新潟ガストロノミー おいしさの裏側を求めて⑦――生産者とお客様を料理でつないで、想いを届ける「ついしん手紙」/新発田市


2023年01月09日 863ビュー

想いを届ける料理店

料理店の名前にはときにそのオーナーの想いや哲学が表れる。新発田市にある「ついしん手紙」もそうだ。
オーナーシェフである廣岡雅志さんは160年続く新発田駅前にある老舗和食料理店「割烹 北辰館」に生まれる。
東京の有名店で働いた後、2010年「手紙」を新発田市にオープン。
店名の由来は「手紙は想いを届ける点で料理と似ている」という廣岡シェフのイメージ。
「大切な人に想いを伝える、大切な人と素敵な時間を過ごす…料理を通じてそのお手伝いをしたい」という想いが込められているそうだ。

2016年に座席を拡げてリニューアルオープンしたお店の名前は「ついしん手紙」とした。
料理を通じて大切な想いを伝えるというコンセプトは今も変わらない。

生産者とお客様をつなぐの地域の料理店の役割

「本格的な和食というと高価格帯にならざるをえないが、地域の人にも届けたい。生産者とお客様をつなぐのが地域の料理店の役割」と語る廣岡シェフにとって地域の食材を使うのは必然な成り行きだった。

そんな廣岡シェフに紹介してもらったのが新発田市米倉で農業を営む津村賢(さとし) さん一家。
もともと米作りを主に行ってきた津村さんは、減反政策を受け複合農業を目指し昭和54年より肉牛、昭和58年より山の芋づくりなど多角化に乗り出す。

県内でも新発田は和牛の生産が多かったが、生産者が取り組んだのがそのブランディング。
2021年には「新発田牛(しばたうし)」としてブランド化される。
にいがた和牛*の中でも肉質4等級以上に限定した特に上質な肉質を誇る厳選和牛だ。
*新潟県内で育てられた黒毛和牛で品質規格等級がA-3、B-3以上のもの


稲を飼料として使用することはホールクロップサイレージ(Whole Crop Silage)というそうだ。
津村さんの田んぼ17haの内6haは飼料用の稲作を行っているとのこと。
「小さいうちは牧草を食べさせますが、14ケ月を過ぎると稲わらを飼料として与えることで、余分なサシが入らないおいしい赤身がある上質の肉牛が育ちます」。
 
賢さんの奥さんの智美さんが牛を丁寧にブラッシングしたり、なでたりして育てていることもおいしい肉牛が育つ要因だという。
「牛一頭一頭に名前まで付けて丁寧に育てているんです」と岳志さんは目を細める。 

新発田の歴史と風土が生んだ食文化

新発田は交通の要所として北と南の経済と文化をつないできた城下町だ。
また海、砂丘、町、山と変化にとんだ気候風土は多種多様な食材の宝庫を生み出す。

この土地に生まれ暮らしてきた廣岡シェフは、ここ新発田の風景を料理に落とし込む。
牛が小さい頃食べていた牧草で燻製した新発田牛の炭火焼に、新発田の甘長唐辛子の醤油漬けを添えた。
生産者の想い、料理人の想いも一緒にいただきたい。
ついしん手紙

ついしん手紙

住所:新潟県新発田市中央町3-5-7
電話:0254-21-2950
営業時間:ランチ 11:45~13:30(lo)/ディナー 18:00~21:15(lo)
定休日:毎週日曜日、第一・第三月曜日(定休日が祝前日の場合は、営業予定)
駐車場:あり(15台)
総席数:47席

この記事を書いた人
NIIGATA GASTRONOMY

「美食学」と訳され、料理と文化の関係性を考察することを指す“ガストロノミー”。
口にすることで地域の風土や歴史を感じられることから、成熟しつつある食文化の中で、注目を集めている考え方。多様な歴史と文化、豊かな自然に恵まれた新潟県はガストロノミーの宝庫。

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