『ゴールデンカムイ』の舞台も|鬼が舞う佐渡と上越ノスタルジー旅

2泊3日コース
車、フェリー
五穀豊穣を祈って鬼が舞う島へ
太鼓を打ち、鬼が、獅子が、舞い踊る。1年を通して祭りやイベントが盛んな佐渡島。なかでも春は祭りのオンパレードです。今回の旅は島の伝統芸能をご紹介。

また、かつて北前船で栄えた、佐渡・小木と上越・高田。それぞれに残るノスタルジックな町を散策しながら、伝統と文化を守り続ける人たちの熱い想いに触れました。いざ、盛りだくさんな旅へ出発。


2泊3日モデルプラン

【DAY.1】
»「喜八屋ゴローカフェ」
↓クルマで約10分
»「たたこう館」で太鼓体験&ランチ
↓クルマで約10分
»「宿根木はんぎり」でクルーズ体験
↓クルマで約3分
»「菜の花」「酒場の宿Seikuro」で夕食&宿泊

【DAY.2】
»「酒場の宿Seikuro」で朝食
↓クルマで約30分
»「莚CACAO CLUB」で休憩
↓クルマで約30分
»「さどやニッポン株式会社」を見学&昼食
↓クルマで約2分
»「マッテラート」でスイーツタイム
↓クルマで約40分
»「T&M Bread Delivery SADO Island」で朝食購入
↓クルマで約15分
»「お料理 あなぐち」で夕食
↓で約5分
»「いとしげなお宿 こいちゃ」宿泊

【DAY.3】
»朝食後、小木港から直江津港へ
↓クルマで約20分
»「小竹製菓」でパン購入
↓クルマで約5分
»「高橋孫左衛門」でお土産タイム
↓クルマで約7分
»「高田世界館」で映画鑑賞
帰路へ

START

1

喜八屋ゴローカフェ

佐渡のもんでひと休み

佐渡島・南の玄関口となる小木は、江戸時代の金銀の積出港や北前船寄港地として栄えた港町。その中心街は町人文化を偲ぶ木造町屋など歴史的な建物が軒を並べています。

小木港から歩いて5分ほどの「喜八屋ゴローカフェ」は、国の登録有形文化財に指定。5階建ての建物で、明治に建てられた旧喜八屋旅館の1階を一部改装してカフェとして営業しています。

ここで味わいたいのは、自家焙煎のコーヒーと佐渡産のおいしいもんを使ったメニューです。コーヒーはスタンダードの「しなしなコーヒー」とガツンと濃いめの「ごっつコーヒー」があり、今回はふわふわのシフォンケーキに合わせて、すっきりとした飲み口の「しなしなコーヒー」を選択。ちなみにしなしなとは佐渡弁でゆっくりという意味で、ごっつは鬼太鼓の赤毛の赤鬼の名だそう。

軽食には「へんじんもっこ」のソーセージや赤泊の特産を使ったピザ、「T&M Bread Delivery Sado Island」のバゲッドを佐渡バターと羽茂はちみつで仕上げるフレンチトーストなどを用意。

2

歩くのが楽しい、小木の町

のどかな雰囲気が漂う小木の町。てくてく歩いていると、寝そべっていたり、堂々と道を横切ったり、のびのびと過ごす猫の姿をあちこちで見かけます。

ごろりと昼寝。気持ちよさそうなハチワレ猫。

徒歩で約1分

3

中務商店

「喜八屋ゴローカフェ」の並びに気になる佇まいの建物を発見。そっと覗いてみると、店主の中務浩さんが快く歓迎してくれました。壁いっぱいに展示されているのは、古いレコードやCD、本、レトロなカメラ、さまざまな楽器にオーディオ機器など。

じつは電気店で、普段は接客用の部屋をアースセレブレーションなどのイべントの日には日陰の少ない小木の町歩きで疲れた人が休めるようにと、椅子やテーブル、茶菓子を用意して開放しているのだとか。真空管のアンプと修理したばかりという大きなスピーカーから流れる音楽は耳に心地よく、思いがけず優雅なひとときを堪能。

クルマで約10分

4

たたこう館

緑に包まれ、芯に響く音を全身で体感

小木町散策後は、クルマで10分ほどの山間にある「たたこう館(佐渡太鼓体験交流館)」へ。佐渡を拠点に世界で活躍する太鼓芸能集団「鼓童」が運営している施設で、太鼓体験などが楽しめます。

「鼓童」のメンバーやスタッフから実際に太鼓を教わることができる太鼓体験は子どもから大人まで夢中になれるプログラム。ドンドコドン、ドン、ドン、カッ、カッ、ドーン。軽快なリズムが心地よく、重低音が全身に響いてきます。適度な運動ができ、講師と合わせて叩く爽快感も魅力です。

こちらでは、地域のがんばりたい人を応援するチーム「しなしなやらんかや」が運営するカフェ「しなしな堂」が土日限定でオープン。太鼓体験後は、そのまま館内のカフェで、佐渡の食材をたっぷり使ったワンプレートランチを食べてパワーチャージを。

クルマで約8分

5

ジオパークの絶景を堪能

佐渡は島全体がジオパーク。小木半島の大地は、大昔の火山活動で噴き出した黒い溶岩が土台となった地質的にも貴重なエリアです。

森の中の「たたこう館」から西側の海へ10分ほど車を走らせると、まるでウユニ塩湖のような壮大な景色が広がるスポット「万畳敷」(沢崎海岸付近の通称)があります。せっかくなので寄り道してみましょう。
繰り返される隆起や侵食でつくられた風景は息をのむほど。

クルマで約10分

6

宿根木はんぎり

奇岩の間をゆらり揺られて

宿根木は江戸時代から明治にかけて廻船業で栄えた町。最近は漫画『ゴールデンカムイ』の聖地巡礼で訪れる人も多いそう。佐渡は月島軍曹の回想シーンで彼の故郷として登場しますが、いご草ちゃんを捜索するために乗っていた舟「はんぎり(たらい舟)」は、ファンには鉄板の巡礼メニューになっています。

地元・小木弁の船頭が案内するクルーズ体験は、宿根木海岸ではためいている「はんぎり」という青いのぼり旗が目印。湾内をまわる手軽な15分コースから湾外まで行く70分コースまであり、長い年月をかけて大地がつくり出した複雑な岩礁地帯をゆったりと巡ることができます。

はんぎりから箱メガネで海面を覗くと、海藻が驚くほどクリアに。宿根木の海は澄んでいて海底で採れる海藻やサザエまで見えますよ。

7

たらい舟は、ほかにも!

実際にワカメやアワビの漁など現役ばりばりで使われている「たらい舟」。佐渡情緒を味わえるたらい舟体験は、小木港や矢島・経島などでもできます。

小木港の力屋観光汽船(画像左)では上手に操ると「たらい舟操縦士免許」が取得できます。

矢島体験交流館(画像右)では、朱塗りの太鼓橋が美しい矢島・経島の風光明媚な入江の景色が楽しめます。予約をすれば磯釣りやイカの一夜干し体験も。

クルマで約3分

8

菜の花(酒場の宿Seikuroの1階)

島の滋味あふれる食材と地酒を揃えたレストラン

2024年4月にオープンしたばかりの「菜の花」は、昨年末まで東京・上野桜木で「上野桜木菜の花」として営業していた名店。もともとは1995年に宿根木にて開業した和食店で、今回のUターンをきっかけにゲストハウス+レストランとして再スタート。

自家栽培無農薬野菜にこだわり、米や味噌、ポン酢果汁果物などを使用した田舎料理で、ディナーはアラカルトとコース2種でおもてなし。ほとんどの野菜が隣の畑で収穫されたもので、味噌の原料となる大豆など、店主・石塚忠博さんの母親「かずえばあ」が手がけています。

席がゆったりと配されているので、シックで落ち着いた雰囲気のなか、くつろぎながら食事が楽しめます。

9

酒場の宿Seikuro

畑と海が見える酒場併設のゲストハウス

夕食とは前後しますが、宿のチェックインは「菜の花」のバーカウンターで行います。1階にシャワールームなどの共有スペースと「菜の花」、2階に客室があります。

白を基調とした客室は「無印良品」の寝具や家具で統一。硬さの異なる2タイプの枕が用意されているのもうれしいポイント。ツインタイプが3部屋、4ベッドルームが1部屋となっており、どの部屋からも畑越しの海が望めます。

夜はちゃんと暗く星に包まれて眠り、鳥のさえずりで目覚める朝。でも、ちょっと耳をすまして聞いてみると…ん? ホキョオ! ホホホホ、ホキョン。ホーホーホケケッキョ? 宿根木のウグイスは少し訛りがあるようで愛らしいのです。

【DAY.2】スタート

10

酒場の宿Seikuro

元気が出る! 選べる朝ごはん

「酒場の宿Seikuro」の朝ごはんは、夕食同様「菜の花」でいただきます。宿選びで朝食の内容は重要視されますが、こちらではその選択肢が秀抜。「羽釜炊きごはん膳」「ペリカンパントーストセット」「トーストセット」「おにぎりの朝食」の4つのメニューから選べるので、気分や体調に合わせて決めましょう。

メニューに浅草・田原町のペリカンのパンがあるのは、佐渡に戻ってくる前まで近所に住んでいたから。毎日食べても飽きのこない、もっちりどっしりの角食(角切り食パン)を、宿根木でいただくことができるんです!

クルマで約30分

11

莚CACAO CLUB

チョコレート工場でおやつタイム

朝ごはんを食べたら、小木から「佐渡一周線」をひたすら東へと移動して赤泊方面へ。おやつは佐渡初のクラフトチョコレート工場でのんびりと。

赤泊地区莚場(むしろば)の小高い田園に佇む「莚CACAO CLUB」は、築50年ほどの「旧赤泊ふるさと会館」を改装したチョコレート工場&カフェ。

こだわりはカカオ豆の仕入れから、焙煎、粉砕、板チョコにするまでの工程を一貫して行うビーントゥバーという手法で製造すること。カカオ豆と砂糖のみでつくるシングルオリジンチョコレートは、コーヒー豆を産地で選ぶような感覚で、産地ごとに異なるカカオ豆の味わいを楽しめます。

カフェメニューには、コーヒーやカフェラテのほか、カカオコーラ、カカオチャイといった気になるドリンクが用意され、スイーツもラムチョコアイス、尾道のやまねこの濃ゆ~いチーズケーキなど魅力的。迷ったら相談してオーダーするのが一番です。

店内ではチョコレートやスイーツも販売しているので、ギフトや自分へのご褒美にうってつけ。コスタリカ、ベトナム、ガーナ、タンザニア、トリニダード・トバゴが定番で、数量限定で佐渡材料を使ったものやコラボチョコも登場。

クルマで約30分

12

さどやニッポン株式会社

佐渡の祭り文化に触れ、継承の現場を体験する

「佐渡には集落の数だけ鬼がいる」といわれるほど、島内各地で独自の鬼太鼓が受け継がれています。太鼓の音とともに鬼や獅子が舞い踊り、五穀豊穣や家内安全を祈る――佐渡の祭りは、まさに地域の魂そのもの。

そんな文化を支え、未来へとつなげているのが「さどやニッポン株式会社」です。
ここでは、鬼太鼓の面づくりや祭具製作の工房見学、芸能の稽古場の見学、さらには太鼓の演奏体験など、佐渡の“まつりの現場”を肌で感じることができます。また、スタッフとの交流を通じて、島の芸能や地域のつながりの深さに触れることも。

見て、聞いて、感じて、佐渡の文化を自分の体で体験できる貴重なスポットです。

13

御縁GOEN

お米が、おにぎりが、団子がうめぇっちゃ!

通りに面した併設の茶屋では、お米のおにぎりや団子を販売しています。ベンチも用意されていますが、地元で「山王さん」と親しまれる新穂地区のランドマーク「日吉神社」で食べるのも風情があります。「見ざる」「言わざる」「聞かざる」の三猿をはじめ、鳥居や柱に意匠に猿が潜んでいることから「御縁GOEN」のロゴにも猿がひっそりと5匹潜ませているのがユニーク。

佐渡相田ライスファーミングのお米と新穂の水でつくるおにぎりと団子。どれもおいしいのですが、迷ったらぜひ「焼き醤油」のおにぎりを。また自然の甘みを楽しめる「無垢の蒸し団子」100円も格別です。

クルマで約2分

14

マッテラート

ひんやりジェラートで至福のひととき

苺やいちじく、プラムといったフルーツ、佐渡産ミルク、佐渡番茶、島内で採れたはちみつなど…。こちらでは、佐渡の恵まれた大地の食材や厳選した素材を使い、着色料や香料を使わずに丁寧に手づくりした旬のジェラートがいただけます。

日によって替わるフレーバーは6種類ほど用意。ジェラートはシングル、ダブルから選べます。

なかでも人気が高いのは、島内10カ所ある養蜂場で採れる貴重な佐渡産はちみつをふんだんに使った「生はちみつ」と、同じ新穂地区にある「齋藤農園」のフルーツを使ったジェラート。どちらもひと匙でその素材感が強く感じられ、濃厚! しかも絶妙な甘さに「おいしい」の連続です。この感動はぜひ現地で味わってもらいたいですが、オンラインショップからも購入できます。

ちなみに「まって」とは、佐渡の方言で「とっても」や「すごく」の意味で、イタリア語「ジェラート」の語尾を組み合わせて「マッテラート」という店名にしたそう。

クルマで約40分

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T&M Bread Delivery SADO Island

笑顔になれるベーカリーで、翌日の朝食を購入

南佐渡を訪れるならやっぱり「T&M Bread Delivery SADO Island」は外せません。ニューヨーク出身のマーカス・ソトさんと島根出身の山崎智子さんご夫妻が30年ほど前に移住してスタートした天然酵母のパン屋さんです。

パンは、自身の手で起こした天然酵母を使用。最近は地酒の「真稜」「金鶴」の酒粕や、佐渡の海岸で摘んだ野生のハマナスなどから起こしているそうです。ハマナスなら花が咲く前の蕾からちょっと開いたくらいがベストで、「ブクブク発酵するとラブリーな感じ」になり、バラのような香りのパンに仕上がるのだとか。

クロワッサンやハード系のパンのほか、朝食におすすめなのはアップルパイ。厚みの分だけりんごが詰まっているので、果実味を堪能できます。

クルマで約15分

16

お料理 あなぐち

古民家レストランで本格フレンチに遭遇

ディナータイムは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている宿根木集落へ。

伝統的建造物が並ぶなかでも美しい日本庭園がある古民家は珍しく、そこをフランス料理店に再生したのが「お料理 あなぐち」。入り口の説明には、「穴口さん」と呼ばれる屋号で、廻船問屋や作徳米で材をなし、明治時代には常に佐渡の長者番付に名を連ねるほど繁盛していたと記されていました。

築100年以上の屋敷の門をくぐり、一歩足を踏み入れると、そこは四季折々の表情を見せる日本庭園。静かな佇まいのなか、季節感あふれるフレンチを堪能できます。

黒鮑、サザエ、トビシマカンゾウの蕾、コブ鯛…。食材として使用するのは、地元の農家さんや漁師さんから仕入れた、佐渡の豊かな大地や海で育まれたもの。冬季(12月~2月)は、佐渡・相川の真鴨などを使ったジビエ料理も登場するそう。狩猟免許も取ったので、ゆくゆくは自らの手で仕留めた食材を使いたいというオーナーシェフの菊池猛さんの料理は、素材本来のよさと味わいを最大限に引き出します。

季節によって入れ替わるメニューはコースのみで、昼は3,850円と4,950円、夜は6,600円と8,800円を用意しています。ぜひ美しい盛り付けと器も楽しんで。

クルマで約5分

17

いとしげなお宿 こいちゃ

港町小木でのんびり

佐渡島の案内誌「いとしげな佐渡」監修の「いとしげなお宿 こいちゃ」は素泊まりの小さなお宿。徒歩圏内に港と公園、商店街や日帰り温泉もあり、港町小木をそぞろ歩きするのに便利です。

「ウィリアムモリスルーム」は、草花や樹木をモチーフとしたウィリアム・モリスの壁紙が愛らしく、旅の疲れを癒してくれそうな居心地のいい空間に。無料でオリジナルのトレーナーや部屋着の貸し出しもあります。

地元の食材を使ったグルメや、島民しか知らない穴場スポットなど、自由度の高い旅を満喫できるのも素泊まりの魅力。スタッフは、ゲストに合わせてほどよい距離感を大切にしているので、ひとり旅でも安心して過ごせます。

『ゴールデンカムイ』の聖地巡礼で訪れるファンも大満足のモリスセミダブルにはミニたらい舟も。佐渡が登場する場面は15巻に収録されています。

【DAY.3】スタート

18

レトロ感ある「こがね丸」で佐渡島から上越へ

3日目はおいしいパンを朝食にして小木港へ。「佐渡汽船小木港ターミナル」直結の佐渡名産を一堂に集めたおみやげ市場には、いとしげな佐渡のコーナーもあり、手にとって欲しくなるオリジナルグッズや確かなセレクト商品がずらり。じっくりと選べるよう、時間に余裕を持つことを強くおすすめします。

2023年の春から直江津港と小木港を結ぶ越佐海峡に就航した「こがね丸」に乗船します。5階建ての船内には客室のほか、ラウンジ、フォトスポット、デッキ、ペットコーナーなども備えてあり、直江津港までの2時間40分の船旅はあっという間。
船全体に大きな窓が使われているので、眺望も抜群!

直江津港からクルマで約20分

19

小竹製菓

上越のソウルフード“サンドパン”を求めて

江戸時代、佐渡島で採れる金銀を江戸に運ぶために北国街道が整備され、高田の城下町はその宿場として栄えたそう。いまも城下町の風情を残す町家と、日本一の規模を誇る雁木(がんぎ)の町並みが残っています。

上越高田のソウルフードといえばサンドパンということで、発祥の「小竹製菓」へ足を運びました。創業は1924年(大正13年)で、お店が誕生してから100年以上! 朝から夕方までひっきりなしに客が訪れる、老舗のパン屋さんです。

無添加にこだわり、昔ながらの独自発酵方法でもっちり食感に仕上げたコッペパンに、2日間かけてコクを引き出した自家製バタークリームをサンド。口どけの良いクリームは四季を通して同じ融点になるよう研究されているそう。すべて手作業でつくられており、多い日だと3,000本近くになるのだとか。

もう一つの名物「笹だんごパン」は、手づくりの笹だんごを丸ごとパンに包んだもの。新潟県産のよもぎを使い、朝2回蒸すことで笹だんごのもっちり感を実現させたそう。パン生地には、地元・上越産のコシヒカリの米粉を使い、アクセントに焼ききなこをパンにまぶしています。

クルマで約5分

20

髙橋孫左衛門商店

創業から400年。飴一筋の老舗へ

小竹製菓」から数分歩くと、寛永元年(1624年)創業の老舗飴店「髙橋孫左衛門商店」に到着。北国街道沿いである現在地で江戸時代から400年近く続く飴一筋のお店です。

『東海道中膝栗毛』で知られる十返舎一九や夏目漱石も来訪したことでも知られています。「翁飴」は、高田城城主が江戸へ参勤交代する際の土産に重宝されていたという歴史ある看板商品。水飴を寒天で固めたあとに乾燥し、熟成させることでもっちりとした食感を出しているそう。あっさりとした甘さ、素朴な味わいがクセになります。

水飴の原料はもち米。もともと雑穀の粟でつくっていたものを4代目孫左衛門がもち米に変え、日本ではじめて淡黄色透明の水飴をつくり出しました。これに麦芽を加え糖化させたものが「粟飴」です。砂糖を使わず、さらりとした上品な甘みが特徴です。

400年の歴史を誇る、日本で最も古い飴屋さん。その分、エピソードも多く、博物館クラスの内容なのが興味深いところ。趣のある建物は国の登録有形文化財に指定されています。味や製法とともに「孫左衛門」の名も受け継がれ、現在は14代目。脈々と伝統を継承しながらも、多種多様な飴菓子が陳列され、新商品にも挑戦し続けています。

21

まるで映画のワンシーン。日本一の雁木通りを歩く

歴史や文化が漂う城下町高田。レトロな町並みには個性豊かな町家や伝統的な建築物である「雁木(がんぎ)」が現存しています。豪雪地帯に欠かせない雁木は、積雪時でも快適に歩けるよう、家屋から張り出した軒やひさしなどを道路側に延長したもの。高田の雁木通りは、現在、アーケードを含めて総延長15kmほどあり、その長さは日本一だそう。

まるで映画のセットのような雁木通りをぶらりぶらりと楽しみしながら、次なる目的地「高田世界館」へ。

徒歩で約25分

22

高田世界館

通いたい日本最古級の映画館

日本最古級の映画館として愛されている「高田世界館」は、旧市街地のメインストリートにあります。1911年に芝居小屋「高田座」として開業したのがはじまり。世界的な映画ブームの到来により1916年に「世界館」と改称して映画館となり、その後100年以上にわたって営業を続けています。映画ファンだけでなく、明治の擬洋風建築を体感できる貴重な建築物として、遠方から訪れる建築ファンも多いそう。

足を踏み入れた瞬間からタイムトリップしたような空間に心が躍ります。チケット売り場から古代ギリシア建築のような意匠の柱や壁、モルタル塗りの階段、木製の手すり、劇場の扉の取っ手に掘られた「ひく」の文字、そして昔懐かしいインベーダーゲーム…。1950年代製の映写機が並ぶ映写室も見学でき、どこもかしこもフォトジェニックでノスタルジック。

新作も名作も応援上映もあり。高田で生まれ、横浜国立大学で映画評論を学び、Uターンしたという支配人の上野迪音さんによる上映プログラムの充実ぶりにもぐっときます。遠くからでも通いたくなる「高田世界館」。どっぷり映画の世界に浸ったら、近くのカフェで休憩して帰路へ。

23

佐渡島と上越高田の歴史と文化に触れた2泊3日の旅はいかがでしたか。
こちらのコースでは島の伝統芸能のひとつ、鬼太鼓にまつわるスポットや、文化財を巡る3日間のプランをご案内しました。

GOAL