4,000年前の暮らしと40年前の暮らしを体験! 縄文の里・朝日/村上市


2021年09月01日 13777ビュー
「ねーねー戦国武将の中で、誰が一番好き?」
「縄文時代ってさ、このへんにも人住んでたのかな?」


最近日本の歴史にどハマリしている息子。
恥ずかしながら私は歴史に疎いので、満足のいく答えを返せません。

せっかく興味を持っているのだから、出来れば本物に触れさせてあげたい。
でも、近くに歴史について、しかも何千年も前の縄文時代について学んだり体感できたりするところって…
ありました!!村上市最高!
さっそく日本の歴史マニアの息子と一緒にお邪魔しました。


「縄文の里・朝日」は、村上市(旧朝日村)の山あいにあります。
最寄りの日本海東北自動車道 朝日三面インターからは車で15分ほど。
三面川沿いの緑たっぷりの道をぐんぐん進むと、
看板発見!
緑に囲まれた中にどん!と登場する「縄文の里・朝日」。
縄文時代の遺跡の出土品の見学や、子供に嬉しい体験メニューも揃っています。

今回は、息子(小学生男子)が勾玉作りにチャレンジしました。
あらかじめ勾玉の形に切り抜かれた天然石を、紙やすりで滑らかにしていきます。
こちらがお手本。石っぽい質感から、磨き続けるとここまでつやつやに!
小学生男子もせっせとヤスリをかけます。
根気よく磨き続けると…
少しずつですが、角が取れて丸みをおびた形に。
この状態からさらに形を整えて、水の中でヤスリをかけると、

ぴかぴか!お手本のようなツヤがでてきました。

しっかり拭いて、お好みでペンで色を付け、紐を通せば完成です。

さっそく首にかけ「縄文時代の人もつけていたのかな?」とご満悦です。
体験時間は1時間ほど。小学校高学年ならもう少し早くできそうですし、保育園の子でもやる気が続けばできるかな?簡単にできては味気ないし、ちょうどよい大変さと楽しさだったようです。

コロナ禍でお休み中の体験もありますが、他にも土器づくりや、団体で予約した場合は蕎麦打ち体験などもできるそう。「今度は土器を作ってみたい!」と小学生男子も話していました。



体験の次は、見学へ。
縄文の里・朝日には、国指定重要文化財の貴重な土器や石器がたくさん展示されているんです。
展示されている土器や石器は、なんと2300年〜4000年前のもの!
数字で表すのは簡単ですが、あまりにも昔過ぎてピンとこないのが正直なところ。
そして、それだけ古いものが、しっかり形を保って目の前にあるという事実にすぐには理解が追いつきません。神秘的!!


縄文時代の遺物は屋外にも。出土された状況を再現した環状配石(ストーンサークル)や縄文式の住居も緑豊かな園内に展示されています。


そして、縄文時代だけでなく、昭和の山里の暮らしについての展示もあります。
『昭和の山里の暮らし』?????

縄文の里なのに??なぜ??



1つの施設に縄文と昭和という2つの時代の遺物が展示されているのには、理由がありました。
縄文の里・朝日の山手に、2001(平成13)年に完成した奥三面ダム。

近くを流れる三面川の氾濫を防ぐため、ダムの建設が決まり、150人ほどが暮らした三面集落がダムの底に沈むことになりました。

(写真は三面ダム。奥三面ダムはさらに上流にあります)
三面集落は閉村し、住民は集団移転。
その後のダム建設に伴う調査の結果、たくさんの縄文時代の土器や石器、遺構が発掘されたのでした。
調査の結果、大小合わせて19もの遺跡が集まり、約30,000年前の旧石器時代から三面集落近辺に人々が暮らしていたことがわかったそう。

古墳時代以降の数百年間は暮らす人が途絶えたようですが、室町時代になって、また人々が住むようになります。
この室町時代に住み始めたのは、一説には戦に負けて逃げ落ちた平家の落武者だとか。日本の歴史大好き息子の鼻息が荒くなります。

山深い三面集落。手付かずの自然に囲まれ、他の集落との行き来も容易ではなかったはず。今の感覚ではとても不便な暮らしではないかと思ってしまいます。
村を閉じる1985年(昭和60年)まで、自然の中で自然と共に暮らし続けた奥三面の人々。使われていた民具や当時の写真から、その暮らしぶりが展示から見て取れます。

三面集落という同じ場所で暮らした縄文の人々と、昭和に生きた人々。
その2つの時代の暮らしを比較展示しているのが縄文の里・朝日なのです。
最後に、展示の中で心に残った文章を紹介したいと思います。

「(略)奥三面の生活には、明るい未来を想像できない人類に対して、自然に生かされ、人に生かされ、己が全てを活かす長い歴史の中で学んだ人類本来の生き方が示されています。奥三面の地が残してくれた生き方を本当に豊かな生き方をするための一例として、伝え続けられればと思います。」

縄文の里・朝日へのアクセスはこちら

この記事を書いた人
よはくや

新潟県の北の端、村上市の小さな宿「よはくや」のオーナーです。観光地からガイドブックに載らないふだんのまちの様子まで、地元ならではの視点でお届けします!

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