駅での待ち時間にローカル旅行へ出かけよう!『燕三条 こうばの窓口』のこうば体験ツアーで遊ぶ/燕市
2023年07月25日
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旅の醍醐味といえば現地での出会い、ほかにもさまざまな交通機関から見える光景も挙げられるでしょう。車両、飛行機、フェリー、駅構内……森や海、ときに街を照らすネオンさえも旅の思い出を彩ることも。
新潟旅行ならどうでしょう。首都圏である東京までが新幹線で約2時間、他にもバスや車、フェリー、飛行機と利用できる交通機関が多く、次々と移り変わる風景に心躍らせます。ただ一方、気掛かりなのが交通機関での<待ち時間>でしょう。
新潟旅行ならどうでしょう。首都圏である東京までが新幹線で約2時間、他にもバスや車、フェリー、飛行機と利用できる交通機関が多く、次々と移り変わる風景に心躍らせます。ただ一方、気掛かりなのが交通機関での<待ち時間>でしょう。
「乗車時間を間違えた」
「旅行の最終日、駅周辺でどう遊ぼうか?」
交通機関での待ち時間って意外と手持ち無沙汰になりがちです。この待ち時間が遊びになったら……そう考えるとワクワクしませんか。
2023年3月20日に、JR東日本 燕三条駅構内にオープンした『燕三条 こうばの窓口(以後、こうばの窓口)』が、待ち時間を有意義なひとときに変えるかもしれません。その名も<こうば体験ツアー>。燕三条駅から新潟のローカル旅行に出かけてみましょう!
「旅行の最終日、駅周辺でどう遊ぼうか?」
交通機関での待ち時間って意外と手持ち無沙汰になりがちです。この待ち時間が遊びになったら……そう考えるとワクワクしませんか。
2023年3月20日に、JR東日本 燕三条駅構内にオープンした『燕三条 こうばの窓口(以後、こうばの窓口)』が、待ち時間を有意義なひとときに変えるかもしれません。その名も<こうば体験ツアー>。燕三条駅から新潟のローカル旅行に出かけてみましょう!
こうばの窓口は、駅構内という利便性を活かし、燕三条駅二階にある地方創生型ワークプレイス「JRE Local Hub 燕三条」内に設置されたものづくりの総合窓口です。燕三条地域の地場企業と国内メーカーを繋ぐほかにも工場(こうば)と旅行者を繋ぐために、5月27日からこうば体験ツアー オープン記念ツアーが開催されています。
今回は、燕市を巡ったツアーの様子をお届けします。
今回は、燕市を巡ったツアーの様子をお届けします。
燕三条駅内 こうばの窓口(13:00〜13:20)
こうばの窓口までは燕三条駅改札を出て、徒歩10秒。
館内には燕三条地域で作られる道具が展示されています。こうばの窓口で待っていたのが、ツアー案内人、燕三条地域の地場企業に詳しいお二人。ドッツアンドラインズ代表の齋藤和也さんと株式会社つくるの山田立さんです。
館内には燕三条地域で作られる道具が展示されています。こうばの窓口で待っていたのが、ツアー案内人、燕三条地域の地場企業に詳しいお二人。ドッツアンドラインズ代表の齋藤和也さんと株式会社つくるの山田立さんです。
※ドッツアンドラインズ代表の齋藤和也さん(中央)
まずは、こうばの窓口内に設置している「燕三条企業図鑑」を眺めながら、本日廻る工場について下調べをしました。燕三条企業図鑑とは、地場企業50社以上が掲載されている企業情報カードのこと。燕市のお隣、三条市に住む著者も意外と知らない工場が多く、「この会社、なんだろう?」と好奇心いっぱいで出発時間まで待つことができました。
まずは、こうばの窓口内に設置している「燕三条企業図鑑」を眺めながら、本日廻る工場について下調べをしました。燕三条企業図鑑とは、地場企業50社以上が掲載されている企業情報カードのこと。燕市のお隣、三条市に住む著者も意外と知らない工場が多く、「この会社、なんだろう?」と好奇心いっぱいで出発時間まで待つことができました。
はじめに、今回のツアーで廻る、せきかわ工芸さんとミノル製作所さんをご紹介。
1、有限会社 せきかわ工芸
質と信頼からなるオリジナリティの構築
長く味わう、共に過ごすをテーマに自分たちが欲しいと思う物を、自分たちの手でカタチにしています。長く使ってもらいたいから細部までこだわり、より丁寧に難しいと言われる技術があっても挑戦する。過ごす時間を彩り、使い込むごとに味わいを増す。ただの食器ではなく、自分の相棒としてそばにいる存在であるように。そんな想いを込めて、日々、ものづくりと向き合っています。
2、ミノル製作所 株式会社
予想をはるかに上回る
弊社は「へら絞り加工」を中心とした金属製品の製造、主にアウトドア用品・伝統工芸品・厨房用品を取り扱っており、特に試作や小ロットを得意とする会社となっております。また、分業が多いこの地域の中、一つの製品を自社で完結するため、一貫加工ラインを整え周りとの差別化を図り若い力で末永いお付き合いをさせていただきます。
1、有限会社 せきかわ工芸
質と信頼からなるオリジナリティの構築
長く味わう、共に過ごすをテーマに自分たちが欲しいと思う物を、自分たちの手でカタチにしています。長く使ってもらいたいから細部までこだわり、より丁寧に難しいと言われる技術があっても挑戦する。過ごす時間を彩り、使い込むごとに味わいを増す。ただの食器ではなく、自分の相棒としてそばにいる存在であるように。そんな想いを込めて、日々、ものづくりと向き合っています。
2、ミノル製作所 株式会社
予想をはるかに上回る
弊社は「へら絞り加工」を中心とした金属製品の製造、主にアウトドア用品・伝統工芸品・厨房用品を取り扱っており、特に試作や小ロットを得意とする会社となっております。また、分業が多いこの地域の中、一つの製品を自社で完結するため、一貫加工ラインを整え周りとの差別化を図り若い力で末永いお付き合いをさせていただきます。
ツアーで訪れる工場の燕三条企業図鑑を集めて、ネジ止めし、持ち運ぶこともできます。図鑑片手に、新潟県燕市杣木にあるせきかわ工芸さんに出発です!
燕三条 こうばの窓口
営業時間:10:00〜19:00
住所:新潟県三条市下須頃497 燕三条駅2階 JRE LOCAL HUB 燕三条
連絡先:
tel 050-1753-6875
info@factry-window.jp
せきかわ工芸(13:20〜14:30)
※せきかわ工芸代表の関川正幸さん(右)
まず、訪れたのがせきかわ工芸さん。
1995年に創業し、チタン加工を中心にへら絞りの技術にこだわって、ものづくりをしています。燕三条駅からせきかわ工芸さんまでは車で約15分の距離、道中は燕市に広がるのどかな田園風景と弥彦山を眺めながら向かいました。
まず、訪れたのがせきかわ工芸さん。
1995年に創業し、チタン加工を中心にへら絞りの技術にこだわって、ものづくりをしています。燕三条駅からせきかわ工芸さんまでは車で約15分の距離、道中は燕市に広がるのどかな田園風景と弥彦山を眺めながら向かいました。
せきかわ工芸さんに到着すると関川正幸代表自らがお出迎えして、自社商品や金属加工の工程を解説してくれました。
せきかわ工芸さんでは普段、競合他社に商品を真似されないようにと工場見学は行っていないといいます。なぜなら、せきかわ工芸さんで取り扱うチタンやステンレス、真鍮、銅、アルミの素材、主にチタンを扱う工場が珍しいからです。
せきかわ工芸さんでは普段、競合他社に商品を真似されないようにと工場見学は行っていないといいます。なぜなら、せきかわ工芸さんで取り扱うチタンやステンレス、真鍮、銅、アルミの素材、主にチタンを扱う工場が珍しいからです。
ひと昔まではチタンをはじめとする金属加工と変形には自ら木のへらを動かしながら絞る、手絞りが行われてきました。せきかわ工芸さんも創業当時は手絞りで、へら絞りが行える機械が少なかったそうです。
せきかわ工芸さんは機械開発メーカーと試行錯誤しながら、※かじりを抑えられる機械を開発して導入することで、スピニング加工(へら絞り)が行えるようになりました。
※かじりとは、摩擦などによって金属表面同士がくっ付いてしまうこと。
せきかわ工芸さんは機械開発メーカーと試行錯誤しながら、※かじりを抑えられる機械を開発して導入することで、スピニング加工(へら絞り)が行えるようになりました。
※かじりとは、摩擦などによって金属表面同士がくっ付いてしまうこと。
せきかわ工芸さんでは現在、スピニング加工技術を活かしてアウトドア用品を中心に、自宅とキャンプ場、どちらでも利用できる便利な商品を開発しています。
シェラカップ:調理器にも、食器にも、様々な用途で使えるカップ
サーバーロック:チタンの特性を生かした金属臭がつかないタンブラー
さまざまな商品に触れながら、開発秘話まで聞かせてくれました。
シェラカップ:調理器にも、食器にも、様々な用途で使えるカップ
サーバーロック:チタンの特性を生かした金属臭がつかないタンブラー
さまざまな商品に触れながら、開発秘話まで聞かせてくれました。
素材。例えば、チタンやステンレス、銅などによってわかりやすく重量が変わったりします。
「ぜんぜん、重さが違う……」とツアー参加者もびっくり。
「ぜんぜん、重さが違う……」とツアー参加者もびっくり。
せきかわ工芸さんで作られる商品に、実際に触れさせてもらう、贅沢なひととき。その商品がどう作られるのか、工場内を見学させてもらいました。
「ウィイイン」
滑らかな機械の金属音が鳴り響く工場内。歩いていると見えてきたのが目あたらしい光景とスピニング加工(へら絞り)を行う機械です。へら絞りとは、回転する一枚の金属板に「へら」と呼ばれる円盤を押し当て、流線型に変形させていく工法をいいます。
滑らかな機械の金属音が鳴り響く工場内。歩いていると見えてきたのが目あたらしい光景とスピニング加工(へら絞り)を行う機械です。へら絞りとは、回転する一枚の金属板に「へら」と呼ばれる円盤を押し当て、流線型に変形させていく工法をいいます。
「おぉ、さっきの製品はこうして作られるんだ」と参加者も前のめりになって興味津々。
作っている工場を見学した後に、せきかわ工芸さんの製品を改めて眺めるとその想いや背景がより感じられます。その魅力が、こうば体験ツアーに参加する人にも伝わってきたようで、なんだか幸せな気持ちになりました。
作っている工場を見学した後に、せきかわ工芸さんの製品を改めて眺めるとその想いや背景がより感じられます。その魅力が、こうば体験ツアーに参加する人にも伝わってきたようで、なんだか幸せな気持ちになりました。
せきかわ工芸さんでは関川さん自身が過去、意匠図面の制作に携わってきたこともあり、ゼロからデザインを考え、図面を引いて形にするまでが可能です。そのため、ほぼすべての工程を自社で担え、試作品を含め毎月5点ほどのあたらしいものづくりを行うそう。次にお邪魔するときも、あたらしいものとの出会いに驚かされるかも、そう思えるひとときでした。
有限会社せきかわ工芸
住所:〒959-1284 新潟県燕市杣木857-2
TEL:0256-63-8951
ミノル製作所(14:30〜15:45)
続いて、私たちが訪れたのはミノル製作所さんです。
せきかわ工芸さんと同様「へら絞り」を行っている工場で、ミノル製作所さんの職人さん自身で手仕事をしています。せきかわ工芸さんからミノル製作所までは車で5分ほど。その距離の近さが過去、へら絞り屋の集積地と呼ばれた地域の名残を感じさせます。
せきかわ工芸さんと同様「へら絞り」を行っている工場で、ミノル製作所さんの職人さん自身で手仕事をしています。せきかわ工芸さんからミノル製作所までは車で5分ほど。その距離の近さが過去、へら絞り屋の集積地と呼ばれた地域の名残を感じさせます。
※ミノル製作所で代表を務める本多貴之さん(右)
代表の本多貴之さんと若手職人のみなさんがミノル製作所さんの歴史と加工技術を解説してくれました。ミノル製作所ももともと、工場見学は行っていなかったのですが、若手職人たちの発案で※オープンファクトリーを開始しました。手仕事でのへら絞りについて、どういうものかをまず教えてくれました。
※オープンファクトリーのスケジュールはこちら。
オープンファクトリーのご案内
代表の本多貴之さんと若手職人のみなさんがミノル製作所さんの歴史と加工技術を解説してくれました。ミノル製作所ももともと、工場見学は行っていなかったのですが、若手職人たちの発案で※オープンファクトリーを開始しました。手仕事でのへら絞りについて、どういうものかをまず教えてくれました。
※オープンファクトリーのスケジュールはこちら。
オープンファクトリーのご案内
手仕事とプレス加工との大きな違いといえば、プレス加工では「オス型」「メス型」と呼ばれる凸凹の2つの型で挟むことによって金属加工を行います。一方で、手仕事では「オス型」と「へら」を用いて、自分の手で加工を行うんです。
若手職人さんが、そのへら絞りの技法をデモンストレーションしてくれました。
真鍮を棒先につけて体重を移動させながら、テコの原理で硬い素材を伸ばす。まるで即興のダンスをしているみたい。本多さん曰く、力任せに伸ばしていると、職人の体力がすぐに尽きてしまうそう。
真鍮を棒先につけて体重を移動させながら、テコの原理で硬い素材を伸ばす。まるで即興のダンスをしているみたい。本多さん曰く、力任せに伸ばしていると、職人の体力がすぐに尽きてしまうそう。
へら絞りの工程を見せてもらっても、息を切らさずに行えるのは職人さんの熟練度が高まっているからこそ。へら絞りの技法を1から学ぶあたらしい職人さんだと簡単にはいきません。
こうして懸命に絞ったとしても、出来がいまいちだとスクラップ置き場に。職人の世界の厳しさを目の当たりにすることになりました。
ミノル製作所では、こうした職人さんたちの汗と努力の結晶のオリジナルプロダクト「シンクロアート」(ものづくりの技術から生まれたアート系インテリア)や、フライパン、鍋、焚き火台などに使用できるキャンプギアの半製品を独自開発しています。工場見学に訪れると、どの商品もより魅力的に見え、愛おしく思えました。
ミノル製作所では、こうした職人さんたちの汗と努力の結晶のオリジナルプロダクト「シンクロアート」(ものづくりの技術から生まれたアート系インテリア)や、フライパン、鍋、焚き火台などに使用できるキャンプギアの半製品を独自開発しています。工場見学に訪れると、どの商品もより魅力的に見え、愛おしく思えました。
ミノル製作所
住所:〒959-1241 新潟県燕市小高995番地
TEL:0256-47-1364
FAX:0256-47-1365
燕三条駅内 燕三条Wing
こうば体験ツアーの終わりに、燕三条駅に戻ってきて燕三条の観光と産業の情報発信拠点「燕三条Wing」内を探索しました。
燕三条Wingでは、こうば体験ツアーで廻った工場の商品を探したり、お土産として燕三条地域で作られた道具を購入したり、思い思いに過ごしました。新潟旅行で、真心のこもったものに出会えたことも、並べられた製品がツアー前後で違う表情に見えたのも、こうば体験ツアーで巡ったからだと思います。また、こうばの窓口を訪ねたいと思います!
燕三条Wing
住所:〒955-0093 新潟県三条市下須頃502-3(JR燕三条駅内2F)
TEL:0256-34-7310
FAX:0256-34-2956
この記事を書いた人
新潟県生まれ、東京、沖縄を経て地元新潟にUターン。2021年2月、三条市の中央商店街に本屋「SANJO PUBLISHING」を立ち上げ、“まちを編集する本屋さん”をモットーにまちの魅力を集め、届けています。 まちを編集する本屋「SANJO PUBLISHING」(https://note.com/ncl_sanjo)