【JR只見線 全線運転再開】おかえりなさい!奇跡と愛を乗せて、再び走り始めた秘境ローカル線/南魚沼市・魚沼市・福島県只見町


2023年10月08日 3912ビュー
<取材・撮影協力 JR東日本新潟支社>

魚沼市の小出駅から、福島県会津若松市を結ぶ「JR只見線」

総延長距離は135・2km、全駅36駅。全線単線・非電化のローカル線です。小出駅から会津若松駅まで、全線通して運行する列車はわずか3本。全線で乗り通すと、約4時間45分かかります。

山岳地帯を走り、昔ながらの景色が残る只見線の沿線は、四季折々の壮大な絶景が楽しめ、特に冬の沿線の景色は格別です。

近年では日本有数の秘境ローカル線として、メディアやSNSで話題に上がる事が多く、日本各地からの観光客をはじめ、外国人旅行者からも人気を集めています。
2011年7月の新潟・福島豪雨の影響により土砂崩れや鉄橋が流されるなど、甚大な被害を受けた只見線。

福島県の只見駅と会津川口駅間の被害が特に大きく、約11年に渡り長期不通となっていました。
不通の間は代行バスの運行や、被害が出ていない区間は折り返し運転をし、沿線住民の足として只見線を守ってきました。

一時は路線存続の危機に瀕しましたが、地元住民や沿線自治体から存続への熱い思いが届き、奇跡の復活を遂げた只見線。

2022年10月1日、小出駅〜会津若松駅間の全線で運転を再開し、多くの人々の想いを乗せて再び只見線は走り出しました。
首都圏方面から只見線に乗車をする場合は、上越新幹線に乗車をし「浦佐駅」で下車が一番便利です。

今回は浦佐駅を出発し、小出駅から只見駅まで只見線に乗車した様子をレポートします!
1923(大正12)年9月1日に開業し、1982(昭和57)年に上越新幹線の停車駅となった浦佐駅は、今年2023年9月1日で開業100周年を迎えました。

現在、浦佐駅は上越新幹線の停車駅の中で乗降客数が一番少ない駅であり、新幹線発着時以外は閑散としていますが、駅周辺には大学や高校があり、新幹線通勤・通学をする方も多く、新幹線発着時には乗降客で賑わいます。
新幹線改札内に数多く並ぶ、巨大なローソクを発見。

このローソクは、浦佐駅からもほど近い「越後浦佐毘沙門堂」で毎年3月に行われ、約1200年以上の伝統を持つ、日本三大奇祭「裸押合大祭」で使用されるもの。

ローソクを奉納し、祭りで使用する事から「大ローソク祭り」とも呼ばれます。
顔出しパネルも発見!ぜひ、来駅記念に写真を撮ってみてはいかがでしょう!?

JR浦佐駅

⚪︎住所 南魚沼市浦佐

改札口を抜けて目の前に「うおぬま・浦佐駅観光案内所 MYU」がありますので、そちらに立ち寄ります。

ちなみに「MYU」の名前の由来は先ほども記載した、裸押合大祭が行われる浦佐毘沙門堂のある「普光寺」に猫にまつわる言い伝えが残っている事。

また、浦佐駅の所在地である「南魚沼市=M」、浦佐駅周辺の旧市町村名「大和町=Y」、隣接する「魚沼市=U」の頭文字から「MYU(ミュー)」と名付けられました。
浦佐駅の所在地・南魚沼市、隣接する魚沼市の双方ともに、行楽シーズンには登山やサイクリング、冬はスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが盛んであり、大きな荷物を持った乗降客で賑わう浦佐駅。

また、南魚沼グルメマラソンや耐久山岳マラソンなど、マラソン大会が浦佐駅周辺で開催され、ランニング愛好家に人気の大会が多く、首都圏方面から訪れる方が多いのも特徴です。

しかし、浦佐駅周辺には、今まで観光拠点となる観光案内所がありませんでした。

そこで、南魚沼市と魚沼市の両市の広域観光の魅力を新幹線停車駅・浦佐駅から発信し、観光拠点として2019年9月にオープンしたのが「うおぬま・浦佐駅観光案内所 MYU」です。

2つの市が合同で運営をする観光案内所は珍しいですよね。
案内所内には両市の観光案内カウンターや、観光パンフレットなども充実。
待合室代わりとしても利用でき、フリーWi-Fiやコンセントも利用可能です。
また、コーヒーマシンも設置されており、値段もリーズナブル。(テイクアウトも可能)
甘酒やジェラートも販売されており、その場でいただけるのも嬉しいところ。

甘酒は、魚沼市の「魚沼醸造」さんと、南魚沼市の「八海醸造」さん。

ジェラートは、地元・浦佐のジェラート工房「ヤミー」さんと、「魚沼醸造」さんのジェラートが販売されており、大人気です。
電子レンジもカウンターにあるので、温めていただくのも美味しいですね!散策や乗車の前後に嬉しいサービスです。
レンタサイクルの貸し出しもあり、2時間700円から利用可能。

中には自転車で30分ほど掛かる場所まで、サイクリングに行く方もいらっしゃるようです。

越後三山や街を流れる魚野川の綺麗な景色も見れるので、天気が良い日は浦佐駅から南魚沼市・魚沼市探検サイクリングも楽しそうですね!

南魚沼市・魚沼市の両市の魅力が満載の、浦佐駅から始まる観光拠点「うおぬま・浦佐駅観光案内所MYU」へ、ぜひお立ち寄り下さい。

うおぬま・浦佐駅観光案内所 MYU

⚪︎住所   南魚沼市浦佐719ー2 JR浦佐駅構内 2階コンコース
⚪︎電話番号 025ー775ー7244
⚪︎営業時間(窓口) 9時〜17時
⚪︎営業時間(フリースペース) 9時〜20時
⚪︎定休日 火曜日(窓口業務のみ)

浦佐駅をあとにし、上越線に乗って2駅先の、只見線の乗り換え駅「小出駅」まで移動します。
小出駅も、1923(大正12)年9月1日に、浦佐駅と同時に開業し、今年2023年9月1日に開業100周年を迎えました。

小出駅の駅舎入口に掲げてある駅名表示は、魚沼市出身の俳優・渡辺謙さんが書いたもの。

100周年を記念して、お花も飾ってありました。市民から愛されている駅だと実感しますね。
小出駅から発車する只見線は、一日5本。まさに秘境路線です。
(小出〜会津若松行3本、小出〜大白川行2本 2023年3月現在・臨時列車を除く)

一本乗り遅れてしまうと数時間後になりますので、事前に時刻表を必ず確認してご利用下さい。
小出駅から出発する只見線は、4・5番線から発車しますが、ホームに向かう連絡通路の独特な雰囲気も良いですね!(新潟県内を走っていた、115系の2次新潟色みたいです!)
乗車した列車は、小出駅13時12分発 会津若松行き。列車の出発前から多くの方が並んでおり、発車時には満席状態になりました。
晴天にも恵まれ、どんな景色が見れるのか楽しみです!では、只見線の列車旅に出発進行!!

<JR小出駅>

⚪︎住所 魚沼市四日町

小出駅を出発すると、大河・信濃川の支流で谷川岳を源流とする清流「魚野川」を渡ります。奥には越後三山の絶景が眺められ、出発してさっそく絶景を味わいます。
しばらく、田園風景と山々ののどかな景色が続きます。

私が乗車した9月初旬は、稲が育った黄金色の田んぼがとても綺麗でした。 まさに米どころ・新潟らしい景色、素晴らしいです。
列車は、新潟・福島県境の駅「大白川駅」に到着!新潟県は広い!

大白川駅から先、会津川口駅(福島県)までは1日3本の運行と、全国にもまれな運行本数の区間です。私も全国の鉄道路線に乗って旅をしましたが、やはり秘境区間はワクワクします!
大白川駅〜只見駅までの新潟・福島県境付近は「六十里越峠」と呼ばれる、山々が険しい区間。

只見線はほぼトンネルを通りますが、並行する国道252号線は雪崩などの危険性があり冬季閉鎖をするため、魚沼市から六十里越峠経由で福島県へ行くには、只見線が唯一の交通機関となります。

只見線が沿線住民にとって、大切な路線であることを改めて実感します。
大白川駅〜只見駅間はトンネルを繰り返し通りますが、しばらくすると進行方向右側に絶景スポットが見えてきます。

見えてきたのは尾瀬を源流とし、只見川をせき止めて造られた「田子倉湖」

水が透き通って青色に輝く湖と、緑が鮮やかな山々の絶景が素晴らしいです。只見線に乗らないと味わえない絶景であり、一瞬ですので見逃しのないようにご覧下さい。
小出駅〜只見駅まで約1時間15分の列車旅を楽しみ、福島県の入り口「只見駅」に到着です。

小出駅から乗務した運転士・車掌さんも只見駅で交代し、私も只見駅で下車をします。
只見駅に列車が到着をすると、地元住民の方が手を振る姿も見受けられ、全線開通を祝う横断幕やポスターが多く掲げられていました。只見線全線開通を待ちわびていた、地元住民の方々の歓迎ムードを実感します。
(只見駅は開業60周年!おめでとうございます!)

JR只見駅

⚪︎住所 福島県南会津郡只見町大字只見字上ノ原

只見駅の目の前にある、「只見町インフォメーションセンター」に立ち寄ります。

2022年10月1日の只見線全線開通に合わせて、只見駅前を盛り上げようという気持ちを込めてオープンした観光施設です。
町の観光情報、観光パンフレットの入手はもちろん、地元物産品やお土産も揃います。
地元旅館手作りのおにぎりや軽食(一部土日限定)、休憩や食事利用にも利用ができ、Wi-Fi完備のフリースペースもあるので、気軽に利用できるのも良いですね。
只見線グッズも多数販売しており、キーホルダーやクリアファイル、Tシャツまでさまざまなグッズが並び、ここでしか手に入らない限定グッズもあります。
中には、鉄道タレントや鉄道系YouTuberとコラボレーションした只見線グッズもあり、大人気です。
休憩がてら、1日20杯限定で販売をしている、只見産のトマトをギュッと絞った「トマトジュース」をいただきました。

カップには、只見線応援キャラクター「キハちゃん」のシールが貼ってあり、とても可愛い感じです。
残暑の中の取材でしたので、水分・塩分補給ができ、とても美味しくいただきました。
只見町にはグルメをはじめ、日帰り温泉や神社など見どころがたくさんあります。

レンタサイクルも、只見町インフォメーションセンターで借りることができますので、先ほど列車内から見た「田子倉湖」などへ少し足を伸ばして行き、自然を楽しむのも楽しそうですね。

ぜひ、只見駅へお越しの際は「只見町インフォメーションセンター」へお立ち寄り下さい。

只見町インフォメーションセンター

⚪︎住所   福島県南会津郡只見町​​大字只見字雨堤1018ー1
⚪︎電話番号 0241ー82ー5250
⚪︎営業時間 9時〜17時 年中無休

只見駅をあとにし、只見駅16時31分発 小出行の列車で帰路につきます。

小出駅には17時47分に到着したので、秋の夕焼け空がとても綺麗であり、最後の最後まで只見線の景色に大満足の楽しい列車旅となりました。
今回利用した切符は、新潟県内のフリーエリア内の鉄道路線が2日間乗り放題の切符「えちごツーデーパス」

主に金・土・日・祝日やゴールデンウィークや夏休みなど、連続した2日間で利用する事ができます。

上越新幹線や特急列車を利用する際は、特急券を購入することで利用可能です(※今回掲載の只見線のフリーエリアは、大白川駅まで利用可能。大白川駅〜只見駅間の往復は別途乗車券を購入しました)

利用可能エリア・利用可能日・利用方法など、詳しくはJR東日本のホームページをご覧下さい。
災害による甚大な被害に見舞われ、一時は路線存続の危機に立たされながらも、地元住民の只見線愛が実って奇跡の復旧を遂げた只見線。

全線運転再開まで約11年掛かりましたが、奇跡と愛を乗せて、再び走り始めました。

四季折々の絶景が味わえ、一度乗ったら沿線の景色と情緒が忘れられず、何度も乗りたくなるのが只見線の特徴だと思います。

沿線の途中で一泊して、泊まりがけで行く只見線の旅も良いですね。皆さんも、只見線の列車旅に出掛けませんか?!
行楽時期には臨時列車・イベント列車も走りますので、JR東日本のホームページをチェックしてみて下さい。
この記事を書いた人
GATA_TETSU

長岡市出身、新潟市在住。
首都圏の某ターミナル駅で駅係員として、10年間勤務をした経験を持つ、元鉄道マン。
新潟へUターン後は、趣味の鉄道と元鉄道マンの経歴を活かし、SNSなどで新潟&公共交通の魅力を発信中!
https://twitter.com/GATA_TETSU_0401

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