知られざる上越の食を丸ごといただきます! 妙高のご当地グルメ『妙高七五三(なごみ)御膳』を食す【グルメ旅前編】/妙高市


2022年01月21日 7908ビュー
湯めぐり、スノーリゾート、発酵食、ワーケーション、日本酒……うつくしい冬化粧と非日常の体験が待っている都市『妙高市』。最寄り駅の『上越妙高駅』は新幹線が通っているため、一度は冬に訪れた人も多いのではないでしょうか。

かつては観光で賑わっていた妙高市。コロナ禍の影響によって滞在する人たちが減ってきた中で、「(妙高市の)本来ある地域資源を見つけよう」と探してきました。
※『妙高七五三(なごみ)の湯』のひとつ、妙高妙高市赤倉にある『赤倉ホテル』の露天風呂。

地域で再発見されたのが、妙高市は湧出量が豊富な温泉がひしめく温泉の里であること。『妙高七五三(なごみ)の湯(7つの温泉地、5つの泉質、3つの湯色)』と呼ばれています。こちらについては、妙高市に住む諸岡江美子さんが体験レポートをまとめています。
大地の恵みがあふれる妙高市では、他にも四季の味覚を彩るエリアでもあります。妙高七五三の湯にちなんでその食の魅力をぎゅっと詰め込む妙高七五三(なごみ)御膳』が販売開始されました。地のものはその土地で食べるのが一番おいしい。妙高市を訪れて妙高七五三御膳を巡るグルメ旅に出かけます。

※今回、妙高七五三御膳を巡る旅は前編後編としてお届けします。前編では、『LOTTE ARAI RESORT』と『きときと寿し あらい道の駅店』、妙高七五三御膳を創作した料理人たちのお話を交えてお届けします。

妙高の“いつものの味”をご当地グルメとしていただく

※妙高七五三御膳の特設サイトより。

グルメ旅に出かける前に、「七五三御膳?」とはどんなものだろう。妙高市で育まれてきた地場産食材について伺いに、妙高高原観光案内所を訪れます。
※妙高市生まれ妙高市育ち、妙高観光局の馬場慎太郎さん。

「(妙高市は)山のイメージが強いですけど、海も近いんです」、そう笑顔で解説してくれたのは妙高観光局の馬場慎太郎さん。妙高七五三御膳や妙高七五三の湯の企画立案と実施を行ってきた中で、開発当時の秘話を振りかえります。

「これまで、妙高市を代表するグルメがなかったんです。強いていえば、味噌ラーメンや豚汁……マニアックで通好みなものばかりでした。私たちは2021年4月からご当地グルメを開発すべく、市内の飲食店オーナーやホテル支配人に協力してもらい、他県の先進事例を参考にしながらワークショップを行いました。同時に試食会も行いながらです。

最終的に辿りついたのが、『妙高七五三の湯』にちなんだ御膳をつくろう、と。だから、私たちは『七五三(なごみ)』の定義付けだけを行いました。定義に沿って、あとは『7つの料理、5つ以上の妙高産食材、3つの発酵食(かんずり、みそ、酒など)』を使ったメニュー開発について参画してくださった10社それぞれが考案する形となりました」
※最終的には、妙高七五三御膳で共通するデザート『甘酒ジェラート』を開発。大好評につき一般販売に向けて動いているそう。

新潟県を代表する発酵食のかんずりやみそ、一方で妙高産食材を恥ずかしながら知らなかったため、追加で馬場さんにお聞きしました。

「妙高市は日本海まで車で40分ほどの距離にあり、新鮮な地魚がその日のうちに仕入れられます。しかも、妙高産のお米や野菜、肉があって食材が一通り揃う。だから妙高七五三御膳をきっかけに、地元の人たちにも知られていない本来の幸を再発見してほしいんです。(著者の)水澤さんも一緒に確かめにいきましょう」

高まる期待と唾液を抑えながら一店舗目となる『LOTTE ARAI RESORT メインダイニング ザ・プレート』に向かいました。

季節感を感じられる、多彩な妙高産食材を味わう『ロッテアライリゾート メインダイニング ザ・プレート』

※メインダイニング ザ・プレート(ARAI棟1F)の妙高七五三御膳:3,020円(税込・温泉利用無料券付き。ご同伴のお客様3名様まで温泉入浴料半額でご案内可能)。冬季期間は、スキーリゾートが繁忙期のため七五三御膳が販売休止している。グリーンシーズンとなる4月頃から再開予定。

最初に訪れたのが、妙高市両善寺にあるレジャー施設『ロッテアライリゾート(LOTTE ARAI RESORT)』。2016年に客室数257室、アジアで最高峰のスキーリゾートをコンセプトにオープンしました。館内は温泉施設や屋内プール、1300冊以上のライブラリースペースを併設。日本屈指の積雪量を誇る大毛無山のふもとで、ウィンタースポーツを始めとするアクティビティを満喫できます。
※取材当日は雪が降り積もる前だったが、現在ロッテアライリゾートではウィンタースポーツを楽しめる。
※ライブラリースペースでは著名な作家がセレクトした本を読んだり、自然豊かな景観を覗きながらゆったりと過ごせる。
※屋内プールは年間を通して利用でき、夏には開放的な屋外ガーデンプールも楽しめる。
※『湯ったりヒーリングワーケーションプラン』でも好評のラウンジ。

「ようこそ、お越しくださいました」

お出迎えしてくれたのは和食料理長の渡邊慶一さん。ロッテアライリゾートのメインダイニング ザ・プレートで妙高七五三御膳を創作し提供する傍ら、本日は館内を案内してくれます。

メインダイニング ザ・プレートでは、普段から妙高産の野菜をオリジナルドレッシングでいただけるマルシェコーナーを常設するといった食材に強いこだわりを見せます。渡邊料理長は加えて、「調味料はなるべく砂糖を使わない、素材本来の味で堪能してほしい」と語ります。
※ロッテアライリゾートの飲食チームと和食の責任者を務める渡邊慶一料理長。
※洋食料理を終日いただくことができる『メインダイニング ザ・プレート』。
妙高七五三御膳をご用意してもらい、早速いただきます! 



……

うっ、うまい!  うますぎる!!

口の中で踊るのは妙高産のお米『新之助』。渡邊料理長がお勧めする魚料理『銀鱈の酒粕焼き』は、妙高の酒蔵『君の井酒造』の酒粕を使うことで魚の生臭さを抑えているそう。銀鱈はホクホクで、旨味とコクが押し寄せてくるよう。

「メインディッシュは魚料理と肉料理で相当悩みましたが、試食会の際に『おいしい。おいしい』と地魚に対する評判がよかったんです」(渡邊料理長)
※メインディッシュに添えたのは、妙高産の『坊っちゃん南瓜』と『甘長唐辛子』。

「体にやさしい素材と味を届けたい」

渡邊料理長の思いは調理の仕方と素材選びで表現されています。

まろやかさの奥に深みを味わえる豚汁は、妙高市で製造販売される太田醸造みそで仕上げたもの。何年もかけて天然発酵した手作りのみそが決め手で、豚汁の表面にうっすら麹が浮かびあがる珍しいものでした。

デザートは甘酒ジェラートをそのままではなく、甘味をさらに加えるために焼きリンゴも提供。玄米甘酒でじっくりと煮詰めた焼きリンゴは、香ばしさと果物が持つ本来の甘みを。甘酒ジェラートが全てを包んでくれるので、もう最高です。

「お客様がここに訪れるきっかけが妙高ならではの食でしたら、それほどうれしいことはありません。心に体も温まる御膳をぜひ召し上がってください」(渡邊料理長)
妙高七五三御膳をいただくだけでは終わりません。ロッテアライリゾートで注文すると限定特典として、大毛無山の自然を体感できる温泉施設『星空温泉』も利用できます。
※星空温泉の室内は、ヨーロッパから直接運び込んだ壁石を削ってつくられたもの。

星空温泉は、肌に優しく保湿性に優れた低張性弱アルカリの温泉湯。乾燥しやすい冬には、とろっとしたお湯で肌がつるつるに。
※星空温泉は、四季を楽しむことができる露天風呂がある。

真冬に入る露天風呂って、「うーん、寒い寒い」とつぶやきながら湯船に浸かりたくなるんですよね。

星空温泉の露天風呂は、天候によって満天の星空を覗ける開放感。さらに、大毛無山のふもとのため、静寂な空気としんしんと積もる雪の音が静かにこだまする、心がゆるむひとときでした。 

妙高七五三御膳の腹ごなしは、星空温泉と露天風呂でくつろいでみてくださいね。
LOTTE ARAI RESORT メインダイニング ザ・プレート 妙高七五三御膳
御膳の7品
  • 1(副菜):焼き舞茸と水菜のかんずり和え、合鴨ロース煮
  • 2(副菜):えんぴつ茄子豆腐、辛子醤油、モロッコいんげん
  • 3(副菜):香の物(白菜、胡瓜、茗荷)
  • 4(メイン):銀鱈の酒粕焼き、焼き野菜(坊ちゃん南瓜 甘長唐辛子など)
  • 5(主食):新之助米
  • 6(汁物):豚汁(太田醸造味噌を使用)
  • 7(デザート):焼きリンゴ、鮎正宗玄米甘酒アイス、柿
使用する
妙高産食材
かんずり、君の井酒粕、新之助米、えんぴつ茄子、モロッコいんげん、坊ちゃん南瓜、甘長唐辛子、舞茸
使用する
妙高産発酵食品
かんずり、君の井酒粕、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒
LOTTE ARAI RESORT メインダイニング ザ・プレート

LOTTE ARAI RESORT メインダイニング ザ・プレート

住所:妙高市両善寺1966
電話番号:0255-75-1112
営業時間:
ランチ:11:30~14:30(LO14:00)
七五三御膳:11:30~14:00(限定20食、入浴可能)
※冬期間は、繁忙期のため七五三御膳が販売休止中。4月頃から再開予定。
定休日/なし
駐車場/あり
席数/120席

すし店ならではのお魚御膳 その日の地魚はお楽しみ『きときと寿し あらい道の駅店』

※きときと寿し あらい道の駅店の妙高七五三御膳:1,936円(税込)

続いては、妙高市猪野山にある道の駅『あらい』にお邪魔しました。

道の駅あらいには、地のものと旬を迎える野菜が集まる農産物直売所や日本海近海から直送される日本海鮮魚センターがあります。その一角にお店を構える『きときと寿し あらい道の駅店』。

きときと寿しとは、“きときと(新鮮)”な魚が自慢のお寿司屋さん。お寿司屋さんがつくる妙高七五三御膳は、その日に入荷した白身魚を入れた6貫寿司の握りやアジのフライ、サバのみそ煮と魚料理をふんだんに盛り込む御膳です。
※きときと寿し あらい道の駅店を運営する有限会社のんずりでは、発酵食のかんずりをつくっている。
毎朝、日本海鮮魚センターから新鮮なネタを仕入れているのが、ときと寿し あらい道の駅店の相羽永遠さん。妙高七五三御膳を創作するために地魚や野菜を手に取って確かめ、その場でレシピ考案を行っているそう。
※相羽永遠さんは有限会社のんずりの外食事業部で仕入担当を務める。

「私はもともと、洋食の道で修行してきたので魚料理という和のテイストに対して洋の知識と技を盛り込んでつくっています。

『妙高産糸うりと人参のサラダ』では例えば、風味が強いかんずりをドレッシングに混ぜているためゆずで香りづけをする、ひと手間を大切にしています」(相羽さん)
「こちらです」 

相羽さんにそう勧められるがままに一口いただきます。

… 

……

和と洋の融合!? とつい声を上げてしまうほどのうまさ。

かんずりの風味はそのままで、ドレッシング独特の油っぽさがない。しかも、妙高産の糸瓜がすっと口の中に広がる新食感。素朴な中に、いかに素材の味を引き出すかを徹底しているようでした。
お寿司の握りもいただきます。

口の中でトロットロ〜。地魚は噛まなくても自然にとけるし、柔らかさと上品な味わいは初めての味。妙高産の野菜でつくった副菜にも舌鼓を打つ、贅沢なひとときです。

 「最後に、妙高七五三御膳にはないのですが……試作中の『カブとかんずり漬け』をどうぞ」
ピリリとしたかんずりがアクセントとなって、カブの本来の旨味が噛めば噛むほど染みわたってくるんです。魚料理を食べたあとのさっぱり感、もうたまりません。 

「妙高七五三御膳のメニューを考えたのは秋頃でした。ただ、四季によって採れる採れないものがあるので、冬に旬を迎える食材を本来の味としてお届けしていきます」(相羽さん)  

ごちそうさまでした。
きときと寿し あらい道の駅店の妙高七五三御膳
御膳の7品
  • 1(副菜):妙高産糸うりと人参のサラダ~和風かんずりドレッシング~
  • 2(副菜):自社栽培さつまいもとレーズンのサラダ
  • 3(副菜):鯵の七味フライ、自社製造七味を使用
  • 4(メイン):さばの味噌煮~シソの実を添えて~
  • 5(主食):6貫寿し~赤身、中トロ、やりいか、地魚、いくら、サーモン~
  • 6(汁物):太田味噌を使った海苔汁~ネギ入り~
  • 7(デザート):鮎正宗酒造の玄米甘酒ジェラート
使用する
妙高産食材
糸うり、人参、みょうが、シソの実、ネギ
使用する
妙高産発酵食品
かんずり、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒
きときと寿し あらい道の駅店

きときと寿し あらい道の駅店

住所:妙高市猪山55-16
電話番号:0255-70-6680
営業時間:
昼 平日11:00~14:45
夜 平日16:00~20:30
※土日祝日11:00~20:30
七五三御膳:平日11:00~
定休日/なし
駐車場/あり
席数/ボックス18席、カウンター5席

妙高七五三御膳を巡るグルメ旅は後編に続く

妙高七五三御膳は、妙高市で働く料理人らしさをいかしながらつくるご当地グルメでした。だから今回、予定が合わずに直接伺えなかったお店についても料理人独自のメニュー開発が気になるところ。

また参画店舗についてもこれから増やしていくそうなので、妙高市には一度ではなく二度三度と行きたくなりますよね。皆さんもぜひ、お気に入りの妙高七五三御膳を探してみてくださいね。

休暇村 妙高 妙高七五三御膳:4,400円(税込・温泉入浴料込)

※妙高観光局より写真提供。
 
御膳の7品
  • 1(副菜):鶏のかんずり、自家制スモークのサラダ
  • 2(お造り):季節の三種盛
  • 3(メイン):新潟和牛しゃぶしゃぶ、妙高産野菜添え
  • 4(温物):鰤の君の井酒造酒粕煮
  • 5(汁物):太田醸造みそ使用、竹の子汁
  • 6(ご飯):妙高産こしひかりの笹寿司
  • 7(デザート):鮎正宗酒造の玄米甘酒ジュラート
使用する
妙高産食材
妙高産野菜(4種程度)、コシヒカリ
使用する
妙高産発酵食品
かんずり、君の井酒粕、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒
休暇村 妙高

休暇村 妙高

住所:妙高市関山6087-10-1
電話番号:0255-82-3168
営業時間:予約制
七五三御膳:予約制
定休日/なし
駐車場/あり(100台)
席数/100席

寿し芳 妙高七五三御膳:2,800円(税込)

※妙高観光局より写真提供。
 
御膳の7品
  • 1(前菜):妙高野菜の寄せ物、黒ばい貝の旨煮、かんずりマヨネーズとまと、姫筍、さつま芋甘煮、茄子田楽
  • 2(副菜):野草炭麺
  • 3(蒸し物):妙高産きのこを使った茶わん蒸し
  • 4(メイン):地魚の西京焼き
  • 5(主食):旬の地魚を使った本日のおすすめ握り6貫と巻物
  • 6(汁物):あら汁
  • 7(デザート):鮎正宗の甘酒ジェラート
使用する
妙高産食材
姫筍、きのこ、茄子、かんずり、野草、さつま芋、トマト
使用する
妙高産発酵食品
かんずり、太田醸造味噌、鮎正宗の玄米甘酒
寿し芳

寿し芳

住所:妙高市田町1-5-1
電話番号:0255-72-0124
営業時間
昼:11:30~14:00
夜:17:30~22:00
七五三御膳:11:30~14:00
定休日/月曜
駐車場/あり(25台)
席数/40席

妙高七五三御膳 モデルコース

この記事を書いた人
水澤 陽介(みずさわ ようすけ)

新潟県生まれ、東京、沖縄を経て地元新潟にUターン。2021年2月、三条市の中央商店街に本屋「SANJO PUBLISHING」を立ち上げ、“まちを編集する本屋さん”をモットーにまちの魅力を集め、届けています。 まちを編集する本屋「SANJO PUBLISHING」(https://note.com/ncl_sanjo

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