新潟の台所だョ!「青海ショッピングセンター」に全員集合/新潟市


2026年04月29日 33ビュー
時は令和。お店に行かなくても欲しいものはインターネットで買えるし、知りたい情報も検索すればすぐに見つけることができる。便利な時代になったものですねぇ。

しかし、どんなに時代が進んでも、変わらない大切なものがある──そんなことをしみじみと感じられる場所があります。
その名も、「青海(おうみ)ショッピングセンター」​。

ショッピングセンターとはいえ、ちまたにある商業施設とは全く異なる佇まい。レトロでどこか懐かしい雰囲気が漂っています。初めて訪れる方は、足を踏み入れるのに少し勇気がいるかもしれません。

しかぁーーし! ここを知らないなんてもったいない。せっかく新潟に来たのに寄らないなんてもったいない。(大切なことなので2回言います)

なぜならここは、昼(むしろ朝)からお酒を飲めて、新潟のおいし~い魚介が集まり、他では扱っていない珍しい商品が置いてある特別な場所だから。新潟ならではの食がぎゅーっと詰まったディープスポットなんです!

アーケードが連なる「ぷらっと本町」へ

JR新潟駅から車で約10分、新潟市中央区本町通6の商店街「ぷらっと本町(ほんちょう)」にやってきました。

この一帯は江戸時代から市場として栄え、食材や生活用品を扱う露店が並び、市民の台所として親しまれてきた場所。今も商店街には野菜や花などを扱う露店や鮮魚店、青果店、菓子店などが軒を連ね、にぎわいを見せています。

その一角に佇む「青海ショッピングセンター」は、1979(昭和54)年に開業した複合施設。現在も多くの市民や観光客に親しまれている人気スポットです。
ショッピングセンターというとさまざまなジャンルの店舗が入っているイメージがありますが、ここに集まるのは「食」にまつわる6店舗。今回はすべてのお店に潜入し、「青海ショッピングセンター」の魅力をたーっぷりご紹介します。記事の最後まで、どうぞお付き合いくださいね。

〈紹介店〉
古川鮮魚
新潟本町 鈴木鮮魚
丼や いし井
鵬龍
山中園
海産物 わしお

目利きが誇り! 本町を支えてきた老舗鮮魚店「古川鮮魚」

「おねえさんいらっしゃーい! 今日は佐渡のイワシがおいしいよー」

店先には、焼き魚や煮魚、本ズワイカニ、岩ガキなど日本海のごちそうがずらり。女将さんの明るい声に迎えられ、思わず立ち寄りたくなるのが「古川鮮魚(ふるかわせんぎょ)」です。(おねえさんと言われてうれしい中年の筆者)

同店のルーツは九州出身の初代が、戦後に本町人情横丁で魚屋を開いたのが始まり。その後、「青海ショッピングセンター」開業とともに現在の場所へ移りました。長年にわたり、地域の食を支えてきた一軒です。
「初代から、『どこにでもある魚ではなく、本当にいいものを正直に届けなさい』と教わってきました」と話すのは、女将の山田隆子さん。現在は息子の山田直隆さんが3代目として店を切り盛りしています。店の強みは、代々受け継がれてきた目利きの力。直隆さんは仲買人の顔も持つため、毎朝3時30分に起きて市場へ足を運び、自らの目で選び抜いた魚を仕入れています。

新潟や佐渡の魚介を中心に扱い、買い物だけでなく、その場で味わえるのも魅力の一つ。定食や海鮮丼など、気軽に新潟の旬を楽しめます。
さぁ、まずご紹介するのは​「お刺身定食」1,600円。小鉢2品、ご飯、味噌汁、香の物付きで、なんとお刺身の盛り合わせには、白身の王様と言われている高級魚「のどぐろ」も入っているではありませんか! 

ひと口食べて感じるのは、魚そのもののうま味の強さ。そして、プリッとした身の締まり具合は新鮮な証。県内外のリピーターが多いというのも納得のおいしさです。
次に、「お得ランチ」も。先ほどのお刺身ランチと同様、ご飯、味噌汁、小鉢2品、香の物が付いてきます。お得ランチは3種類あり、旬の魚料理が1,000円。揚げ物または焼き魚の場合は900円です。さすがは新潟の台所、お財布にやさしくてありがたい…。

この日の旬の魚料理は「佐渡産いわしの煮付け」。もう、写真で見ても分かる通り、身がふっくらしていて脂がのっています。そして、あまじょっぱい味わいが中まで染み込み、ご飯がすすむんだな~。
「お客さんを大事にすること」。その思いは3代目へと受け継がれ、今も店の随所に息づいています。確かな目利きと女将さんの温かさに、また帰ってきたくなる。そんな愛すべき一軒です。次、いってみよう~!
古川鮮魚

古川鮮魚

TEL 025-223-2966
営業時間 11:00〜17:00
定休日 木曜

数々の受賞歴を誇る実力店「鈴木鮮魚」

続いては、もう一軒の鮮魚店「新潟本町 鈴木鮮魚」へ。こちらも鮮魚の販売はもちろん、その場で魚料理や一杯を楽しめる、にぎわいの絶えない人気店です。朝9時から営業しているので、朝食や少し早めの昼食にもぴったり。

1933(昭和8)年に、現在3代目となる鈴木正さんの祖母が、リヤカーで行商を始めたのがルーツです。その後、行商から露天商へ業態を変え、1983(昭和58)年、正さんの代で「青海ショッピングセンター」へ出店。時代に合わせて形を変えながら、長く本町の食文化とともに発展してきました。
こちらも、毎朝市場で直接仕入れてきた魚介を店内でさばいています。オンラインショップや県外の催事出展にも力を入れていて、魚の加工や発送までをすべて手作業で行っているんですよ。

開店から閉店まで、従業員の皆さんが忙しく立ち働く様子も、まるで市場さながら! そのいきいきとした活気を間近に感じながら食事ができるのも、この店ならではです。
そしてご覧ください。お酒好きにはたまらない、ワンカップコーナー。辛口から旨口まで、同店が選んだ県内の地酒が十数種類そろいます。ビールやサワーもあり、好きなものを選び、後で会計するという気軽さもたまりませんねぇ。その他、こちらのコーナー以外に、生ビールや日本酒(1合~)もありますよ。
さぁ、登場したのは「海鮮丼A」1,800円。その日の仕入れにより内容は異なり、10種類前後の旬の魚介が丼いっぱいに盛り込まれています。県産コシヒカリを使った酢飯と、厚切りの刺身との相性は抜群。小鉢と味噌汁も付き、満足感たっぷりです。
さらに、赤身から白身、貝類まで多くの種類を味わえる「刺身定食A」1,800円や、日替わりの魚の煮付けにご飯セット(+550円)を組み合わせることも可能。ボリュームもさることながら、魚の味は間違いありません。

地元の方から観光客、出張客の方まで、昼飲みを楽しむ人の姿も多く見られました。
その実力は高く評価されており、「食べログ 食堂 百名店 2026」に選出されたほか、「新潟ガストロノミーアワード2026」では飲食店部門カジュアルを受賞。確かな味と、気軽に立ち寄れる食堂のような親しみやすさ。その両方をあわせ持つ「鈴木鮮魚」は、地元の人にも観光客にも頼れる存在です。次、いってみよう~!
新潟本町 鈴木鮮魚

新潟本町 鈴木鮮魚

TEL 025-228-9675
営業時間 9:00~L.O.17:00
定休日 木曜(水曜不定休)

この道約60年の料理人の腕が光る「いし井」

海鮮のイメージが強い同館で、根強い人気を誇る「丼や いし井」。気軽に立ち寄れる町の定食屋でありながら、料理には確かな職人技が光ります。(キラーン)

店を切り盛りするのは、この道約60年のベテラン料理人、石井秀樹さん。10代で新潟から上京し、新宿の大衆割烹で修業を始め、その後は新潟市内のさまざまな割烹で腕を磨いてきました。2009年、商業施設「本町食品センター」内に「丼や いし井」を開店。2019年には「青海ショッピングセンター」へ移転し、現在に至ります。
創業当初は親子丼の専門店だったのだそう。ところが観光客から「タレかつ丼はないの?」と尋ねられることが多く、自ら提供を始めたそうです。さらに常連客からの「こんなの食べたい」の声にも応えるうちにどんどんメニューが増え、今では丼物、定食、酒の肴まで、幅広くそろいます。

こちらにも、新潟地酒のワンカップがたんまり。(思わずにんまり) その他にも、日本酒好きな奥さまが選んだ地酒や隠れ酒もあり、昼飲み客も多いのだとか。
というわけで、人気メニューの一つが新潟名物の「タレかつ丼」。ヒレやモモ肉が多い中、同店で使うのは豚バラ肉。やわらかさと脂のうま味を生かした一杯は、食べ応えも十分です。料理人として、よりおいしい形を追い求めた末にたどり着いた、「いし井」ならではのスタイル。甘辛く、キレのあるタレもおいしいんだなぁ。

そして、次に登場したのは……
「まぐろステーキ定食」1,400円。

刺身でも十分においしいまぐろの表面だけに焼き目をつけ、中はしっとりレアに仕上げています。そこへ、柑橘のダイダイを加えて手作りしたポン酢ベースの特製タレを。和食の技法と洋食の感性を融合したような一皿は、まるでレストランのクオリティ!

添えられた小鉢や付け合わせまで丁寧に手作りされており、細部にもマスターの確かな仕事ぶりが感じられます。
そして、「これもなかなか好評で」と教えていただいたのが、「とん汁」700円

チャーシューを仕込む際の煮汁に根菜を合わせて煮込み、注文ごとに豆腐や肉、仕上げの味噌を加えて完成させます。そのため、常時あるメニューではなく、出合えたらラッキー。具だくさんで満足感があり、これを目当てに訪れる人も少なくないそうです。定食や丼ぶりの味噌汁を+600円で豚汁に変更することもできますよ。
同店では、常連客たちが“昼飲み部”をつくるほど、店主とお客さんの距離が近いのも印象的。(マスターと奥さまの仲睦まじい姿もほほ笑ましいのです。ポッ)

気軽な定食屋の雰囲気でありながら、料理には割烹仕込みのひと手間が詰まっている「丼や いし井」。一味も二味も違うお食事をぜひ。次、いってみよう~!
丼や いし井

丼や いし井

電話番号 025-224-0920
営業時間 11:00~17:00
定休日 不定休
※予約可

地元民から愛される町中華「鵬龍」

この地域で働く人たちや、買い物客らの胃袋を支えてきたのが中華料理店「鵬龍(ほうりゅう)」です。

店を営むのは、中国・ハルビン出身の斉藤竜海さん。約25年前に来日し、新潟市内の中華料理店などで経験を積んだ後、同館で店を構えました。本場で培ってきた技と、新潟のまちに根ざした親しみやすさが同居する、これぞ町中華な一軒。
ラーメン、炒飯、一品料理まで幅広いメニューが並びます。セットメニューも豊富で、その日の気分に合わせて選べるので、何度でも通いたくなりますね。

今回は数ある中から、ご主人におすすめを選んでいただきました。さぁ、どのメニューがでるかなでるかな~。
ジャ、ジャーン! (醤だけに)

湯気を立てながら運ばれてきたのは「麻婆豆腐セット」1,050円。見るからに食欲をそそります。ひと口食べると、辛さよりもまず感じるのは、味噌のやさしい甘みと奥行きのあるうまみ。もちろん、やりますよ。必殺、ご飯にワンバウンド~! 

まろやかなコクがありながら、味付けはしっかりめで、ご飯がどんどん進みます。後からじんわりと広がる香りも心地よく、丁寧につくられた麻婆豆腐という印象。辛さを足したい人は、卓上の調味料で好みに合わせて調整できるのもうれしいところです。
​おいしさの決め手は、こだわり抜いた特製の醤(ジャン)にありました。ピーシェン豆板醤をはじめ、中国のものから日本の味噌まで、7種類の味噌を独自にブレンドしているそうです。さらにラー油も自家製で、すべての調味料を合わせ、一晩寝かせてから使うことで、味に一体感と深みを生みだしているのだとか。そして、調理の際には高火力でしっかり炒め、味噌の香りと油を引き出します。

想像以上にこだわりが詰まっていて、町中華の底力を見せつけられました……!
「キクラゲと卵、豚肉を炒めた『木須肉(ムースーロー)セット』も人気です。今度ぜひ食べてみてください」と斉藤さん。気取らず入れる町中華でありながら、味づくりには確かな手間ひまが込められている。そんな鵬龍は、このまちに欠かせない存在です。次、いってみよう!
鵬龍(ほうりゅう)

鵬龍(ほうりゅう)

TEL 025-229-3028
営業時間 11:00~17:00(木曜~14:00)
定休日 不定休

選りすぐりの逸品がそろう「山中園」

さぁ、続いては飲食店ではなく、同館のお買い物スポットを2軒ご紹介します。

通路を歩いていると、「やぶきた茶」と書かれたのれんが目に入りました。けれど店先には、お茶だけでなく乾物、佃煮、甘栗、ドライフルーツ、さらには餃子まで並んでいるではありませんか。いったい何屋さんなのだろう……。そんな好奇心と少しの戸惑いを胸に訪ねてみたのが、「山中園(やまなかえん)」です。
話を聞けば、この不思議で魅力的な品ぞろえには、長年お客さんの声に応えてきた歴史がありました。

店を営むのは、山中政俊さん。埼玉県で物産展を手がける会社を経営し、かつて新潟市古町にあった百貨店「大和新潟店」の催事コーナーへ毎月出店していたそうです。お茶や乾物などを販売していたところ、大和の閉館が決まり、「買えなくなると困る」と惜しむ声が続出。そこで本町食品センターに実店舗を構え、その後、施設閉館に伴って現在の青海ショッピングセンターへ移りました。ここでの営業も、気づけば30年近くになるといいます。
看板商品の一つは、やはりお茶。扱っているのは静岡産のやぶきた茶で、長年築いてきた独自の仕入れルートによる、市販ではなかなか出会えない希少な品とのこと。「このお茶じゃないとだめなのよ」と買いに来る常連客も多いそうです。
そして店頭に並ぶ餃子にも、実は物語があります。

かつて本町食品センター内で、老舗中華料理店「元祖焼き餃子 ことぶき屋」の支店があり、センターが閉館する際に「山中園で餃子も買えたらうれしい」という声が寄せられたことから、今も販売を続けているのだとか。
「百貨店時代から通ってくれている常連さんたちも年齢を重ね、少しずつ顔ぶれも変わってきました。でも、今もふらりと立ち寄ってくれる新しいお客さんもいるので、まだまだ頑張らないとね」と山中さん。

多彩な商品が所狭しと並ぶ店先。一見すると不思議な品ぞろえですが、どれも百貨店の催事で見かけるような、選び抜かれたものばかり。全国各地から仕入れた、こだわりの味がそろっています。「何屋さんなのだろう」と足を止めた人が、気づけばお気に入りを見つけて帰っていく。山中園は、そんな予期せぬ出合いが楽しい一軒です。いよいよラスト、いってみよー!
山中園

山中園

TEL 090-8801-8429
営業時間 9:00~17:00
定休日 木・日曜

湊町新潟を感じる海産物専門店「わしお」

最後にご紹介するのは、「海産物 わしお」。

青海ショッピングセンターが開業した当初から、長年にわたりこの場所で海産物の加工品を中心に販売してきました。鮮魚店とは少し趣が異なり、扱うのは筋子、たらこ、塩鮭、乾物など、日々の食卓に寄り添う品々。昔から変わらず、この店を目当てに通う常連客も多いそうです。
店頭でひときわ目を引くのは、まるで宝石のように輝く立派な筋子。塩加減や粒の食感、味わいには店ごとの個性が表れるものですが、その違いを支えているのは、長年培ってきた仕入れルートと確かな目利きです。「ここの味が好き」と通い続ける人も少なくありません。
並ぶ商品に北海道ゆかりの品が多いのも、湊町・新潟の歴史を思わせます。

新潟港は江戸時代から北前船の寄港地として栄え、北海道をはじめ各地の海産物や物資が集まる交易の拠点でした。さらに、かつてこの本町周辺には市場が立ち、町中には水路が張り巡らされ、みなとに着いた荷が舟で運び込まれていたそうです。

だからこそ、この場所で海産物を専門に扱う同店の存在は、湊町として栄えた新潟の記憶を、今に伝えているようにも感じられます。
同館には、鮮魚店や飲食店、中華料理店、お茶屋など個性豊かな店が並びます。その中で「海産物 わしお」は、市民の食卓を支え続けてきた存在。長く愛される理由がしっかりと伝わってきました。
海産物 わしお

海産物 わしお

TEL 025-222-7282
営業時間 10:00~16:00
定休日 木・日曜

時代が進んでも変わらない、新潟の台所

これまで何度も足を運んできた「青海ショッピングセンター」ですが、今回あらためて取材をしてみて、それぞれのお店が歩んできた歴史や、受け継がれてきたこだわりに触れることができました。どの店にも共通していたのは、お客さんを大切に思うまっすぐな気持ち。その積み重ねこそが、この場所の魅力なのだとあらためて感じました。

時代が進んでも、人と人との会話やお店の方たちのまごころ、そしてこの土地で育まれてきた食文化のぬくもりは、やはりその場所でしか味わえません。

ここは、新潟の台所。新潟県民も、観光客の皆さんも、「青海ショッピングセンター」に全員集合~!
青海ショッピングセンター

青海ショッピングセンター

住所 新潟県新潟市中央区本町通6番町1116
定休日 店舗により異なる
アクセス 【車】新潟駅より車で約10分/【バス】新潟駅より萬代橋ラインで約10分、「本町」で下車し徒歩約3分
駐車場 なし(周辺に有料駐車場あり)

この記事を書いた人
新井まさみ

富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/