【えちごトキめき鉄道 密着取材!第一弾】昭和レトロな「観光急行」&直江津D51レールパークと直江津駅名物グルメ/上越市


2022年10月05日 12597ビュー
2回目の登場、「GATA_TETSU」です。 首都圏の某ターミナル駅で駅係員として、10年間勤務をした経験を持ち、約5年前に新潟へUターンしました。

現在は趣味の鉄道と元鉄道マンの経歴を活かし、SNSやブログを通じて、新潟&鉄道の魅力を発信しております。ご愛顧、どうぞよろしくお願い致します!

えちごトキめき鉄道様 全面協力!密着取材!

今回は、上越地方を走るローカル線「えちごトキめき鉄道」様に全面協力をいただき、密着取材を致しました!

えちごトキめき鉄道は平成27(2015)年3月、北陸新幹線の長野〜金沢間開業に伴い、JRから経営分離をして誕生した、上越市・糸魚川市・妙高市を走る第三セクター鉄道であり、直江津駅を起点に2路線が走ります。

豪雪地帯を走り、山々の景色の移り変わりを感じる「妙高はねうまライン」(旧JR東日本・信越本線)。
海岸線を走り、日本海に沈む夕陽を望める「日本海ひすいライン」(旧JR西日本・北陸本線)。

2つの顔を持ち、山と海の変化に富んだ景色を楽しむ事ができる、地元密着の鉄道路線です。

他の鉄道会社の路線や、上越妙高駅と糸魚川駅では北陸新幹線の乗り換えも可能であり、地元住民の足としての地域輸送はもちろん、都市間を結ぶアクセス路線としても活躍しています。

鉄道と歴史の繋がりを感じる、新潟県鉄道発祥の地「直江津駅」

2つの路線の中心となる直江津駅は、「新潟県の鉄道発祥の地」であるという事はご存知でしょうか。

直江津駅は1886年(明治19)年、現在の妙高はねうまライン(旧・信越本線)直江津ー関山間の開通と共に開業。
その後、信越本線は長野・高崎と延伸開業し、日本海側と関東地方を結ぶ大動脈の起点駅として賑わいました。

現在も妙高はねうまライン・日本海ひすいライン・JR信越本線・北越急行ほくほく線・JR貨物が乗り入れ、1日約70本の列車が往来する、上越地方のターミナル駅として長らく機能しています。

また、特急列車や臨時列車の発着もあり、朝から夕方まで様々な列車が見られる、新潟県内でも随一の鉄道ビュースポットでもあります。
駅構内には0キロポストや国鉄時代の案内標識など、かつて乗換駅として栄えた歴史を感じる鉄道遺産が多く残されています。

本物の鉄道マンによる、本物の鉄道テーマパーク「直江津D51レールパーク」

先ほど述べた通り、直江津駅は歴史的にも鉄道との関わりの深さを感じる駅です。

昨年4月、新潟県鉄道発祥の地をアピールしようと、直江津駅に併設する車両基地の一部に「直江津D51レールパーク」がオープンしました。(直江津駅より徒歩3分)

※営業日 3月中旬〜12月初旬 主に土・日・祝日(冬季期間は閉園)
園内には、当時の「転車台」も残っており、SL「D51 827」の展示と乗車体験が最大の目玉。
時間帯によっては、実際に直江津駅手前までSLに乗車が出来ます。

SLはパーク開業時、和歌山県の有田川鉄道公園からトラック5台に分け、陸送で上越市まで運んで来ました。
堂々とたたずむ姿に圧倒され、大人も子供もワクワクすること間違いなしですよ!
昔懐かしの国鉄形急行色電車「413系」が留置しており、車内見学のほか、休憩スペースとしても利用可能。

一般的な車両展示は運転席の公開NGが多いですが、こちらでは運転席に座る事ができ、写真撮影もOK!運転士気分を味わう事が出来ます。
また、パーク内には「トキ鉄グッズショップ」も併設されており、お土産はもちろん、ここでしか手に入らないオリジナルグッズが充実しています。

パーク内のスタッフは、運転士や指令所などで現役で勤務するトキ鉄の社員さんが担当する事もあるので、貴重な話が聞けるかも知れません。

本物の鉄道マンによる、本物の鉄道テーマパークをぜひ、お楽しみ下さい!

直江津D51レールパーク

・住所   上越市東町1−15
・電話   025ー520ー5551(9時45分〜16時30分)
・営業時間 9時45分〜16時30分(最終入場16時00分)
・営業日  3月中旬〜12月初旬 主に土・日・祝日(冬季期間は閉園)
・入場料  おとな 1000円 こども 700円
・アクセス 直江津駅南口から徒歩3分
・駐車場  駐車場はございません。公共交通機関または近隣有料駐車場をご利用下さい。

急がずに行く、昭和レトロな「観光列車」

トキ鉄といえば、「雪月花」「観光急行」など魅力的な列車が多く走っていますが、今回私は昔懐かしい国鉄形電車で運行されている「観光急行」に乗車しましたので、その様子をリポート致します!
かつてJR西日本で活躍し、50〜60年が経過している大ベテラン車両「455系・413系 国鉄急行形」を使用して運行されており、昔の車両ならではの懐かしさや温かさを感じられます。

一般的に「急行列車」というと停車駅が少なく、所要時間も短いのが特徴ですが、トキ鉄の観光急行は「急がず行く」。これを醍醐味にしています。

1号車(指定席)、2・3号車(自由席)の3両編成で運行され、指定席はコース乗車が設定。半日・1日と列車に乗るコース、食事を味わえるコースなど多種多様です。

私は、トキ鉄社員さんのおすすめのコースでもある「朝から夕まで455コース」に乗車しました。

※観光急行運行日 土・日・祝日と一部の平日
※乗車には乗車券のほか、急行券が別途必要です。
 直江津駅・糸魚川駅のトキ鉄窓口でお買い求めください。(急行券 おとな500円 こども250円)
※朝から夕まで455コースなど、企画列車・オプショナルコースはネット予約のみ受付。
直江津駅・8時43分発から旅が始まり、帰着は直江津駅・17時8分という、総乗車時間8時間25分の旅。

と言っても、他社線に乗り入れをしたりする訳ではなく、トキ鉄線内を走り続けます。
同じ車両、同じ指定席で旅を続けられ、4人掛けのボックスシートを一人で占有して、長距離列車の旅へ出発!
ずらりと並ぶ、ボックスシート。一部の座席はロングシートですが、昔懐かしい匂いが漂う車内。

中吊り広告も国鉄時代にタイムスリップ。車内設備も、昔のまま残っています。
まずは、直江津駅・8時43分発 妙高はねうまライン「快速」で、直江津ー妙高高原間を往復。

直江津駅を出発すると、新潟県産のコシヒカリを使用した「おにぎり」とお茶が提供され、長時間の旅路に備えました。
妙高はねうまライン内の往復は快速列車扱いのため、2・3号車の自由席は乗車券・定期券での利用も可能。
通勤・通学で利用するお客様も多く、高田駅や上越妙高駅で乗降が目立ちました。

新井駅を過ぎると住宅街も過ぎ、一気に旅気分が増し、車内からの撮影スポットも多くなります。
スイッチバック駅でも有名な二本木駅では、列車がバックをする姿。
関山駅や妙高高原駅付近では、妙高山をバックに写真が撮れる為、多くの方がその姿をカメラに収めていました。

妙高高原駅で列車は折り返し、直江津駅へ再び戻ります。
二行程目は、直江津駅・11時26分発 日本海ひすいライン「急行1号・2号」直江津ー市振間を往復。
(※急行列車の為、乗車券の他に急行券が必要です)

時間帯も良いため、2・3号車の自由席は家族連れや鉄道ファンなど、多くのお客様が乗車していました。
時刻表上では、直江津駅を出発後は糸魚川駅まで停車しませんが、時刻表では通過扱いの「能生駅」にも停車し、列車から降りて撮影も可能です。(改札外には出れません)

国鉄時代の能生駅では「能生騒動」という事件が起こり、それを再現しての停車との事。

特急列車の行き違いで停車する運行ダイヤが、当時の時刻表に掲載され、地元住民が盛大に盛り上がりましたが、実際にはドアは開かずに通過したという事件。

そのエピソードを現代に再現して、観光急行は能生駅に停車をしています。
能生駅のホームでは、上越名物の「笹寿司」が販売されます。(急行1号の停車時のみ)

笹寿司は、能生駅近くにある「笹寿司工房 なごみ」さんの商品。
地元産の食材が満載で昔ながらの味は、乗客に大人気であり、多くの乗客が列車から降りて購入していました。

笹の匂いをほんのり感じ、旬の具材がたっぷりと入っており、とても美味しかったです。
写真撮影と笹寿司の購入を終え、列車内に戻ると昼食の「蟹いっぱい釜飯」「蟹汁」が用意されていました。

能生駅の所在地、糸魚川市能生地区は漁港や道の駅があり、蟹が特産の町。

アツアツ出来たての「蟹いっぱい釜飯」を列車内で食べられるのは、きっとトキ鉄の観光急行だけ。
ボリュームたっぷりで、お腹いっぱいになりました!トキ鉄沿線グルメが楽しめるのも、この旅の特権ですね!
糸魚川駅を過ぎると、昔から交通の難所として知られる、親不知子不知を通過。

海岸線ギリギリの場所を走る車窓や、日本海にそそり立つ高速道路を車窓から眺められ、列車に乗らないと味わえない絶景を味わえる区間です。

観光急行は親不知付近に限らず、絶景スポットで徐行をするほか、車掌による沿線案内も普段の定期列車では聞けないので貴重ですよ。
絶景を眺めていると、列車はあっという間に新潟県最西端の駅・トキ鉄最西端の駅「市振駅」に到着。

市振駅は、今となっては珍しい構内踏切やSLが走っていた時代の赤レンガ倉庫が現在も残り、昔ながらの駅舎も残っています。
折り返し時間も約20分あるので、列車を降りて撮影も可能です。そして列車は再び、直江津駅へと向かいます。
三行程目は、直江津駅・15時03分発 日本海ひすいライン「急行3号・4号」直江津ー糸魚川間を往復。

長距離列車旅の最終行程で、朝からの疲れが出る頃ですが、そこも飽きさせないのがこのコースの魅力。

地元スイーツ店の「特製スイーツボックス」とホットコーヒーをいただき、昭和の列車でリッチな気分を味わい、午後のひと時を満喫しました。
車内では、昔ながらのワゴンを引いた車内販売もあり、飲み物・お菓子・限定グッズまで数え切れない程の商品が販売されています。どれも、買いたくなるグッズばかり!
車内販売のワゴンの他に、「四五五神社」という名の見慣れない?お賽銭箱も回ってきます。

観光急行の末長い運行を願って、お賽銭をしてみてはいかがでしょうか? もしかしたら、良い事が起こるかも知れませんよ?!
糸魚川駅から直江津駅に戻り、8時間25分の長距離列車旅が無事に終了。トキ鉄沿線の魅力やグルメを満喫した、とても大満足の旅となりました!

今回の密着取材を通じて、「トキ鉄は地域密着で地元住民に愛されているのはもちろん、鉄道ファンや観光客など多くの方に愛される鉄道会社」と改めて感じました。

四季それぞれの魅力が満載のトキ鉄沿線の景色。沿線地域の素晴らしさ、トキ鉄の素晴らしさを地元新潟をはじめ、全国、世界の方々に感じて欲しいです。

今回取材した、直江津D51レールパークや観光急行の他にも「えちごトキめきリゾート雪月花」など、まだまだ魅力が豊富なトキ鉄の列車を乗りに行ってみませんか?

えちごトキめき鉄道「国鉄形観光急行」

・運行日 土・日・祝日と一部の平日
・ご乗車について
 観光急行は乗車券のほか、急行券が別途必要です。直江津駅・糸魚川駅のトキ鉄窓口でお買い求めください。
(急行券 おとな500円 こども250円)

※朝から夕まで455コースなど、企画列車・オプショナルコースはネット予約のみ

※発着時刻・サービス内容は取材時(2022年9月)のもの

<特別企画>トキ鉄社員インタビュー!〜現役運転士さんに聞いてみよう〜

せっかくの密着取材ですので、観光急行を運転する運転士さんにインタビューをしました!

定期列車をはじめ、観光急行や雪月花を運転する、トキ鉄の名物運転士の山田さん。(ファンも多いようです!)
現役の運転士さんにインタビューをする機会は、あまり無いので私も緊張をしましたが、和やかな雰囲気で答えていただきました。
Q・現役の観光急行の運転士さんだからこそ、おすすめするスポットはありますか?

A・日本海ひすいライン、梶屋敷〜えちご押上ひすい海岸間に設けられている「デッドセクション」ですね。
交流と直流の切り替え地点を、優等列車(観光急行)で通過出来る私鉄はトキ鉄だけなんです!
車内の照明や冷暖房が一旦消える瞬間を体験できるのは、現在運行中の車両では観光急行だけなので貴重ですよ。
また、110kmのスピードを出せるのは観光急行だけなので、ぜひ速さを味わって欲しいです。

Q・えちごトキめき鉄道に入社して、一番の思い出はなんですか?

A・JR信越本線からトキ鉄に乗り入れ、今年3月にラストランを迎えた「115系」をラストランの日に運転が出来なかった事が悔やまれます。
しかし、勤務手配担当に無理を言って、ラストラン前日に運転をさせてもらえた事が最高の思い出ですね!

Q・休日などは何をして過ごされていますか?

A・トキ鉄線や他社線を含め、鉄道写真を撮りに行くことが休日の過ごし方です。私も、皆さんと一緒です(笑)


地元・糸魚川市出身の山田さんは、地元の鉄道会社で運転士として働き、列車の運転ができる事に誇りを持っているとのこと。
乗客と寄り添うかたち、乗客と運転士や社員さんとの距離が近いのもトキ鉄の魅力ですね。

えちごトキめき鉄道の皆さま、この度は密着取材にご協力をいただき、ありがとうございました!

旅のお供といえば、駅弁!「直江津のソウルフード・ホテルハイマートの駅弁」

長距離列車旅といえば「駅弁」が付き物!駅弁を選んだり、食べるのが楽しみという方も多いですよね。

直江津駅では今から121年前の明治34年より、駅構内にて駅弁の販売を始め、とても歴史が深いです。
平成27(2015)年の北陸新幹線開業を機に、直江津駅を発着する特急列車なども大幅に減り、お客様の動向も大きく変わりました。

そんな中ですが、直江津駅の利用客をはじめ、地元住民から長年愛され続ける馴染みの駅弁が、直江津駅前「ホテルハイマート」で作られる駅弁。

地元・上越産の食材を多く取り入れ、まさに「上越市のソウルフード」と言っても良いかも知れません。

販売箇所は、直江津駅構内・上越妙高駅・ホテルハイマート店舗。(土日は直江津駅・上越妙高駅 NewDaysでも販売)
東京駅の人気駅弁屋「祭」でも販売されており、全国的にも楽しめます。
ホテル前に構える、駅弁販売所でも駅弁の購入ができますが、日や時間帯によっては品切れとなる事もあるため、事前にウェブで駅弁の予約も可能です。

現在、直江津駅で駅弁を取り扱っている会社は、ホテルハイマートのみ。
「駅弁の魅力をどう売るか、魅力をどう伝えるか」「多くの人に、駅弁の魅力を知って欲しい」とのこと。

最近は、様々なデザインや容器が取り入れられた駅弁が増えましたが、格式が違う昔ながらのホテルハイマートの駅弁は、昔懐かしい雰囲気と味を感じさせてくれますよ。

ホテルハイマート

・住所   上越市中央1ー2ー3
・電話   025ー543ー3151
・アクセス 直江津駅北口前

※時間帯や日によっては品薄・売り切れとなることもあるため、WEB・電話・店頭で事前予約をお願いします。

スタッフさんの笑顔と注文を受けて素早く作る姿も魅力「そば処直江津庵」

鉄道旅といえば、もちろん駅弁も楽しみですが、「立ち食い蕎麦屋」に寄るのも醍醐味ですよね。

最近、新潟県内のターミナル駅は立ち食い蕎麦屋さんが減少傾向ですが、直江津庵さんは末長く、美味しい味を提供しています。
直江津駅の開業とほぼ同時に歴史を歩み、かつては各ホームや待合室でも営業をしていましたが、新駅舎の新築と共に移動し、現在の位置で営業をしています。

特急列車や夜行列車の停車駅として、多くの利用客を有した直江津駅。
お客様の動向は変わりましたが、現在も人気は絶える事なく、地元住民をはじめ、タクシー運転者さんや駅利用者で賑わいます。

スタッフのお姉様方が注文を受けて素早く作る姿や、笑顔に癒されるのも愛される秘訣。
値段もリーズナブルでメニューも豊富であり、迷ってしまうほどです。
スタッフさんのオススメ商品は「もずくそば」「謙信そば」。

特に「謙信そば」は、上越名物のする天(するめの天ぷら)・生たまご・のりがトッピングがされ、豪華な見た目の通りボリューム満点で納得の味です。

そして、時間帯によって列車が目の前を通るので、店内からの眺めは最高ですよ!

そば処 直江津庵

・住所   上越市東町1ー1
・営業時間 7時00分〜17時20分(オーダーストップ 17時10分)
・アクセス 直江津駅北口併設

直江津駅周辺は、新潟県鉄道発祥の地の通り、鉄道の歴史と共に愛され続ける名物グルメがたくさんあります。

ぜひ皆様も、えちごトキめき鉄道に乗車をして、直江津駅名物グルメをお楽しみ下さい!

ご覧いただき、ありがとうございました。密着取材、第2弾もお楽しみに〜!
この記事を書いた人
GATA_TETSU

長岡市出身、新潟市在住。
首都圏の某ターミナル駅で駅係員として、10年間勤務をした経験を持つ、元鉄道マン。
新潟へUターン後は、趣味の鉄道と元鉄道マンの経歴を活かし、SNSなどで新潟&公共交通の魅力を発信中!
https://twitter.com/GATA_TETSU_0401