北へ!「海辺のテーブルエッグ」で風景と放し飼い卵の料理を楽しむ!/村上市


2025年03月29日 250ビュー
やっと寒波の厳しかった冬を越えて春の足音が聞こえてきたので、ドライブがてら「放し飼い卵」を使った料理を出すというお店へお出かけしてみました~。
まず車で村上駅方面から海岸道路の国道345号線を北へ向かうと、国指定名勝天然記念物「笹川流れ」の景色を眺めながら進むことができます。
この日は冬の雲が残っていて薄曇りといったところでしたが、面白い形の岩が次々現れるドライブルートを楽しめました!
場所は村上市の山北エリア、JR羽越本線の府屋駅から車で5分ほどの国道7号線沿い。そこからさらに北へ5分ほど行けばもう山形県との県境という、村上市の北部にあるお店です。
こちらの「海辺のテーブルエッグ」は名前のとおり海辺にある、かわいい青色のニワトリマークが特徴的な外観でした。
店内は明るくて窓が多く、景色を楽しめる構造になっていました。
こちらのお店は、放し飼い養鶏をされている「株式会社オークリッチ」直営のカフェ&レストランです。
「鶏自身の持つ本来の力を引き出すため」に自然の中でのびのびと放し飼いをして、地元の資源を活かした独自配合のエサで育てられた鶏が産んだ卵を使っているとのことで、メニューは卵を使った料理やスイーツがずらりと並んでいます。

これが卵そのものを味わうための料理

「これが卵かけご飯」、「これがオムレツ」、「これがカルボナーラ」と「これが」がついた看板メニューがいくつかあるのですが、「これが」には「私たちが普段使いの」という意味が込めてあるそうです。こだわりの卵の良さを活かすためのメニューなんですね~。

副店長でシェフの高山正太郎さんによれば初めて来た人は卵そのものを味わえる卵かけご飯かオムライスがおすすめということでしたので、「これがオムライス」(1,500円税込)をお願いしました。
料理は親鶏からひいたブイヨンのスープ、ブイヨンで炊いたピラフ、サラダには全卵を使ったマヨネーズが使われており、どれを食べても「放し飼い」鶏を味わえるセットメニューになっていました。

またお米も山北地域の棚田米を使ったり、塩は地元の海水から作った塩を使ったりと地元の食材を組み合わせてあるのも特徴です。
オムレツに切れ目を入れるとふわっと開き、中のふわふわ具合が分かります。
こちらは卵そのままの風味と味を楽しむためバターや牛乳は使っていないそうです。
えー!オムレツをふわふわにするには生クリームや牛乳が必要なんじゃないんですか?すごいです!
卵の味は個人の感覚ですがなめらかでくせのない、体に良さそうな味に感じました~。

生産者の、卵による、卵のための専門店

食後、お店のオーナーでもあり養鶏会社オークリッチの社長でもある富樫直樹さんにお話を聞く機会があったのですが、養鶏部門で放し飼い卵だけを販売しても販路が限られ、「実際に食べないと美味しさが伝わらない」という課題が以前からあったそうです。
(たしかに映画の「ロッキー」みたいにコップに生卵をたくさん入れて「はい試食です」とはいきませんものね~!)
さらにコロナの影響で業者の撤退などの逆風もあったので、「観光客や養鶏場見学に来たシェフ、業者が卵料理を食べる場所や、加工品が買える場所を作りたい」と2023年5月にお店をオープンしたそうです。

1次産業(生産)と2次産業(加工)と3次産業(流通販売)を合わせた経営形態を「6次産業」と呼ぶ造語があるのですが、その6次産業のお手本みたいなお店だなと感じました。
物価高や鳥インフルエンザの逆風にもめげずに、いいものをたくさんの人に届けたいという熱意がスゴいです!
※ 放し飼い養鶏の様子(提供:株式会社オークリッチ様)
 

せっかく来たのだから地元ならではのおみやげを

お店には料理に使っている素材などの販売コーナーもあり「素王卵(そおうらん)」、「野芳卵(やほうらん)」、「渚おうはん」という気合の入った名前の「放し飼い卵」の直売をしていました。
こちらはオークリッチのホームページからでも注文できます。
また、素材だけでなく作り方にもこだわりが詰まった「これがマヨネーズ。」(1,200円)と、累計2万食を超えている「これがプリン」(390円、テイクアウト420円)の他「カステラ」、「大判焼き」といったスイーツや卵かけご飯に合う「おいしい醤油」などいろいろな自社製品が販売されていました。
そうした自社商品だけでなく「えごま油」「棚田米」、「手作り塩」、「赤カブ漬け」、「甘酒」などの地元で作られた食材や加工品もありました。
これは「地元ならではの商品を一緒に並べることでお店に来た人の目に留まり、一緒に地域を盛り上げていきたい」という思いから販売されているそうです。
そうこうしているうちに14時過ぎになったので14時からのカフェタイムにしか提供されない数量限定、仕込みに24時間以上かけているという「これがフレンチトースト」(1,200円)を頂きました。
社長のお話によれば東京の某高級ホテルで宿泊した人しか予約できない、素王卵を使った朝食のフレンチトーストと同じ卵、同じレシピで作っているそうで、フレンチトーストとしては信じられないほどふわふわでした!
カフェタイムにこれを目当てに来る人もいるそうです。
他にテイクアウトもできる人気の「これがプリン」(390円)などもあるのですが、こちらも卵本来のおいしさを追求するためカラメルやバニラビーンズを加えていないものになり、卵の旬(寒の時期)に作ったプリンは中身のしっかりとした卵の味が強いプリンになっていました。
 
まだ冬の名残か当日はうっすらと曇っていて見えなかったのですが、お店の海側は天気がいいと粟島が見えて、さらに天気がいいと佐渡島まで見えるそうです。(こればかりは運ですから次回の楽しみにしたいです。)
もっとも晴れの少ない冬には年に数回「波の花」が見られる時などもあり、首都圏から冬の荒々しい海を見るためにわざわざ来店する人もいるそうです。

また山形の方向は鼠ヶ関の弁天島を見ることができ、山側には棚田が見えて、JR羽越線の線路もすぐ近くにありました。
貨物列車や特急いなほなどがお店のすぐ前を通過するのを眺めることができます。鉄道マニアにはたまりませんね!
料理もさることながら、そうしたいろいろな景色がさらに楽しさを増してくれるお店であり、店長の佐藤千奈さんは「景色も料理の素材のひとつです。日常を忘れるようなゆったりとした大人の時間を過ごしていただきたい」と話されていました。
(左からオーナーの富樫さん、店長の佐藤さん、副店長の高山さん)

地域を盛り上げたい思い、生産や料理にかける情熱、いろいろあれどそのバックストーリーを心にふまえつつ単純に景色と料理を楽しんでみるのもいいかもしれませんね!
お店を出ると駐車場のすぐ隣に養鶏の鶏舎が見え、お店が休みの時も卵が買える自動販売機もありました。
実際に訪れて鶏舎からの臭いの無さ、鶏たちが育つ海風吹く北の大地(新潟県としては)を体感してこそ、卵や加工品の良さが分かるのかもしれませんね!
これから暖かくなり3月末からは笹川流れ遊覧船も始まります。
ドライブやツーリングを兼ねて周辺の景色を楽しみながら訪れてみてはいかがでしょうか?
海辺のテーブルエッグ

海辺のテーブルエッグ

住所:村上市中浜508-1
電話:0254-60-5775
営業時間:10:00~17:00
ラストオーダー:ランチ14:00 カフェ16:30    
定休日:木曜日※不定休あり
   (冬期間は火曜日も定休)
駐車場:22台 (車イスでの入店可)

この記事を書いた人
まきたろう

若い頃は自転車日本縦断や四国八十八ヶ所の歩き遍路など旅を住み家とし、新潟に戻っても漂泊の思いやまず仕事の傍ら県内外をさ迷っている人生まだまだ旅の途中の人。 昭和とか縄文とか古いものが好き♪五泉市在住。