【新潟ガストロノミーアワード2023受賞!】関わる人たちを幸せにするはちみつを作りたい/阿賀野市


2023年11月30日 1215ビュー
地域の風土や歴史を食で表現する「ローカル・ガストロノミー」。この理念を体現し、地域社会と積極的に関わる飲食店やお土産品等を表彰する「新潟ガストロノミーアワード」に、阿賀野市の「八米はちみつ」が選ばれました。代表の髙橋敦志さんは、はちみつに加えてお米作りにも取り組む地元出身の生産者。養蜂家と農家、二足のわらじを履く髙橋さんに、お仕事の様子や阿賀野市の魅力をお聞きしました。
髙橋 敦志
1977年、阿賀野市(旧水原町)生まれ。高校卒業後、栃木県の大学へ進学。東京で5年ほど建設関係の仕事に就いた後、Uターン。新潟でも5年ほど同じ業界で働いたが、家族と過ごす時間や自分の将来について考え退職。2015年から養蜂業と農業をスタートする。地域の人と温かい関係を築きながら、はちみつ作りやお米作りに邁進する。

ミツバチにやさしい「ゆうきの里」

―阿賀野市の笹神支所から車で5分ほど移動しました。ここにミツバチがいるんですね。

ミツバチを飼う場所を探してあちこち探し回っていた時、偶然この場所を見つけました。以前は開墾地としての畑だったそうですが、獣害や高齢化もあり耕作されずにいたところを使わせていただけることになりました。

旧笹神村は「ゆうきの里」宣言をし、農薬や化学肥料をできるだけ使わないお米作りに力を入れています。それは後で知ったことでしたが、結果的にミツバチを育てるのにいい場所に出会えました。田んぼに使う殺虫剤は、ミツバチにも良くないですから。
静かな里山にミツバチの羽音が響きわたる
「ミツバチが花蜜や花粉を集めるのは自然の営み。自分はそのお手伝いをするのが仕事です」と髙橋さん。巣箱は定期的に点検するものの、あまり手をかけすぎないようにしているそう
―たくさんの巣箱が並んでいます。

ミツバチは自分の巣箱の位置を覚えていて、花の蜜や花粉を採りに出ても、ちゃんと自分の「家」に戻ってきます。ヨーロッパでは巣箱の入り口にそれぞれ違う絵が描いてあることもあり、ミツバチはその絵柄でも自分の巣箱を認識するそうですよ。面白いですよね。

はちみつの収穫は春が最盛期です。菜の花、桜、藤の花、アカシア、トチ、キハダ、クリなど、花の開花時期に合わせて巣箱を花の群生地に移動させます。最盛期には1週間程で空の巣箱がはちみつでいっぱいになりますよ。
たくさんの巣箱が並んでいる
画面中央、お尻の長い一回り大きな個体が女王蜂
―髙橋さんはお米も作っているので、春は大忙しですね。

そうなんです。田植えの時期と丸かぶりで、「それを知ってたら一緒にやらなかったのに」というくらい大変です(笑)。

はちみつ作りとお米作りを一緒にやっているのは偶然というか、成り行きで。元々父親がはちみつが好きで、趣味の範囲でミツバチを飼っていたんです。祖父母は農業をしていましたが、両親の代ではやらずに田んぼをよそに預けてお米を作ってもらっていました。その田んぼを戻してもらい、自分が米作りをしながらはちみつも作ったらどうかなと。素人考えでしたが、自分の両親や妻、妻の両親も賛成してくれて、なんとか10年近く続けられています。周りの応援や協力はすごく大きいですし、本当にありがたいですね。
ミツバチが一生をかけて集めるはちみつの量は、わずか3グラム程度なのだとか
巣箱のはちみつを味見させてもらう。爽やかな甘さと草花の香りが広がる

福祉施設の利用者さんと一緒に

―八米さんのはちみつが、2023年の新潟ガストロノミーアワードを受賞しました。

八米のはちみつは、いろいろな人と一緒に作っています。たとえば新潟市北区の「社会福祉法人とよさか福祉会クローバー」さん、新発田市の「社会福祉法人のぞみの家福祉会のぞみふぁーむ」さんには、はちみつの瓶詰めや、ひまわりオイルのための花の収穫や種の脱穀をお願いしています。

はちみつ作りを始めた頃、福祉事業所とのマッチングセミナーで出会ったのがクローバーさんとのぞみふぁーむさんでした。ちょうどクローバーさんの施設に調理場があって、瓶やラベルなどの材料も直接施設へ届くように手配しています。いつも安定した数を生産していただけて、すごく助かっています。
ひまわりの花を収穫するのぞみふぁーむの利用者さん
―ひまわりオイルも作っているのですね。

もともとはミツバチのためだったんです。夏は春ほど花が咲かないので、花蜜の代わりにミツバチに砂糖水を与える方法もあるのですが、私はできるだけ自然な餌がいいなと思い、ひまわりを栽培することにしました。その種は、山梨県の養蜂家さんの紹介で、種苗会社さんから支給していただいています。
種まきを手伝った地元の子どもたちが、満開のひまわり畑を訪れた
何年か続けていると、ひまわり畑がちょっとしたフォトスポットとして知られるようになってきました。今ではSNSでフォトコンテストを年2回開催しています。

新潟ガストロノミーアワードは、そうした多方面の方々との連携や、地域活性につながったことも評価していただけたのかなと思います。
星空とひまわり畑が幻想的な一枚。髙橋さんは夜中に撮影に訪れたカメラマンの熱意を感じ、フォトコンテスト開催の発想に至ったそう
―八米さんのお米はどんな特徴がありますか?

一つは「れんげ農法」といって、れんげの花を田んぼの肥料にしています。化学肥料が普及する前から伝わる農法だそうで、れんげを肥料に使うことで化学肥料の使用を抑えることができます。八米でれんげのはちみつも将来的には採取したいという思いもあり、この農法を取り入れることにしました。そして花畑ができると人も沢山集まります。はちみつ、お米、集まる人の笑顔の三毛作を八米では目指しています。

もう一つは、自家採取したはちみつを地元の温泉水で希釈発酵させ、肥料や農薬代わりに田んぼへ散布して作ったお米です。調べてみると、通常のお米よりも食味値が少し高くなる傾向にあることが分かりました。
ミツバチとお米作りがこんなにも結びつくとは思っていませんでしたが、うまく循環しているなと思います。
ギフトにもおすすめの八米の商品。はちみつ120グラム1,404円、ナッツのはちみつ漬け972円など。れんげ農法、はちみつ農法で作ったコシヒカリギフトはそれぞれ300グラム×3個入り 1,728円

高校時代の恩師と阿賀野市で再会

―今後の夢や目標を聞かせてください。

養蜂家も米農家もたくさんいますが、2つを同時に作る生産者はめずらしいと思います。その特徴や阿賀野市の風土を生かして、付加価値のある商品開発や農業をしていきたいです。

その結果、手伝ってくれる皆さんが喜んでくれたり、はちみつ入りの肥料を近隣の田んぼに撒くことで、そこの農家さんの売り上げが上がったりしたらうれしいですね。きれいすぎる言い方かもしれませんが、八米と関わる周りのみんなも一緒に幸せになれたらと思います。
にこやかに話す髙橋さん。その親しみやすい人柄に周りが魅了され、応援したくなるのかもしれない
―最後に、地元のお気に入りスポットを教えてください。

水原駅前の「ビストロオオヤチヤ」は料理もワインもおいしくておすすめです。雰囲気が良くて、結婚記念日にも使わせてもらっています。リーズナブルでボリュームもあり何を食べてもおいしいのですが、特に好きなのはローストポークと燻製ポテトサラダです。
もち豚のロースト(1,200円)と燻製ポテトサラダ(550円)。分厚いローストポークに、地元のコトヨ醤油醸造元のワイン入り醤油「コトヨ和院(ワイン)」を使ったソースが絶品。ポテトサラダは大きくカットしたゆで卵とたくあんの燻製がごろごろ入っている
もう一つおすすめしたいのが旧安田町にある「古川彫刻」です。高校時代の恩師、古川敏郎先生がアトリエと彫刻教室をやっています。毎年夏に子どもとその友達を連れて行って、夏休みの宿題の作品を作るのにお世話になっているんです。

先生とは、はちみつ作りを始めた頃に偶然再会して、こういう世界をぜひ子どもに見せたいと思ってお願いしました。他にはないすばらしい経験をさせてもらっていると思います。
彫刻家の古川敏郎さん
制作中の古川さんの作品
多くの人に彫刻に親しんでもらえるように作ったという、かわいらしい「彫刻ブック」
八米 HACHIBEI

八米 HACHIBEI

阿賀野市中島町11-20
025-246-0800

ビストロオオヤチヤ

ビストロオオヤチヤ

阿賀野市下条町12-71
0250-47-3819
17:00〜24:00
火曜休み

古川彫刻

古川彫刻

阿賀野市保田字ツベタ6966-8
090-3403-9422
彫刻教室は火・水・木・土曜13:00〜17:00

この記事を書いた人
新発田地域振興局 魅力見つけ隊

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