「町屋めぐり」はよく聞くけれど…どこが魅力か、町屋に住んでる人に聞いてみた!/村上市


2021年06月21日 1852ビュー
「村上で町屋めぐり」

村上市の観光について調べていると、よく目にする言葉だと思います。
「町屋の人形さま巡り」や「町屋の屏風まつり」など、催しの名前にも出てくる「町屋」。
けれど、そもそも「町屋」って何...?

そんな素朴な疑問を、村上の町屋を訪ねて聞いてきました!


最初にお邪魔したのは老舗の和菓子屋さん、早撰堂(そうせんどう)さん。
お店には時代を感じるお菓子の型がずらり。

飾られている表彰状、お菓子の品評会で入賞したものだそうですが、いつの物かというと、明治40年!ということは、1907年!!

歴史...!!


さて、村上の町屋は店舗の奥、茶の間も見られるのが特徴。
中へと進んでみると、さらにタイムスリップしたような光景が。
 
村上では「箱階段」と呼ばれる引き出しのついた階段に、右隣は立派な金庫。さらにその右にはお仏壇...?
町屋、何だかすごいぞ!


店主の奥様、早川さんがいたので、早速お話を聞いてみます。
建物は明治26年(1893年)、今から約130年近く前に建てられたそう。
町屋について、もっと教えてください!

「町屋の話聞きたいなんて、私も分からねわ〜!」 とけろりと笑う早川さん。

 


「普通の家より住むのは大変だよ。寒いし、暗いし、すきま風もあるしね。そして古い!」



住むのは大変??




そうなんです。
村上の町屋の大きな特徴は、今でも人が暮らしている建物を見学できるということ。
博物館や観光施設のように見学するためにつくられた場所ではなく、生活の場を見せてもらえるんです。

これが出来る理由の一つが、町屋の特徴の「通り土間」と呼ばれる土間。
お店の入り口から家の中まで、土間でひと続きになっているので玄関で靴を脱いで家の中に入る、ということがないんです。

「土間が廊下代わりだから、靴を脱いで茶の間に上がったり、台所やお風呂に行くのも上がり框(あがりかまち・土間と部屋との段差)を降りて靴を履いて行ったりしないといけない。足腰は鍛えられるかもね」
と早川さん。

見学OKの場所とプライベートな場所を区切る暖簾には「これより奥への立ち入りはご遠慮ください」の文字。
台所はこの土間の先にあるそうです。陽が入らないので、筆者がお邪魔した5月の末でも空気はひんやり。これは冬はめちゃくちゃ寒そう...
「嫁いで45年くらいになるけど、毎日土間の台所でご飯つくってる。冬は寒いよ〜!」

 

(写真を撮らせてください!とお願いしたら、はいダメダメ~!と背中を向けるお茶目な早川さん。)
早撰堂(そうせんどう)

早撰堂(そうせんどう)

住所:新潟県村上市大町3-5
電話:0254-52-2528
営業時間:9:00〜17:00
定休日:第4日曜日
※来店の際はマスクの着用と店頭のアルコール消毒をお願いします!

なるほど、町屋が観光施設ではなく、今でも生活している場所だということは分かりました。

ではなぜ村上に町屋があるの?
次のお店で聞いてみました!
訪れたのは益甚(ますじん)さん。
こちらは戦前は造り酒屋をしていた酒屋さん。
写真は店舗の入り口、その奥には住居部分、さらにその先には土蔵があります。土蔵は江戸時代に建てられたもの、住居の部分は昭和25年に改築されたそうです。
お話を伺ったのは、益甚の店主、益田さん。


城下町はその昔は暮らすエリアが身分によって決められていたそう。
お城に近い方は武士が暮らすエリア、その外側が、商人が暮らすエリア。
村上城があった村上市の中心部も、同じようなエリア分けがされ、それが今でも残っているのが「町屋」が続く街並みの理由とのこと。


「『町屋』は商店をしながら住んでる家。このあたりは商人たちが暮らしていた場所だから、みんな入口には店があって、その奥や2階で暮らしていた。それが今も名残で残ってるんだね。店をやめて暮らしているだけになった家は、町屋ではなく『仕舞屋(しもたや)』と呼んだりするね」
「観光で来る人には、ここに今でも住んでいるんですか?ってよく聞かれるね。
そこの襖を開けると私が寝てた布団がありますよ、なんて答えるとびっくりされる」

 

重厚な梁や、訪れる方にもオープンな空間。確かに暮らしていると聞いたら驚きますよね!


古い建物と紐づいて、昔ながらの習慣が残っているのも町屋暮らしの特徴。

「俺が子供の頃は、囲炉裏がある板の間に、お膳で食事をしていてね。上座から、親父、おふくろ、兄弟の順。明かりをとるための天窓があるんだけれど、隙間から雪が入ってくるんだよ。どてらを着ていても寒くてね。雪の降る中ご飯を食べていたよ」

皆さん口を揃えて仰るのが「とにかく寒い」ということ。
最近の村上はそれほど雪も降らず冷え込まなくなりましたが、「通気性抜群!笑」という町屋の構造では、それはそれは寒かったのだろうな…。

 

古い建物には、古い道具もたくさん。

 

益甚さんにも、酒屋時代の計り売り用の通い徳利や、お祝いの席で使われる酒樽などなど、貴重なものがたくさん並んでいました。

 

益甚(ますじん)

益甚(ますじん)

住所:新潟県村上市大町1-19
電話:0254-53-2432
営業時間:9:00〜17:00
定休日:不定休

※来店の際はマスクの着用と店頭のアルコール消毒をお願いします!

次におじゃましたのは、山上染物店(やまがみそめものてん)さん。
 
360年以上の歴史を誇る染物屋さんです。
(皆様お気づきかと思いますが、村上、創業100年以上、築100年以上、というところがごろごろあるのです。ピンとくるのが難しいくらいの歴史の古さ…!) 
店舗と住居と工房が土間でひと続きになっている山上染物店さん。
建物は160年以上前に建てられたものとのこと。

暖簾をくぐって茶の間にお邪魔すると、
にゃ!
かわいこちゃんがお出迎えしてくれました。

博物館のようになっている古い建造物では、こんな風景は見られませんよね。
町屋が暮らしの場のままな村上ならではだなぁとほっこりしました。
「夏になると、障子戸を簾戸(すど・すだれをはめ込んだ建具)に入れ替えるんです。秋口の日が長くなる頃、簾戸越しに外の街灯のあかりが見えるのがとてもきれいで。住んでいないと見られない、特別な眺めだと思います」

そう教えてくれたのは、店主の奥様、山上さん。
この写真右側にある障子戸が簾戸になるそうです。
夜の雰囲気も風情がありそうですよね。

ちなみに山上家には猫さんが4匹暮らしているそう。お店の方にはなかなか出てこないそうですが、会えたらラッキー!

 

山上染物店(やまがみそめものてん)

山上染物店(やまがみそめものてん)

住所:新潟県村上市肴町2-17
電話:0254-52-3570
営業時間:9:00〜17:00
定休日:不定休

※来店の際はマスクの着用と店頭のアルコール消毒をお願いします!

暮らしていないと見られない眺めをお裾分けしてもらえる町屋めぐり。

どちらのお店も「お家」です。
写真をぱしゃりと撮ってすぐに帰ってはもったいない!
せっかく村上の町屋に行ったなら、ぜひ暮らしている方のお話を聞いてみてくださいね。

お邪魔したお店はこちら!

この記事を書いた人
よはくや

新潟県の北の端、村上市の小さな宿「よはくや」のオーナーです。観光地からガイドブックに載らないふだんのまちの様子まで、地元ならではの視点でお届けします!