いざ事業継承!受け継がれた水車が映える手打ちそばのお店「聴風庵」/見附市


2025年04月21日 134ビュー
事業継承。県内をふらふら回っているとあちこちで聞こえてくるのが「地域に定着して続いてきたお店に後継ぎがいない」という話です。なかなか難しい課題ですよね。
そんな中で外部の方が二代目として事業を引き継いだ手打ちそばのお店があるということで訪ねてみました。

古民家?実はちょっと違う物語のあるお店

場所はJR信越線の見附駅から約5キロ、山や田畑が取り囲みいくつかの民家が点在する場所に、田舎料理と手打ちそばのお店「聴風庵(ちょうふうあん)」があります。
見附市にあるにしては見つけにくいので、ナビで調べていくのがおすすめです!
近づいてみると大きな水車が見事で、ぱっと見たところずいぶん大昔から建っている古民家かと思わせる建物ですが、実は違うんです!
お店の外には水車の他に「伊吹の水」と名付けられ打井戸水が出ている場所があり、この水は水質検査をして料理などにも使われているそうです。
また入口には「縁結び 山の神」なんて面白い飾りもあります。入る前から見どころが多く楽しませてくれるお店です。
店内に入るとはじめに風情のある囲炉裏部屋があり、古道具や人形、小物が飾られています。料理を待つ間、眺めて楽しむだけで時間を過ごせてしまいそうです。
 
その隣にある脇の田んぼが見渡せる部屋に案内されましたが、別室もあり団体さんも入れるそうです。

受け継がれたこだわりの手打ちそばと田舎料理

初めての方は手打ちそば定食(1700円税別)か、おこわ定食(1500円税別)がおすすめということで、手打ちそば定食をお願いしました。
運ばれてきたのはそばと天ぷらの他に色とりどりの小鉢の料理がたくさんついた定食でした。
そばは二八そばで、食べごたえがありコシがしっかりしていると感じました。こちらのそばは「毎日手打ちをして冷たい井戸水で締めるためにコシが出る」とのことでした。
残念ながら先代の打ったそばは知らないのですが、二代目、いいそばを出してくれますね!
天ぷらは季節の野菜の他にふきのとう、こごみ、セリなどの山菜があり、こちらは地元の山などで採れたものだそうです。
衣はサクサク軽めで山菜や野菜の味を引き立ててくれます!
そしてたくさんの小鉢に盛り付けられているのはごま豆腐、白和え、わらび漬けなどの田舎料理。
季節で内容が変わるそうですが、食べていると昔どこかで食べたあの時のあの味!を思い起こされ、どれも昔から地元で食べられてきた料理の歴史を引き継いでいると感じました。
 

勿体ないの心が建物と料理に活かされ引き継がれたお店

建物の見た目も料理もなかなか個性が光るこちらの聴風庵ですが、実は先代によって2004年の7.13水害や新潟県中越地震で失われそうになった電柱や木材を活用して建てられたお店なんだそうです。
なんだか北海道富良野が舞台のドラマ『北の国から』由来の、捨てられた材料を集めて建てられた「拾って来た家」みたいな話なんですよね~。
そして当初は手打ちそばを始める前にお餅屋さんをされていて、そばを締めるのにも使われた「伊吹の水」の井戸が先代によって掘られ、その「井戸水を使って水車を動かし、お餅をついて売る店」がそもそもの始まりだったそうです。

お餅に使うもち米は栽培が難しいため「幻のもち米」と言われる「新大正もち米」が使われたこだわりのお餅で、そのもち米は今もお店のおこわと大福に引き継がれているようです。
とにかく個性が強すぎる先代のご夫婦が作り上げたお店だったのですが、高齢になられ後継ぎを探していた時に別の飲食店で働かれていた現店長の金子洋さんに「ちょっとやってみるか」と声をかけられ、金子さんは元々作っていた料理が似ていたこともあり「面白い店だからやろうかなと」引き継ぐことになったそうなのです。

新しくお店を開くのも大変だと思うのですけど、お店を引き継ぐのも心構えとか大変だと思ってたんですよ。わりとあっさり?いやいや表に出ない大変なこときっとあったんですよ。
 
引き継ぐために先代ご夫婦の下で一年間修行して、2024年の8月にお店を再オープンした二代目の金子さんは「大変なこといっぱいあるけど、いろいろな人が来るので面白い」と話されていました。県外の方や外国の方なども来店するとのことです。外国の方とか特に喜ばれそうですよね~。

最後に金子さんは「そばと田舎料理、お店の雰囲気と田園風景を来て感じてほしい」と話されていました。
お料理も眺めも良いお店でしたが、背後にあるストーリーも隠し味に食べるとさらに違って感じるかもしれませんね!
二代目ならではのお店づくりがどうなっていくのかが楽しみです!
聴風庵

聴風庵

住所:見附市石地町甲498-1
電話:0258-63-2005
営業時間:11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
定休日:火・水・木曜日(冬期不定休)
駐車場:20台

食べる前や食べた後にちょっと足を延ばしてもらいたい森

聴風庵から3キロちょっとの所には桜の植樹など市民参加型の森づくりをされている「市民の森」があります。
散策路の坂の上の眺めもいいので、お時間があれば食前や食後の運動に足を延ばされてはどうでしょうか?
こちらは春にカタクリや桜が咲く森で、訪ねた日はカタクリが咲いたばかりの頃でした。
春の妖精に例えられる、森の中にひっそりと咲く様子がとてもいいですね~。
他にも県内では5月上旬までカタクリが咲く場所もありますよ!ぜひ訪ねてみてください。
市民の森

市民の森

住所:見附市本町1345-2
開園時期:4月~11月
駐車場:170台

この記事を書いた人
まきたろう

若い頃は自転車日本縦断や四国八十八ヶ所の歩き遍路など旅を住み家とし、新潟に戻っても漂泊の思いやまず仕事の傍ら県内外をさ迷っている人生まだまだ旅の途中の人。 昭和とか縄文とか古いものが好き♪五泉市在住。