日本海を一望できる眺めに弁慶も感動した「多岐神社」/村上市


2021年08月31日 10996ビュー
短い新潟の夏もあとわずかですね。
 
枝豆は食べましたか?
花火はやりましたか?
海には行きましたか?
…ドリフみたいになっちゃいましたね。

今年の夏は海で遊んだという人も多いかもしれません。
日本海に面した新潟県には、きれいな海がたくさんありますよね。
 
村上市にある笹川流れもそのひとつ。
11kmにも及ぶ海岸線には変化に富んだ岩礁や洞窟、晴れた日には美しいエメラルドブルーに見える澄んだ海が続きます。
 
今回紹介したいのは、そんな笹川流れのそばに建つちょっと変わった神社なんです。
その名も「多岐神社(たきじんじゃ)」といいます。

 
この神社はちょっと場所が分かりにくいんです(汗)
スマートフォンのマップアプリには登録されているみたいなので、それを手がかりに向かってみてください。

国道345号を山形に向かって進み、「岩ヶ崎遺跡(いわがさきいせき)」を過ぎてすぐ鋭角に左折して、細い道を下っていくと突き当たりに海が広がります。
この道は細い上に薄暗いので通行には注意してください。
突き当たりの右側に砂利の駐車場があるので、車で訪れた方はそこに駐車し、あとは海沿いの遊歩道を歩いて向かうんです。

 
遊歩道からは遠浅のおだやかな入り江が眺められ、ときどき釣り人の姿も見かけます。

 
遊歩道は海に沿ってアップダウンしながら続いていきます。
木の枝が屋根になって強い日射しから守ってくれ、ちょっとだけ涼しく感じます。

 
海の上の岩場を探すと、夏場はかなりの確率でカニを見つけることができますよ。
運がよければヤドカリウミウシなんかに会えるかも。

 
海の眺めを楽しみながら歩いていくと、やがて赤い欄干の橋が現れます。
海の青、樹々の緑に赤い色が映えますね。

 
2本目の長い橋を渡ると、目の前に多岐神社が現れます。

 
日本海を見下ろすように赤い社殿が建っています。
現在の社殿は明治15年(1882年に建てられたもので、その前のものは安政2年(1855年)の火災で焼失してしまったのだそうです。

千年以上も前の平安時代に書かれた「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」の中で磐舟郡8社のひとつとされていて、とっても長い歴史のある神社なんですね。

 
祭られているのは海神の多岐津姫命(たきつひめのみこと)という女神で、古くから漁を営む地元の人たちから信仰されてきました。

 
それを証明するようにお礼参りの絵馬がいっぱい奉納されています。

 
じつはこの神社、かの源義経(みなもとのよしつね)たちが立ち寄った場所と伝えられているんです。
平安時代の終わり頃に、源頼朝(みなもとのよりとも)から追われて奥州に落ち延びる途中、この神社でひと休みしたのだとか。
そのとき、ここからの眺めに感動した義経のお供の弁慶(べんけい)が「さてもうるわしき景色かな」と絶賛して「観潮閣」と名付けたと伝わっています。

 
ちなみに社殿からの眺めはこんな感じです。
もちろん当時とは変わっていると思いますが、今でもおだやかで美しい海が広がっています。

 
この神社のすぐそばには不動滝があるんです。
階段があるので簡単に滝壺へ降りることができます。

 
滝壺の横には不動明王らしい石仏が祭られていて、たくさんのお花が供えられていました。

 
滝から落ちた水は日本海へと流れていきます。

 
時間によっては日光がスポットライトのように滝を照らし、運がよければ虹をかけることもあります。
とても神秘的な空間ですので、多岐神社を訪れたときはぜひ立ち寄っていただきたいスポットです。
 
 
いかがだったでしょうか?
今回紹介した多岐神社は参道が遊歩道になっていて、神社に着くまでの5分くらいの間、きれいな海を眺めながらのハイキングを楽しむことができます。
神社に参拝した後はそぐそばの不動滝で、マイナスイオンを浴びながら癒されることもできるんです。
みなさんも笹川流れにドライブした際は、多岐神社に参拝して弁慶が感動した風景を眺めてみてはいかがでしょうか。

多岐神社

住所:村上市岩ヶ崎字多伎山787
駐車場:あり

多岐神社

この記事を書いた人
田中新之助(たなかしんのすけ)

新潟を愛する万年新米ライターです。持ち前の粘り強さで味わい深い記事を書いていきたいと思ってます。とくに観光ガイドには載っていないような、新潟の珍スポットや変スポットに力を入れて紹介していきたいです。

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