旅の途中に立ち寄りたくなる、絶品ランチと和洋デザートの「カフェ工房まめ」/胎内市


2025年08月22日 37ビュー
山も海もある自然豊かな胎内市。冬はスキー、夏は海水浴と、一年を通じてアウトドアが楽しめるエリアですが、かつて宿場町として栄えた市街地には、観光客だけでなく、地元の人々に愛される名店が点在しています。
今回ご紹介する「カフェ工房まめ」もそのひとつ。JR中条駅西口から徒歩5分ほど、落ち着いた住宅街に佇む、知る人ぞ知る人気カフェです。
 

ゆったり時間が流れる、心ほどける空間

シックなブラウンの外観に、白字の店名が映える「カフェ工房まめ」。まるで友人の工房に遊びに来たような、肩肘張らない雰囲気が魅力です。
木のぬくもりに包まれた店内は、自然光とペンダントライトがやさしく照らし、どこかホッとする空気が流れています。4人がけのテーブル席に加え、ひとりでも気軽に過ごせるカウンター席も。冬になると薪ストーブが室内をあたためてくれ、居心地のよさに思わず長居してしまいそうです。
窓際の2人がけ席では、グリーンや雑貨のディスプレイが心を和ませてくれます。「好きなもの、好きなことばかりを集めました」と話すのは、オーナーの山下佐代子さん。カフェ工房まめは、2025年11月に10周年を迎えます。

人気の理由は、空間の心地よさだけではありません。提供される料理が、とにかく美味しいのです。ランチ(1,200円)はA・B・C・Dの4種類があり、米粉パスタやハンバーグ、オムライスなどの日替わりメニューが楽しめます。

地元の素材を、手間ひまかけて

この日は、定番のAランチ「トマトソースの米粉パスタ」をいただきました。
まず目を引くのが、品数の多さ。メインのパスタに加え、たっぷりのサラダ、スープ、そして3種の副菜がついてきます。
米粉でつくられたパスタは、もちっとした歯ごたえとつるりとした喉ごしが特徴で、ソースとよく絡みます。ちなみに胎内市は、日本で初めて米粉の製粉工場ができた「米粉のまち」。地元の特色を活かしたメニューです。
トマトソースには、定休日にじっくり仕込んだ玉ねぎの旨みがしっかりと溶け込み、深いコクを感じさせてくれます。サラダは歯ごたえがよく、野菜の新鮮さがダイレクトに伝わる味。スープも具材の火入れが絶妙で、やさしい味にホッとします。

副菜に和惣菜。ごちそう感たっぷりのランチ

この日の副菜は、左からブロッコリーとチキンの煮込み、つぶ貝のわさび和え、きんぴらごぼう。どれも手間がかかっていて、思わず「家ではなかなかここまでできないな」と思ってしまいます。近くにあるご実家の畑で採れた野菜がふんだんに使われており、まるで家庭料理をふるまってもらっているようなあたたかさ。
和惣菜が組み合わされたカフェランチというのも新鮮で、「手作りこんにゃくの刺身」など、ちょっと珍しい一品が並ぶこともあるそうです。

和と洋のいいとこ取り。手づくりデザートも絶品

食後には、和菓子か洋菓子の「本日のデザート」が選べます(和菓子は350円、洋菓子は450円)。和菓子は、和菓子職人の山下さんが、洋菓子はパティシエの娘さんが担当。親子で手がけるデザートにも、多くのファンがいます。
この日は、夏の夜空を思わせる花火の練り切りをいただきました。目でも季節を楽しめる一品で、美しい彩りにうっとり。味わいももちろん上品で、甘さは控えめです。
季節ごとの練り切りのほか、山下さんが好きな「ハリネズミ」など、思わず声が出るほど愛らしいモチーフも並びます。テイクアウトも可能なので、ちょっとしたお土産や自分へのご褒美にもぴったりです。
 
チーズケーキは、しっとりとなめらかで、甘さは控えめ。この日選んだメニューは、旬のイチジクを使ったチーズケーキ。チーズと果実の風味が調和し、最後まで飽きずに楽しめる味わいです。クラストも香ばしく歯ごたえがあり、とても美味しいのですが、なんと米粉を使用しているとのこと。小麦粉に劣らないどころか、それを上回る風味に驚かされました。夏には自家製シロップのかき氷も登場するなど、デザートのラインナップも季節ごとの楽しみがあります。

「まめブレンド」と雑貨の楽しみ

デザートのお供には、ぜひ「まめブレンドコーヒー」を。酸味を抑えた深い苦味が特徴で、和菓子にも洋菓子にもよく合います。後味にはスパイスのような抜け感があり、つい何杯でも飲みたくなる味わいです。
このコーヒーの風味を引き立てているのが、オーナーが一目惚れして購入した「玉川堂のポット」。近年、メディアでもたびたび紹介され注目を集めている、燕市の老舗による逸品です。このポットで沸かしたお湯は雑味がなく、よりまろやかな味わいになると評判です。「まめブレンドコーヒー」は店頭での購入も可能。また、手作り雑貨の販売も充実しています。
オーナーのお母様が手がけるカゴバッグは、軽くて丈夫で、アウトドアや温泉にもぴったり。布バッグやポーチ、フェルト小物なども揃っており、料理を待つ時間もあっという間に感じられます。

家族でつくる、地域に愛されるカフェ

山下さんにお話をうかがうと、「楽しんでお店をやっている」という気持ちが伝わってきます。お店のロゴやメニューのデザインには、娘さんや息子さんも関わっているそうです。温かみのある雰囲気は、そんな家族のチームワークから生まれているのかもしれません。
旅先ならではの名物も魅力ですが、地元の人が日常的に通うお店にこそ、その土地の暮らしぶりが感じられるもの。「カフェ工房まめ」は、まさにそんなお店です。家庭料理をベースにした洋食ランチに、和惣菜、副菜、和菓子とケーキ――ジャンルにとらわれない“美味しいもの”の組み合わせは、きっとここでしか味わえません。若い方にはしっかり満足できるボリューム感がありながら、もたれるようなしつこさがなく、幅広い世代に愛される味。老若男女問わず、誰かを連れて行きたくなるお店です。
その土地で暮らす人の「ふだん」を味わう旅も、また旅の醍醐味のひとつ。胎内を訪れた際には、「カフェ工房まめ」で、そんな“いい日常”に出会ってみてください。
 
カフェ工房まめ

カフェ工房まめ

住所:新潟県胎内市西本町8−51
TEL:0254-28-8281
営業時間:11:00〜16:00(L.O15:30)
定休日:毎週日曜日、月曜日
駐車場台数:11台

カフェ工房まめ

この記事を書いた人
もち

新潟→東京→新潟。新潟在住ながら、仕事で各地を行き来する生活をしています。アート、旅、本、動物が好き。新潟のおすすめローカルフードは餅菓子や旬の果物。旅行の計画を立てることや、お土産選びが趣味です。