古町から村上市に移転オープンしたイタリア料理店「ANFORA(アンフォラ)」/村上市


2022年01月19日 2854ビュー
「村上にイタリア料理のお店ができるらしいよ」
田舎の噂は早いので、工事が始まる頃からそんな話が聞こえてきていました。

場所は、筆者がよく通る道路沿い。
工事の様子を横目に見つつ、オープンを楽しみに待っていたのが今回紹介するお店「ANFORA(アンフォラ)」です。

お話を伺ったのは、オーナーシェフの本間泉さん。

本間シェフは村上市出身。もともと同じアンフォラという名前で、新潟市古町で人気のイタリア料理店を営んでいました。

「以前から“景色のあるところ”に店舗を構えたいと思っていて。ビルに囲まれているような場所や、空が見えないところがあまり好きではなく、村上市に移転する前の店舗も、両隣に店がないところを選んでいました」
15歳で料理の世界に入った本間シェフ。本場イタリアに渡り、ミシュラン一つ星・二つ星の店舗での勤務を経て、2001年に新潟市の上古町で自身のレストランをオープン。2011年に古町に移転し、その10年後の2021年7月に村上市に移転しました。

「村上市出身のシェフが地元で始めた古民家のイタリアン」と聞くと、村上という土地や古民家にこだわって物件を探して移転したと捉えがちですが、実はそうではないと言います。
「村上市でイタリア料理をすることは、自分の中で理にかなっている、と思ったんです。海・山・川・畑も全て近くにあるのも理想的で。村上市に決める前は移転先の候補地として、様々な土地を見て回りました。石川県の能登湾の近くや関川村など、自然が近くてロケーションの良い場所もあったけれど、どこかしっくりこなかった。料理も含めて、ルーツをたどることが好きなのですが、自分の育った場所である村上で料理を探究するのが最適だと、自分の中ですとんと腑に落ちたんです」
(テーブルにしつらえられた、村上木彫堆朱のプレート)


現在の物件との出会いは、本間シェフのお母さんの紹介。

一緒に村上市内を車で巡っていた時に「ここはどう?」とふと聞いてくれたのがきっかけとのこと。貸物件の看板が出ていたわけではなかったため、地縁を伝って大家さんに手紙を書いてアプローチしたそうです。

借りた当初はリフォームされた、いわゆる普通の家。しかし、骨組みを見てみると立派な梁が残っていました。はっきりとした築年数は分からないそうですが、100年は超えているらしい、とのこと。敷地には以前内科と婦人科の洋館が建っていたそうです。

隣にある藤基(ふじもと)神社と、アンフォラの敷地と道路に面した場所にある石垣は、江戸時代に築かれたとされる、村上城の石垣と同じ頃に造られたとも言われています。
(画像提供:アンフォラ)


建物は大通りに面して建っているのに、中に入るのにゆるやかなスロープを上がっていくのが「結界に入るように、気持ちが変わる場所だと感じた」と本間シェフは言います。
「中に入ってみると、村上市の中心街ではあるのに、隣の藤基神社や村上城址のある臥牛山があり、借景の緑が豊か。民家は直接目に入らないのに、完全に孤立した立地ではない。相反する魅力が一緒にあるところに惹かれました。ここでレストランをする風景が想像できたんです」
歴史ある石垣やスロープ、古い建物を壊さず良さを活かしたい。
大家さんの希望と本間さんの願いも一致し、2020年秋頃から開店に向けての準備が始まりました。
店舗のデザインは、古町店の時代から贔屓にしてくれていたお客さんだった、新潟市内のデザイン会社に依頼。
古町の店舗で使っていたソファや椅子を使い、建物に残されていた家具も活用しているそう。
モダンな家具と古建築は、その重厚さがぴったりマッチして、落ち着いた空間を作り出していました。
(写真提供:アンフォラ)


本間シェフは移転前の古町の店舗で、MOI(イタリアホスピタリティー国際認証マーク)を取得されています。
これは、イタリアンレストランの中で、質の高いサービスと料理を提供している店舗に贈られる国際認定で、いわば“正しいイタリア料理ですよ”というイタリア本国からのお墨付き。イタリア料理が国を越えて正しく広がるために設けられたものだそうです。
「日本人シェフが日本人のお客さんにイタリア料理を作っていることの違和感を、自分の中で少し拭うことができた」と本間シェフは語ります。
食材も調理法も、イタリアの郷土料理をベースにきっちり作ってきたことが高く評価された結果ですが、様々な学びや経験を経て、現在はイタリア料理の理念や根拠を持った料理を大切にしているそう。

「イタリア人が村上市に来て、村上市の食材で料理を作ったとしたら。きっとこの食材を、こう調理するだろうなという料理を追求したいんです」
名前をつけるとしたら、「村上土着料理」。これが、本間シェフがアンフォラで目指す料理です。
取材時は構想中とのことで、昼・夜ともにコース料理のみの提供でした。
これから村上の地でどんなイタリア料理が生み出されるのか、楽しみに待ちたいと思います。
(料理写真提供:アンフォラ)
ANFORA(アンフォラ)

ANFORA(アンフォラ)

住所:新潟県村上市三之町11‐9​(村上税務署隣)
電話:0254‐75‐5235
営業時間:
 ランチ  11:30~15:00(13:00最終入店)
 ディナー 18:00~22:30(20:30入店)
※要電話予約。公式ホームページを確認の上連絡をお願いします。

ANFORA(アンフォラ)

この記事を書いた人
よはくや

新潟県の北の端、村上市の小さな宿「よはくや」のオーナーです。観光地からガイドブックに載らないふだんのまちの様子まで、地元ならではの視点でお届けします!