河井継之助と酒を訪ねる旅のススメ③〈見附市・今町編〉


2022年05月09日 503ビュー
こんにちは。
〈深く、濃く、美しく 新潟を伝える保存版観光誌〉『新潟発R』の編集長をしております髙橋真理子です。
新潟県長岡地域振興局さんとのコラボ企画で投稿させていただきます。

6月17日公開予定の映画『峠 最後のサムライ』をきっかけに、河井継之助ゆかりの地と、その地で醸される日本酒を楽しむ〈歴史と酒を巡る旅〉。ラストの第3弾は見附市・今町を訪ねました。
 
今町は刈谷田川の舟運によって栄えた交通の要衝で、北越戊辰戦争では新政府軍に占領されました。継之助率いる長岡藩は奥羽越列藩同盟軍として今町に攻め入り、激戦の末、新政府軍に勝利。この1868年6月2日の〈今町の戦い〉の戦跡が、今町には点在しています。

見附駅から今町へ、町歩き

今町までは、JR見附駅から徒歩約30分。
今町にある道の駅パティオにいがたまで、駅からコミュニティバスも出ていますが、今回は、これまであまり訪ねたことがなかった見附の町を、探索しながら歩いてみました。
途中、駅から徒歩5分ほどの場所にある、ニットの町・見附市ならではのアウトレットショップに立ち寄りました。
ファクトリーニットショップ プリメーラでは、見附市内の複数のニット会社が製造する、工場直送のハイクオリティなニット製品を販売。直売価格で購入することができます。
長く付き合える1着を探すにはもってこいのスポットです。
4月と11月の第2土・日曜にはニットまつりも開催しています。
 
6月初旬からは、恒例のクールビズシャツの販売も始まります。
世界中で唯一、見附でしか作ることができないマンガン絣の生地を使ったシャツは、メンズとレディースを取りそろえているそうです。ぜひチェックしてみてください。
ファクトリーニットショップ プリメーラ

ファクトリーニットショップ プリメーラ

見附市柳橋町270-1(第一ニットマーケティング内)
TEL.0258-66-4513
営業時間/10:00~16:00
不定休(ブログとインスタで案内)

ファクトリーニットショップ プリメーラから20分余り歩くと国道8号に突き当たります。
国道沿いに、無料で休憩できるまちの案内所、まちの駅にもなっている酒のひらせ  国道店があります。
以前から「見附にいい酒屋さんがある」とのウワサは聞いていたので、わくわくしながら店内へ。
社長の平瀬富士宜(ふじのり)さん(写真左)とお父さまで会長の平瀬富雄さんが迎えてくれました。
1962(昭和37)年に市内本町に本店を創業後、1989(昭和54)年に国道店をオープンしました。
築150年から200年の古民家の梁などを使った店内は、懐かしさと、洗練された上品な雰囲気が融合した、居心地のいい空間です。
酒蔵との信頼関係を大切に、新潟県内選りすぐりの地酒を専門に扱っています。
長岡市の地酒では「越州」「久保田」(朝日酒造)、「想天坊」(河忠酒造)、「米百俵」「六郎次」(栃倉酒造)、「越乃景虎」(諸橋酒造)を販売しています。
 
他に佐渡市の「金鶴」(加藤酒造店)と「至」(逸見酒造)、村上市の「〆張鶴」(宮尾酒造)、阿賀町の「麒麟山」、新潟市の「越乃寒梅」(石本酒造)と「鶴の友」(樋木酒造)、加茂市の「萬寿鏡」(マスカガミ)、南魚沼市の「鶴齢」(青木酒造)、魚沼市の「緑川」、上越市の「雪中梅」(丸山酒造場)など県内各地のこだわりの地酒もそろっています。
 
社長の富士宜さんは新潟市中央区の関屋にある地酒専門店早福酒食品店で修業を積みました。早福岩男会長は、新潟の地酒のおいしさを世に広めた人でもあり、20数年前、私が新潟で最初に地酒の取材をさせていただいた“地酒の師匠”。この取材の前日もお会いしていたので、ご縁に驚きました。やっぱりお酒は人をつなぐのですね~。
富士宜さんがグリーンシーズンのおすすめとして紹介してくれたのが「越州 桜日和」爽醸 久保田 雪峰」(朝日酒造)。「桜日和は春らしい、香りがよくて爽やかで、ほのかな甘口の吟醸酒です。爽醸 久保田 雪峰」は、アウトドアメーカーのスノーピークが朝日酒造にオーダーして生まれた「久保田 雪峰」の昼バージョン。フルーティーで爽快な香りと甘味、酸味のバランスがとれた、春から夏の昼に屋外で楽しんでほしいお酒です」。ゴールデンウイークや初夏の週末に試してみたいですね。 
 
 
「栃倉酒造の『六郎次』も、季節ごとの限定酒を扱っていますので、ぜひ味わっていただきたいですね」(富士宜さん)
 
定期的に足を運びたくなる〈町の酒屋さん〉です。
酒のひらせ 国道店

酒のひらせ 国道店

見附市今町5-31-24
TEL.0258-66-4125
営業時間/9:00~20:00
不定休

歴史の舞台、今町に到着! 

酒のひらせ 国道店から約15分歩き、道の駅パティオにいがたに到着。
ここは今町歴史散歩 ガイドグループ「なびらーず」による今町歴史散歩の受付場所になっています。
 
道の駅パティオにいがたには農産物直売所「健幸めっけ」や地元産の食材を使ったレストランキッチン「もみの樹」、2004(平成16)年7月に発生した刈谷田川氾濫による水害の記録を紹介する防災アーカイブ休憩交流スペースなどがあります。
パネル写真や映像などで水害の記録を紹介し、来館者に防災意識を高めてもらうことを目的とした防災アーカイブ。
 
道の駅一帯は刈谷田川防災公園になっていて、デイキャンプバーベキューも楽しめます。
 
さらにこの道の駅で注目したいのがトイレ! 2015年「日本トイレ大賞」を受賞しています。越後杉を使うなど、新潟の魅力も発信しています。
女性用トイレ。清潔感にあふれたスタイリッシュな空間。パウダールームや荷物置きなど実用性も抜群です。

道の駅パティオにいがた

見附市今町1-3358
TEL/0258-94-6211
※営業時間は施設により異なる

今町歴史散歩の受付場所でもある、休憩交流スペース内に設置されたジオラマの前でガイドグループ「なびらーず」代表の藤田潤治さんと合流しました。
ジオラマを使って説明をする藤田さん。
刈谷田川の旧河川跡や戊辰戦跡を立体模型でわかりやすく表現しているので、歴史散歩を始める前に全体像をつかむことができます。
一般のガイドは第1木曜と第3日曜に行われており、当日13時から13時30分にジオラマ前で受け付けています。
今回は今町歴史散歩のおすすめコースの一つ、「戊辰戦跡めぐり」を体験します。
通常は所要時間90分、約5300歩のコースです。
予習をしたら、いざ出発!

今町歴史散歩、スタート!

途中、道の駅から徒歩約1分の場所には見附市大凧伝承館があります。
毎年6月第1土曜から3日間開催される見附今町・長岡中之島大凧合戦で揚げる六角凧の制作場として誕生した施設です。館内には実際に使われる六角大凧が常設展示されています。ミニ凧作りの体験もできます。
見附今町・長岡中之島大凧合戦は、2015年に〈越後の凧合戦習俗〉として、白根と三条の凧合戦とともに新潟県無形民俗文化財に指定されました。凧合戦習俗としては、全国初です。
見附市大凧伝承館

見附市大凧伝承館

見附市今町1-7-28
TEL.0258-62-1700
開館時間/土・日曜・祝日9:00~17:00
入館無料(ミニ凧作り体験は材料費として500円)

見附市大凧伝承館から、今町出身の医学博士・入澤達吉生家跡の脇を通り、新政府軍の本陣だった永閑寺へ向かいます。
「1865(慶応元)年に今町に生まれた入澤達吉は、明治から昭和期に活躍した医学博士で、日本の内科学確立に貢献しました。1938(昭和13)年に誕生の地に胸像が建てられました」
永閑寺は、1828(文政11)年の三条地震で被災し、40年後に再建されました。「しかし〈今町の戦い〉で同盟軍に焼き払われ、鐘楼を残して全焼。その後、1887(明治20)年に再建されました。
再建前の1884(明治17)年には、明治政府の指揮官を務めた有栖川宮熾仁親王(ありすがわのみやたるひとしんのう)から〈永葉閑雅寺〉の額が贈られました。その額を見学することもできますので、事前に問い合わせてみてください」
 
2004年の中越地震でも大きな被害を受けました。
2011年に再建された本堂には、美しい文字紋が描かれています。
永閑寺

永閑寺

見附市今町2-3-34
TEL.0258-66-2382
境内自由(本堂は7:00頃~17:00頃、見学は要問い合わせ)

永閑寺から約5分歩くと、いくつかの石碑が立っている一角があります。街路名は坂井口
その途中、藤田さんおすすめの今町の名物つまみまんじゅう淡路達吉餅店があります。
もちもちとした、ほのかな醤油味を感じる皮と、甘さ控えめな餡のバランスが絶妙なつまみまんじゅう。売り切れてしまうこともあるので、予約しておくと安心です。
淡路達吉餅店

淡路達吉餅店

見附市今町3-2-20
TEL.0258-66-2460
営業時間/8:00頃~17:00頃
定休日/水曜(変動あり)

戦跡やかつての川港をたどる

坂井口で、農家の信仰が厚かった米山薬師如来を祀った石塔米山薬師塔に残る、生々しい銃弾の跡を差しながら説明する藤田さん。
「山本帯刀(たてわき)率いる同盟軍が撃った銃弾の跡です」
坂井口から刈谷田川方面へ歩き、新政府軍と継之助率いる同盟軍本隊がぶつかった、〈今町の戦い〉の最大の激戦地・安田口、同盟軍の今町攻略の重要地点だった権助坂(げんすけざか)心太屋川戸(てんやかわど)などを通り、諏方神社へ。
心太屋川戸は、刈谷田川の舟運を支えた川港(船着き場)の一つで、戦いの際、同盟軍の別部隊が上陸した地です」
 
今町がまだ羽賀新田と呼ばれていた江戸時代初期から崇拝されてきた諏方神社
「鳥居の額の〈諏方神社〉の文字は、有栖川宮熾仁親王の筆によるものです」
 
諏方神社の近くには、今町新田の名主・新田家の屋敷(新田名主邸跡)があり、北越戊辰戦争では新政府軍長州藩の宿舎でした。「戦いで勝利した同盟軍により焼き払われましたが、土蔵が焼け残り、翌日、継之助が武器弾薬が残っていないか土蔵を検分したといわれています。この土蔵の扉は、現在は割烹 柳屋に保管、展示されています」
 
再び道の駅へ戻れば、「戊辰戦跡めぐり」は終了です。
道の駅へ戻る前に藤田さんが案内してくれたのは、ご自身が営むばん茶や。ここは、奥さまの藤田久子さんが代表を務める今町べと人形伝承会の拠点でもあります。
べと人形は明治時代から戦後まで、今町で作られていた土人形です。2つの型に粘土を押し込んで、焼かずに乾燥させて作るのが特徴。
途絶えてしまった伝統の技を、久子さんと友人たちで伝承会をつくり復活させました。
「2004年の水害と中越地震という2つの災害からの復興を目指し、市民が立ち上げた会の中で、地域の魅力ある資源の一つとしてべと人形を復活させようという取り組みが始まりました」と久子さんが説明してくれました。
現在はさまざまなテーマをもった300~400点が展示・販売され、道の駅でも販売されています。
河井継之助と四斤山砲のべと人形。
今町べと人形伝承会

今町べと人形伝承会

見附市今町1-4-12
問い合わせ
TEL.0258-66-2249(藤田久子)

藤田潤治さんのわかりやすい解説で、激戦の舞台となった今町の歴史を肌で感じることができました。
今町歴史散歩には「小路文化めぐり」「川湊のまちなみめぐり」などのコースもあるので、事前にテーマやコースを相談してみるのもいいですね。
 

今町歴史散歩 ガイドグループ「なびらーず」

TEL.0258-66-2313(見附市今町公民館)
定期ガイド/4月~10月、第1木曜・第3日曜 13:00~13:30受付(パティオにいがた・ジオラマ前) ※その他の日程、時間については応相談
料金/1人300円(中学生以下無料)

老舗割烹で歴史と酒に酔う

見附市・今町の旅は、やはり酒と料理で締めくくりましょう。
新田邸の焼け残った土蔵の扉や、継之助が検分した鉄瓶を保管・展示している割烹 柳屋へ。
土蔵の扉。
継之助はこの鉄瓶のふたを開けて検分したそうです。
 
創業230年。刈谷田川の舟運により、川港としてにぎわっていた頃から続く老舗です。
おすすめの料亭ランチ2750円(5名以上、3日前まで要予約 ※お酒は別料金)。9代目店主の味方(みかた)英樹さんの技が光る料理の数々が並びます。奥さまの貴久恵さんの出身地である九州の名物呉(ご)豆腐も味わえます。お酒は別料金。
 
地酒は長岡市の久須美酒造が醸す「清泉 雪」をメインに、数種類を用意。300ml瓶のお持帰りも可能です。
繊細で奥深い料理と地酒の相性を確かめながら、今町の歴史物語を振り返りましょう。
割烹 柳屋

割烹 柳屋

見附市今町1-1-8
TEL.0258-66-3166
営業時間/11:30~21:30LO(完全予約制)
定休日/月・火曜

割烹 柳屋の敷地内には貴久恵さんがオーナーを務める、ハンドメイド雑貨や割烹総菜を販売する今Coco!マルシェがあります。老舗割烹の味を、総菜で、気軽にテイクアウトできるのは魅力ですね。

 
帰りは道の駅から見附駅まで、コミュニティバスを利用しました。

小千谷市、長岡市・摂田屋、そして見附市・今町。河井継之助ゆかりの地と、その地で愛される地酒を楽しむ旅は、すてきな出合いを運んでくれました。
映画『峠 最後のサムライ』を鑑賞してから訪ねれば、さらに深い物語に触れることができそうです。ぜひお出かけください。
 
撮影:高橋朋子
写真協力:第一ニットマーケティング

河井継之助と酒を訪ねる旅 立ち寄りスポット

この記事を書いた人
長岡地域振興局★地域の魅力発信チーム

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