【水の旅路】新潟―佐渡を「水」でめぐる
江戸時代半ばから明治にかけて、大阪と北海道を結んだ「北前船」。新潟本土や佐渡には多くの寄港地があり、人やモノが集まり独自の文化が形成された。当時の高度な造船技術や、佐渡金銀山の隆盛に貢献した水利技術にも触れる。
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浜焼き
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もともとの始まりはたくさん獲れた魚の保存のために始まったと云われている。魚沼産の白炭を使って丹念に焼き上げた浜焼は遠赤外線によりじっくりと焼き上がりうまみが凝縮されていて香ばしい。もともと保存食であるため贈答品としても重宝される。
【浜焼きが買えるお店】
◎石井鮮魚店/出雲崎町羽黒町/Tel0258-78-2025
◎磯田鮮魚店/出雲崎町石井町/Tel0258-78-2578 土日祝のみ営業
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北国街道 妻入り会館
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新潟には、かつて江戸から明治にかけて大阪と北海道を結び、運送に加えて商品の売買を行う“動く商社”北前船の寄港地があった。中越の出雲崎もそのひとつ。施設名にもある「妻入り」とは、切妻屋根両端の三角形になっている面に向かって出入り口を設けた独特の建築様式で、こちらは伝統的な外観や間取りを再現した観光交流施設。館内では妻入りの建築様式や出雲崎の観光名所の情報を発信している。無料の休憩所としても利用可能。
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越後出雲崎 天領の里
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佐渡島を望む海岸線に沿って造成された観光複合施設。出雲崎は、佐渡からの金銀荷揚げ港として栄え、中山道と北陸道を結ぶ北国街道の宿場街としても発展を遂げ、天領として越後一の人口密度を誇った。館内では、人やものが集まり、独自の文化を形成していた時代の出雲崎をリアルに再現。中でも2/3スケールで再現された江戸時代の御用船は圧巻だ。また敷地内の「夕凪の橋」から望む夕日は世界で一番大きいと称されている。
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良寛記念館
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水の都として栄えた出雲崎の名主・橘家山本家の長男として生まれ、温厚な人柄で「良寛さん」と呼ばれて多くの人に親しまれた、江戸時代を代表する禅僧の記念館。名建築家・谷口吉郎さんが手掛けた優美な回廊からなる和風建築は、国登録有形文化財に認定されている。良寛は、詩人や歌人、書家としても名高く、「日本書道の究極美」と絶賛された遺墨をはじめ、縁者の作品や巨匠の絵画を通して、中越文化の偉業を伝えている。
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岩室温泉
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北国街道に位置し、弥彦神社の北、多宝山の東に広がる新潟市唯一の温泉地。江戸時代中期から「新潟の奥座敷」として利用され、越後芸妓文化発祥の地としても名高い温泉地の魅力は「黒湯」だ。源泉に含まれる硫黄と鉄が結合して硫化鉄になることで生まれる黒湯は、冷え性やアトピー皮膚炎、切り傷をはじめさまざまな効能が認められている。四季折々の日本の原風景が残る地で心身が癒やされる滞在を楽しみたい。
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新潟市歴史博物館みなとぴあ
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水とともに歩んできた新潟の歴史と文化を発信する博物館。新潟西港に面した同施設では、幕末に開港場に選ばれた5港のうち、開港当時のまま唯一現存する国指定重要文化財「旧新潟税関庁舎」をはじめ、周辺には荷上場の石段や堀と柳並木が整備され、明治から昭和にかけて情緒あふれる港町の景観が再現されている。博物館本館では「郷土の水と人々のあゆみ」をテーマに新潟の歴史や民俗について体感しながら楽しく学ぶことができる。
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湊稲荷神社
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1716年創立。海の守護神として、新潟に入港する北前船の船乗りたちの信仰を集めていた神社。一方で、当時花街の女性たちは、荒天が続けば海の男たちが出航できず長く滞在することから、西風が吹いて海が荒れることを願い、高麗犬の向きを西に変えたといわれている。これが起源となり、全国にも例をみない「回るこま犬」が誕生した。拝殿に向かって男性は右、女性は左の高麗犬を回しながら祈願すると、願いが叶うとされている。
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新潟港から両津港へ
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ジェットフォイルで67分
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宿根木集落
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宿根木は、一村が千石船産業の基地として整備され、最盛期には佐渡島の富の1/3を集めたとされる集落。目の前に海が広がるこの地には、現在も1haの土地に200棟の建造物が密集している。狭小地に工夫を重ねて建てた舟形の「三角家」をはじめ、当時の生活の豊かさを物語る軒下の意匠、瀬戸内海尾道港から運ばれてきた御影石など、ノスタルジックな情景で船大工独自の技術と廻船による栄華の歴史をいまに伝えている。
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御宿 花の木
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海と山の自然に囲まれた宿根木集落の中にある名宿。2000坪の敷地内に移築した約180年前の古民家と離れの宿坊の客室からは、四季で移り変わる里山の美景が広がる。中でも、庭にそびえ立つ「ねむの木」は、名画のように見る人の心をとらえてやまない。佐渡島の旬の食材をふんだんに使用し、佐渡塩、女将が自ら搾る自家製椿油などで仕立てた料理も魅力。集落散策、釣りやダイビングなどマリンレジャーの拠点として滞在したい。
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きらりうむ佐渡
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世界文化遺産候補地として注目を集める佐渡金山の魅力を伝えるガイダンス施設。佐渡金銀山では、切り崩した山裾に土砂を流し、比重の重い砂金を水路の底にためて採取する西三川砂金山の「大流し」など、水が重要な役割を果たしていた。それらを再現するプロジェクションマッピングをはじめ、4つの展示室では、3面スクリーンの多角的映像、立体的なレリーフ模型などグラフィックで佐渡金山の歴史をわかりやすく紹介している。
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史跡 佐渡金山
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西三川砂金山、相川金銀山、鶴子銀山の鉱山で構成される日本最大の金銀山は、現在も良好な状態で採掘場などの遺跡や奉行所跡、集落跡が残されている。注目は、湧出する地下水を排出するために5年の歳月をかけて手掘りで開削した「南沢疎水道」の高度の測量技術。さらに木筒の中心軸につけた螺旋型の羽根で水をくみ上げ、後の水田にも利用された「水上輪」など、「水」の視点で佐渡金銀山をめぐれば、また異なる文化的発見がある。
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持田家・持田鮮魚店
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260kmの海岸線が続く佐渡の海は、沖合いに岩礁域が多く、変化に富んだ好漁場として名高く、漁獲高は新潟県全体の約25%を誇る。その海の幸を存分に満喫したいなら、相川地区で半世紀以上営む鮮魚店「持田鮮魚店」直営の食事処「持田家」は外せない。海を知り尽くした店主が、四季折々の魚介の素材を生かして仕立てる料理の中でも、約10種類を盛り合わせた彩り豊かな海鮮丼や金山の宝船定食は必ずいただきたい名物だ。
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両津港から新潟港へ
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ジェットフォイルで67分
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古町・鍋茶屋通り
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新潟県随一の繁華街・古町エリアの古町通八番町と東堀通八番町の間にある情緒豊かな東新道は、通称「鍋茶屋通り」と呼ばれている。日本海に面し、信濃川と阿賀野川が流れる新潟市は、古くから港町として栄え、町の発展と密接な関係にあった花街も隆盛を極めた。鍋茶屋通りは花街の一角にあり、各界の著名人や多くの文人墨客に愛され、現在も「古町芸妓」や料亭により受け継がれている伝統芸能・文化を垣間見ることができる。
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新潟市内で宿泊
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旧小澤家住宅
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江戸時代後期から米を扱い、明治初期に廻船を運航して以降、港に関わる会社を営み活躍していた商家・小澤家の店舗兼住宅。約1600㎡にも及ぶ敷地内には主屋・土蔵などの建物や庭園があり、明治時代に成長した豪商の生活様式が垣間見られるとともに屋敷構えを構成する建物がほぼそのまま残ることから、新潟市の文化財にも指定。廻船業で数々の商家が盛衰を繰り返した町で栄華を誇った豪商の暮らし、歴史の一端に触れられる。
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日和山展望台
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北前船が行き交う時代、水先案内人が天候や風向きを観測する場所だった日和山。江戸時代には船見櫓が設けられ、麓には茶屋がつくられるなど観光名所としても賑わった。1881年、海側にできた砂丘の上に茶屋がつくられ、「新日和山」と呼ばれるように。その後、海岸浸食により少し後退した場所に「日和山展望台」が設けられた。初代は1936年、現在の2代目は1977年の完成。晴れた日には佐渡・粟島も望める絶景は必見。
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港料理 魚や片桐寅吉/港茶屋
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北洋漁業家として富を成した片桐家が暮らしてきた築110年を超える古民家「旧片桐家住宅」を活用した食事処&カフェ。2021年、国指定有形文化財にも指定され、伝統的な日本家屋の中で名作庭師・後藤石水による石水庭園を眺められるロケーションは何よりの魅力といえる。「魚や片桐寅吉」では、昼夜ともに魚料理をはじめとした美食が楽しめ、「港茶屋」では、雪室珈琲や雪室白玉などの甘味がゆったり味わえる。