消えた「角海浜村」の面影を探して…/新潟市
今年の夏も終わりを迎えますが、海へ遊びに行った人も多かったのではないでしょうか?
「越後七浦シーサイドライン」沿いの角田浜や野積浜も人気の海水浴スポットです。
海岸線を走る「越後七浦シーサイドライン」は、眺めのいいドライブコースとしても人気ですよね。
でも、一か所だけ山の方に迂回していることをご存知でしょうか?
「浦浜大橋」の手前から「角海トンネル」を過ぎるまでの間、道路が海沿いから離れる区間があるんです。
そこにはかつて「角海浜村」という村があったのでした。
村への入り口は浦浜海水浴場駐車場を過ぎてすぐに左折し、角田山登山口に向かう途中にあります。
ただ、現在この道にはゲートが建てられ、通行禁止になっているんです。
その「崩落」こそが、村の消えた理由のひとつとされているんです。
ちなみに、海の方から崩落した道路を見ると、このような状態になっています。
このことからも察することができるように、この辺の地質は大変にもろく、度重なる山の崩落や「マクリダシ」と呼ばれる海岸の侵食現象によって、どんどん人口が減っていったようです。
それによって、かつて250戸あった家屋は、いつしか9戸に減ってしまったのでした。
昭和49年7月に最後の住民が立ち去ったことで「角海浜村」は廃村を迎えたのでした。
「角海浜」にまつわる資料がいくつか展示されている「新潟市巻郷土資料館」に足を運んでみました。
消防署跡の建物を利用しているユニークな資料館です。
当時はどんな風な村だったのかが偲ばれますね。
山と海に挟まれた地形では農業で生計を立てることが難しかったこともあり、村の「称名寺」に伝わる製法によって丸薬が作られ、村の女性たちによって行商されたのだそうです。
食中毒、便秘、下痢などの症状に効能があったとか。
「新潟市巻郷土資料館」には、丸薬を作るときに使った道具や薬袋が展示されていました。
毎年、毒消し売りの女性に会えることを楽しみにしていたお得意さんも多かったとか。
当時の暮らしぶりがわかる写真は、とても貴重なものです。
興味のある方は是非「新潟市巻郷土資料館」を訪れてみてください。
新潟市巻郷土資料館
新潟県新潟市西蒲区巻甲3069-1
tel.0256-72-6757
営業時間/9:00−16:30(最終入館16:00)
休館日/月曜(休日の場合は翌日)
休日の翌日(日曜の場合は翌々日)
年末年始(12月28日〜翌年1月3日)
立ち寄ってお話をお聞きするのもいいかもしれませんね。
福井旧庄屋佐藤家
新潟県新潟市西蒲区福井2908
tel.090-2551-8514
営業時間/要問合せ
定休日/不定休
駐車場/普通車50台
※各種体験についてはお問い合わせください
「角海浜」の典型的な民家を見ることができ、当時の暮らしぶりを知ることができる貴重な資料です。
残念ながら普段は外観しか見ることができませんが、イベント時には公開されることもあるので、興味のある方は「新潟市教育委員会」までお問い合わせください。
かつて新潟に、そんな村があったことを知っていただければうれしいです。
角海浜村面影めぐり
新潟を愛する万年新米ライターです。持ち前の粘り強さで味わい深い記事を書いていきたいと思ってます。とくに観光ガイドには載っていないような、新潟の珍スポットや変スポットに力を入れて紹介していきたいです。