温泉ととれとれの海の幸と新酒 佐渡にどっぷり浸かって楽しむ贅沢旅


じつは島内には宿泊でも日帰りでも満喫できる温泉が点在しています。のんびり湯に浸かって体を癒やし、心身をリフレッシュ。意外に知られていない穴場のスポットも巡りながら、日本海と加茂湖の恵みを思う存分味わう旅へ。
2泊3日モデルプラン
【DAY.1】
»「キッチンよろこんで原黒店」でランチ
↓クルマで約6分
»「天領盃酒造」見学
↓クルマ約3分
»「牡蠣料理 あきつ丸」で夕食
↓クルマで約10分
»~「朱鷺伝説と露天風呂の宿 きらく」に宿泊
【DAY.2】
»「佐渡市平スキー場」で雪遊び
↓クルマで約25分
»「仙道温泉 湯林荘」で日帰り温泉
↓クルマで約5分(宿にチェックインしてタクシーで移動)
»「四季菜割烹 伝」で夕食
↓クルマで約6分
»~「八幡温泉 八幡館」に宿泊
【DAY.3】
»「あめやの桟橋」見学
↓クルマで約15分
»「夫婦岩」見学
↓クルマで約40分
»「蕎麦 茂左衛門」で昼食
↓クルマで約8分
»「新穂潟上温泉」で日帰り温泉
↓
両津港へ
1
加茂湖
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両津港から歩いて行ける加茂湖は、両津湾と水路でつながっており、海水と淡水の入り混じった汽水湖になっています。遊歩道やサイクリングロードが整備され、日本百景にも選ばれている風情ある景色。
1日目は、海と湖のある佐渡の玄関口を漫遊。湖面に浮かぶ牡蠣棚や雪化粧をした大佐渡山脈の景色をぼんやり眺めているだけでも安らげます。
「雪道の運転が不安…」「地酒を飲みたいから運転はちょっと…」といった場合は、時間制でタクシーを貸し切ってスポットをまわる方法も。タクシー会社よっては観光地を巡る独自の観光コースも用意しているので、上手に活用するのもありです。
2
キッチンよろこんで原黒店
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両津港からクルマで3分ほど。まずは地元民に愛される食堂「キッチンよろこんで原黒店」へ。佐渡のソウルフードである飛び魚を使ったメンチカツや餃子のほか、定食、丼もの、麺類など、地産地消にこだわった幅広いメニュー展開が魅力です。
佐渡の冬の代表的な味覚といえば寒ブリ。冷たい北の海の荒波にもまれたブリの身は締まりがよく、味もよし。
「おすすめ! 寒鰤づくし定食」は、大トロ、ハラ、背、ヅケの4種のブリの刺身に、アラ煮や塩焼きまで味わえる欲張りなセットです。刺身1切れの大きさに驚きますが、大トロにわさび醤油をたっぷりつけて、ごはんを包むようにして頬張ると、ブリの脂が爽やか。クセがなく上品な甘みが広がり、口どけもたまりません。もちろんブリだけでなく、佐渡産コシヒカリとともに旬の地魚を多彩な調理法で味わえる大満足のメニューが揃います。
近くにある「椎崎諏訪神社」の奥には、加茂湖と金北山を一望できる「加茂湖展望の丘」があるので、食後の腹ごなしに立ち寄ってみるのもおすすめです。
3
天領盃酒造
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金銀山の繁栄とともに発展を遂げた佐渡島の酒造り。かつては200を超える酒蔵があり、現在は5つの蔵が趣向を凝らしてお酒を醸しています。
「天領盃酒造」は、江戸中期からの歴史を持つ酒蔵をルーツに持つ酒蔵。コンセプトは、佐渡最高峰の金北山の伏流水を使用した、きれいで軽くて穏やかな酒造り。そのための設備投資を毎年行っているので、常に進化し続け、お酒に反映されています。
火入れ技術の向上によりフレッシュ感がありながらまろやかな味わいに進化したという「雅楽代」シリーズは、穏やかで後味すっきりのきれいなお酒。ほんのり旨みと甘みがあって食中酒にうってつけ。2023年にJAL国内線ファーストクラスの機内酒として採用されました。
ほかにも「天領盃」の低アルコール原酒や「OUROBOROS」といった古酒なども揃います。
4
冬のトキにも注目
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加茂湖の近くで、顔が黒っぽくなったトキを発見。
実はトキの顔色は季節によって少し変わるんです。冬の時季は、求愛や縄張り争いなどで顔が黒ずむこともあるんだとか。
移動中は空や田んぼに目を向けて、ぜひトキを探してみてください。
いつ、どこで出会えるか分からない、その瞬間も佐渡旅の楽しみのひとつです。
5
あきつ丸
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佐渡の冬を代表する味覚として、忘れてはいけないのが牡蠣です。加茂湖では養殖の牡蠣がおいしい季節を迎え、水揚げの最盛期を迎えます。
加茂湖に面した牡蠣小屋「あきつ丸」では、牡蠣づくしのフルコースが味わえるということで、夕食にチョイス。
「牡蠣づくしのフルコース」でいただく牡蠣のしゃぶしゃぶは、だしを取らず、さっとお湯にくぐらせるだけのシンプルなのもの。なのに、濃厚でクリーミーな味わいが口の中に広がります。揚げたてのカキフライも牡蠣のおいしさをそのまま味わえるよう薄い衣で揚げており、プリプリの肉厚がたまらないひと皿。
牡蠣ごはん、牡蠣の殻焼き、牡蠣汁、牡蠣の佃煮、小鉢と牡蠣づくしですが、それぞれ異なる牡蠣の旨みを引き出しているので飽きることなくいただけます。牡蠣に合う地酒も用意。
6
朱鷺伝説と露天風呂の宿 きらく
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旅初日の宿は、湖畔の宿で絶景を楽しめる温泉でゆるりと過ごしたいもの。海が近い佐渡の温泉の特徴は、塩化物系の泉質が多く、湯冷めしにくく、保湿効果に優れているそう。また切り傷などにもよいといわれ、両津地区の温泉には湧き出る温泉にトキが傷を癒すために飛来したという伝説も残っています。
両津港からクルマで5分とアクセス良好な「朱鷺伝説と露天風呂の宿 きらく」は、湯量豊富な椎崎温泉郷の高台にあり、海と湖に囲まれたロケーションが素晴らしいところ。最上階の「パノラマ展望大浴場」のほか、「朱鷺の舞湯」という露天風呂、個室露天風呂と、多彩な湯浴みで島時間を堪能できます。
7
佐渡市平スキー場
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佐渡も冬には雪が降り、山へ行けば雪遊びもできます。あまり知られていませんが、スキー場だってあるのです。
「佐渡市平スキー場」は、佐渡市唯一、そして日本唯一離島でありながら2人乗りのシートを備えた「ドリーム・ペアリフト」を有するスキー場。標高1,030メートルの妙見山の中腹にあり、ゲレンデから佐渡の中央に広がる国仲平野を見下ろすダイナミックなロケーションが特徴です。
広くゆったりとしたユートピアゲレンデをはじめ、緩やかな傾斜のファミリーゲレンデや上級者向けの急斜面など場内に5コースを設定している、総滑走距離1,260メートル。初心者から上級者まで楽しめるスキー場のロッジでは、機材を各種用意し、スキーやスノーボードのレンタルも行っています。
自衛隊が管理する防衛道路を利用してアクセスする、ちょっとユニークなスキー場は、クルマで行く場合はタイヤチェーンを必ず携行することが条件。土・日・祝日のみではありますが、市役所本庁前発の1日2便の無料シャトルバスを使って行くのがおすすめです。
8
仙道温泉 湯林荘
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スキーやスノーボードを楽しんだ後は、あったか温泉で汗を流してさっぱりと。
佐渡にはさまざまな泉質の温泉があり、効能もそれぞれ。国仲平野の田んぼとのどかな風景の中に佇む「仙道温泉 湯林荘」は、疲労回復に効果的な湯治場として長年親しまれていたレトロな雰囲気の銭湯です。茶褐色の湯は、植物起源のモール温泉。日本でも珍しく温泉ファンからも人気が高いモール温泉は、ナトリウムが豊富で清々しい香りが特徴です。
湯上がりには、肌がうっとりするほどすべすべになって、体の芯からぽかぽか。昭和の時代にトリップしたような異空間でひと休み。
9
四季菜割烹 伝
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お待ちかねの夕食は、地元の食材を活かした「四季菜割烹 伝」へ。暖流と寒流が交差し、1年を通して新鮮な魚介類が水揚げされる佐渡島ですが、とくに冬は魚の種類が増え、旨みも増すといいます。たとえばこの日の「佐渡産 刺身盛合せ」は、皮目を炙ったノドグロに石鯛、寒ブリ、メジマグロ、ヒラメ、カワハギ、赤メバル、マトウ鯛、目鯛、コブ鯛の10種もの魚が器に盛られ、佐渡の海の豊さを目でも楽しませてくれます。
また、鯖寿司といえば、酢でしめた鯖を使ったお寿司が一般的ですが、こちらではすし飯と一緒にパリッと焼き上げた香ばしい鯖寿司で登場。肉厚の佐渡産の鯖を塩でしめて酢で洗い、ごまと生姜を加えたシャリと合わせて棒状にし、一晩寝かせて直前に焼き上げているそう。
10
八幡温泉 八幡館
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2日目の夜は、皇室ゆかりの宿として知られ、昭和天皇をはじめ皇室関係者や政府要人、多くの著名人をもてなしている「八幡温泉 八幡館」でゆっくりと。松林に囲まれた敷地内は、静謐で落ち着いた雰囲気。上階の客室からは、真野湾と大佐渡と小佐渡の両山脈を一望できます。
館内には広々とした大浴場と松林を眺められる露天風呂も併設。佐渡随一の湧出量を誇る、地下1000メートルから48度の豊富な湯を噴出し、しっとり肌になじむやわらかな泉質は多くの人から愛されています。佐渡の中心エリアに位置するロケーションで観光にも便利です。
11
あめやの桟橋
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最終日は天候に恵まれたので、西側の海辺を散策。国道350号が通り、アクセス良好の真野湾に面した佐和田海水浴場には、海に向かってまっすぐ伸びる人気のフォトスポット「あめやの桟橋」があります。桟橋の先端に立つと海上をすれすれで飛ぶ黒い鳥たちが羽を休めていたり、海の底でカニの親子が歩いていたりと、のどかな光景が目に入ってきます。
12
夫婦岩
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大自然の造形美を楽しむため、七浦海岸方面にも足を運んで「夫婦岩」も見学。「古事記」の国生み神話に由来するとされる大きな2つの岩七浦海岸のシンボルです。
周辺には、昔ながらの製法で炊き上げる塩工房もあり、見学することができます。
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蕎麦 茂左衛門(そば もぜむ)
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最終日のランチは、手打ちする十割蕎麦と佐渡の食材にこだわった料理が味わえる完全予約制の「蕎麦 茂左衛門(そば もぜむ)」にて。店主の齋藤和郎さんは、佐渡生まれ。東京の蕎麦店などで研鑽を重ね、里帰りして2014年にお店をオープン。店舗にした家屋にもともと付いていた屋号、茂左衛門を店名にし、佐渡なまりの呼ばれ方「もぜむ」を読み方にしたそう。
山や海に出かけその時々の季節の食材を調達しながら、どうおいしく合わせるか、日々の探求に余念がありません。たとえば、「ヤリイカのさっと煮」なら、魚介類と野菜などの食べ合わせの妙を追い求め、イカと菜の花、イカとカブ、卵とイカなど、一緒に頬張ってさまざまな口内調味を楽しめるように。散りばめた種漬花という野草を口にすれば、クレソンのようなピリッとした辛味がアクセントにも。
十割で打つ蕎麦は、細打ちでなめらかな舌触り。食べ方は「江戸前風もり」を選ぶことができますが、ここは佐渡伝統の「ぶっかけ」を。「ぶっかけ」は、蕎麦の入った丼に冷たい蕎麦つゆをかけてよく混ぜます。たっぷりつゆを絡めた蕎麦を手繰ると、渾然一体となった蕎麦とあごだしが楽しめます。たっぷりかけても優しい味わいのつゆは、小木産のあごとカマス、干し椎茸でだしをとったもの。ガッツリ辛いカルム農園の佐渡産一味唐辛子をひとふりしても絶品です。
14
新穂潟上温泉
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新穂潟上温泉は、順徳上皇が愛した佐渡最古の湯(霊泉)として親しまれている温泉です。両津港も近く、クルマで10分ほど。野生のトキも見られる、新穂にある日帰り温泉施設なので、旅の締めにもぴったり。
2つの源泉が楽しめる新穂潟上温泉には、ナトリウム塩化物泉を引く大浴場「熱の湯」と、冷鉱泉「さぎの湯」があります。シロサギが傷を癒したと伝わる開湯800年の古湯「さぎの湯」は、ナトリウム塩化物冷鉱泉で、つるつるとやわらかな肌触り。「熱の湯」にはサウナが併設されているので、サウナでほてった体を「さぎの湯」でキューッと冷やしても。大広間では時間の許す限りまったりくつろぐことができます。
15
両津港
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最後は両津港へ戻ってフィニッシュ。
冬の味覚と温泉をめぐる、2泊3日の佐渡島旅はいかがでしたか?
寒ブリや牡蠣など、寒さが深まるほどに美味しさを増す佐渡の恵み。
そして、心までほどけるような、個性豊かな温泉の数々。
冬だからこそ訪れたい“旬の食”と“あたたかさ”に出会えるスポットをぎゅっと詰め込んだ、3日間のモデルコースをご紹介しました。