どんな物語なのかとっても気になる「取上観音」の彫刻たち/阿賀町


2022年08月01日 3935ビュー
阿賀町の国道49号線沿いに「取上観音」という看板があります。
看板を見たことがある人は多くても、実際に拝観した人は少ないのではないでしょうか。
そういう新之助も少し前までは車で走り過ぎるだけの場所でした。
ところが拝観してみると、思っていた以上に立派で、かつユーモラスなお堂なのでした。

今回は「取上観音」の他に、すぐ近くにある「平等寺薬師堂」「将軍杉」という、のめしこき(新潟の方言で怠け者)な新之助にしては珍しい3本立てでご紹介します。

昔の人の落書きが見れる「平等寺薬師堂」

まずは「平等寺薬師堂」に向かいます。

国道49号線を新潟方面から津川方面に向かい「五十島トンネル」を抜けるとすぐ左側に、駐車場と「日本一の巨木」と書かれたモニュメントが現れるので、そこを左折して300メートルほど進むと「平等寺薬師堂」が見えてきます。

駐車場は右側です。

 
蝉しぐれが降りそそぐ濃い緑の中に建つ、茅葺きのお堂の姿が美しいですね。

995年に平維茂(たいらのこれもち)という将軍が、阿賀野川で見つけた薬師如来像を安置するために建てたお堂なのだそうです。
県内最古の木造建築物のひとつで、大正12年には国の「重要文化財」に指定されています。

 

このお堂のもうひとつの見どころが「落書き」です。

落書きといっても、スプレーで「愛羅武勇」とか「◯◯参上」とかいうのではなく、戦国時代から江戸時代にかけての落書きが残されているんです。

 

中には天正6年に会津葦名氏の配下が、上杉家の後継者争い「御館の乱」について書いた、歴史的資料になるような落書きまであるのです。

 
その落書きにちなんで建てられたのが、敷地内にある「落書庵」。
ここでは落書きを楽しむことができます。

 
硯と筆が用意されていて、ここで残した落書きは年に一度の審査を受けることができ、入選作品は作品集に掲載されて郵送してもらえるのだとか。

 
ぶんちん
  あるから
    字書ける


とても奥深いです。

 

平等寺薬師堂

平等寺薬師堂
新潟県東蒲原郡阿賀町岩谷2103
TEL.0254-92-0220(阿賀町観光協会)
駐車場:普通車10台

落書庵
新潟県東蒲原郡阿賀町岩谷2214
TEL.0254-99-2639
営業時間:9:00-16:00(冬期間変更あり)
定休日:火曜
駐車場:普通車10台

幹周りが日本一の天然記念物「将軍杉」

「平等寺薬師堂」のすぐご近所に「将軍杉」があります。
歩いて1〜2分のところにあるので、ぜひ覗いていきましょう。

 

「将軍杉」という名前は、この杉の傍にあった平維茂のお墓に由来するそうです。
幹周りが日本一の太さということなので、それだけでも「将軍」の称号に相応しいですね。
昭和2年に国の天然記念物に指定されています。

 
風で幹が折れたりして痛々しい姿だったりしますが、天に向かって枝を伸ばす姿には威厳を感じます。

 

杉の周囲を巡れる遊歩道が整備されています。
周囲を回るとパワーが得られるパワースポットということなので、いっぱい回りましょう!

 

将軍杉

新潟県東蒲原郡阿賀町岩谷2242
TEL.0254-99-2639(落書庵)
駐車場:10台

ユーモラスな彫刻を拝観できる「取上観音」

いよいよ今回のメイン「取上観音」へ。

国道49号線を新潟側へ少し戻ると「取上橋」の手前に石碑があります。
その前に駐車できる広さのスペースがあるので、停めさせてもらいましょう。

石碑の横から階段を登っていきます。

 

少しだけ登っていくと丘の上にお堂が見えてきます。

 

なかなか立派なクオリティに圧倒されます。
釘が使われていない総欅づくりの建物。
このお堂は明治8年から3年間かけて、阿賀野市の長峯金次郎(ながみねきんじろう)という人が建造したそうです。

創立は鎌倉幕府の頃というので、こちらもかなり歴史ある建物なんですね。

 

見どころは、お堂の周りを飾っている50点以上もの彫刻です。

お寺や神社にはおなじみの獅子、龍、象といった神獣をはじめ、伝説や縁起物をモチーフにしたものも多いようです。



 
彫刻の特徴はどこかユーモラスなこと。
ありがちな獅子だけとっても、このようにユニークなポーズや表情をしていて、その上凝った造りになっています。

 
キャラクターの表情がイキイキしているので躍動感を感じさせます。

 
それゆえに、どんな物語か知りたくなりますが、彫刻を見ながらあれこれ想像するのも楽しいのかも。

 
全部の彫刻を載せたいところですけど、やめておきます。
気になった方は、ぜひ現地に足を運んでみてくださいね。

 

取上観音

新潟県東蒲原郡阿賀町取上
TEL.0254-99-1021(阿賀町役場三川支所・阿賀町観光協会)

三川名所めぐり

この記事を書いた人
田中新之助(たなかしんのすけ)

新潟を愛する万年新米ライターです。持ち前の粘り強さで味わい深い記事を書いていきたいと思ってます。とくに観光ガイドには載っていないような、新潟の珍スポットや変スポットに力を入れて紹介していきたいです。

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