【後編】新潟で注目の若手シェフの店へ 発酵と香りで新潟食材を再構築する「SAISON」/新潟市
2025年12月25日
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新潟のフードシーンに新たな旋風を巻き起こしている若手シェフたち。前編では、新しい感覚と、職人としての確かな技術を併せ持つ寿司店「すし 黒衣」をご紹介しました。
後編で訪れたのは、同じく古町エリアにあり、「すし 黒衣」の店主長嶋さんと同年代のシェフが営むレストラン。海外で受けた刺激と学びを活かし、フレンチをベースにした型にはまらない独創的な料理を提供しています。
さあ、今回はどんな感動に出会えるのでしょうか!
後編で訪れたのは、同じく古町エリアにあり、「すし 黒衣」の店主長嶋さんと同年代のシェフが営むレストラン。海外で受けた刺激と学びを活かし、フレンチをベースにした型にはまらない独創的な料理を提供しています。
さあ、今回はどんな感動に出会えるのでしょうか!
枠にとらわれない、自由な料理
新潟市中央区西堀前通にある「SAISON(セゾン)」。繁華街から少し入った通り沿いに建つ、静かな佇まいのレストランです。店名の「SAISON」は、フランス語で“季節”の意味。豊穣な新潟の土地から育まれる食材を使い、四季の彩りを感じさせるコース料理を提供しています。
2023年にオープンし、わずか1年後の2024年には「新潟ガストロノミーアワード2024特別版」の若手シェフ部門で大賞を受賞。県内外の食通たちが認めた実力店です。
2023年にオープンし、わずか1年後の2024年には「新潟ガストロノミーアワード2024特別版」の若手シェフ部門で大賞を受賞。県内外の食通たちが認めた実力店です。
店内はカウンター8席のみで、木目を基調とした落ち着いた雰囲気。薪火の香りがふわりと漂い、これから始まる時間への期待が一層高まります。
料理を手がけるのは、オーナーシェフのミドルミス怜さん(32歳)。そして、ドリンクを主に担当する、サービスマネージャーの齋藤陽介さん(32歳)。新潟市出身で幼なじみだというお二人は、息の合ったコンビネーションで、店を切り盛りしています。
ミドルミスさんは、新潟市内の居酒屋で料理の基礎を学んだ後、単身でフランスへ渡りました。パリで高い注目を集める日本人シェフ・渥美創太氏のもとで研鑽を積み、さらにアメリカへ。ニューヨークでは、ミシュラン二つ星レストランで、最先端の「ニューアメリカン」というスタイルを学んだそうです。
パリやニューヨークで修業した経験を土台に、発酵やスパイス、ハーブを用いながら、新潟らしさを独自の発想で描きます。
ミドルミスさんは、新潟市内の居酒屋で料理の基礎を学んだ後、単身でフランスへ渡りました。パリで高い注目を集める日本人シェフ・渥美創太氏のもとで研鑽を積み、さらにアメリカへ。ニューヨークでは、ミシュラン二つ星レストランで、最先端の「ニューアメリカン」というスタイルを学んだそうです。
パリやニューヨークで修業した経験を土台に、発酵やスパイス、ハーブを用いながら、新潟らしさを独自の発想で描きます。
メニューはコース料理のみで、ランチは12時から、ディナーは19時からの一斉スタート。ドリンクは単品でもオーダーできますが、アルコール・ノンアルコールともにペアリングが充実しているので、料理と合わせて楽しむのがおすすめです。21時以降は、バー営業も行っているそうですよ。
【menu】
●コース 12,000円
●コース+ノンアルコールペアリング 17,000円(6杯)
●コース+ショートペアリング 18,000円(6杯)
●コース+フルペアリング 21,000円
それでは、実際にいただいた「コース+ショートペアリング」をご紹介します。
【menu】
●コース 12,000円
●コース+ノンアルコールペアリング 17,000円(6杯)
●コース+ショートペアリング 18,000円(6杯)
●コース+フルペアリング 21,000円
それでは、実際にいただいた「コース+ショートペアリング」をご紹介します。
想像を超える"新たな新潟"を味わう
●アミューズ
新潟の安田瓦で作られた特注の器に、炊いたあん肝と奈良漬、スパイスを合わせた一皿。下には焦がしバターと、燕市のしょうゆを使ったソースを染み込ませたパンを合わせ、軽くスモークして仕上げています。濃厚なのに重くなく、最初の一皿からいきなり心をつかまれました。あん肝のお寿司からヒントを得たそうです。
新潟の安田瓦で作られた特注の器に、炊いたあん肝と奈良漬、スパイスを合わせた一皿。下には焦がしバターと、燕市のしょうゆを使ったソースを染み込ませたパンを合わせ、軽くスモークして仕上げています。濃厚なのに重くなく、最初の一皿からいきなり心をつかまれました。あん肝のお寿司からヒントを得たそうです。
● 前菜
新潟産のヤリイカを熟成させ、発酵大根と大葉で巻いて天ぷら風に。モロヘイヤ、梅干し、チーズのパウダーが散らされ、イカの旨味に発酵の酸味が重なります。食感の組み合わせにも驚きました。
● スープ
五泉産の赤ビーツを、柚子と蜂蜜の甘酢のような液で仕立てたスープ。ロースト玉ねぎの甘みで自然なとろみを付け、生クリームを入れずとも滑らかでクリーミーなんです。
新潟産のヤリイカを熟成させ、発酵大根と大葉で巻いて天ぷら風に。モロヘイヤ、梅干し、チーズのパウダーが散らされ、イカの旨味に発酵の酸味が重なります。食感の組み合わせにも驚きました。
● スープ
五泉産の赤ビーツを、柚子と蜂蜜の甘酢のような液で仕立てたスープ。ロースト玉ねぎの甘みで自然なとろみを付け、生クリームを入れずとも滑らかでクリーミーなんです。
●魚料理(1品目)
SAISONのスペシャリテである貝料理。鮮度の良い新潟産のツブ貝を細かく刻み、香ばしく砕いたタルト生地の上に重ね、ハーブオイルや発酵由来のソースで仕立てた一皿。生貝ならではのコリッとした歯ざわりとうま味、そしてタルトの軽い食感と香ばしさが一体となって広がります。
SAISONのスペシャリテである貝料理。鮮度の良い新潟産のツブ貝を細かく刻み、香ばしく砕いたタルト生地の上に重ね、ハーブオイルや発酵由来のソースで仕立てた一皿。生貝ならではのコリッとした歯ざわりとうま味、そしてタルトの軽い食感と香ばしさが一体となって広がります。
● 魚料理(2品目)
1週間熟成させたブリを薪火で炙り、洋風のポン酢ソースでマリネ。大根の漬物やミョウガ、自家製ハーブを添え、コンブチャ(発酵飲料)やバジルオイルで香りを重ねています。「ブリしゃぶとブリ大根を組み合わせたようなイメージです」とシェフ。自由な発想に驚くばかり!
続いて、薪火でじっくり焼き上げた肉料理の登場です。
1週間熟成させたブリを薪火で炙り、洋風のポン酢ソースでマリネ。大根の漬物やミョウガ、自家製ハーブを添え、コンブチャ(発酵飲料)やバジルオイルで香りを重ねています。「ブリしゃぶとブリ大根を組み合わせたようなイメージです」とシェフ。自由な発想に驚くばかり!
続いて、薪火でじっくり焼き上げた肉料理の登場です。
● 肉料理
経産和牛を部位ごとに火入れや熟成を変えて仕上げ、当日摘んだフレッシュなローリエ、ローズマリーで香りづけ。提供前に目の前で軽くスモークする演出には、思わず歓声が上がりました。
経産牛は肉質が硬いイメージがありましたが、とても柔らかく、赤身の力強いうま味が凝縮。じっくり時間をかけて火入れをする、薪火料理の魅力を存分に感じました。
経産和牛を部位ごとに火入れや熟成を変えて仕上げ、当日摘んだフレッシュなローリエ、ローズマリーで香りづけ。提供前に目の前で軽くスモークする演出には、思わず歓声が上がりました。
経産牛は肉質が硬いイメージがありましたが、とても柔らかく、赤身の力強いうま味が凝縮。じっくり時間をかけて火入れをする、薪火料理の魅力を存分に感じました。
● 米料理
新潟の新しい稲品種「にじのきらめき」を麹のダシで炊き、リゾットともおじやとも言えない質感の仕立て。銀杏、イクラ、トマトピクルスが加わり、麹の旨味と塩味、酸味が調和しています。
新潟の新しい稲品種「にじのきらめき」を麹のダシで炊き、リゾットともおじやとも言えない質感の仕立て。銀杏、イクラ、トマトピクルスが加わり、麹の旨味と塩味、酸味が調和しています。
● デザート(1品目)
佐渡のショコラトリー「莚 CACAO CLUB(むしろカカオクラブ)」が作るチョコレートのムースに、佐渡番茶のソースやロースト昆布、燻製昆布のオイルを重ねています。和の旨味とチョコのコクが不思議な相性を生む、大人のデザート。
● デザート(2品目)
締めは、甘さ控えめのアップルパイに、シナモンクリームとテキーラを使ったアイスを添えて。香りの余韻が長く、最後まで心地よい締めくくりでした。
佐渡のショコラトリー「莚 CACAO CLUB(むしろカカオクラブ)」が作るチョコレートのムースに、佐渡番茶のソースやロースト昆布、燻製昆布のオイルを重ねています。和の旨味とチョコのコクが不思議な相性を生む、大人のデザート。
● デザート(2品目)
締めは、甘さ控えめのアップルパイに、シナモンクリームとテキーラを使ったアイスを添えて。香りの余韻が長く、最後まで心地よい締めくくりでした。
さらにSAISONのペアリングは、ワインや日本酒に限りません。焼酎、薬草酒、ノンアルドリンクまで幅広く登場し、料理に最も合う一杯が自由に選ばれます。今回のデザートには、稲とアガベ(秋田県)のクラフトサケや、蜂蜜酒(ミード)に新生姜を加えた一杯など、多彩な組み合わせが続きました。
新潟の食材とお酒の香りがリンクしていく感覚が心地よく、ペアリングの楽しさを改めて実感した一夜でした。
新潟の食材とお酒の香りがリンクしていく感覚が心地よく、ペアリングの楽しさを改めて実感した一夜でした。
SAISONが描く食の新境地
新潟の食材をまっすぐに見つめ、現代的な技法と発酵、薪火、香りのレイヤーを重ねることで独自の表現を生み出しているSAISON。普段、口にしている食材がこんなにも変化するなんて! 驚きと感動の連続でした。
「最初はとにかく真似をするところから始まりました。修業先の師匠、先輩、本、Instagramなどあらゆるものから学びましたね。今でも、パティシエの友人が作るお菓子や、『黒衣』のお寿司からヒントを得ることもあります。新潟は、日常的においしい食材が溢れているからこそ、舌の肥えたお客さまが多いですし、料理人にとって刺激的な環境ですね。新潟食材でどこまで行けるのか、これからも挑戦していきたいです」とミドルミスさん。
「最初はとにかく真似をするところから始まりました。修業先の師匠、先輩、本、Instagramなどあらゆるものから学びましたね。今でも、パティシエの友人が作るお菓子や、『黒衣』のお寿司からヒントを得ることもあります。新潟は、日常的においしい食材が溢れているからこそ、舌の肥えたお客さまが多いですし、料理人にとって刺激的な環境ですね。新潟食材でどこまで行けるのか、これからも挑戦していきたいです」とミドルミスさん。
季節、食材、発酵、温度、香り──そのすべてを丁寧に紡ぎながら日々続ける食の研究。さまざまな食材で仕込むコンブチャや、料理によって使い分ける10種類のオイルなど、細部に宿る工夫からはシェフの探究心が伝わってきます。次の季節には、どんな感動に出会えるのでしょうか。
前編でご紹介した「すし 黒衣」と、後編の「SAISON」。どちらの店にも共通しているのは、基本を大切にしながらも、既存の枠にとらわれない“自由さ”。
新潟の若きシェフたちが、それぞれのやり方で食の可能性を切り開いている今。ますます新潟のフードシーンが盛り上がっていくに違いありません! 新たな食の息吹を味わいに、ぜひ訪れてみてください。
新潟の若きシェフたちが、それぞれのやり方で食の可能性を切り開いている今。ますます新潟のフードシーンが盛り上がっていくに違いありません! 新たな食の息吹を味わいに、ぜひ訪れてみてください。
SAISON(セゾン)
新潟県新潟市中央区西堀前通4番町739
営業時間/ランチ12:00~、ディナー19:00~
定休日/日曜
※予約はテーブルチェックにて受付
※問い合わせはインスタグラムのDMにて受付
この記事を書いた人
富山県生まれ、新潟市在住のママライター。 グルメな夫、子鉄の長男、肉食の長女、リアクション芸人の私、の4人家族。 外食費と娯楽費が家計を圧迫していますが、おいしいモノとたのしいコトを求めて日々開拓中!
Instagram : https://www.instagram.com/maconnect2022/