商店街に生まれたみんなの居場所!「まちトープ」でゆったり時間を満喫してみた/燕市


2024年06月28日 2556ビュー
こんにちは!ライターの竹内ありすです。

みなさんにとって、「この街、好きだな」と思うのはどんな瞬間でしょうか?

おいしい食べものに出会えたとき、素敵なスポットを見つけたとき。使い続けたいプロダクトに出会えたとき、はたまた魅力的な人がいることに気付いたとき……
燕市に、そんな「この街、好きだな」という気持ちが生まれること間違いなしの複合施設「まちトープ」がオープンしました!

身体の中から元気になれる野菜たっぷりなランチに街の人とのおしゃべり、街の未来を思ってワクワクする…… 今回は、「まちトープ」を訪れて過ごしたひとときをリポートします。

歴史ある商店街の一角に現れる新築の建物「まちトープ」

新潟市内から車で1時間弱(田植えしたての田園風景を楽しみたかったので、高速道路を使わず下道で!)、燕市にやってきました。
JR燕駅から歩いて5分ほどの場所にある宮町商店街(つばめまんなか商店街)。レトロな街灯、老舗の商店が並ぶ昔ながらの雰囲気です。
その一角に、ある建物が現れました。こちらが今回の目的地、「まちトープ」です。

民営の公共施設として、今年3月に新築オープンしました。青空にクリーム色の外観が映えますね!
入り口にはこんな看板が。「まちトープは、みんなが使えるまちの居場所です」というメッセージから、ウェルカムな雰囲気が伝わってきます。複合施設ということで、中にはさまざまなコンテンツがあるよう!
さて、建物の中に入ってみると、開放感のある明るい空間が広がっています。
目を惹くのが、壁一面を覆い尽くす本棚の数々。
棚によって置かれている本のジャンルはさまざまでした。
なにやら気になる本がいっぱい!
読書好きにはたまらない本棚の誘惑に後ろ髪をひかれつつ、奥に進むと椅子やテーブルが並んでいます。パソコンを並べて打ち合わせをしている人の姿もありました。
さらに奥にはカウンターが。燕市の伝統工芸品である鎚起銅器を手にしているのは、「まちトープ」の立ち上げに携わり運営を行っている嶋田雅紀さんです。

「まちトープ」のことを嶋田さんに教えてもらいながら、ここでの時間を楽しむことにしました。

週末のお楽しみ!野菜たっぷりランチに大満足

広々とした椅子やテーブルが並ぶ場所は仕事や作業ができるシェアラウンジとカフェスペースを兼ねており、ドリンクやスイーツなどのカフェメニューを注文することでゆったりと座って過ごすことのできる空間となっていました。

訪れた日は土曜。週末は通常のカフェメニューに加えて週替わりのランチも味わえるということで、用意していただきました!
「春野菜のガパオライスといろいろ副菜のプレート」

色鮮やかで見ているだけで元気が出るような一皿です!

ガパオライスをメインに、「にんじんと大根の甘酢和え」「セロリとザーサイの炒め物」「アスパラガスのお浸し」「かぶのポタージュ」「グリーンサラダ」が楽しめるプレート。
ごろっと食べ応えのある粗挽きの鶏肉にかぶの甘みや大葉の爽やかさ、程よいエスニックの香り…… トッピングの目玉焼きの半熟加減も絶妙で、ごはんがすすみます。

ガパオとの相性が良いごはんも、またおいしい!黒紫米ともち麦がミックスされたこちらは燕市の農家さんから仕入れたコシヒカリなのだそうです。
 
お米だけでなく、野菜も地元や近隣地域でとれたものを中心に使っているとのこと。

例えば通常の2〜3倍くらいの太さがあるこちらのアスパラガスは三条市の農園で育てられたもので、甘くやわらかい食感が印象的でした。

訪れた日は「ガパオライス」でしたが、おにぎりプレートやキーマカレーなど週によって味わえるランチメニューは異なります。(詳しくは「まちトープ」のInstagramへ。どれもおいしそうです!)毎週、旬の野菜をたっぷりおいしく楽しめるようなメニューが提供されているとのことで、訪れるたびに新鮮な気持ちになれそうですよね!

さまざまな人がゆっくり過ごせる仕掛けが満載

お腹が満たされたところであらためて館内をぐるりと見回してみると、気になるコンテンツがたくさん。ちょっとめぐってみましょう。
まずは建物入口の本棚が並んだこちらのスペース。「みんなの図書館ぶくぶく」と名付けられた民営の図書館です。
一箱本棚オーナー制度で運営され、月額料金を支払うことで自分の本棚が持てるという仕組みになっています。

「本棚を通じて気軽に発信ができる」と地元の人を中心に本棚のオーナーになりたいという人が多く、オーナー同士で交流できる機会も設けられていることから、現在はほぼ満席という人気ぶりなのだそう!
一箱一箱にそれぞれのオーナーさんの個性が光っている本棚。「本棚はその人を映す鏡」なんて言われますが、「このオーナーさんはどんな人なんだろう」と思いをめぐらせる時間も楽しいものです。
また、こちらも発信力を備えたギャラリーショップのスペース。作品を展示・販売することができます。
地元の作家さんや企業によるプロダクトが並びます。
そして、「まちトープ」建物の隣にはコンテナハウスが。
中を見せてもらうと、長机と椅子がずらり!実はこちら、学生に自習室として無料で開放しているスペースでした。ブラインドもあるので、日光の照り返しや人目を気にせずに学習に集中できそうですね。
コンテナハウスと「まちトープ」の建物の間にはテラス席も充実しています。

「再び歩みはじめた商店街とともに」デザイナー嶋田さんの思い

「まちトープを作ったのは、商店街を訪れた人や地元の人の居場所を作りたかったから」と話す、運営者の嶋田雅紀さん。

その背景には、商店街の活気の復活がありました。
全国各地の商店街の多くがそうなってしまったように、燕市の商店街も少し前までは閑散としたシャッター街。しかし、近年若い世代を中心にお店を構えるケースが増えてきて、燕市の商店街は少しずつ賑わいを取り戻してきたのです。
一方「まちトープ」を立ち上げ運営している嶋田さんは燕市出身で、デザイナーとして活動しています。地域に根差した企業やイベントのロゴデザインを手がける機会も多いため、それぞれの魅力をどのように表現していくかという課題にも目を向けてきました。
生まれ育った燕市の商店街の今を見つめ、「商店は増えてきたけれど、訪れた人が気軽に寄って滞留できる場所がない」と考えていた嶋田さん。商店街に今までなかった「居場所」を作ろうと、地域の企業や周りの人々と協力して「まちトープ」の企画・建設を進めてきたのです。
商店街を訪れた人にとってはもちろん、ここは地域の人にとっても大切な居場所。「まちトープ」の図書館やギャラリーを通じて、発信することができます。
特に「まちトープ」の自習室は、地元の学生たちの「自宅以外で勉強する場所がない」という悩みに応えて作られたもの。(私も家ではなかなか集中できない学生だったので、こんな素敵な場所で勉強ができる地元の学生さんが羨ましくなりました!)

「自習室に訪れた学生さんたちの隣の建物(まちトープ)で、シェアラウンジでドリンクを片手に大人たちが働いています。生き生きと楽しそうにしている大人たちを見ることで、学生さんたちにもこの街で暮らすことや仕事をすることに希望を持ってもらえたらと思います」と、嶋田さんは話します。
「まちトープ」がオープンして数か月。市内外の人はもちろん、県外や海外から新潟旅行の途中で訪れるというお客さんも増えてきたそうです。
「旅行中のお客さんからは、“このあたりでおすすめのスポットはありますか?”と聞かれることも多くて。地域交流の拠点として求められていると感じるので、ローカルの情報をもっと発信していかなければと思います。ショップのスペースにもさらに地元のものを充実させていきたいですね」(嶋田さん)
ちなみに嶋田さんは「まちトープ」を運営するなかで、自らカウンターに立ってコーヒーを淹れることも。「実際に自分が接客や商品の提供を担う経験ができたことで、新しいインスピレーションも得られています。デザイナーとしても、これからは新たな視点での提案ができそうです」と語る姿が印象的でした。
人と人とのつながりを大切にし、訪れる人が増えていくことで街が盛り上がっていく……

みんなの居場所として、血の通ったコンテンツが揃う「まちトープ」。今後もレンタルキッチンのスペースが登場するなど、さらに進化していきそうです!
まちトープ

まちトープ

住所:新潟県燕市宮町2-26
営業時間:10:00~20:00
※シェアラウンジスペースは
 カフェメニュー注文で利用することができます
※ランチ営業は金、土、日曜日。
 詳しくはInstagramをご覧ください
定休日:火曜日
駐車場:あり(建物脇に4台)/商店街の道路左側に縦列駐車が可能
TEL:なし

今回訪れたスポット

この記事を書いた人
竹内ありす

1995年新潟市生まれ。放送局での番組制作を経て、フリーランスのライター・ディレクターへ。 昭和歌謡と喫茶店、新潟の日本酒が大好き!もの・こと・人にまつわる、魅力あるストーリーをお伝えします。
Twitter→ https://twitter.com/atelier_aliswan 

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