新潟産食材のポテンシャルが光る。シンプルを極めるフランス料理店「ラルモワーズ」/長岡市
2020年11月02日
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新潟県と山形県庄内の食文化の発信をテーマに開催されている「日本海美食旅(ガストロノミー)プレミアムレストラン」。地域の歴史や食文化を感じられる料理を提供するお店が揃っています。とびきり美味しいのはもちろん、サービスや雰囲気も上質な注目店ぞろいです。
今回はプレミアムレストランの一つである長岡市のフランス料理店「Restaurant L'armoise(以下、ラルモワーズ)」をご紹介します。
今回はプレミアムレストランの一つである長岡市のフランス料理店「Restaurant L'armoise(以下、ラルモワーズ)」をご紹介します。
1日2組限定の隠れ家レストラン
長岡市の中心部、マンションの1階部分にひっそりと居を構えるラルモワーズ。屋号を示す看板はないため、店があるとは気付かずに通り過ぎてしまう人が大部分かもしれません。
1日2組限定の完全予約制。シェフがたった一人で調理とサーブを行っているため、パフォーマンスの落ちない人数設定にしているそう。まさに“隠れ家的”お店ですが、良質な食材とていねいな技を活かしたフレンチは人気を呼び、「ミシュランガイド新潟2020特別版」では一つ星店として掲載されるという快挙を達成。2018年オープンからわずか2年で一躍注目を浴びるようになりました。
“食材の宝庫・新潟”だから、野菜も肉も魚も地元産にこだわる
厨房で腕を振るうのは若干30歳のシェフ・田中良太郎さん。東京のホテルやレストランで7年間修業を重ね、一昨年、地元の長岡にフランス料理店をオープン。当初は気軽なランチメニューも提供していましたが、お客さんのリクエストにより本格的なコースメニューへとシフトしていきました。
「この地でしか食べられないフランス料理を目指しています。だからこそ、使用する食材のほぼ全てが新潟産なんです」
こう語る田中シェフ。砂糖などの調味料以外、徹底的に新潟産にこだわっている店は、洋ジャンルでは非常にめずらしいといえます。
「この地でしか食べられないフランス料理を目指しています。だからこそ、使用する食材のほぼ全てが新潟産なんです」
こう語る田中シェフ。砂糖などの調味料以外、徹底的に新潟産にこだわっている店は、洋ジャンルでは非常にめずらしいといえます。
例えば、お肉は長岡産の越後牛や十日町産の妻有ポーク、魚は市場に出回る新鮮な地魚を使用。野菜は田中シェフのおばあちゃんが栽培する無農薬野菜、そして近隣の直売所で購入する長岡野菜。どれも生産者との距離が近く、自信をもって提供できる良質な食材ばかりです。それらが当たり前のように低コストで手に入るのは「地方ならではの特権」だと田中シェフは言います。
さらに、調味料も可能な限り手作りするというこだわりよう。今は、柿の実を酢酸発酵させてつくる柿酢を仕込み中。長岡野菜である神楽南蛮を使用した自家製柚子コショウや七味唐辛子は、料理に豊かなアクセントを加えてくれる名脇役です。
さらに、調味料も可能な限り手作りするというこだわりよう。今は、柿の実を酢酸発酵させてつくる柿酢を仕込み中。長岡野菜である神楽南蛮を使用した自家製柚子コショウや七味唐辛子は、料理に豊かなアクセントを加えてくれる名脇役です。
シンプルだからこそ奥深い、究極の火入れが肝
「うちの店のコンセプトは、素材そのものを楽しむシンプルなフレンチです。だから、最も重要視しているのはキュイソン(火の入れ方)ですね」と断言する田中シェフ。目指すのは、余熱も含めて「食材にギリギリ火が入っている」という状態。ベストな加減で火入れした肉や魚を包丁でカットすると、断面がみずみずしく、虹色に光るように感じられるそうです。
食材は常に均一的ではなく、身の厚さや水分量、温度などが異なります。そのつど最高の火入れ具合を見極められるのは、確かな技術と経験の賜物です。
食材は常に均一的ではなく、身の厚さや水分量、温度などが異なります。そのつど最高の火入れ具合を見極められるのは、確かな技術と経験の賜物です。
料理を引き立てるこだわりの器とカトラリー
料理を引き立たせる器にもこだわりが詰まっています。佐賀県の窯元・カマチ陶舗にオーダーメイドした有田焼は、“長岡の自然”をイメージ。シンプルながら存在感があり、美しい色味と素材が印象的です。
テーブルの引き出しにセッティングされたカトラリーは、フランス王室ご用達の銀食器ブランド・クリストフル製。名立たる高級ホテルでも愛用されているだけあって、手に馴染む使いやすさは抜群です。
聞けば、コース1人分の器やカトラリーにかけたコストは30万円以上なのだとか!料理を美しく演出することにも一切手を抜かないという、田中シェフの揺るぎないポリシーに脱帽です。
聞けば、コース1人分の器やカトラリーにかけたコストは30万円以上なのだとか!料理を美しく演出することにも一切手を抜かないという、田中シェフの揺るぎないポリシーに脱帽です。
和の要素を取り入れたシンプルな空間
料理をいただく空間にも、並々ならぬこだわりが健在。無駄な装飾を一切省いた空間は、シンプルをコンセプトとしたフランス料理とも共通しているように感じます。
白いニュアンスのある壁は、長岡市・小国地区で作られる小国和紙を使用。和紙ならではの温かな風合いが、柔らかい光の照明と相まって、モダンな雰囲気を作り上げています。
白いニュアンスのある壁は、長岡市・小国地区で作られる小国和紙を使用。和紙ならではの温かな風合いが、柔らかい光の照明と相まって、モダンな雰囲気を作り上げています。
新潟市北区・坂井建具の組子が主役のテーブルも印象的。フランス料理店でありながら、和の要素を巧みに取り入れることで、唯一無二の空間が生まれているのです。
ランチもディナーも営業。旬食材の魅力を引き出すフレンチを味わって
シェフが一人で料理とサーブを担当するランチ・ディナーは、共に1日2組限定です。ランチタイムは8品(4,950円・税込)、ディナータイムは10品(8,800円・税込)。170種類以上を揃えるワインは、愛好家もうなるラインナップ。ぜひ料理とのペアリングを楽しんで。
予約は電話で受け付けしており、苦手な食材やアレルギーなどにも丁寧に対応してもらえます。上質な空間でいただく洗練されたフレンチは、季節ごとに変化があり何度訪れてもきっと感動があるはず。こだわりが詰まった食と空間をぜひ体感してみてください。
予約は電話で受け付けしており、苦手な食材やアレルギーなどにも丁寧に対応してもらえます。上質な空間でいただく洗練されたフレンチは、季節ごとに変化があり何度訪れてもきっと感動があるはず。こだわりが詰まった食と空間をぜひ体感してみてください。
Restaurant L'armoise(レストラン ラルモワーズ)
住所:新潟県長岡市表町3-3-3
電話番号:. 0258-30-4622
営業時間: 11:30〜14:30(LO12:30)、18:00〜22:00(LO20:00)※完全予約制
定休日:月曜、木曜(ディナーは営業)、他不定休
HP:https://www.restaurant-larmoise.info/
レストラン ラルモワーズ
この記事を書いた人
新潟県三条市在住のフリーライター。主人が“金物のまち”を代表する職業の包丁職人ということから、地場産品に興味が芽生え、ローカルのおもしろさを日々発信中。 これまでの執筆実績はブログで紹介しています。http://www.watanabemariko.com/