめだかが減少してきたために、有志の方とめだかの生産組合をつくって養殖めだかを確保し、佃煮を守り続けてきたそうです。
醤油とお酒で佃煮にするだけのシンプルな料理ですが、めだかはすぐに形がくずれてしまうので煮くずれしないように調理するのは大変難しいそうです。伝統の技が活かされてますね!
濃い目の味付けで付け合わせの大根おろしと一緒に食べると程よい味になります。
小さいめだかをチビチビと味を噛みしめるように食べると、食通の小粋な大人になった気分になれます!

そもそもめだかを食べるという行為自体が地元の人以外では聞き馴染みがないことだと思います。
めだかを食べる文化のある地域は新潟県の他にはないみたいですし、それを佃煮にする地域は村松地域の他は見附市や阿賀町の一部などごくわずかです。大変レアなお味を経験できてしまいます~。

同じく受け継がれてきた郷土料理

同じく郷土料理の「鯉の甘煮」は他県でも食べられていますが、会津や米沢など海の魚が手に入りにくい地域のお正月やお祝いの日などハレの日のごちそうだったようです。
箸で崩せるほど柔らかいのに食べてみると意外と身がしまっている気がします。

小骨が多いのでめだかの佃煮と同様に小さいお子さんが食べるよりは、「昔はこういうものを食べていたんだよね」と過去を振り返る余裕がある人に向いているかもしれません。

驚きの新しい発想で冷たさが続く釜かき氷!

さていよいよ注目していた「釜かき氷」です!
宇治の抹茶を自家製シロップにして北海道産のゆであずきときなこ、黒みつソースをかけた「宇治抹茶の釜かき氷」(1518円税込)をチョイスしました。
ほかに釜かき氷は酸味と甘みのバランスが絶妙なあまおう苺を使った「福岡県産のあまおう苺の釜かき氷」、高級マンゴーのアルフォンソマンゴーを使った「南国マンゴーの釜かき氷」の3種類があります。

器にするお釜は冷凍庫に入れてあるそうで、キンキンに冷えていました。
これ、冷凍できるタンブラーにお酒を入れて出すのと同じ理屈ですね!

見た目も面白いですがこのお釜のおかげで氷が溶けにくく急がなくても最後まで美味しく食べられるようです。
温かいご飯を入れるお釜にかき氷を入れようと考えたその発想力がすごいです!
宇治抹茶の釜かき氷はゆであずき、きなこ、黒蜜ソースの三位一体トッピングがあるので抹茶の主張はそこまで強くはなく、シャリふわのスイーツとして楽しめます。
また途中から抹茶シロップや練乳、きなこを追加してお好みの味に味変することもできました。
食べ進めていくと下になにやら透明なプルプルのものが…!?
なんと底にはお店のオリジナルデザート「ごせん清流もち」が入っているそうです。
メニューの説明文にもなかったので完全にサプライズでした!

ごせん清流もちは五泉の清流をイメージした透明感のあるオリジナルデザートで、海藻やマメ科植物から作る「アガー」という寒天よりも透明度のある食材を使っているそうです。
なめらかな食感をかき氷や抹茶シロップと一緒に最後に楽しめる仕掛けになっていました~。

時には郷土のお酒と一緒に

「めだかの佃煮」は酒の肴としてもおススメなので、車の運転をされない方はお酒を楽しむのもいいかもしれません。
老舗割烹が経営するだけあってお酒の品揃えも豊富ですが、特徴的なのは同じ村松地域で作られているお酒「越後杜氏」です。
地元の霊峰白山の伏流水「天狗の清水」を使って仕込まれた淡麗辛口のお酒だそうです。 
地元の食材を使った地元の料理に地元のお酒、いいですねえ。

ちなみに金曜日から日曜日はディナータイムの営業もされています。
余談ですが、お店の外にひっそりと「挽持石(ばんもちいし)」と書かれた石が置いてありました。
これは一般的には「力石(ちからいし)」と言われ(矢吹ジョーのライバルは関係ないですが)若者が力比べをするために順番に持ち上げた石のことで、日本中のいろいろな神社や史跡などに置かれているものです。
富山や石川では「盤持石」と呼ぶらしいのでその系統なのでしょうか?

経験上だいたい神社にあるものなのですが、「めだかの里」の前にあったお店も若者のたまり場だったのでしょうね。
さすが創業140年は歴史が深いです。ひっそりと歴史文化の発見をしてしまいました。
三方が山で囲まれている五泉市は良質な地下水が豊富な土地だと言われています。
清流の水で育ったお米に美味しい水で作られたかき氷、伏流水で仕込まれたお酒まで五泉の水の良さを味わえるお店だと感じました。

店主の周佐さんによれば「年々お客様も定着してきているので、変わらない味を守りつつ目新しいものにもチャレンジしていきたい」とのことでした。
めだかの佃煮や鯉の甘煮は郷土誌に載せてもおかしくないくらいの食べ物ですからぜひ守り続けていただきたいですし、変わり種の釜めしや釜かき氷といった新しいものもぜひ食べてみたいと思いました。
変わらないものと新しいものの不易流行が地域を元気にするカギかもしれません。

今年の釜かき氷は9月末までの予定だそうですので、興味を持たれた方はお早めにどうぞ!
城下町 釜飯 めだかの里

城下町 釜飯 めだかの里

住所:五泉市上木越甲822
電話:0250-47-7797
営業時間:月・火・木曜 11:00~15:00(料理L.O. 14:00 ドリンクL.O. 14:30)
     金・土・日曜 11:00~15:00(料理L.O. 14:00 ドリンクL.O. 14:30)および 17:00~22:00(釜飯L.O. 20:00 料理L.O. 21:00 ドリンクL.O. 21:30)
定休日:水曜日
駐車場:20台

この記事を書いた人
まきたろう

若い頃は自転車日本縦断や四国八十八ヶ所の歩き遍路など旅を住み家とし、新潟に戻っても漂泊の思いやまず仕事の傍ら県内外をさ迷っている人生まだまだ旅の途中の人。 昭和とか縄文とか古いものが好き♪五泉市在住。