カンゾウと岩ユリに出会う|路線バスで巡る佐渡・花めぐり旅


なかでもおすすめが早春から6月にかけての季節。トビシマカンゾウと岩ユリという佐渡の代表的な2つの花が見ごろを迎えます。雄大な自然をバックに、健気に咲き誇る花々はまさに絶景。しっかりグルメスポットを巡りながら、のんびりと路線バスに乗って花を巡る旅へ。
2泊3日モデルプラン
【DAY.1】
両津港
↓路線バスで約80分
» 景勝地「大野亀」で花鑑賞
↓徒歩すぐ
»「大野亀ロッジ」で休憩
↓路線バスで約8分
»景勝地「二ツ亀」を散策
↓徒歩約5分
»「SADO二ツ亀ビューホテル」で夕食&宿泊
【DAY.2】
»「SADO二ツ亀ビューホテル」で朝食
↓路線バスで約80分
»「maSanicoffee」で休憩
↓路線バスで約50分
»「夕食堂」でランチ
↓路線バスで約16分
»「日本料理 なかむら」で夕食
↓徒歩約3分
»「ryokan 浦島」に宿泊
【DAY.3】
»「ryokan 浦島」で朝食
↓路線バスで約55分
»「藻浦崎公園」で花鑑賞
↓路線バスで約90分
両津港でお土産タイム
1
のどかな海岸線をバスに揺られてしなしなと
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佐渡島をのんびり巡るなら、地元の人と一緒に路線バスに揺られる旅もおすすめです。新潟交通佐渡が運行する島内のバス路線は12路線。乗り降り自由の1日券から、2日間、3日間乗り放題になるパスもあるので、路線図や時刻表を確認しつつ、上手に選んで島旅を満喫しましょう。
2
大野亀
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目指すは佐渡の秘境、初夏の訪れを告げるトビシマカンゾウの花が見ごろを迎えている大野亀。両津港のバス停から二ツ亀・大野亀方面行きの「内海府線」に乗車します。
内海府線は、両津から佐渡の東海岸沿いを島の最北端まで走る路線バス。風光明媚な県道「佐渡一周線」をひたすら北上していくので、車窓からはどこまでも続く日本海とゴツゴツとした岩壁の風景が広がります。海を眺めたり、うとうとまどろんだり、アップダウンのある道を揺られながらバスならではの移動をのんびりと。
「大野亀」のバス停で降りると、日本海に向かって突き出している亀型の巨岩が目の前に現れます。数千万年前の火山活動によってできた大野亀です。『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で2つ星(寄り道する価値がある)として掲載されている景勝地で、5月下旬から6月上旬には、50万株100万本ものトビシマカンゾウが一面に咲き誇る花の名所でもあります。大正時代は牛の放牧地だったそうで、牛がこの花だけを食べなかったため群落が残ったといいます。
山吹色の花を艶やかに咲かせる、トビシマカンゾウ。大野亀や七浦海岸のほか、外海府海岸や真野海岸、沢崎灯台周辺などでも出合うことができ、目を楽しませてくれます。
※トビシマカンゾウの見頃は5月下旬~6月上旬ごろ
※2024年4月1日から、土・日・祝日の「内海府線」は、前日の17時までに事前予約が必要となりました。
詳しくは新潟交通佐渡のホームページをご覧ください。
3
大野亀ロッジ
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丘陵で可憐な花々を愛でたあとは、すぐ近くの「大野亀ロッジ」でエナジーチャージを。訪れた人たちが名づけたという「峠越えのソフト」(350円)が人気で、この日は、そのソフトクリームをのせたオレンジフロートをオーダー。大野亀を間近で望む絶景ロケーションのテラス席でいただく1杯は格別です。
海鮮丼やブリカツ丼といった丼もの、各種カレーなどメニューも豊富。名物は日替わりランチ定食で、北澤さん自ら釣り上げたものや鷲崎の定置網から直送した新鮮な魚介が味わえます。
また、この地域は海藻の種類が多く、香りと旨みがあり、歯応えと粘りもよく絶品なのだそう。店内では自家製の海藻や山菜なども販売しているのでお土産にもうってつけです。
4
二ツ亀
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満潮時には離れ島、干潮時には島への道が出現する珍しい光景を楽しめる二ツ亀。国定公園でもあり、大野亀とともに『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で2つ星を獲得しています。
また、海水浴場としても抜群の透明度を誇り、環境省が選定した「快水浴場百選」にも登録。キャンプ場やホテルも隣接しているので、外海府海岸の観光の拠点として人気のスポットになっています。
大野亀からは、路線バスなら願(ねがい)集落を経由して約8分、歩いても30分ほど。大野亀と二ツ亀をつなぐ海沿いには遊歩道もあり、願集落から10分ほど歩くと賽の河原に出ます。冥途との境といわれ、昔から篤く信仰されていたこの場所には「地蔵菩薩」を中心に無数の石地蔵が静かに並んでいます。
道中の磯や海岸の崖には、真紅のハマナス、淡いピンク色のハマヒルガオ、白色の花をつけたハマゴウといった海岸植物も見られるので、足元に気をつけながら散策を楽しみましょう。
※2024年4月1日から、土・日・祝日の「内海府線」は、前日の17時までに事前予約が必要となりました。
詳しくは新潟交通佐渡のホームページをご覧ください。
5
SADO二ツ亀ビューホテル
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大自然を満喫した旅の初日は、佐渡島の最北端に位置する絶景の宿でのんびりと。2024年3月に全面リニューアルしたばかりの「SADO二ツ亀ビューホテル」は、名前の通り二ツ亀を望めるのが特長です。新たにウッドデッキテラスを設置し、防寒対策で2重窓にしたほか、客室やラウンジなどを改装。
なかでも客室は、質の高い眠りと爽やかな目覚めで知られるシモンズベッドを全室に完備し、調光ができる照明や北欧っぽいデザインの家具を取り入れ、くつろぎと快眠を追求した居心地のよい空間に。全室海側のオーシャンビューで、1年を通して海に沈む美しい夕日が見られるうえ、5月~9月ごろは海から昇る朝日も合わせて拝めます。夜は周辺の灯りが少ないため、天気がよければ水平線の際までの星空にうっとり…。
6
maSanicoffee
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朝食をすませたら、路線バスか宿の送迎バスで両津方面へ。佐渡汽船両津港ターミナル1階にある明るく開放的なカフェでひと休み。
木をふんだんに使いナチュラルで温かみを感じるカフェ「maSanicoffee(マサニコーヒー)」では、佐渡の旬の食材を使ったフードやバラエティ豊かなドリンクを提供しています。看板メニューの「佐渡小判バーガー」は、小判型のバンズに、ジューシーなハンバーグと佐渡のフレッシュな野菜を挟み、「塚本こうじ屋」の味噌を使ったソースで仕上げたひと品。ピンクグレープフルーツのジュレでトキ色を再現したという「トキソーダ」とも相性抜群です。
また、自慢のブレンドコーヒーは新潟市の「鈴木コーヒー」と作ったオリジナルのもの。ほかにも佐渡の番茶を使った「ばんちゃラテ」や島の南西に位置する西三川産の「リンゴジュース」、季節限定のメニューも。
店内では飲食以外にも、地元の作家さんの作品やトキが描かれた雑貨、オリジナルグッズ、佐渡の物産、佐渡本、島内のパン屋さんのパンや焼き菓子屋さんのクッキーなども販売し、地域を応援しています。
7
夕食堂
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両津港からは佐和田行きの「南線」に乗車し、島の西側へ。町屋造りの建物を再生したお店が増えている真野新町でお昼ごはんです。
真野商店街の一角にある「夕食堂」は、佐渡の食材を使った洋食や沖縄料理が楽しめる食堂です。高橋さん夫婦がもともと沖縄で営んでいたお店を、佐渡移住とともにそのまま移転。「子どもたちには季節のはっきりしたところで育ってほしい」という思いから、地図を広げて候補にあがっていた佐渡を訪れて、一発で移住を決めたそう。
移住の決め手は、四季のある自然に加えて、豊富な食材とそのおいしさ。お店でも新鮮な魚介類や味の濃い野菜を活かしたメニューを日替わりで提供しています。カレーやパスタのほか、定食は単品でも頼めるシステム。どのメニューも火加減、味加減が絶妙で幸せな気分になります。沖縄から食材を取り寄せ、本場の味を楽しむ「沖縄そばの日」も不定期で開催し、こちらも根強いファンが多いそう。
8
フォトスポットへ立ち寄り
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真野新町から次の目的地、佐和田方面へは「南線」「小木線」「赤泊線」の路線バスがあり、「佐和田バスステーション」で下車します。佐渡各地へのアクセスも便利な佐和田バスステーションは8路線あり、乗り換えポイントでもあります。遠浅の海岸、真野湾に面した海水浴場も歩いてすぐ。飲食店も多く賑わっているエリアです。
写真は、フォトスポットとして人気の佐和田海水浴場の駐車場にある大きな矢印。真野湾を背に、右手に七浦海岸、左手に西三川を望むことができます。
また、空と海に包まれるような絶景が楽しめる「あめやの桟橋」も、佐渡の絶好のフォトスポットとして人気です。
9
日本料理 なかむら
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「真野新町」で佐和田(佐渡病院)行のバスに乗車し、「佐和田バスステーション」で下車。お待ちかねの夕食は、地元の食材を活かした「日本料理 なかむら」へ。
2代目主人の中村大吾さんが手がける料理は、繊細な盛りつけと上品な味つけに定評があります。メニューは、その日仕入れた旬の調理したおまかせコースのみ。6~7品で6,000円~15,000円の予算に合わせて予約できます。
伝統的な日本料理をベースにしながらも、中村さんの独創性が随所に光る料理の数々。これらの料理とともに楽しむお酒とのマリアージュもこの店の醍醐味です。「金鶴」「真稜」「北雪」といった地酒のほか、ワインや各種焼酎などバラエティ豊かなドリンクを揃えており、心ゆくまで満喫できます。今宵は歩いて帰れる宿なので、美食と美酒に酔いしれましょう。
10
Ryokan 浦島
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「ryokan浦島」は、真野湾に面し、佐渡の景勝・越の松原に佇む宿。佐渡の自然と調和した「東の館」とガラス張りでスタイリッシュな「南の館」のそれぞれ異なる建築家が設計した建物も魅力です。
日本を代表する建築家、北山恒氏が設計を手がけた「南の館」は、都会的ながらゆったりと落ち着いた雰囲気。リゾートホテルの快適さと和風旅館のきめ細やかな心配りに、また足を運びたくなること間違いなし。
太陽光が降り注ぐ「南の館」の大浴場にも癒されましょう。
11
Ryokan 浦島
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「Ryokan 浦島」の朝食は、和食か洋食を選べるスタイルで、重箱で供される和食メニューを選択。ふたを開けると、何から食べていいのか迷ってしまうほどの品数にワクワクします。松林に囲まれた空間でいただく滋味豊かな朝食は、旅の最終日のモチベーションアップに!
12
藻浦崎公園
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佐渡島では、6月になると外海府海岸や小木半島を中心とした海岸線で岩ユリが花ざかり。岩ユリは、その名のとおり岩場に生えているオレンジ色のユリです。相川北片辺にある「藻浦崎公園」で見られる岩ユリは、群生地なので一見の価値あり。あえて厳しい環境に身を置き、鮮やかな花を元気よく咲かせる姿は、逞しい生命力を感じさせ、ちょっぴり勇気もいただけます。
佐渡島の海岸沿いでは、トベラの白い花も真っ盛り。ミツバチや大きなハチ、さまざまな蝶もこの花が大好きなようで、花の香りに誘われてたくさん集まっていました。まさに花の島、佐渡。海岸近くの道路脇を歩くと、多種多様な花の光景に出合うことができます。バスでのんびり余韻に浸りながら、帰路へ。
13
両津港でお土産タイム
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両津港へ戻って終わり!
路線バスで行ける、春と初夏に見ごろを迎える花を訪ねた2泊3日の佐渡島旅はいかがでしたか。ダイナミックな地球の活動を感じる景観に逞しく咲く花々、そしておいしい佐渡の食もやっぱり外せません。