北越急行ほくほく線 地域密着のローカル鉄道と沿線の魅力【前編 六日町駅〜美佐島駅】/十日町市・南魚沼市


2023年06月27日 9499ビュー
南魚沼市の六日町駅から上越市の犀潟駅までを結ぶ、総延長距離59・5kmの「北越急行ほくほく線」

1997(平成9)年3月22日に開業し、今年26年目を迎えました。

六日町駅から越後湯沢駅までJR上越線、犀潟駅から直江津駅まではJR信越本線に列車が乗り入れ、一体化した運行を行っています。

越後湯沢駅では上越新幹線、直江津駅ではえちごトキめき鉄道線、十日町駅ではJR飯山線と乗り換えも可能であり、各方面のアクセスにも優れている路線です。
普段は地元住民の通勤・通学の足として、特に沿線の高校に通う高校生の利用率が高く、地域には欠かせない地元密着の鉄道路線でもある、ほくほく線。

旅行・観光利用でも活躍をしており、越後妻有地域(十日町市・津南町)で、3年に一度開催される「大地の芸術祭」開催時には、首都圏などから多くの方がほくほく線を利用しています。
今年開業26年目と、他の鉄道会社と比べると歴史は浅いですが、ほくほく線の建設は昭和初期の頃から要望があり、沿線住民が開業を待ちわびていました。

日本屈指の豪雪地帯を走り、山間部も多くトンネルの難工事などもあり、開業まで時間と労力を要しましたが、沿線住民の熱い期待の声に支えられて開業をした経緯を持ちます。
【写真提供 北越急行】
1997(平成9)年の開業と同時に運行を始め、ほくほく線を経由して越後湯沢駅と北陸地方(金沢・福井方面)を結んでいた「特急はくたか号」。

一部列車は十日町駅・六日町駅にも停車をし、日本国内の在来線の中では最高速度の時速160kmでほくほく線内を走行しました。

また、北越急行保有の特急車両は「スノーラビット」の愛称でも親しまれ、ほくほく線のシンボル的存在でした。

しかし残念ながら、8年前の2015(平成27)年3月、北陸新幹線・長野駅ー金沢駅間の開業に伴い、特急はくたか号の運行が廃止され、多くの方に惜しまれて18年間の歴史に幕を閉じました。
【写真提供 ほくほくスマイルクラブ会員様】
特急はくたか号の運行廃止は、多くの地元住民や鉄道ファンの方から惜しむ声がありました。

その声に応えようと、利便性・速達性を確保する「快速を超える列車」をコンセプトとして、特急はくたか号運行廃止の翌日から「超快速スノーラビット」の運行を開始。

特急はくたか号に変わり、上越・十日町地域と首都圏を最速で結ぶ快速列車として、沿線住民や鉄道ファンから親しまれました。

しかし、今年2023年3月のダイヤ改正で、ほくほく線のダイヤが大幅に改正され、「超快速スノーラビット」の運行も残念ながら終了となり、8年間の歴史に幕を閉じました。

現在は普通列車のみの運行とダイヤが変わり、通常運行速度も110kmから95kmへ変更されましたが、利用客の利便性確保に引き続き努めています。
開業26年目を迎え、地域に愛され続け沿線の魅力が溢れる、北越急行ほくほく線。

今回は、地域密着のローカル鉄道と沿線の魅力を探しに、六日町駅〜まつだい駅まで乗車しましたので、前編(六日町駅〜十日町駅)と後編(十日町駅〜まつだい駅)に分けてご紹介します!

旅のお供に、ほくほく線内が乗り放題のフリーきっぷ「ほくほくワンデーパス」を購入。

販売額は「おとな 1,500円」「こども(小学生) 700円」。

六日町駅〜犀潟駅までは、大人片道運賃1,090円ですので、往復利用時や途中下車をする際は、ほくほくワンデーパスの購入が断然お得です。

ほくほく線内の駅(一部を除く)や、列車内で運転士からも購入が出来ますので、ぜひお買い求め下さい。(※運転士からの購入は、停車時にお願いします)

では、実際に乗車をして、ほくほく線の鉄道旅に出発進行です!
旅の始発駅「六日町駅」

越後湯沢駅から直通する列車も多くありますが、ほくほく線の始発駅です。

ほくほく線ホーム5番線には0キロポストも設置されているので、確認してみて下さい。
列車は1両編成または2両編成で運行をし、車掌が乗務をしないワンマン運転です。

また、車内にはトイレが付いていませんので、あらかじめ駅のトイレでお済ませ下さい。
ほくほく線各駅の駅名看板は開業10周年を記念して、画家・書家の片岡鶴太郎さんが書いたものです。

ほくほく線各駅に掲示していますので、記念駅名看板を探して見るのも良いですね。
六日町駅を過ぎると並行するJR上越線と離れ、進行方向右側に越後三山として知られる「八海山」の雄大な景色が見えてきます。

最初の停車駅・魚沼丘陵駅周辺はその名の通り、魚沼の穏やかな平野や田んぼが広がる地域であり、美味しい米の産地として有名です。
【八海山の雪化粧をした景色 六日町駅〜魚沼丘陵駅間の列車内にて 2023年3月撮影】
春は雪解けの山々と水が張った田んぼ、冬は雪化粧をした山々、夏は緑が鮮やかな山々と、四季折々の八海山と魚沼丘陵駅周辺の景色。

田植えや稲刈りの時期は、ほくほく線沿線の上越地方・頸城平野と比べて若干遅めであり、同じ線内でも違った景色が楽しめます。
魚沼丘陵駅を過ぎると、JR線を除く民間鉄道で2番目の長さを誇り、ほくほく線内でも一番長いトンネル、全長約10・5kmの「赤倉トンネル」へ突入です。
次の停車駅は「美佐島駅」

駅といっても地上にある訳ではなく、先ほど述べた全長約10・5kmの赤倉トンネル内にホームがある秘境駅です。
まるで異空間へ続く雰囲気の駅。

トンネル内のため、列車の停車時は風圧が激しく、ホームと地下通路の間は頑丈な扉で仕切られています。

事故を防ぐため、列車の到着時以外はホームに降り立つことはできません。

降車時は速やかにホームから出る必要があり、乗車時は列車が到着するまで扉は開きませんので、ご利用の際はご注意下さい。
ホームから地上へは、約10メートルの高低差がある階段を登ると出ることができます。
駅を出ると、道路があるだけで周辺に家は見当たらず、山の中にポツンと駅舎が建つだけ。

美佐島駅の1日の乗降人数は平均10人を割り、まさにほくほく線の秘境駅です。
駅舎には待合室やトイレ、地域・地元の紹介をしたパネルなども設置されています。
待合室は畳敷きで、足を伸ばして横にもなれる広々したスペースであり、コミュニティセンターのような雰囲気。(※夜間は施錠されます)

駅を訪れた人が記録を残す「駅ノート」も設置され、中を見ると全国各地や海外からも訪れており、多くのファンから愛されている駅だという事を実感します。

秘境駅ならではの雰囲気を味わいに、ぜひ美佐島駅で途中下車をしてみてはいかがでしょうか。
美佐島駅を後にし、ほくほく線の列車旅は「十日町駅」へ。

十日町駅からまつだい駅までの旅は、後編へと続きます!

北越急行ほくほく線 美佐島駅

⚫︎住所 十日町市午

<駅を訪れて鉄印を収集!鉄道スタンプラリー!御朱印ではなく、鉄印帳?!>

鉄道ファンをはじめ、多くの方から話題を集めている「鉄印帳」をご存知でしょうか?

簡単に言うと、神社仏閣へ参拝した際に参拝の証として集める「御朱印」の鉄道バージョンです。

鉄印帳は、第三セクター鉄道等協議会に加盟する、全国40のローカル線が連携した企画。

鉄印帳収集を目的とした、全国の鉄道旅をする方もいるほど大人気です。

専用の鉄印帳を購入して、乗車券の提示と記帳料を支払うことにより、各鉄道会社オリジナルの「鉄印」を記帳してもらえます。(※持参のノートや御朱印帳へは記帳ができません)

鉄道会社によっては、オリジナルの鉄印や複数の鉄印、期間限定の鉄印があるので要チェックです。
ほくほく線は、十日町駅が鉄印帳の窓口であり、きもののまち・十日町をイメージしたオリジナルの鉄印帳袋も販売しています。

また、2024年3月末まで期間限定ですが、人気ゲームの「桃太郎電鉄」とコラボレーションをした鉄印帳が販売されており、オリジナルの鉄印もあります。
北越急行社員の誠意を込めた、鉄印帳への直接記入も可能であり、ご希望の方は平日・9時30分〜17時30分の受付。書置き印は、全日・7時〜19時の受付です。

ぜひ、この機会に鉄印帳集めを始めてみてはいかがでしょうか?

<鉄印帳受付 北越急行 営業企画課>

⚫︎場所   ほくほく線 十日町駅構内
⚫︎電話番号 025ー750ー1251(平日9時30分〜17時30分)
⚫︎直接記入 受付時間 平日 9時30分〜17時30分
⚫︎書置き印 受付時間 全日 7時〜19時

後編では、十日町駅からまつだい駅までの乗車レポート。

日本有数の豪雪地帯を走る、ほくほく線の車両の取材、北越急行様インタビューをお送りします。

ぜひ、お乗り遅れのないよう、ご覧下さい!
この記事を書いた人
GATA_TETSU

長岡市出身、新潟市在住。
首都圏の某ターミナル駅で駅係員として、10年間勤務をした経験を持つ、元鉄道マン。
新潟へUターン後は、趣味の鉄道と元鉄道マンの経歴を活かし、SNSなどで新潟&公共交通の魅力を発信中!
https://twitter.com/GATA_TETSU_0401