「にこにこひろば」で眺める絶景の棚田と「山古志ごっつぉ多菜田(たなだ)」で味わう地元お母さんたちの郷土料理/長岡市
2025年06月28日
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こんにちは、南魚沼市在住のシバゴーです。春になると山菜採りが忙しくなり、魚沼市出身の友人に案内してもらいながら、山古志方面にも頻繁に足を運びました。わずかな距離の移動のような気がしますが、山古志の風景は南魚沼とは違うんだなあと思いました。
特に棚田の風景を見ると、その違いが一層際立ちます。山古志の棚田風景には、私たちの心をつかんで離さないような、魅力があります。
特に棚田の風景を見ると、その違いが一層際立ちます。山古志の棚田風景には、私たちの心をつかんで離さないような、魅力があります。

思いがけず見つけた棚田の絶景スポット
棚田は見たい。でも、山間の道路をかなり進んで、いいスポットを探し、見つけても車を駐車するのが大変…そんなイメージを持っていました。
ところが、ある日、思いがけず素敵な場所を発見しました。山菜採りを少しだけして、お昼を食べて帰ろうと山古志を訪れた時のことです。
「美味しいお蕎麦が食べられるお店がある」と、友人がスマホで検索しナビしてくれました。私は言われるままに運転。その途中で友人が急に、「ちょちょちょ、ちょっと止まって!」と言い出しました。「えっ、なになに?」と私が答えたのも束の間、少し進んだところでUターンして戻ることに。
ところが、ある日、思いがけず素敵な場所を発見しました。山菜採りを少しだけして、お昼を食べて帰ろうと山古志を訪れた時のことです。
「美味しいお蕎麦が食べられるお店がある」と、友人がスマホで検索しナビしてくれました。私は言われるままに運転。その途中で友人が急に、「ちょちょちょ、ちょっと止まって!」と言い出しました。「えっ、なになに?」と私が答えたのも束の間、少し進んだところでUターンして戻ることに。
ここが駐車場。何の駐車場?と調べたら、道路を挟んで向かいの「にこにこひろば」の駐車場でした。
Uターンして戻ると、こんなかんじ。左側が「にこにこひろば」店舗で、道路の右側が駐車場。

車から降りたら、すぐ目の前に絶景が広がる
「うわあ、すごーい!」
「こんないい場所があるなんて!」
木々の間から見える棚田。思わず、感激の声が上がりました。
「こんないい場所があるなんて!」
木々の間から見える棚田。思わず、感激の声が上がりました。
ブランコも置いてあり、自由に座ることができました。
鉄製ではなく、自然の温もりを感じる木製のブランコに揺られながら、目の前に広がる棚田の美しい風景をゆったりと眺めることができます。
訪れたのは5月末のことでした。にこにこひろばの駐車場から見下ろす棚田は、一枚一枚に水がはられていて、青空が映る田んぼと草木の鮮やかな緑が美しい光景を作り出していました。

空と大地が織りなす、山古志ならではの棚田風景
ふと友人が「なんで田んぼが茶色なんだろう?もしかしてお米の田んぼじゃなくて、鯉を飼うための池なのかな?」と話しました。
「なるほど、そうかもしれない」と思いながら、棚田の近くまで車で行ってみました。実際には、茶色く見えた田んぼは、お米の田んぼでした。でも、鯉を飼っている池もあって、「さすが、鯉の名産地・山古志だなあ」と感心しました。
これから先、季節が進むにつれて、稲がすくすくと育ち、棚田全体が緑色の絨毯のようになっていくのでしょう。そして、田んぼや池に映る空の青色と、稲の緑色が織りなす風景は、まるで自然が描いたパッチワークのようになるのかもしれません。
「なるほど、そうかもしれない」と思いながら、棚田の近くまで車で行ってみました。実際には、茶色く見えた田んぼは、お米の田んぼでした。でも、鯉を飼っている池もあって、「さすが、鯉の名産地・山古志だなあ」と感心しました。
これから先、季節が進むにつれて、稲がすくすくと育ち、棚田全体が緑色の絨毯のようになっていくのでしょう。そして、田んぼや池に映る空の青色と、稲の緑色が織りなす風景は、まるで自然が描いたパッチワークのようになるのかもしれません。

「にこにこひろば」で出会う、山古志の魅力いろいろ
棚田風景を堪能したあとは、「にこにこひろば」へ。山古志の特産品やお土産、雑貨などが並ぶ、地域の魅力がぎゅっと詰まった販売店です。
店主の西原さんにお話を伺いました。
中越大震災は、2004年10月に新潟県中越地方を襲った大規模な地震で、特に山古志は甚大な被害を受けました。多くの家屋が倒壊し、住民の生活は一変しました。この震災をきっかけに、地域の復興とともに山古志の伝統や特産品を守り発信することの大切さを改めて感じたそうです。そこで、山古志のお土産や特産品、民芸品を販売する場所が必要だと思い、このお店を始められました。
店名には「みんながにこにこ集まれる場所にしたい」という思いが込められています。
中越大震災は、2004年10月に新潟県中越地方を襲った大規模な地震で、特に山古志は甚大な被害を受けました。多くの家屋が倒壊し、住民の生活は一変しました。この震災をきっかけに、地域の復興とともに山古志の伝統や特産品を守り発信することの大切さを改めて感じたそうです。そこで、山古志のお土産や特産品、民芸品を販売する場所が必要だと思い、このお店を始められました。
店名には「みんながにこにこ集まれる場所にしたい」という思いが込められています。
お店の中に一歩足を踏み入れると、山古志ならではの魅力的な商品がずらりと並び、つい目移りしてしまいます。なかでも目を引いたのは、小さな猫が入るくらいの大きさの「猫ちぐら(※)」。ワラで丁寧に編まれたその姿はとても可愛らしく、存在感があります。
※南魚沼では「つぐら」と言いますが、山古志では「ちぐら」と言うそうです。
※南魚沼では「つぐら」と言いますが、山古志では「ちぐら」と言うそうです。
階段を数段上がると、レジ前の売り場にはさらに多くの商品が並んでいます。
錦鯉やアルパカのデザインがあしらわれた手拭いも目を引きます。なかでも、いちばん左に下げられた赤い錦鯉の手拭いは、店主・西原さんの娘さんがデザインされたのだとか。錦鯉のかわいらしさと洗練されたフォルム、印象的な赤が美しく調和した、山古志ならではの素敵なデザインです。
アルパカのぬいぐるみが並んでいました。見た目からしてふっわふわ。実際になでてみると「なに、この柔らかい毛!」と驚くほどの手触り。ふわふわのぬいぐるみって、心をほっこりさせてくれて、愛おしさを感じますよね。
売り場の奥には、テーブルとベンチが並ぶカフェスペースがあり、コーヒーなどのドリンクや、カレー・おにぎりなどの軽食が楽しめます。
おすすめは「山古志伽哩(カリー)」。地元特産の「かぐらなんばん」を使った緑色のカレーです。タイのグリーンカレーのようなスパイス感やココナッツミルクのコクとは違い、素朴でサッパリした味わい。ほどよい辛さが食欲をそそり、かぐらなんばんの風味が口に広がります。店内のカフェで味わえるほか、冷凍パックも販売されているので、お土産としても人気です。山古志ならではの一品を、ぜひ味わってみてください。
※写真のメニュー表は2025年5月時点です。
にこにこひろば
【住所】長岡市山古志虫亀759
【電話】080-1335-2386
【営業時間】毎週土・日曜 11:00~14:00 ※フードスタンドも同時営業

山古志のごっつぉが味わえる食堂へ。
美しい棚田風景を眺めたあと、山古志の「ごっつぉ(=ご馳走の方言)」を味わいに「多菜田(たなだ)」へ行きました。
「にこにこひろば」から約600メートル。とても近いので、気軽に足をのばせます。山古志を訪れるなら、どちらもぜひ寄ってほしいおすすめのスポットです。
「にこにこひろば」から約600メートル。とても近いので、気軽に足をのばせます。山古志を訪れるなら、どちらもぜひ寄ってほしいおすすめのスポットです。
地元のお母さんたちが切り盛りする、あたたかい雰囲気の食堂です。建物の脇に3台ほど駐車できる他、少し離れた場所にある広めの駐車場にも停められます。
靴を脱いで畳の座敷に上がると、明るい店内にテーブルが並び、ザブトンに座ってくつろげます。この日は13時過ぎの訪問でしたが、店内は、ほぼ満席。地元の人にも観光客にも愛される、人気のお店です。
※写真は、数組のお客さんが帰られたあと、閉店の間際に撮りました。
※写真は、数組のお客さんが帰られたあと、閉店の間際に撮りました。

定番の「多菜田煮物定食」
「多菜田煮物定食」は、ぜんまい、手作りこんにゃく、車麩、身欠きニシンなどが入った煮物と、品数豊かな小鉢がセットに。ごはんはおかわり自由というのも嬉しいポイントです。
やっぱり煮物といったらぜんまいで、これこそ「ごっつぉ」。車麩は煮汁をたっぷり吸ってモッチリとした食感で、他には代用できない美味しさです。
この日の味噌汁には、あまんだれ(ナラタケの新潟名)が入っていたり、小鉢には木の芽(あけびの新芽)のお浸しやワラビの酢の物など、季節の味わいもたっぷり。春の味わいを満喫しました。

そばとうどんも人気。山菜の天ぷらの「天ざるそば」。
「天ざるそば・うどん」や、土日限定の手打ちそばも人気。訪れたのは平日だったので、写真は手打ちそばではありません。
季節によっては、ウド、フキノトウ、コゴミ、山たけのこ、コシアブラなど、地元で採れた山菜が天ぷらで楽しめます。5月末の訪問時、まだフキノトウがあるのが珍しくて聞いてみると、今年(2025年)は全体的に山菜の時期が遅く、残雪も多かったとのこと。残雪のある場所で採ってきた、時期外れのフキノトウだったそうです。

代表の五十嵐さんが語る「多菜田」について
「多菜田」の代表・五十嵐さんは、震災の4年目にあたる2008年、お店を開業しました。現在(2025年)は17年目を迎えています。
「震災で多くの人に支えられたから、今度は自分たちにできることで恩返しをしたい」。そんな思いから、仲間とともに「ごっつぉ」をふるまえる場をつくりました。山古志を心配して訪れてくれる人たちに、地元のお母さんたちが作るような、あたたかくて、なつかしい味を提供したい、と語ってくださいました。
実際に訪れた関東在住のお客さんが、「昔、長岡に住んでいたとき、母が作ってくれた料理の味を思い出した。なつかしくて涙が出た」と言われたそうです。胸がじんとするお話だなあと思いました。
「震災で多くの人に支えられたから、今度は自分たちにできることで恩返しをしたい」。そんな思いから、仲間とともに「ごっつぉ」をふるまえる場をつくりました。山古志を心配して訪れてくれる人たちに、地元のお母さんたちが作るような、あたたかくて、なつかしい味を提供したい、と語ってくださいました。
実際に訪れた関東在住のお客さんが、「昔、長岡に住んでいたとき、母が作ってくれた料理の味を思い出した。なつかしくて涙が出た」と言われたそうです。胸がじんとするお話だなあと思いました。
多菜田(たなだ)
【住所】新潟県長岡市山古志虫亀947
【電話】0258-41-1144
【営業時間】11:00~14:00
【定休日】毎週月・木曜(祝日営業)

震災から20年。守り続けたい山古志の風景や食文化。
昨年(2024年)10月23日、中越地震から20年を迎えました。
当時、私は東京に住んでおり、たまたま南魚沼市に帰省していたときに被災しました。震源は北魚沼郡川口町北部の地下とされ、山古志では震度6強。そこから50キロほど離れた南魚沼市でも、大きな恐怖を感じました。震源地に近い地域では、大切な命がたくさん失われました。その時を思い出すと、今も胸が苦しくなります。
山古志にとっても、もちろん忘れられない、大きくて、つらい出来事。あのときの恐怖や苦しみを抱えながらも、山古志で暮らしている人たちにお会いできたことで、震災を乗り越え、大切に守り続けたい山古志の風景や食文化があるのだ、と思いました。
美しい山古志。ぜひ足を運んでみてください。
当時、私は東京に住んでおり、たまたま南魚沼市に帰省していたときに被災しました。震源は北魚沼郡川口町北部の地下とされ、山古志では震度6強。そこから50キロほど離れた南魚沼市でも、大きな恐怖を感じました。震源地に近い地域では、大切な命がたくさん失われました。その時を思い出すと、今も胸が苦しくなります。
山古志にとっても、もちろん忘れられない、大きくて、つらい出来事。あのときの恐怖や苦しみを抱えながらも、山古志で暮らしている人たちにお会いできたことで、震災を乗り越え、大切に守り続けたい山古志の風景や食文化があるのだ、と思いました。
美しい山古志。ぜひ足を運んでみてください。
この記事を書いた人
南魚沼市在住。趣味は写真撮影と読書で、本で調べた所へ行って写真を撮ることをライフワークとしています。神社彫刻が好きで、幕末の彫刻家・石川雲蝶と小林源太郎、「雲蝶のストーカー」を公言する中島すい子さんのファン。地域の郷土史研究家・細矢菊治さんや、地元を撮影した写真家・中俣正義さん、高橋藤雄さんのファンでもあります。